2018年05月22日

第31回座錦湯

☆第31回座錦湯

 出演:桂文五郎さん、月亭天使さん、林家染八さん
(2018年5月21日20時開演/錦湯)


 日中はひとまず置くとして、暑過ぎず寒過ぎず、ようやくほどよい加減の京この頃。
 今夜の錦湯さんには、常連さんやリピーターさん、ご新規さんとバランスよい顔触れのお客さんが集まった。
 31回目となる座錦湯は、支配人であるビリートップ五人衆のうち桂文五郎さんが差配を務め、お久しぶりとなる月亭天使さんにおなじみ林家染八さんがゲストに迎えられた。

 定刻20時になって三人が颯爽と登場し、冒頭のトークを始める。
 が、この時季の腐ったウーロン茶は危険です、と文五郎さんが呼びかける。
 なんと文五郎さん、酔った勢いで明らかに危ない紙パックのウーロン茶を飲んで、非常に大変な目にあったとのこと。
 で、すかさず染八さんがネタがつくと指摘。
 詳しくは、後述の感想をご参照くださいませ。

 と、頃よくあたたまったところで、ジャンケンに勝ったもんの希望順で文五郎さんが高座へ。
 マクラでは、文五郎さんの「ドメスティック」な近況報告についつい笑ってしまう。
 本題は、『新版牛ほめ』。
 文五郎さんの努力のあとがしっかり刻印されており、思わずぐっと心に迫ってきた。
 落語は奥が深いや。

 続いては、天使さんが登場。
 噺の笑いの構図を説明したり、錦湯の「舞台」を広く利用する旨断ってから、ネタおろしとなる本題の『浮かれの屑より』に入る。
 居候中の男、ちょっとは働きなさいと、長屋の空き家に置かれた紙屑のより分けを任されたものの、間の悪い(良い?)ことに隣は稽古屋。
 思わず、屑よりがお留守になって…。
 『紙屑屋』の別名でも知られる上方ではおなじみの古典の一つで、先代文枝さんが特に得意にしていた。
 テンポよく掛け合いを重ねたのちが、この噺の肝。
 天使さんは録音された音源を駆使しつつ、狭めの高座から床に下りて居候の浮かれぶり、踊りぶりを熱演した。
 演劇経験者ということもあって、入れ子構造のこのネタはそれこそ天使さんの十八番になるのではないか。

 トリは、染八さんだ。
 こちらも、新ネタの『ちしゃ医者』。
 あえて詳細は語らぬが、上方落語界のキューバのカストロ議長ならぬバキューのスカトロ議長とでも呼ぶべきまさしく尾籠なネタだ。
 けれど、そこをどう演じ切るかが問われるわけで、結果ハイブロウなネタともいえる。
 染八さんは丁寧快活にやり取りを重ねたのち、ここぞというところでフォルテッシモを決める「落語は爆発だ!」といったタイプの口演で、中でも終盤の爆発ぶり、叫びっぷりが大きな笑いを生んでいた。

 最後は、三人のトークで〆た。
(終演後、天使さんより、期間中に天使さんと桂米紫さんの落語界も開催される龍谷ミュージアムの「お釈迦さんワールド」展の招待券をいただいた。多謝!!)

 と、今夜も盛りだくさんな座錦湯でした。
 ああ、面白かった!!
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2018年05月15日

第30回座錦湯

☆第30回座錦湯

 出演:桂三実さん、月亭八斗さん、笑福亭笑利さん、桂りょうばさん
(2018年5月14日20時開演/錦湯)


 寒暖の差がようやく落ち着いて5月らしさを感じる京この頃。
 今回の座錦湯は、「洲本のいいとこ発信大使スペシャル」と題して支配人の桂三実さん(二代目)をはじめ、おなじみ月亭八斗さん(初代)、お久しぶりの笑福亭笑利さん(三代目)の兵庫県洲本市(淡路島)のいいとこ発信大使三人が顔を揃え、さらには桂りょうばさんも加わるという30回目に相応しい豪華版。
 そんな30回目にこれまた相応しく、客席にも常連さん、リピーターさん、ご新規さんと幅広いお客さんが大勢集まった。

 定刻20時過ぎ、洲本のいいとこ発信大使の法被を身に纏った三実さんが軽く口上を述べたあと、ゲストの3人が登場。
 洲本のいいとこ大使とはなんぞやといった話題でトークを盛り上げる。

 で、頃合いのよいところで、三実さんが高座へ。
 錦湯さんでは毎回何か工夫をこらしたネタを披露する三実さん、今回は『ドラえもん』のジャイアンのリサイタル(あまりの下手さに皆が悶絶するというおなじみ)を落語に置き換えたらどうなるか、と小咄を実演。
 見事な変化球で笑いのストライクをとった。
 本題は、古典の『松山鏡』をかける。
 三実さんの『松山鏡』は二度目だけれど、今夜は途中一箇所ある現代語を挟んでみますと断りが入ったバージョンだ。
 この間の三実さんの研鑽経験とともに、落語への取り組み方、姿勢もよくわかる口演となっていた。
 と、こう書くと小難しくとらえる向きもあるかもしれないが、そこは一筋縄ではいかない(?)三実さん、ここぞというところで笑いをとっていた。
 四人の出演者共通の「洲本や洲本のいいとこ発信大使に関係するネタを盛り込む」という課題も、予告した現代語もそれぞれすとんと決まり、空振り三振!

 続いては、りょうばさんが登場。
 実は、今週末の独演会に新ネタを披露する予定で、きちんと上がりはしたのだけれど、ぜひ客前で一度試しておきたい。
 ということで、この錦湯さんを思い出したとまずもって語る。
 で、人生とは偶然(たまたま生まれて)と必然(必ず死ぬ)の間という死生観を口にしてから、本題の『片棒』に入った。
 しぶちんケチでのし上がった伊勢屋さん、人生も晩年を迎え、三人の息子を前にして、自分が亡くなったときはどういう葬式を出すのかと一人一人尋ね始めたが…。
 相手が三人の娘でシリアスな内容なれば、まさしくシェイクスピアの『リア王』の煉獄における悲劇ということになるが、そこは落語の世界。
 三者三様、無茶苦茶を言い募る。
 りょうばさんは筋そのものはもちろんのこと、くすぐりもオーソドックスな線に則りつつ、間の取り方や、掛け合いの強弱など、マクラで語った言葉を想起させるような色づけも試していたのではないか。
 共通の課題もしっかりクリアした。
 ご都合よろしい方は、5月19日(土曜)に動楽亭で開催予定の『第3回 動楽亭のりょうば』(18時半開演、予約1500円、当日2000円)にぜひ!!
(ある意味「ゲネプロ」代わりに錦湯さんでの会を落語家さんに利用してもらうというのは、投げ銭制で毎回愉しませていただいてる客としては、大いに首肯のいくところだ。それと、新支配人のビリートップの皆さんにも、月亭太遊さんから始まったこれまでの形式に無理にとらわれず、自分の勉強会代わりにするとか、落語以外の出し物に挑むとか、素人の友人でもいいし、芸人さん以外のゲストを呼ぶとか、「好き勝手」にやっていただければと切に願ったりもする)

 三人目となる笑利さんは、「母の日の翌日というのに、父が死ぬ話が二つも…」とジャブをかました上で、洲本のいいとこ発信大使のエピソードを。
 といっても、短期間の大使に留まった笑利さんの体験がまあ、ああ、それはまあと思える内容で、ついつい笑ってしまう。
 で、「古典か新作どちらがいいですか」とお客さんに振って、「新作で」という返事があったのに、あえて古典をやるというルーティンから本題の『道具屋』へ。
 『道具屋』といえば、先週月亭遊真さんが演じたばかりだが、同じ噺でも演じ手が変われば受ける印象も大きく変わるということで、笑利さんは速いテンポではなから攻めの高座。
 が、途中共通の課題を盛り込んだあたりで、アクシデント発生(最後のトークで、どうやらゲシュタルトの崩壊を起こした旨、説明していた)。
 けれど、肉を切らして骨を切り、骨を切らして髄を切りと、まるで萬屋錦之助演じる柳生宗矩もかくやと思わせる省略の切り返しで抱腹絶倒、大きな笑いを掴んでいた。
 もちろんそこには芸人としての対処の素早さもあるだろうけれど、同時に笑利さんのお客さんとともに場をつくる力も小さくないのではないかと思ったりもした。

 トリは、八斗さん。
 まずは、錦湯さんで披露して好評を博した「マッハ時うどん」の続編、「マッハたちぎれ線香」に挑む。
 えっ、あの涙なくしては聴き終えられない『たちぎれ』をマッハでやるの…。
 という不安もなんのその、超スピードの神業でマッハたちぎれ線香を演じ終えた。
 そして、本題も『まんじゅうこわい』ならぬ『ドラゴンボールこわい』!
 どんぴしゃの世代であるものの、実は『ドラゴンボール』って詳しくないな、とは丸山交通公園ワンマンショーの感想で記したところだが、あのあとwikiっておいて正解だった。
 ドラゴンボールの世界に置き換えられた『まんじゅうこわい』の相関関係がよくわかる。
 お得意のフリーザ(中尾隆聖!)をはじめ、物真似も挟まれたりして、ファンにはこたえられない改作に仕上がっていた。
 もちろん、共通の課題も織り込みずみ。

 最後は、りょうばさんの仕切りで、三実さん、八斗さん、笑利さんが洲本のいいとこ発信大使の思い出話を繰り広げていた。
 三実さん、笑利さんのエピソードに笑いつつ、現代版蟹工船とでも呼びたくなるような八斗さんのある日のいいとこ発信大使ぶりには胸を揺さぶられた(?)。
 そうそう、りょうばさんは仕切りになれているなあと改めて思ったんだった。

 と、今夜も盛りだくさんな座錦湯でした。
 ああ、面白かった!!!
 毎週月曜夜は、座錦湯へ皆さんもぜひ!!
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2018年05月08日

第29回座錦湯

☆第29回座錦湯

 出演:月亭遊真さん、桂白鹿さん、露の新幸さん
(2018年5月7日20時開演/錦湯)


 世はゴールデンウイーク明け。
 おまけに雨降りと、正直芳しからぬ状況だったが、今夜も錦湯さんには常連さんにリピーターさん、ご新規さんとお客さんが集まり、なかなかの入り。

 29回目となる今回は月亭遊真さんが差配を務め、桂白鹿さん、露の新幸さんの二人がゲストに招かれた。

 定刻20時頃に三人が登場し、まずは錦湯さんでの会への出演など自己紹介を兼ねたトークから。
 さらに話題は、上方落語協会の会長選挙について。
 何せ白鹿さんはアンチ現会長派の急先鋒として昨今何かと話題の桂文鹿さんのお弟子さんだから、そこら辺の話題などについてもきっちり踏み込みつつ、若手噺家の立場に則ったおしゃべりを繰り広げて盛り上げた。

 で、じゃんけんで勝ったもんの順番ということで、本来は入門が一番早い白鹿さんから高座へ。
 白鹿さんはすでに錦湯さんに一度登場しているのだけれど、あいにくその回はこちらが足を運べていなかった(その際のエピソードに関しては、冒頭のトークで白鹿さんがしっかり語ってくれた)ので、生の高座に接するのは今夜が初めて。
 師匠文鹿さんとのエピソードをマクラで語って笑わせてから、本題の『色事根問』を演じる。
 もてる男の条件について、それこそこれっぽっちももてなさそうな男があれこれ訊いていくというおなじみの古典だが、テルマエ・ロマエ風の偉丈夫な白鹿さんは上方の落語家さんとしてはオーソドックスな語り口でまずは丹念に掛け合いを重ねていく。
 そして、大事な部分では音量をぐっと強め、テンポをきっと速める。
 その強弱の塩梅も効いて、くすぐりをはじめここぞというところで笑いを生んでいた。

 続いて、登場したのは新幸さん。
 こちらも、マクラでは師匠の露の新治さんについて触れる。
 とあることからお師匠さんの人となりについては知っていることもあって、実におかしい。
 さらに、自分がどのような具合にネタの稽古をつけてもらっているか、そしてこれから演じるのは非日常の世界を経験してきた者が登場人物である旨を説明した上で、本題に入る。
 どこぞでたっぷり愉しんできた男が二人、胴間声張り上げて馬鹿なやり取りを繰り返している。
 と、お腹が空いてきた、だったらうどんを喰おうやないか…。
 これはもうおなじみ『時うどん』。
 ただし、新幸さんがつけてもらった『時うどん』はそんじょそこらの『時うどん』とはわかが違う。
 この人を見よ!
 ならぬ、この高座を見よ!
 とばかりに、とばすとばす、叫ぶ叫ぶ。
 その有り様はうどん屋の親父ならずとも、キ××イと思うだろうクレージーさで、お客さんがわきにわいた。
 途中、高座外のアクシデントもあったが、そこは緊張と緩和、巧くやり過ごした。

 トリは、遊真さん。
 遊真さんもまた師匠の月亭遊方さんのエピソードをマクラで語ったのち、本題に。
 あほな男が道具屋を始めるという古典中の古典『道具屋』で、要所急所を押さえた快活な語り口は、うどんはうどんでも香辛料も具もたっぷりのメインディッシュのうどんのあとだと、お茶漬けさらさらといった感じであっさりとした滑稽さが引き立った。

 と、今夜も充実した座錦湯でした。
 ああ、面白かった!!

