監督・脚本:小津安二郎
脚本:野田高梧
(2012年5月2日、京都文化博物館フィルムシアター)
今さら小津安二郎の『麦秋』についてつらつら書き連ねるのもどうかと思うけど。
『麦秋』、やっぱり観てよかったなあ。
婚期の遅れた娘(28歳で婚期はどうこうって…)の結婚を大きな軸に、鎌倉の中流家庭の日常生活を通して、過ぎ去って行くものやこと(そこには戦争の深い傷も含まれている)への痛切な想いを描き出した一本。
と、まとめるとあまりにも単純に過ぎるかな。
二時間を超える作品だが、かつて喜劇でならしたことを想起させるくすぐりや仕掛けがそこここに散りばめられていること(子供の使い方も巧いや)や、ゆっくりとしたテンポでありながらも停滞することのない筋運びもあって、全く観飽きることがなかった。
そして、行間を読むというか、あえて多くを語らない抑制された映像と映像、台詞と台詞、演技と演技の間にあるものの豊かさに改めて感心した。
(女性どうしの親しい感情が巧みに表現されている点も、非常に興味深い)
原節子をはじめ、笠智衆、三宅邦子、菅井一郎、東山千栄子、杉村春子、二本柳寛、高堂國典、佐野周二(様々な意味で興味深い人物像)、宮口精二、高橋豊子、井川邦子といった役者陣も作品の世界観によく沿った演技を披歴していて嬉しかった。
なお、今月の京都文化博物館のフィルムシアターは、今年2月に亡くなった淡島千景を追悼するプログラミングとなっているが、この『麦秋』では、原節子演じる主人公の親友役を陽性軽快に演じていて、強く印象に残る。
それにしても、若き日の淡島さん、キュートだ。
ああ、面白かった!
できれば、『晩春』も観たいなあ。
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