思い込みは禁物だけど、聴く前から当たりとわかるアルバムがある。
なんて物言いは前もしたことがあったっけ。
思い込みが強い分ハードルも高くなって、確かに当たりっちゃ当たりなんだけどね…といった感想になってしまうこともないわけじゃないが。
ヴァイオリンのイザベル・ファウストを中心にしたアンサンブルがピリオド楽器を用いて演奏したシューマンのピアノ4重奏曲とピアノ5重奏曲<HMF>は、それこそ当たって当然のアルバムだ。
それぞれの楽器の協奏曲とのカップリングですでにシューマンのピアノ3重奏曲全曲を録音しているファウスト、フォルテピアノのアレクサンドル・メルニコフ、チェロのジャン=ギアン・ケラスという気心の知れた三人に、ヴィオラのアントワン・タメスティ、さらに5重奏曲ではヴァイオリンのアンネ・カタリーナ・シュライバーが加わっているが、いずれも技量は優れているし、シャープさと抒情性を見事に兼ね備えてもいる。
結果、歯切れと流れと見通しがよくて、なおかつ歌唱性にも富んだ演奏が生み出されていた。
中でも、ピッツィカートが効果的に使用される4重奏曲の第2楽章と軽快で流麗な第4楽章、技巧=機智と感情がせめぎ合っているような5重奏曲の第2楽章が強く印象に残る。
そして、全曲通して感じたのは、外に向けて自らを打ち開くエネルギーの放射、喜びと痛み、美しさだった。
室内楽の醍醐味をたっぷりと教えてくれるアルバムだ。
2024年02月01日
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