 そして、毎週月曜20時は錦湯さんに皆さんもぜひ!!
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2018年05月01日

第28回座錦湯

☆第28回座錦湯

 出演:桂小留さん、林家染八さん、月亭秀都さん
(2018年4月30日20時開演/錦湯)


 昭和の日の振り替え休日。
 世はゴールデンウイーク真っ盛り。
 そんな中、錦湯さんには常連さんやリピーターさんが集まって、今夜もなかなかの入りだった。

 ビリートップの面々が持ち回りで支配人を務める座錦湯も、今回でもう5回目。
 今週はお昼に今出川近辺のスターエッグスで「たまごのらくご」を終えたばかりの桂小留さんの差配で、同じく「たまごのらくご」に出演した月亭秀都さん、そして林家染八さんが顔を揃えた。
 実はこの三人、上方落語協会の野球部・モッチャリーズの花形(?)メンバーなのだった。
 冒頭のトークもそのモッチャリーズ、ではなく先ごろ笑福亭仁智さんの当選で終わった上方落語協会の会長選挙の話題から。
 桂吉弥さんもABCのラジオでちらちら内情を語っていたが、ここは錦湯、さらに踏み込んで…、もちろん隠(画)すべきところはきちんとそうしつつ、大きな笑いを生んでいた。

 で、頃合いのよいところでじゃんけんの勝ったものの希望順にそって秀都さんが高座へ。
 高校時代野球部に入ってはいたが…、とモッチャリーズ関連のエピソードなどをおかしくマクラで語ったのち、本題の『千早振る』に入る。
 百人一首の「ちはやふる神代もきかず竜田川からくれなゐに水くくるとは」という在原業平の歌の意味を尋ねられた町内で物知りと評判の男、知らないなどとは言い出せず、とうとう口から出まかせを…。
 といった具合のおなじみの古典で、二人の男のやり取りをしわぶき声というか渋みの入った声でテンポよく語っていく。
 肝はもちろん、男が平然と出まかせを言い立てるところ。
 その出まかせの自然な語り口が秀都さんの柄にぴったりだった。

 続いては、小留さんが登場する。
 今日の「たまごのらくご」でネタ下ししたスターエッグス(武者小路町)周辺を題材にした新作を、早速こちらでもかけてみようという趣向。
 ただし、この新作、同じく近辺の衣棚通を舞台にした『はてなの茶碗』の後日譚(担ぎの油屋が「十万八千両」の代物と盛って来る、漏れる水壺がどうなるか?)。
 なので、小留さんは『はてなの茶碗』を丸ごと演じた上で、そのまま新作に入るという形をとった。
 東京の『茶金』に比べ、『はてなの茶碗』にはより人の情がそこはかとなく表われている感じがして、小留さんの高座でもそのことを改めて強く感じる。
(先日の『ちりとてちん』でもそうだったが、この『はてなの茶碗』でも追い詰められた油屋が必死のぱっちで真情を語るあたりに小留さんの特性を観る想いがした)
 さて、後日譚のほうは、舞台が京都を離れ長崎へ。
 十万八千両の取り引きをするには、何しろ世界が相手でないと…。
 と、ここからの詳しいあらすじは今後の口演もあるかもしれないのであえて触れないけれど、長崎出身で京都在住の人間にとっては、一粒で二度嬉しい内容だった。
 そして、座錦湯同様、スターエッグスでの「たまごのらくご」も皆さんぜひ!!

 トリは、染八さん。
 マクラでは、最近の様々な話題を語ってみせる。
 さらに、今夜の座錦湯出演の本来の目的にふくみをもたせて大きな笑いをとってから、本題に。
 幇間太鼓持ちの茂八が若旦那の求めに応じて鍼を打たせたまではよかったが…、というおなじみの古典『太鼓腹』で、一度錦湯さんでもかけたことがあるネタだ。
 お金欲しさ丸出しの茂八が、若旦那の無茶な要求に困惑する様、鍼を打たれて大騒ぎする様、その積み重ね、強弱の変化が面白く、会場がわいた。

 最後は、三人でモッチャリーズというチームの実像に迫る(んな、大袈裟な!)トークを繰り広げて休日の夜を〆た。

 と、今夜も盛りだくさんな座錦湯でした。
 ああ、面白かった!!
 そして、毎週月曜は皆さんも座錦湯へぜひ!!
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2018年04月24日

第27回座錦湯

☆第27回座錦湯

 出演:桂三実さん、桂三幸さん、桂恩狸さん
(2018年4月23日20時開演/座錦湯)


 4月も下旬。
 というのに、まるで夏のような暑さの京この頃だが、今夜の錦湯さんには常連さん、リピーターさんが集まってなかなかの入り。
 ビリートップ5人衆が支配人となって4回目となる今回は、桂三実さんが差配を務めた。
 ゲストは、二代目支配人の桂三幸さんに、「ふたりでできるもん」のほか三実さんあるところにはこの人ありの桂恩狸さんのお二人。

 定刻20時頃に三実さんが登場し、軽く前口上を行ってから、三幸さん、恩狸さんが登場し早速トークを始める。
 テーマは、今夜天満天神繁昌亭で開催されていた若手噺家グランプリの予選について。
 実は、今夜の結果次第で三幸さんが決勝戦に進出できるか否かが判明するのである。
 ということで、ボードに出演順に記された出演者の名前を確認しつつ、競馬のオッズよろしく1位、2位、3位を三人が占いつつ盛り上げた。

 で、ほどよくお客さんがあたたまったところで、三実さんが高座へ。
 残念ながら二年連続で時間不足(!)のため決勝進出を逃した三実さんは、よくある「あるある」ネタと思わせつつ、実は捻りの効いた歌ネタを披露してから本題の『擬音』に入る。
 まさしく若手噺家グランプリのリベンジだ!
 会社の同僚二人が話をしているうちに、話題は擬音のほうへ。
 というのも、片方の男の口にする擬音というのがどうにも妙で…。
 といった展開の新作だけれど、先の歌ネタ同様、三実さんの目のつけどころ耳のつけどころが実におかしい。
 落語というスタイル、演芸というスタイルをしっかり押さえながら、そこに自分自身の特性得意技を仕掛けたネタであり、存分に愉しんだ。

 続いては、これまた若手噺家グランプリの決勝進出ならなかった恩狸さん。
 お師匠さんの桂文福さんのエピソードなどを高らかにマクラで語らったのちは、『子ほめ』を演じる。
 って、こちらもグランプリのリベンジである!
 ぶつりぶつりと話を切らずに、息をつぐ間も惜しんだ懸河の勢い。
 それでもせせこましくならないのは、牛刀を持って鶏を裂く的な大どかな語り口であるからだろう。
 登場人物の感情の起伏の激しさも興味深くおかしかった。

 トリは、三幸さん。
 トートバッグを手にして現れた三幸さんに、何やらよい意味の不穏さを感じるが、まずはいつもの如く肩ひじ張らないマクラで笑いを生む。
 そして、本題は新作のそれも出来立てほやほや。
 けれど、いや、だからかあえて詳しいことは書けないんだよね。
 ある男が父親の墓石の前で…。
 と、ここからは5月1日に予定されている三幸さんの落語会にぜひとも足を運んでもらいたい。
 ハイブリッド落語の真骨頂。
 最新技術(?)を駆使した体感型(?)のスリリングでおかしい作品世界が生み出されていた!
 いやあ、笑った。

 今回は久しぶりに大喜利も決行。
 三幸さん仕切りの下、三実さん、恩狸さん、さらには合田団地君や丸山交通公園君に常連のきょうとうさんがお題に挑む挑む。
 皆々、コンスタントに解答を重ねる中、客席からも不規則発言、ならぬ不規則解答が飛び出したほどだった。
 三実さんがちらと呟く「毒」がまたおかしい。

 最後は若手噺家グランプリの結果発表。
 惜しくも三幸さんの決勝進出はならず。
 ああ……。

 と、残念な結果とはなったものの、盛りだくさんの会ではありました。
 ああ、面白かった!!
 そして、毎週月曜20時は皆さん錦湯さんへぜひ!!
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2018年04月16日

第26回座錦湯

☆第26回座錦湯

 出演:月亭遊真さん、桂りょうばさん、桂小きんさん
(2018年4月16日20時開演/錦湯)


 4月も半ばを過ぎたが、まだ肌寒さの残る京この頃だが、今夜も錦湯さんには常連さん、リピーターさんが集まった。
 ビリートップの面々が持ち回りで差配を務めることになった新年度の二回目となる今回は、月亭遊真さんが支配人。
 2015年入門のプチ同期会ということで、桂りょうばさん、桂小きんさんの二人をゲストに迎えた。

 定刻20時頃に三人が登場。
 落語ファンならすでにご存じのことだろうが、りょうばさんは先代の枝雀さんの息子さん、小きんさんは先代の文枝さんのお孫さん、そして自分は…、と遊真さんが落としてみせるなど、自己紹介を兼ねたトークで盛り上げる。
 まず話題の中心となったのは初登場となる小きんさんで、きん枝師匠に入門するまでの「数奇」な道のりがおかしい。
 むろん、それを巧みに引き出した遊真さんのちょっとSっけのある突っ込みや、世事に長けたりょうばさんの誘い水も忘れてはなるまいが。
(ちなみに、りょうばさん、遊真さん、小きんさんが年齢順。ところが、小きんさんにはすでに二人のお子さんがいるそう)

 で、頃合いのよいところで、ジャンケンの勝負に勝った人の希望順にそって小きんさんが高座へ。
 マクラで語るべきエピソードをトークで話してしまったと口にしたりしたのち、本題の『牛ほめ』へ。
 アホな男が教えを受けて、普請を誉めに出かけたが…。
 というおなじみの古典。
 小きんさんは元気一発、陽性な、ただしゆっくりとした語りぶりで口演を始める。
 その語りぶり、強弱メリハリの付け方にどうしてもお祖父さんにあたる先代の(小文枝の)文枝さんを思い起こすが、アホな男に普請の誉め方を教える際の淡々とした語りの部分にも、小きんさんの伸びしろがあるのではないかとふと思ったりもした。
 20年後、いや30年後の小きんさんの高座が愉しみだ。

 続いて、ジャンケンでいっとう最初に勝ち抜けた遊真さんが登場する。
 よくよく考えてみれば錦湯さんへの登場は久しぶりとなる遊真さんだが、マクラでは近況報告などをしっかりと。
 無学での会の鶴瓶さんとのエピソードなど、積極的な語りで好感を抱く。
 本題は、これまたおなじみの古典『看板のピン』。
 要所急所は押さえつつも、わざとらしさを感じさせない流れのよいやり取りにこの間の遊真さんの研鑽鍛錬を識る想いがして嬉しかった。

 トリは、今回で三度目の錦湯さんへの出演となるりょうばさん。
 小きんさんの高座を耳にして、やはりところどころ先代の文枝さんに似ているところがあった、けれど本人はそうは思っていないだろう、自分も枝雀さんに似ていると言われるが、実際はそう思ってない、と言うのも…といった具合の滑り出し。
 続けて、冒頭の小きんさんのトークを受ける形で、入門についてや自らの嗜好(シュールな話が好きとのこと)を笑いを交えて語るなど、トリに相応しくたっぷりとしたマクラが愉しい。
 さらに実際にあった病院でのシュールな出来事を語ってから、本題の『義眼』へ。
 医者に義眼をこしらえてもらった男は、喜び勇んで松島新地のなじみの女のもとへと駆け付ける。
 と、悪酔いに悪酔った男が隣の部屋に通されて…。
 確かにシュールな展開の噺で、想像力を非常に掻き立てられる。
 一つ間違うと尾籠な話で終わってしまいかねないが、りょうばさんは線を踏み外すことなく見事に語り切った。

 で、最後は、三人のトークで〆た。
 トークもそうだし、個々の落語もそうだし、いい塩梅いい雰囲気の会になっていて、錦湯さんでも継続的にプチ同期会を開催してもらえたらなあと強く思った次第。
 落語ファンの方はもちろん、そうでない方もお薦めです。

 と、今夜も盛りだくさんな座錦湯でした。
 ああ、面白かった!!

 ちなみに、次回は桂三実さんが支配人の予定。
 二人でなくともきっちりできる三実さんの差配が愉しみだ。
 皆さんも、毎週月曜は錦湯さんへぜひ!!
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2018年04月10日

第25回座錦湯

☆第25回座錦湯

 出演:桂文五郎さん、月亭八織さん
(2018年4月9日20時開演/錦湯)


 ここ二日ほど気温が下がって肌寒い感じが続いているが、4月ももう十日近く。
 新年度2回目、そしてビリートップのメンバーに支配人が変わって2回目となる第25回座錦湯は、桂文五郎さんが差配を務めた。
 ゲストは、月亭八織さん。
 よくよく考えてみたら、お二人とも久しぶりの錦湯さんへの登場ということで(文五郎さんはなんと一年ぶりだ)、最近の会の様子を確かめるべく、冒頭のトークは膝詰め談判、ならぬ座談形式をとる。
 こういうところにも、新生座錦湯、新しいスタイルへの模索が始まっていて実に嬉しい。

 で、太遊さんが九州に行かれて以降の錦湯さんでの会について振り返ってみたり、お二人の近況などを窺ったりして盛り上がったのち、文五郎さんが高座へ。
 3月31日の大阪での月亭太遊さんでの会でも演じた『兵庫船』を取り上げる。
 ただし、そこは今後の座錦湯でいろいろと試していきたいと語る文五郎さんのこと、31日の会を踏まえつつ、錦湯さんでの会ということも意識して、そこここに新たなくすぐりを仕掛けたり、批判的な視点を交えたりして半ばまで演じた。

 続いては、八織さん。
 月曜日は地元滋賀のFM局でのレギュラーが入っているため本来ならば錦湯さんに来れないところだけれど、たまたま番組の編成の都合で出演がかなったと改めて挨拶をする。
 さらに近況報告ということで、大師匠の月亭可朝さんについて触れてから、座錦湯の前支配人である月亭方気さん夫妻の結婚式の話題へ。
 式や引き出物のあらましを笑いをまぶして語ったのち、本題の『引き出物』に入る。
 鹿児島枕崎で行われた結婚式の引き出物、さて中身はと家に帰って確かめてみると、そこはお国柄、薩摩揚げな焼酎と共に鰹節も入っていて…。
 といった展開の、鰹節をはじめとした擬人化された引き出物たちの会話が肝となる桂文枝さんによる新作だ。
 八織さんの口演に接するのは本当に久しぶりになるが、軽妙な筋運びを心掛けるなど、この間の研鑽が窺える高座となっていた。

 トリは、再び文五郎さんが登場し、ネタ下しとなる『商売根問』をかける。
 今日も今日とてしゃむない男、いったいどうやって暮らしているのかと問われたところ、その答えというのが、味醂のかすのこぼれ梅と南京豆の殻を使ってすずめを取るというものだからどうにもこうにも…。
 すずめで懲りず、うぐいす取り、はてはガタロ(河童)取りを始めるというしゃむない男のあほうぶりが肝となる噺で、文五郎さんはその肝をしっかり押さえつつ、メリハリを効かせてテンポよく演じ切っていた。
 錦湯さんのお客さんの嗜好志向を汲みつつ、座錦湯をネタ下しなど積極的に試しの場、研鑽の場にしていくという文五郎さんの今後の差配と口演を愉しみにしていきたい。

 と、今夜も盛りだくさんの内容でした。
 五人五様、ますますバラエティに富むだろう座錦湯さんに皆さんもぜひ!!
 ああ、面白かった!!
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2018年04月03日

第24回座錦湯

☆第24回座錦湯

 出演:桂小留さん、月亭太遊さん
(2018年4月2日20時開演/錦湯)


 4月となって暑さすら感じる京この頃。
 新年度から座錦湯は、石川県住みます芸人となった三代目支配人月亭方気さんご夫妻に代わって、ビリートップの面々(以下あいうえお順、桂三実さん、桂小留さん、桂文五郎さん、笑福亭智丸さん、月亭遊真さんの5人)が週替わりの持ち回りで支配人を務めるという集団体制へとシステムが変わった。
 で、今週の差配は桂小留(と書いて「ちろる」と読む)さん。
 STAR EGGSでの「たまごのらくご」など、ここのところ京都との縁が強くなっている落語家さんだ。
 そして、錦湯さんでの一連の会の創始者であり初代支配人である月亭太遊さんがゲストとして登場し、栄えある新生座錦湯のスタートを彩った。
 お客さんも、ご新規さんにリピーターさん、常連さんと大入り満員となって重畳重畳。

 定刻20時を過ぎた頃、差配の小留さんの呼び込みで太遊さんが登場し、二人のトークがスタートする。
 座錦湯の新たな支配人の制度や小留さん自身の自己紹介を兼ねたあたりから始まって、小留さんの祇園花月での前説の再現、「脱演芸」・アーティストへの道を歩み始めた太遊さんの近況など、40分以上のトークを繰り広げて大きな笑いを生む。
 そうそう、小留さんは地下アイドル好きだそうで、諸々条件が整えば(チェキの実施等々)もしかしたら彼女たちが錦湯さんにやってくるかもしれないと!

 で、頃合いのよいところで太遊さんの一本じめ(!)を合図に小留さんが高座へ。
 改めて自己紹介を兼ねたマクラののち、ところ変われば言葉も変わると本題の『勘定板』に入る。
 福井県のとある漁村では、紐の付いた板の上で便所をすませそれをそのまま海に流す。
 そんな漁村の二人が大阪まで旅に出て旅館に泊まったまではよかったが…。
 といった展開の古典落語で、いわゆる落語界の「スカトロ」ネタで序列をつければまさしくカストロ議長、じゃないスカトロ議長に選ばれるにたる内容のえげつない噺である。
 錦湯さんでは確か桂恩狸さんがかけたことがあって、あちらは牛刀でもって鶏を裂くというか、大掴みにすとんすとんと噺を進めていく感じだったが、小留さんは丹念、そしてここぞというところで粘りを効かせた高座を披露していた。
 差配一席目に『勘定板』をぶつけてくるなど、小留さん、なかなかの臭(くさ)者ではない、曲者ではないか!

 トリは、太遊さん。
 帽子を被ったままの私服で高座に上がったのは、それこそ「脱演芸」の一歩ということだろう。
 ネタは、昨年の11月、別府で挑んだ一日一ネタおろしの総決算と呼ぶべき「ネオラクゴ・フロムヘル」で演じた『8メモリーズ・オブ・ヘル』の連作8掌編落語の中から、1本目の「はじまりのまち」と8本目の「ドウクッチョンの村」の2本。
 大分弁を駆使した、即興味も強い作品で、会場は大いにわいていた。
 実は、太遊さんのご厚意で「ネオラクゴ・フロムヘル」の動画を拝見したことがあって、今夜改めてはじめと終わりの2本に接し、この『8メモリーズ・オブ・ヘル』とは、もしかしたら太遊さんが意図し意識した以上に、ある種の私落語というか、自分自身を相当さらけ出したものではないかと強く感じた。
 と、ともに太遊さんがこれから進んで行こうとする道筋、方向についていろいろと考えさせられた。
 今後の太遊さんの活動を注視していかなければ。

 最後は、再び小留さんと太遊さんのトーク。
 お二人のトークを受けた、この会によく来られるお子さんの「テレビに出ろ!」という掛け声などでさらに盛り上がって華やかに会を〆た。

 と、今夜も盛りだくさんの座錦湯でした。
 4月以降も、皆さん毎週月曜20時は錦湯さんにぜひ!!
 そして、ああ、面白かった!!
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2018年03月27日

第23回座錦湯

☆第23回座錦湯

 出演:桂三幸さん、桂あおばさん、林家染八さん
(2018年3月26日20時開演/錦湯)


 ようやく春めいてきた京この頃。
 今夜の錦湯さんは、常連さんやリピーターさんが集まった。
 17−18年度最後の座錦湯だったが、4月1日から石川住みます芸人となる月亭方気さんは一足先にその石川のほうで仕事があるということで、支配人としては前回がお別れ。
 23回目となる今回は、前々支配人の桂三幸さんとおなじみの桂あおばさん、林家染八さんが出演し、年度末を飾った。

 定刻20時を少し過ぎた頃、三幸さん、あおばさん、染八さんが登場。
 上方落語界の「近況」をじっくり語って盛り上げた。
 上方落語界を詳しく識りたい方は座錦湯へ!
 というのは、まあ冗談。
 途中、あおばさんがちょこちょこ挟んでくるギャグがまたおかしかった。

 で、頃合いのよいところで、染八さんが高座へ。
 最近はお年寄りのお客さんの前で落語をする機会が多いと、老人ホームなどで直面したエピソードをマクラで披露する。
 本題は、若手噺家グランプリで演じる予定の笑福亭福笑さん作による『もう一つの日本』。
 以前錦湯さんでも演じた作品で、福笑さんらしい毒に満ちた内容となっている。
 染八さんは毒=くすぐりを必要以上に強調することなく、流れよく演じ切っていた。
 それにしても、アメリカのビジネスマンを迎える日本のサラリーマンの名前が三島と森田というのもすごいな、やっぱり!

 続いては、あおばさんが登場する。
 昨日出演した落語会はちょっと変わった趣向で、休憩の際にいただいたアンケート(質問)をもとに後半トークを行ったのだけれど…。
 と、アンケートの内容を語って笑いをとる。
 一方、本題はこれまた若手噺家グランプリで演じる予定の『秘伝書』だ。
 あおばさんの『秘伝書』はずいぶん前に一度耳にしたことがあるが、グランプリを考えたテンポ設定。
 そしてくすぐりのほうも…。
 あとは、若手噺家グランプリの予選をお愉しみのほど!

 トリは三幸さんで、こちらは桂文枝師匠の新作『涙をこらえてカラオケを』を演じる。
 文枝さんの上方落語協会会長退任の意向を受けてのチョイス…。
 ではなく、いつものネオはめ物とは違う大きめのスピーカーが手元にあったので、これを使わぬ法はないという選択だ。
 病床でもマイクを手にするカラオケ好きの老人、今日も今日とて息子の嫁にデュエットをせがんだが…。
 といった展開の作品で、急転直下後半の葬儀シーンで特にスピーカー、そして三幸さんの歌声が活躍する。
 登場人物のとぼけた感じも三幸さんならではだった。

 最後は、三人のトークで〆た。
 あと、せっかくだからと三幸さんが自慢の喉を披露していた。
 これも錦湯さんならではの一幕。

 と、今夜も盛りだくさんな座錦湯でした。
 ああ、面白かった!!
 そして、4月以降も毎週月曜夜は錦湯さんにぜひ!!
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2018年03月25日

たまごのらくご 第1回

☆たまごのらくご 第1回

 出演:桂小留さん、笑福亭智丸さん
(2018年3月25日15時開演/STAR EGGS)


 御所西活性化プロジェクトと銘打たれた落語会「たまごのらくご」に足を運んだ。
 地下鉄の今出川駅・同志社大学から歩いて5分ほど、室町通を西に入ってすぐの武者小路町にある4階建てのビルの2階のイベントスペースが会場で、上の階は録音スタジオ、1階はカフェのSTAR EGGS。
 STAR EGGSはその名の通り、未来のスターを目指す俳優さんやアイドルの卵たちがアルバイトとして入っていて、ビル全体で芸能や芸術活動を支える形となっている。

 2月に話が持ち上がり、早速打ち合わせ、そして3月末にはスタートとなったという「たまごとらくご」だけれど、その差配を任されたのはここのところ京都進出の風が吹いている桂小留さん。
 上方落語界、というより関西ではおなじみのこえぴょんこと桂小枝さんのお弟子さんである。
 1回目の今日は、同じ落語ユニット「ビリートップ」のメンバー・笑福亭智丸さんと二人で二席ずつ古典落語を聴かせてくれた。

 開演時間の15時を少し過ぎたところで、差配の小留さんが高座へ。
 上述したようなSTAR EGGSやこの会のあらましについてを詳しくマクラで説明してから本題の『ちりとてちん』に入る。
 せっかくお酒や料理をご馳走しているにもかかわらず何やかにやと文句をつける男に一泡吹かせてやろうと、男たちが用意したのは豆腐の腐ったもので…。
 というおなじみの古典落語。
 小留さんは流れよく丹念に筋を運んでいったが、特に印象に残ったのは、嫌味な男竹やんが「長崎名産 元祖 ちりとてちん」の正体を目にしてそれでもそれを食べねばならぬと必死の形相となったところ。
 真に迫った男の姿が身につまされた。

 続いては、智丸さんが登場する。
 初めてのお客さんもいらっしゃるということで、自己紹介を兼ねたマクラから。
 で、現代詩の詩人として本名の疋田龍之介で活動していると断ったあとにかけたのは、『西行鼓ヶ滝』である。
 もとは北面の武士佐藤義清なれど、今は出家して歌人としても名の知れた西行法師は、摂津国の鼓ヶ滝(川西あたり)を訪れ、一首詠む。
 いやこれはよい出来の歌ができたと自賛する西行法師だったが…。
 といった、ある種藝道物とでも呼ぶべき作品だ。
 むろんそこは落語、くすぐりを交えて笑わせながらも、詩人疋田龍之介としての、そして落語家笑福亭智丸としての想いが強く窺えた一席だった。
 たとえ才能があったとしても、それに慢心して研鑽を怠れば先はない。
 どんな言い訳をしたところで、観る人が観れば聴く人が聴けば怠惰堕落はすぐわかる。
 分野は違えど、表現活動を続ける者にとっては身に沁みる噺である。

 10分ほどの休憩を挟んだ後半は、智丸さんから。
 同じ傾向ばかり続けているのもどうかと思ってしばらく演じるのを控えていたが、今日はあえて演じてみますと取り上げたのは、古典の『桃太郎』。
 昔話の桃太郎を語って子供がすやすや眠ってくれるのは、それこそ今は昔の話。
 最近の子供は…。
 と、子供が『桃太郎』の由来を諄々と語って聴かせるというのがミソの落語だ。
 やっぱり智丸さんの子供っぷりはおかしいな。
 そうそう、智丸さんにははなこそ『桃太郎』っぽいものの、そこから脱線脱臼を繰り広げる自作新作の『金太郎』もある。
 こちらもぜひまた聴いてみたい。

 トリは、再び小留さん。
 マクラは改めて自己紹介。
 並びに、所属する吉本さんの関係で落語以外のジャンルにも積極的に打って出ていると、ネット配信の「SHOW ROOM」をやっていることや、あの秋元康が絡んだ「吉本坂46」の1次審査に合格したことなどを語って笑いを生んだ。
 そして本題は、京都ではなく奈良を舞台にした『鹿政談』。
 誤って鹿を殺してしまった正直者の豆腐屋六兵衛の運命は如何に!!??
 これももうおなじみの古典落語、政談物、いわゆるお奉行様が活躍するお白州物の一つで、小留さんは凛々しい奉行ぶり。
 とともに、鹿担当の役人を時代劇風の大悪に描かず、慣習と正義の板挟みになる小役人に描いたところにリアリティがあった。

 最後は、「SHOW ROOM」を同時配信しつつの、小留さんと智丸さんのトーク。
 今後も月1で『たまごのらくご』を開催していく予定ということや、会場(御所西)界隈を舞台にした新作落語もつくっていきたいという小留さんの宣言もあったりして大いに盛り上がって栄えある第1回を〆た。
 なお、終演後は、この会のためにSTAR EGGSさんが用意した小留(と書いて「ちろる」と読む)さんの写真のついたチロルチョコ+智丸さんの写真入り+カフェと関係の深い南羽真理(と書いて「みさと」と読む)の写真入りのチロルチョコと3個のチロルチョコも振る舞われた。

 たまたま隣に座った近所の方から、今では住宅街のようになっているけれど、この界隈は60年前、50年前は様々な商店街が並んで非常に賑わっていた、この会が町内以外の人にも知ってもらう機会になればといった話を伺うことができた。
 『たまごのらくご』が、まさしく御所西活性化の一助となればと願うばかりだ。
 地下鉄の烏丸駅や同志社大学からもすぐ近くということで、皆さんも一度ぜひ!!
 ああ、面白かった!!
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2018年03月20日

第22回座錦湯

☆第22回座錦湯

 出演:月亭方気さん、月亭秀都さん、夕暮れ社 弱男ユニット
(2018年3月19日20時開演/錦湯)


 ようやく春めいてきたと思ったら、しばらく雨が続きそうな京この頃。
 が、あいにくのお天気にもかかわらず、今夜もなかなかな数のお客さんが錦湯に集まった。
 今夜は常連さん、リピーターさんよりもご新規さんが多いという新鮮な会。
 夕暮れ社 弱男ユニットの面々の初登場が大きく影響したようだ。

 定刻20時頃に支配人の月亭方気さん、おなじみの月亭秀都さん、そして夕暮れ社 弱男ユニットの代表村上慎太郎君が登場。
 まずは、4月1日から住みます芸人として石川県に移られる方気さんから、諸々の事情で今回が支配人としては最後の出演になること、また今後の錦湯さんでの会はビリートップの皆さん(アイウエオ順で桂三実さん、桂小留さん、桂文五郎さん、笑福亭智丸さん、月亭遊真さん)が回り持ちで差配を務めることが発表された。
 その後は、初めてのお客さんも多いということで、自己紹介などを兼ねたトークで盛り上げる。

 で、頃合いを見計らったところで、村上君の前説ののち、夕暮れ社 弱男ユニットの面々の作品(と称したほうがよいだろうな)が始まる。
 ちなみに、夕暮れ社 弱男ユニットは京都造形芸大出身の村上君をはじめ、稲森明日香さん、向井咲絵さん、南志穂さん、藤居知佳子さんの五人による演劇グループ。
 そのうち藤居さんは同志社女子大学から京都市立芸術大学大学院で声楽を本格的に学んでいて、今夜の『ドイツリートのための演劇創作〜シューマン「女の愛と生涯 TU」編』もそうした藤居さんの歌唱を要とする内容となっていた。
 って、なんだかアートアートした小難しい作品と危惧する向きもあるだろうけれど、そこは演劇公演のほかにコント公演など開催してきた夕暮れ社 弱男ユニットの面々だもの、ご安心のほど。
 稲森さんと向井さん扮する女中(下働き)の女性と南さん扮するお嬢様、さらには村上君演じるピアノ教師の四人が、よい意味での「小芝居」「軽演劇」を繰り広げながら、シューマンの歌曲『女の愛と生涯』の1曲目、2曲目を説明したのち、藤居さんにバトンを渡す。
 銭湯のお風呂を活かした筋書きに、稲森さんと向井さんがコメディエンヌぶりを発揮し、南さんもお嬢様のこまっしゃくれた感じをよく表していた。
 さらには、久々に村上君の演技を見ることができのも収穫だった。
 そして、忘れちゃいけないのが藤居さんの声量が豊かで情感のこもったメゾソプラノ(アルト)独唱。
 電子ピアノによる出口青空さんの伴奏も機智に富む。
 錦湯さんでの会に新たな可能性を夕暮れ社 弱男ユニットの面々は与えてくれた。
 ぜひV以降もここで披露してもらいたいものだ。

 続いて、高座の準備が終わったところで秀都さんが登場する。
 落語が初めてのお客さんも多いということに配慮しつつ、最近は後輩も増えてきてと落語家さんの世界を紹介を兼ねたマクラをひとくさり。
 本題のほうも、おなじみの『時うどん』を選ぶ。
 藤居さんの歌唱が本格的なクラシックなら、こちらも古典中の古典、歌うように語る流れのよい口演で、ここぞというところでは観客を巻き込みつつサゲまで演じ切った。

 トリは、方気さん。
 こちらも初めてのお客さんに対応して、マクラでおのが人となりを語っていく。
 そして本題は、たっぷりと『茶の湯』を演じた。
 小僧と二人の隠居暮らしを始めた老人、何か趣味を持とうと手を出したのが茶道だったが、小僧はもちろんのこと、老人のほうも詳しいことは一切知らず…。
 隠居老人と小僧がはちゃめちゃを繰り返す前半部分、店子たちがお茶に誘われて翻弄される中盤、そしてサゲにいたる終盤の三つの部分がある噺だけれど、方気さんはここぞというところで表情表現を強調しつつ、細部も丁寧に演じ重ねていった。
 石川県での活動が方気さんの藝にどう磨きをかけていくのか、非常に愉しみで仕方がない。

 最後は、方気さん、秀都さん、夕暮れ社 弱男ユニットの面々が登場してのトークで〆た。

 と、今夜も盛りだくさんの座錦湯だった。
 ああ、面白かった!!!

 そして、方気さんご夫妻は、半年間の支配人、本当にお疲れ様でした!!!!
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2018年03月13日

第21回座錦湯

☆第21回座錦湯

 出演:月亭方気さん、桂三幸さん、月亭八斗さん
(2018年3月12日20時開演/錦湯)


 3月も半ば近くとなって日中はだんだん気温が上昇するも、まだまだ夜は肌寒い京この頃だが、錦湯さんには常連さんに東京からお越しのご新規さんと、なかなかのお客さんが集まった。
 21回目となる座錦湯は、支配人の月亭方気さんに前支配人の桂三幸さん、おなじみの月亭八斗さんの出演。
 定刻20時頃、お三人が登場し、こちらもパスしてしまった前回の座錦湯のことなどあれこれと語って盛り上げる。

 で、頃合いのよいところで八斗さんが高座へ。
 まずは、だいぶん先の話になるがと断ってから、8月10日の夜に天満天神繁昌亭で自分が主催の会を開くと告知をし、その進捗状況を語って聴かせる。
 これは何やら興味深い会になりそうだ。
 続いて、今日は三つネタを用意してきたのでお客さんにお決めいただければと、アンケートを実施する。
 あえて題名は出さず、馬、財布、釣り(これは、冒頭のトークで『野ざらし』ばっかりやっているという突っ込みがあったことを受けてのもの)というキーワードだけを口にした結果、財布が圧倒的支持を得た。
 ということで、本題は『紙入れ』。
 亭主が留守だからとの女房の誘いに乗った亭主の弟分の男だったが、どうしたことか帰って来ないはずの亭主が帰って来た。
 這う這うの体で逃げ出したまではよかったものの、うっかりして紙入れを忘れてしまった。
 紙入れの中には女房からの付文が入っている、これは一体どうしたものか。
 といった具合のおなじみ古典で、八斗さんは流れよく丹念に噺を運んで行った。
 中でも、女房のここぞというところでの表情の変化が印象に残る。

 続いて、方気さんが登場する。
 4月1日から石川県の住みます芸人となる方気さんだけれど、支配人としての出演は残すところ今回を入れてあと3回。
 珍しいネタを演じるシリーズとしてかつてすべりにすべった『軒付け』をかけようかと思っていたが、どうにもいーっとといらつくことがあったりもして、急遽ネタを変更することにした。
 はじめにそのいーっといらつくことをマクラで語ってきかせる。
 最初の小怒りが続く大きな怒りの伏線となって、これはどうなるやばいぞやばいぞと思わせておいて、緊張と緩和、ああよかった!とほっとして大笑い。
 さて本題は、いーっといらついていてはいけませんよいうことで、『天災』。
 実の母親を蹴り倒すような喧嘩大好きなDV男。
 それではいかんと紹介されたのは心学の先生で…。
 といった具合のこれまたおなじみの古典だ。
 前半の先生による男への説諭というフリが、最後の男の頓珍漢な言葉の連続に巧く結びついていてやっぱりおかしい。
 しばらく方気さんの落語が聴けなくなるのは、さみしいかぎりだ。

 トリは、じゃんけんで一番先に負けた三幸さん。
 つまるところ、今夜はじゃんけんに勝ったものの順で高座に上がったのであった。
 いつもの如く軽快なマクラで笑わせたのちは、以前錦湯さんでも演じた新作落語を演じる。
 師匠から破門されて居酒屋で働く元落語家の男だったが、今も落語への想いは立ち切れていないようで…。
 男と居酒屋の店主のやり取りによる前半は、落語家あるあるの連発。
 笑わせつつ、これでええんかいという三幸さんの心の声も聞こえてくるような内容となっている。
 一転、後半は男の想いが叶おうか…、といった、さあ、ここからというところでアクシデントが発生。
 三幸さんはそれを笑いに変えて、高座を切り上げた。
 そうそう、高座へ上がる移動中の三幸さんからキットカットの小豆味をお客のおっさん三人組のうちの一人としていただいたんだ。
 美味しく食べました。
 ごちそうさま!!

 最後は、大喜利を決行。
 前半は方気さんが仕切り、後半は八斗さんが仕切りで、三幸さんやお客さんの地主君と共にお題に挑んだ。
 それぞれコンスタントに解答を重ねたが、後半仕切りの八斗さんの仕掛けぶり、細かいあれこれがツボにはまってついつい笑ってしまった。

 と、今夜も盛りだくさんの座錦湯でした。
 ああ、面白かった!!

 ちなみに来週は、月亭方気さんと月亭秀都さんに加え、夕暮れ社 弱男ユニットの面々が出演の予定です。
 皆さん、ぜひぜひ錦湯さんへ!!
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2018年02月27日

第19回座錦湯

☆第19回座錦湯

 出演:桂三幸さん、笑福亭べ瓶さん、荻野晋吾(くるくるコミック)
(2018年2月26日20時開演/錦湯)


 ようやく気温は上昇してきたものの、何やら朝から喉の調子が悪い。
 おやおやくしゃみも連発しているぞ。
 遂に花粉の季節の到来か、とうんざりしてしまう京この頃だが、そんなときには笑いが一番。
 と、いうことで今夜も錦湯には常連さんやリピーターさんが集まってなかなかの入りだった。
 19回目となる座錦湯は、支配人の月亭方気さんがお休みのため、前支配人の桂三幸さんが差配を務め、錦湯さんは初めてとなる笑福亭べ瓶さんと荻野晋吾さんを迎えた。

 定刻、20時を過ぎた頃、三幸さんの呼び込みでべ瓶さんと荻野さんが登場し、近況報告を兼ねたトークを繰り広げる。
 いつもの如くかろみの効いた三幸さんに対し、錦湯さんでの会の様子を窺いつつ荻野さんやべ瓶さんがぱんぱんぽんぽんとジャブを打って盛り上げる。
(ちなみに、以下の出番はじゃんけんで決めて、勝ったもの順)

 で、頃合いのよいところで、荻野さんのネタがスタートする。
 荻野さんは、おぎの信号の芸名で亡くなった田口れんじさんとWコミックを組んでいたが(荻野さんが田口さんの最後の相方)、現在は本名の荻野晋吾で昔の相方であるよね皮ホホ骨さんとくるくるコミックを結成している。
 今回は荻野さん一人なので漫談(トーク)を披露していたのだけれど、肝というか、真骨頂は、相方のよね皮さんの師匠である村上ショージさんを彷彿とさせる、会場の空気に切り込んであえてだじゃれを連発する攻めの姿勢。
 予定調和であえて終わらせないところが嬉しかった。
 そして、冒頭のトークなどでの足の動きのきれのよさに、荻野さんのこれまでの積み重ねを見る想いもした。

 続いては、三幸さんが登場。
 べ瓶さんに、冒頭のトークで同期だけどちっとも口調が変っていない…と突っ込まれていたが、それもどこ吹く風。
 今夜も柳に風とばかり、冬季オリンピックを題材にした三幸マクラで笑いをとっていた。
 本題は、ネオはめ物が「物を言う」『空みなよin東京』。
 彼氏がうなぎ屋になると大阪を飛び出した、と彼女に泣きつかれた男のもとに友人であるその彼氏から留守番電話がかかってくる…。
 といった展開のハイブリッドな新作落語で、留守番電話のネタの積み重ねがやはりおかしい。
 と、ともに合間に挟まれる時宜にぴったりのくすぐりもおかしかった。

 トリは、べ瓶さんだ。
 笑福亭鶴瓶さんのお弟子さんで、今は東京と関西を股にかけて活躍している。
 まずは住まいのある東京と関西の違いをマクラで語って笑いを生む。
 それから、落語ファンを誉めつつその特性を突き、『君の名は』を観た話に繋げてさらに笑いを大きくしていった。
 本題は、『地蔵の散髪』。
 道の真ん中で男が何かやっている。
 親しくしている男が声をかけると、なんとこの男、往来で尻の毛を抜いているところだった。
 と、言うのも実は…。
 という風に進んで行く、べ瓶さんが掘り出した今はかける人のいない噺だそう。
 表現のふり幅の激しさにまず惹きつけられるが、そこに落語家としての、芸人としての、よい意味での狂気を感じる。
 一方、尻の毛を抜かねばならぬ男がぼつりと呟くかみさんへの言葉に、おかかなしさというか、話の拡がりを感じもした。
 いやあ、べ瓶さんの高座、愉しかった。

 最後は、今回も大喜利を決行。
 大喜利猛者のゴハさんの仕切りで、三幸さん、べ瓶さん、荻野さんに無農薬亭農薬君が加わって舌戦を繰り広げたが、途中客席から「正解」の解答が飛び出すなど、錦湯さんの会ならではの展開となった。

 と、今夜も盛りだくさんの座錦湯でした。
 ああ、面白かった!!

 毎週月曜20時は、皆さんも錦湯さんにぜひ!!
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2018年02月20日

第18回座錦湯

☆第18回座錦湯

 出演:月亭方気さん、日本夢之助さん、藤本真希さん、藤本康志さん
(2018年2月19日20時開演/錦湯)


 2月も半ばを過ぎたというのに、まだまだ寒い京この頃。
 それでも、今夜の錦湯も、常連さん、リピーターさんに大喜利猛者と多彩なお客さんが集まった。
 18回目となる座錦湯は、支配人の月亭方気さんにピン芸人の日本夢之助さん、初出演となる三線の藤本真希さん、その夫で藤本康志さんの四人が出演した。
(ただし、康志さんはトークと大喜利のみの出演)

 定刻20時を過ぎたあたりで、四人が登場。
 方気さんと三朝温泉での繋がりやアジア住みます芸人のエピソードを日本夢之助さんが語れば、真希さんの天然ぶりを康志さんが語って、インティメートな雰囲気で笑わせる。

 で、頃合いを見計らって、真希さんが三線を持って再登場。
 真希さんは沖縄出身で、ご両親も沖縄在住、といった一端は前回の出演時に康志さんが漫才中に語っていたところ。
 確かに、こいつぁ天然、というか天真爛漫天衣無縫な柄の人だなあと心地よくなりつつも、まあ歌のほうは申し訳程度だろうと高を括っていたのが大間違い。
 あとで方気さんがマクラで語ったところによると、天童よしみの先生に歌唱を学んでいるそうで、澄んで張りのある声は美しい。
 真希さんのフラに微笑みながら、三線の音色ともども沖縄の歌の数々を愉しんだ。
 というか、真希さんに勧められるままハイサイおじさんでは踊り狂ってしまったほど。
 真希さんの意図はひとまず置くとして、よくよく考えずとも沖縄の歌の持つ意味合いはわかろうはずで、傍目も気にせず踊り狂って、おまけに身体が痛くなったのだから、これではハイサイおじさんならぬ、基地外おじさんのおまぬけおじさんではないか。
 ああ。

 続いては、日本夢之助さんがトークを展開。
 錦湯出演は相当お久しぶりとなる二回目。
 現支配人の方気さんや錦湯での会の創始者である月亭太遊さんら他の芸人さんとの関係譚に始まって、自分自身の芸名の話などを訥弁の能弁といったスタイルで語っていく。
 もう一つ夢之助さんの特性といえば、斜に構えるというか、一歩前進二歩後退さらに一歩前進といった話の切り口か。
 アンパンマンについて粘り強く突っ込んで、滑稽さを醸し出していた。

 トリは、月亭方気さんが務める。
 前回宣言した通り、これまでなかなかかけてこなかったネタをあえて掘り出して試してみるというシリーズの第二段。
 これが二度目であるという古典の『大安売り』だ。
 町内の関取に江戸での勝負はどうだったかと訊いてみたところ、勝ったり負けたりと返事がある。
 これは正直な関取だと、重ねて勝負の内容を訊いてみたまではよかったが…。
 という筋運びで、錦湯では桂三河さんの十八番(?)だし、露の棗さんもかけていたが、お二人はその容姿雰囲気にあわせて大柄大造りな高座。
 一方、方気さんは小兵相撲というか、細部まで丁寧に仕上げた語り口で、当然今現在の錦湯さんでの番組を考えてのネタの選択でもあるのだろうけれど、それよりもっと先の番付を睨んだ勝負の積み重ねのようにも感じられた。
 継続は力なり。

 などと、前半は三朝温泉の話もあったりして、冬の温泉場での渋い会といった趣だったが、後半は一転、大喜利レースが繰り広げられた。
 今夜は、大喜利猛者のゴハさんの出題と仕切りで、出演者の四人、並びに方気さん、康志さん、真希さんの落研の後輩にあたるぷるーとさんが解答に挑むというスタイル。
 康志さん、夢之助さん、方気さんがコンスタントにヒットを重ね、ぷるーとさんがその間隙を突き、さらに真希さんがらしい答えで笑わせるといった展開ののち、そんな五人に煽られてお客さんの中からも解答が飛び出した。

 今夜も盛りだくさんの座錦湯でした。
 ああ、面白かった!!
 そして、毎週月曜20時は皆さんも錦湯さんにぜひ!!
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2018年02月13日

第17回座錦湯

☆第17回座錦湯

 出演:月亭方気さん、桂あおばさん、桂三実さん、笑福亭智丸さん
(2018年2月12日20時開演/錦湯)


 いやあ、痛い。
 いくらなんでも氷点下の寒さにはかなわない。
 そんな厳しく激しい寒さが続く京この頃だが、三連休最終日の今夜も座錦湯は問題なく開催された。
 17回目となる今回は、支配人の方気さんに、おなじみのあおばさん、三実さん、智丸さんの四人のご出演。

 定刻20時を過ぎたあたりで、方気さんが高座へ。
 バレンタインが近いということで、まずはふるまいチョコあり。
 多謝!!
 次に先週の急な休みに関して報告があったのち、ほんまに、ほんま、ほんまに、ほんま…とどこかで耳にしたフレーズを繰り返す方気さん。
 おやこれは、と思っていると、これからは今までかけてこなかったネタを掘り出していくことにしたいという趣向とのことで、その一発目として、ほんの僅かな期間入門していた月亭可朝さんにつけてもらった唯一のネタである『犬の目』をつけてもらった通りにかけてみると本題に入って行った。
 『犬の目』といえば、月亭太遊さんや月亭遊真さんも錦湯でかけている月亭一門にとってはおなじみのネタの一つだが、方気さんは可朝さん流儀。
 はじまりからして変化球というか、あえてテンポをずらして軽みの効いた筋運び。
 患者と医者、医者と助手のやり取りの滑稽さが増している。
 実に新鮮でおかしな『犬の目』だった。

 続いては、あおばさんの登場。
 実は、座錦湯さんの公式アカウントのツイートではあえて出演者として記載されていなかったあおばさんだけれど、我が意を得たりしてやったりと快調な出だし。
 最近、桂枝雀さんのSR落語にはまっているといくつか例として演じた上で、自作のSR落語も披露する。
 その流れで、素人さん・学生さんの演じる落語を観聴きすると刺激を受けるとも。
 続いて、ざこば師匠とのエピソードなども語って盛り上げる。
 まさしく舌好調。
 さらには、まだ錦湯さんでもかけてない古典のネタがいくつかあると、そのうち『ろくろ首』の冒頭部分をさらっとかけてお客さんの反応を試したりもする。
 途中のアクシデントも巧く笑いに変えて、大きな拍手の中、あおばさんは高座を下りた。

 三人目は、三実さんだ。
 自分は高校を卒業してすぐ(桂文枝=当時三枝師匠)に入門したので、勉強したといえばかれこれ7、8年前になるがと断ってから本題の新作へ。
 ある高校生が好きな女の子を紹介してもらうために友人とのしりとり勝負に挑むが…。
 といった展開の作品で、しりとりや会話の中に学校で習ったあれやこれやが巧みに織り込まれている。
 そのチョイスが的確というか、面白い。
 流れのよい快活な口演だったが、後半の「変容」(とあえて呼びたくなる)も皮肉が効いていておかしかった。

 トリを務めたのは、智丸さん。
 今日の出演者で酒好きといえば支配人の方気さんがいっとう最初にくるだろうが、自分もそれなりの酒好き。
 だからお酒の噺をしたいのだけれど、ここ錦湯さんではなぜだか「汚い」ネタが多くなってしまう、その点ご勘弁を、と断って演じたのは『禁酒関所』。
 殿様から酒を飲むなと禁酒のお達しがあり、酒を持ち込んではならじと関所まで設けられてはいるが、そこは酒好きの侍のこと、どうにか屋敷まで酒を届けてくれと頼んできた。
 そこで、酒屋の連中はあの手この手を思い付くのだけれど…。
 というおなじみの古典で、智丸さんは規矩によくそった丁寧な筋運び。
 それでいて、侍と酒屋の人間のやり取りの滑稽さ、丁稚のかわいらしさにも欠けていない。
 智丸さんの渋み、よい意味での荒味の効いた声も噺の雰囲気によく合っていた。

 最後は、四人のトークで〆た。
 なぜだかご機嫌の方気さんや、三実さんや智丸さんにネタを振るあおばさんと、ここでも皆さん快調だった。
 そうそう、方気さんと智丸さんは入門が同期だが、そのことに関して近々何か報告があるかもしれない様子。
 これまた愉しみだ。

 と、今夜も盛りだくさんの座錦湯。
 ああ、面白かった!!
 そして、毎週月曜20時は錦湯さんに皆さんぜひ!!
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2018年02月05日

第16回座錦湯

☆第16回座錦湯

 出演:桂あおばさん、月亭秀都さん
(2018年2月5日20時開演/錦湯)


 またもや大寒波が襲う京この頃で、今夜はめっきり冷え込んだ。
 そんな中、錦湯さんは常連さんにリピーターさん、そしてご新規さんとなかなかのお客さんの入りだった。
 ある常連さんに伺ったところ、以前世界向け用に撮影された錦湯さんでの会のことが昨夜NHK地上波の全国放送で放映されていたとか。
 実際、その放映を観てお越しになった東京からのお客様もいらしたほどだった!

 16回目となる今回の座錦湯は、支配人の月亭方気さんが体調不良で急遽お休みとなって、出演者は桂あおばさんと月亭秀都さんのお二人。
 が、そこはおなじみあおばさんと、月亭一門のホープ秀都さんだけに、全篇しっかり乗り切った。

 定刻20時を少し過ぎたあたりで、あおばさんと秀都さんが登場。
 開口一番、あおばさんが錦湯さんでは定番のネタというかぼやきで笑いをとると、秀都さんも負けじと自らのエピソードを披露。
 近況や落語界のあれこれを語って大いに盛り上げた。

 と、頃合いのよいところで、秀都さんが高座へ。
 昨夜、とある超満員の落語会に間近に接してその「グルーヴ」にいたく心を動かされた。
 規模は違えど、ここ錦湯さんでも熱い「グルーヴ」を期待したいとマクラで呼びかけて本題の『兵庫船』に入る。
 旅の二人連れがいわゆる兵庫船に乗り込んだところから噺は始まり、船中の情景が謎かけなどを織り込みつつ描かれたのち、船旅に暗雲が立ち込める…。
 という、上方ではおなじみの古典落語。
 秀都さんは、快活なテンポを維持しつつ焦って巻くことなく噺を進めて行く。
 久しぶりにかけるネタゆえ、アクシデントも発生したが、そこも巧く機転を効かせて笑いに換えた。
 途中、お客さんも秀都さんの煽りに乗って「グルーヴ」を醸し出していたのではないか。
 そうそう、秀都さんの野太いじゃないな、よい意味で渋さ荒さのある声は滑稽な噺に向いているような気がした。

 トリは、あおばさん。
 身近にいるおかしな人たちのエピソードをマクラで語って笑わせる。
 さて、袴姿が凛々しいあおばさんだけれど、今夜の本題はそのいで立ちにぴったり。
 旭堂南鱗先生につけていただいたという、講釈ネタの『木津勘助』を演じてみせた。
 木津勘助とは、豊臣の末から江戸時代の半ばまで大坂のために尽くした実在の人物で、中でも飢饉の際に黒田藩の米蔵を打ち破り、そこの米を人々に分け与えたたことで知られている。
 ただし、講釈並びに落語で取り上げられるのはその前日譚。
 大坂の豪商淀屋十兵衛に気に入られ、遂にはその娘が嫁に入ってしまうという勘助の若き日の姿を描いた物語だ。
 あおばさんは、大きな筋をきっちり語りつつ、そこに様々なくすぐりを仕掛け、さらには小咄を盛り込んで、笑いどころの多い噺に仕上げる努力を重ねていた。
 あおばさんの研鑽と意欲が窺える高座だった。

 最後は、再びあおばさんと秀都さんのトークで〆た。

 落語がたっぷり二席に、丁々発止のトークと、今夜も大いに愉しみました。
 ああ、面白かった!!
 そして、毎週月曜20時は錦湯さんに皆さんもぜひ!!
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2018年01月30日

第15回座錦湯

☆第15回座錦湯

 出演:月亭方気さん、桂三幸さん、リスナップ
(2018年1月29日20時開演/錦湯)


 少し穏やかになったと思ったら、またぞろぐっと冷え込み始めた京の夜だったが、錦湯さんは常連さんに、お久しぶりのおなじみさん、リピーターさん、さらには3月に出演希望のご新規さんがバランスよく集まって、けっこうな入りだった。
 15回目となる座錦湯は、支配人の月亭方気さんに前支配人の桂三幸さん、そして漫才のリスナップのお二人が出演。

 定刻20時を少し過ぎたところで、方気さんの盟友であるリスナップのお二人が登場。
 なにせ、客側から見て左側の少しふくよかな藤本康志さん、同じく右側の少しスリムな土井隆さん、ともに方気さんと同じ関西大学の落研仲間なのだ。
(藤本さんが方気さんと同じ回で、土井さんが後輩)
 で、インフルエンザが流行っているが大丈夫ですかと健康に心を配ったり、実弾攻撃一口チョコを手ずから配ったりと、お客さんへのサービス精神をまずもってアピール。
 それから、幅広く活躍するお二人らしく、大衆演劇での経験を面白おかしく語ってみせる。
 方気さんも三幸さんも新作をかけるので時間を伸ばさなきゃいけないと内幕をばらしてさらに笑いをとったのちは、藤本さんがお嫁さんの実家である沖縄を訪ねたエピソードへ。
 実は藤本さんのお嫁さんのお母さんは…。
 と、ここから先は別のライヴやイベントでぜひぜひお聴きくださいませ。
 何か沖縄の風を感じる、おかかなしいならぬ、ちょっとおかおかしい「ファミリープロット」だった。
 最後は、物真似しろという藤本さんの無茶振りに土井さんが応じて(?)方気さんにバトンタッチした。

 続く、方気さんは開口一番、非常に驚きの報告。
 座錦湯とも深く関係した報告なのだけど、あえてここではまだ触れないことにしておく。
 ある意味、春らしい報告であった。
 さて、方気さんがかけたのは、先々週演じそびれたお客さんからいただいたお題「バレンタインデー」をもとにした新作である。
 我々米朝一門(月亭一門が桂米朝さんの一門であることを忘れちゃちゃあいけない)はまず『東の旅』の発端から始まると断って、扇子を二本ぱたんぱたんと打ち始める。
 で、そのまま本題の新作へ。
 今回は虎の巻があるから大丈夫!
 まさしく張り扇調の名調子で、幸薄子なる薄幸な女性のバレンタイン悲話を「読み」「聴かせた」。
 よくできたほら話だけれど、女性が痛い目にあうあたり方気さんらしいとも思ってしまった。

 トリは、三幸さん。
 こちらも虎の巻持参で新作に挑む。
 どちらかといえば、方気さんが完璧主義の垣間見える虎の巻であるとすれば、三幸さんは肩ひじ張らぬ柳に風、無手勝流で我が道を行く虎の巻の感強し。
 大きな声で独り言を口にする携帯電話ショップのお客さんと女性店員のやり取りを描いたもので、そこここに仕掛けられたくすぐりに加え、虎の巻の行ったり来たりも笑いに変えていたのは、三幸さんならではだった。
 完成形がどのようなものになるか、サゲの部分も含めて愉しみだ。

 最後は、大喜利を決行。
 今夜は大喜利猛者で常連のゴハさんが出題するお題に、方気さん、三幸さん、藤本さん、土井さんが応える形式だ。
 定石にそった「正解」もきちんと出て来るけど、やはりこのメンバーだと脱線脱臼した答えも少なくない。
 藤本さんなど、毒っけたっぷりだった。
 ただ、ちょっと後半は耐久戦気味の展開にも。
 長丁場を方気さんの解答が〆た。

 と、今夜はある意味スリリングさに満ちた座錦湯でした。
 毎週月曜20時は、皆さん錦湯さんにぜひ!
 ああ、面白かった!!
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2018年01月23日

第14回座錦湯

☆第14回座錦湯

 出演:月亭八斗さん、笑福亭大智さん、露の新幸さん、桂りょうばさん
(2018年1月22日20時開演/錦湯)


 東北関東では激しい雪となっているそうだが、なんとか京都は雨で留まった。
 それでも気温はぐぐんと下がって厳しい寒さの夜となったものの、今夜も錦湯さんには常連さんやご新規さんとなかなかの数のお客さんが集まり、まずは重畳。
 14回目となる座錦湯は、支配人の月亭方気さんが拠無い事情のため急のおやすみとなったが、おなじみ月亭八斗さんのほか、笑福亭大智さん、露の新幸さん、桂りょうばさんの四人の揃い踏みで、危うげなく乗り切った。

 定刻20時頃に、八斗さん、大智さん、新幸さん、りょうばさんが登場し、各々簡単な挨拶をすませたところで、早速大喜利に突入。
 大智さん仕切りの下、大喜利猛者のゴハさんが用意した難問と呼ぶべきお題に残りの三人さんが挑むということで、これは苦戦するかなと思っていたら、なんのなんの。
 最近の話題をあっけらかんの気楽感と盛り込むなど、これはという解答が続く。
 こうしたスタイルの大喜利は初めてというりょうばさんも、そこはリリパ等々でもまれただけあって、毒っけも辞さずにコンスタントな答えを披露していた。
 大智さんはその名の如く大柄で、かつ軽妙な仕切り。
 林業をやっていたときの山で毒キノコを食べたエピソードがおかしかった。

 で、頃合いのよいところで大智さんが高座へ。
 笑福亭仁智さんのお弟子さんである大智さんといえば上記の如く林業(伐採)をやっていたことで知られているが、ラジオ好きとしては、ABCラジオの『兵動大樹のほわ〜っとエエ感じ』で兵動さんのトークに準レギュラー的に登場していることをすぐに思い出す。
(終演後お声がけしたら、二人で何か会ができないかとお話していると教えていただく。これは愉しみだ!)
 そんな大智さんはお子さんとのほんわかしたエピソードをマクラで語ったのち、本題の『看板のピン』を演じる。
 誰か博打のいい相手はいないかと町内の若い衆が声をかけたのは、隠居と呼ばれる老人だった…。
 というおなじみの古典だけれど、大智さんは軽快な流れで間のよい筋運び。
 隠居の老人の渋い声も堂に入っており、お調子者が真似をする際の間抜けぶりとの対比も面白かった。

 続いては、りょうばさん。
 二回目となる錦湯さんだが、ここは雰囲気がいいのでまた来たいと思っていた。
 それに大きな通りからちょっと入った錦湯さん辺りのちょっと静かで暗い感じも貴重だし、脇のトイレのところなど真っ暗…。
 といった流れから本題の『稲荷俥』へ。
 高津神社の門の辺りで客待ちをしている人力車夫に一人の紳士が産湯まで運んでくれと声をかける。
 狐や狸が出るので産湯には行きたくないという車夫だったが、車賃をはずむとの紳士の言葉に思わず承知してしまい…。
 大師匠の桂米朝さんを筆頭に、いわゆる米朝一門が得意とする噺の一つであり、りょうばさんは要所急所をよく押さえつつ強弱を巧くつけた口演で、後半、車夫が紳士の忘れていった財布の金で酒盛りをはじめようとする場面などには話がぱっと広がっていく感じがした。
 枠の中できっちり仕上げていく部分と、それを踏み越えて大きく跳躍しようとする部分の駆け引きというか、変化の様が興味深い。

 三席目は、八斗さんだ。
 先日とある落語のレースで苦汁をなめた、以前錦湯さんでかけたこともあるが、せっかくお師匠の月亭八方さんに教わったネタでもあるので、この間の研鑽をぜひとも観てもらいたいと『野ざらし』を演じる。
 もちろん、八方師匠とのやり取りに触れて笑いをとることも忘れてはいなかったが。
 八斗さんといえば、まずは鼻にかかった女ぶりが板についていて、これはきっと小股の切れ上がったいい女なんだろうなと想像するのだけれど、もう一つ忘れられないのは、あほな男が釣り竿持ってさいさい節を歌うところ。
 ここの盛り上がりが強く印象に残った。

 トリは、今夜で二回目の出演となる露の新幸さん。
 身近で起こったちょっとおかしいと思えるエピソードをマクラで披露し、本題へ。
 お師匠の露の新治さん(その名の通り革「新」的な落語家さんである)の十八番といえる『狼講釈』をかけた。
 前半は革新的、じゃない確信的に丁寧に話を進め、肝となる狼相手の講釈の部分ではここぞとばかり語り上げていた。
 その脱臼ぶりには、筒井康隆の小説を思い起こしたほどだ。
(というか、たぶん筒井はこの噺にも影響を受けてるんじゃないのかな)
 前回の『金明竹』同様、新幸さんの高座の流れのよさを愉しんだ。

 と、大喜利に古典落語四席と予想以上に密度の濃い回でした。
 ああ、面白かった!!
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2018年01月09日

第12回座錦湯

☆第12回座錦湯

 出演:月亭方気さん、桂恩狸さん
(2018年1月8日20時開演/錦湯)


 三連休最終日は、あいにくの雨。
 それでも錦湯さんには、常連さん、リピーターさんがなかなかに集まって、新年一回目に相応しい会となった。

 12回目となる座錦湯は、支配人の月亭方気さんとお久しぶりの桂恩狸さんの出演。
 定刻20時を少し過ぎたあたりで登場したお二人だが、方気さんは黒の紋付、一方恩狸さんは白ではないけれどアイボリーというかクリームというか白系統の色合いということで、コントラストがよくきいている。
 で、先代の支配人桂三幸さん時代以降、久しぶりの出演となる恩狸さんは、The錦湯や座錦湯の番組の組み方、つまるところ自分にとって錦湯さん出演へのハードルが非常に高かったと熱弁をふるう。
 その途中、前回出演時に左手を骨折していたことの原因や、例年年末に恩狸さんと方気さんで参加している蟹食べ放題のツアー(恩狸さんが方気さんをごちそうしている由)について、面白く脱線したりもした。

 と、盛り上がったところで、恩狸さんが高座へ。
 この座錦湯が今年の高座初めになるという恩狸さんは、12日の桂文福一門会に備えて自作の新作『喫茶・鉄』をかける。
 昼休みのサラリーマン二人が昼飯でも食べようと足を運んだのは、喫茶・鉄。
 いったい何が売りなのだろうと、店に入ったところ鉄は鉄でも鉄板焼きの鉄ではなく…。
 すでに何度か接したことのあるネタだけれど、細かいくすぐりや展開などについて、どうすればさらに面白くなるかという恩狸さんの意欲が窺える高座だった。
 それとともに、どこから飛び出すかわからない隠し玉というか変化球というか、話の突然の跳躍がいつもながらにおかしかった。

 続いては、方気さんだ。
 ガキ使や紅白歌合戦、そしてゆく年くる年と大晦日のテレビの話題や、このお正月に関する話題をマクラで語った方気さんは、こういう寒い時分は食べ物、それも暖かい食べ物の噺をかけたいと本題の『時うどん』に入る。
 もはや語るまでもない、そして方気さん自身が口にしていた通り、ここ錦湯さんでも初代支配人の月亭太遊さんはじめ数々の落語家さんが取り上げた古典中の古典。
 ただし、方気さんは要所要所をきちんと押さえた高座で(ちなみに、方気さんの『時うどん』は二人連れではなく、いわゆる『時蕎麦』として知られている形)、前半の丁寧な仕込みが、後半部分の「変化」に巧く繋がっていた。
 特に、しゃむない男がことごとく間を外される際の感情の動き、うどん屋への反応の様がとてもおかしかった。

 トリは、二席目となる恩狸さん。
 未だ初夢を見ていないと訝りながら、演じ始めたのはこれまた古典中の古典と呼ぶべき『天狗裁き』である。
 妙な寝顔をしている男に対し、女房がいったいどんな夢を見ていたと訊く。
 夢など見ていないと男は言い張るものの、女房はその言葉を信じようとしない。
 隣家の男、家主、町奉行、はては天狗までが男の夢を聞き出そうとするが…。
 というSFっぽくもあり、不条理演劇っぽくもある展開だ。
 恩狸さんは小細工なしの大柄な口演で、噺の筋がよく伝わってくる。
 それとともに、この噺が人間関係というものの微妙さ、崩壊しやすさを笑って、いや嗤ってみせたものであることを改めて感じた。

 最後は、方気さんと恩狸さんのトークで〆たが、ここで方気さんがお客さんよりお題を募集。
 来週15日の座錦湯で、お題をもとにした新作のネタ下ろしができればと話された。
 今年は創作にも力を入れたいと口にする方気さん、果たしてどのような作品に仕上がるか。
 こうご期待である!

 と、今夜も盛りだくさんの座錦湯でした。
 毎週月曜20時は、皆さん錦湯さんへぜひ!
 ああ、面白かった!!
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2017年12月26日

第11回座錦湯

☆第11回座錦湯

 出演:月亭方気さん、桂三幸さん、林家染八さん、月亭秀都さん
(2017年12月25日20時開演/錦湯)


 世はクリスマス!
 平日ではあるけれど、イヴほどではないとはいえある種イベント化しているクリスマス、しかも寒さ厳しい京この頃、が、蓋を開けたら錦湯さんには大勢のお客さんが集まった。
 12月に入って、常連さんにリピーターさん、ご新規さんとバランスのほうもよくなっている。

 で、年内最後となる11回目の座錦湯は、支配人の月亭方気さんに前支配人の桂三幸さん、おなじみの林家染八さん、月亭秀都さんが出演した。
 定刻20時を10分ほど過ぎたあたりで三幸さん以外のお三人が登場、クリスマスだしあえて遅れて来てるんではと盛り上がっているところに三幸さんが到着、なんのこたない、環状線が遅れているというオチ。
 さらに、秀都さんのお師匠さんである月亭文都さんと方気さん、秀都さんの三人で方気さんの実家から送られてきた牡蠣を食べたら、他の二人はあたったにもかかわらず、秀都さんだけなんともなかったというエピソードが笑いを誘う。

 と、頃合いを見計らって秀都さんが高座へ。
 先輩方のマクラの定番のエピソードに、「会を開いたらお客さんが一人。自分と相手と差し向い」というのがあるけれど、いやいやそんなことあるかいなと思っていたら先日そんなことがありました、こうやってお客さんにお越しいただいてありがたいとお礼の言葉を述べてから、本題の『転失気』へ。
 お医者さんから「てんしき」なる言葉を訊かれた和尚さん、なんのことだかわからない。
 が、そこは知ったかぶりの和尚さんのこと、自分で確かめるのはプライドが許さぬとばかり小僧さんを訊かせに行かせたが…。
 というおなじみの古典。
 底意地の悪そうな和尚さんと、かわいらしいけど機転の効く小僧さんという対比がまずおかしい。
 そして、終盤小僧さんからの偽の情報に踊らされる和尚さんとお医者さんのやり取りが実に滑稽だ。
 秀都さんの柄、語り口によく合ってるように感じた。

 続いては、染八さん。
 着物の色が毛氈や座布団と丸被りで、大きな笑いが起こる。
 で、年末に落語家で108個の小咄を語るイベントがあって自分もいくつか考えなきゃいけない。
 ついては、その思い付いた分をここで試しておきたいと早速披露。
 今年にぴったりのネタで、イベントの成功を心より祈っております!
 本題のほうは、年の暮に相応しい『尻餅』。
 餅つきの音ぐらいさせたいという嬶の言葉に、何を思ったか貧乏な男、嬶の尻を持ちに見立てて叩けば餅つきの音になると…。
 というこれまたおなじみの古典で、すでに一度錦湯で染八さんもかけたことのあるネタだ。
 やはり見せ場聴かせ場は男がちんつき屋(餅つき屋)の真似をし始めて、嬶の尻をテンポよく叩いていくところだろう。
 仕草姿がおかしいし、ちんつき屋(に扮した男)の歌声などには染八さんのこれまでの研鑽も窺える。
 ただ、それに加えて印象に残ったのは、嬶が夫の寝顔に言葉をかけるところ。
 この噺の肝が、マクラでもちらと触れられた貧乏な男と嬶の結びつきであることに改めて気づかされた。

 三席目は方気さんで、実家七尾のエピソードをマクラで語ったのち、新作の『とかいなか』をかける。
 今は都会と田舎の中間である「とかいなか」がクローズアップされている。
 で、そんな「とかいなか」を代表するその名もとかいなかという架空の場所が舞台のお話で、さらにこのとかいなかの人口アップ、知名度アップをはからんと昔話の桃太郎を下敷きにしたパンフレットが作られようとしていた…。
 以前、錦湯でも演じられたことがあるのだけれど、主題がしっかりしている上に、細かいくすぐりが効いており、さらに時事ネタも織り込まれていて笑いが豊富な作品となっている。
 方気さんの十八番の一つとなるのではないか。

 そして、トリは三幸さんだ。
 ささっとと言いつつ、マクラを語る三幸さん。
 その肩肘張らない軽快なマクラが面白い。
 さらに、本題はお師匠さんの桂文枝さんがつくった新作『お忘れ物承り所』。
 駅のお忘れ物承り所に集まる人々の姿を、基本はリアル、けれど巧くデフォルメを効かせて描いた作品で、しっかり笑いどころが詰まっている。
 しかも、今夜はさらに、前のネタ(『転失気』)を受けたエピソードが加わるなど三幸さん流の脱線脱臼がはまって大きな笑いが起こっていた。
 いやあ、おかしかったなあ。
(余談。この作品に接すると、「透明な過去の駅で遺失物係の前に立った僕は余計に悲しくなってしまった」という谷川俊太郎の詩をふと思い出す。文芸趣向の強い文枝さんとはいえ、いくらなんでもまさかそれとは関係ないだろうけれど)

 最後は、大喜利。
 前支配人の三幸さんが約束した大喜利大会とはならず、大喜利猛者も集まってはいなかったが、常連さんやリピーターさん、ご新規さんも客席から果敢に参加。
 方気さんの仕切りの下、三幸さん、染八さん、秀都さんがコンスタントに的確な解答を重ね、2017年の錦湯さんでの大喜利を〆た。

 終演後は、クリスマスパーティーと忘年会を兼ねた打ち上げ&交流会が久しぶりに開催され、思わず聞し召した当方はすぐさま顔を真っ赤にしてあれこれ歓談してしまった。

 と、今夜も盛りだくさんな座錦湯さんでした。
 2018年も毎週月曜20時は錦湯さんにぜひ!
 ああ、面白かった!!
(正月1日はお休みです。悪しからず)
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2017年12月19日

第10回座錦湯

☆第10回座錦湯

 出演:月亭方気さん、月亭天使さん、桂三実さん、笑福亭智丸さん
(2017年12月18日20時開演/錦湯)


 師走真っ盛り。
 新年を間近に控え、寒さも一段と厳しくなってきた京この頃だが、錦湯さんには常連さん、リピーターさん、ご新規さんとバランスよくお客さんが集って、けっこうな入り。
 10回目となる座錦湯は、支配人の月亭方気さんをはじめ、月亭天使さん、桂三実さん、笑福亭智丸さんとお馴染みの顔触れが揃った。

 定刻20時を少し過ぎたあたりで、方気さん、天使さん、三実さんが登場。
 近況報告というか、最近体験したあれあれ??と思うようなエピソードなどを語って盛り上げる。

 で、頃合いの良いところで方気さんが高座へ。
 方気さんといえばもちろん月亭八方さんのお弟子さんだけれど、実はその前に半年間だけ八方さんのお師匠さんにあたる月亭可朝さんの弟子をやっていたことがあったと、可朝さんへの入門時代のエピソードをいくつか語ってくれたのだが、いやあこれが可朝やん(by上岡龍太郎さん)らしいとんでもないもので、大いに笑ってしまう。
 一方、本題は可朝さんにつけてもらったものではないが、月亭一門にとって避けては通れないのが博打ということで『看板のピン』を演じる。
 昔博打で鳴らした老人に授かった(?)奇策で勝負に挑もうとしたまではよかったが…。
 というおなじみの古典で、表情の変化の面白さはもちろんのこと、方気さんの場合、噺運びの丁寧さ、細かい所作も忘れてはならないと思った。
 そして、登場人物がS気質に変わったとたん、がぜん活き活きとしてくる方気さん!
(方気さんと可朝さんの関係を一切知らずに、以前方気さんには「大師匠と通じるものがある」旨記したことがあったのだけれど、なるほどそういうことだったのか!)

 続いては、月亭天使さん。
 開場前に中から三味の音が聴こえてくるなと思っていたら、これが天使さんだった。
 で、クリスマスメドレーを聴かせてくれたのだが、西洋のメロディーを三味線が奏でるそのミスマッチのマッチというか、緩やかでおおらかな雰囲気が錦湯という空間にはぴったりだ。
 婚活を続けているが、どうしてこういうところに参加する男性は自分の顔をきちんと示さないみょうちきりんな写真ばかりアカウントにあげるのかという独身中年男性の当方には少々耳の痛いマクラののち、本題の『書割盗人』に入る。
 天使さんでこの噺を聴いたのは、これで二度目か三度目かな。
 とんとんとんとんとテンポよく進めて行こうとする高座で、耳になじみがいい。
 中性的というとちょっと違うが、媚態に溺れることのない演じ具合、筋運びは天使さんの特性であり、好感が持てる。

 三席目は、よんどころのない事情で入りが遅れた智丸さんだ。
 と、ここで錦湯さんを訪ねて海外からのお客様二人をなぜだか対応せざるをえなくなり外へ出る。
 一人は、台湾からの中年の男性で日本語はもちろんのこと、英語も話せない。
 おまけに、スマホの画面を見せてくれるのだけれど、そこにも中国語しか書いてない。
 もう一人はアジア系の女性(中国か韓国の人)でこちらは英語がぺらぺら。
 二人は連れではないそうで、同時に話しだしたりもして、いやあよそへ行ってもらうのに時間がかかった。
 英会話もそうだけど、中国語会話もある程度マスターして…おく必要はないか?
 で、中に戻るとマクラはほぼ終わって本題に突入。
 子供が昔話を聴いてすぐに眠ってくれるのは20世紀半ばまで…。
 なんだ『桃太郎』か、と思っていると、あれあれなんだかおかしいぞ。
 話が金太郎へと脱臼をし始めて、遂にはとんでもない世界へと拡がって行った!
 まさしく智丸ワールド全開だ。
 確か、智丸さんは藤枝静男の作品を高く評価していたはずだけれど(筒井康隆も高く評価している)、その藤枝作品を彷彿とさせる内容ともなっていた。
 ちなみに、題名は『金太郎』とのこと。

 トリは三実さんで、大阪にはおもしろい人がいますねと観察眼の確かさを示すエピソードを重ねて笑いを生む。
 本題はこれまた新作の『同姓同名』。
 巡査が駐在さんんとしてとある村に赴任することになったのだけれど、この村というのが特徴のある姓名の持ち主だらけの村で…。
 目の付け所のよさが即くすぐり即笑いに通じている作品で、村役場の村長さんの裏切り方など大いに笑ったなあ。
 お客さんもフィーバーしていた。
 三実さんの一筋縄ではいかない新作はやっぱり愉しいや。

 と、今夜も盛りだくさんの座錦湯でした。
 ちなみに来週はクリスマスで今年最後の座錦湯となります。
 ご都合よろしい方はぜひ!!
 ああ、面白かった!!
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2017年12月12日

第9回座錦湯

☆第9回座錦湯

 出演:月亭方気さん、月亭八斗さん、桂あおばさん、海底都市
(2017年12月11日20時開演/錦湯)


 いやあ、寒い。
 寒波の到来と天気予報が言っていた通り、夕方頃から寒さがぐぐぐぐぐっと激しくなった京都だったが、今夜も錦湯さんにはご新規さん、リピーターさん、常連さんが集まって何より。
 後述、桂あおばさんがマクラで「自分の出演のときは…」、といういつもの言葉をかき消すほどの入りとなった。

 9回目となる座錦湯は、支配人の月亭方気さんに、おなじみ月亭八斗さんと桂あおばさん、そして海底都市と四組五人が出演する豪華版。
 まずは、定刻20時あたりにあおばさんが早速高座へ。
 上記、自分が出演したときは…というおなじみのフレーズと、今夜まだ二度目にかけるネタでと言って本題に入りかけたところで、どどどどっとお客さんが入って来て、仕切り直し。
 その仕切り直しのあおばさんの茶目っ気がいい。
 で、本題はおなじみ古典の『阿弥陀池』。
 あおばさんのフラ、師匠桂ざこばさん譲りの語り口と「真情」がよく出て、実におかしかった。
 中でも、だまそうとしてうまくだませぬ滑稽な掛け合いから一転、ついた嘘のせいで落ち込んでしまう男の慌てぶり、おか弱さがあおばさんの柄にぴったりだった。

 続いては、八斗さん。
 高座へ上がった八斗さん、いつもはこういうことは言わないのだけれどと断った上で、あおばさんが今回二度目にかけるネタと口にしたことに対し、そんなことを言ってしまったらお客さんが構えてしまうと苦言を呈する…。
 と、思ったら、自分は今夜がネタおろし…。
 ただ、自分の家の屋根が台風で飛んでしまった(これ、twitterのツイートで知って、わちゃいと驚いていた)、それで金を稼がなきゃいけない等々、「ないない」と断ったはずのマクラを語っているうちに時間が…。
 と、振りつつ本題の『饅頭こわい』を途中から。
 当然スピーディーな展開。
 が、ここから仕掛けが。
 八斗さん!!
 しかし、この仕掛けは別のところで使われるかもしれないので、あえて書かない。
 それを書いたら、『オリエンタル急行殺人事件』の犯人は実は乗客…。
 とネタばれするのと一緒なので。
 マクラが巧く効いていた。

 三組目は海底都市。
 京都小劇場界ではおなじみ西マサト国王と合田団地君によるコンビで、今夜のネタは小物もあったりして相当コント寄り。
 前回同様、西マサト国王の妄想が爆発する展開だったのだけれど、今回はさらに数歩先を狙ったか。
 こうしてお客さんと身近な場所で、果敢に勝負に挑む二人に大きな拍手を捧げたい。
 さらなる挑戦が愉しみだ。

 トリは、月亭方気さんで、あおばさんや八斗さんを受ける形で、自分は久しぶりにかけるネタをやるとまずは一言。
 で、女性は怖いと重ねてから、本題の『転宅』に入った。
 方気さんの『転宅』に接するのは二回目だが、この間の研鑽経験も加わって、トリに相応しい高座に変わっているように僕には感じられた。
 丹念丁寧さもそうだし、構え雰囲気もそうだ。
 それでいて、肩肘張った大げささとは無縁、軽みもあってデフォルメも効かせる。
 女性の演じ方、終盤の間抜けな男の追い詰められ具合も強く印象に残った。

 と、今夜も盛りだくさんの座錦湯でした。
 ああ、面白かった!!
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2017年12月05日

第8回座錦湯

☆第8回座錦湯

 出演:桂三幸さん、林家染八さん、丸山交通公園君
 大喜利出演:あふろだんぺ〜さん、きょうとうさん、こみやさん
(2017年12月4日20時開演/錦湯)


 世は師走。
 いつの間にやら今年もひと月を切り、寒さもぐぐっと激しくなった京この頃だが、錦湯さんには常連さん、リピーターさん、ご新規さんとなかなかのお客さんが集まったのは何より。
 8回目となる座錦湯はよんどころない事情のため支配人の月亭方気さんご夫妻がお休みで、前支配人の桂三幸さんにもうおなじみとなった林家染八さん、そして大喜利以外では初登場となる丸山交通公園君が顔を揃えた。

 定刻20時頃に三人が登場し、まずはトークを繰り広げた。
 三幸さんが肩肘張らない軽みの効いた話を投げかけると、弟子入り以前から付き合いの深い染八さんがぱっと応える。
 負けじと丸山君も二人に伍してトークを盛り立てる。
 といった感じ。

 で、頃合いのよいところで染八さんが高座に上がった。
 マクラで大先輩にあたる落語家さんのエピソードなどを語りつつ、流れをつくったところで本題の『太鼓腹(幇間腹)』に入る。
 なじみの若旦那に呼ばれた太鼓持ち(幇間)、お座敷に顔を出すなり、たっての願いがあるからとの言葉。
 いったいどんなことかと思ったら、この若旦那、ここのところ鍼に凝っているということで、どうしても生身の人間に鍼を打ちたい、ついては…。
 といった展開の有名な古典落語である。
 染八さんは、時に強めの声を上げるなどデフォルメを効かせながらも、基本は要所急所を押えた丹念な口演を心掛けていた。
 そうそう、歌う部分での調子のよさも印象に残ったんだった。
 いずれ喉が物を言う噺をたっぷり聴かせて欲しい。

 続いては、丸山君が登場し、丸山交通公園ワンマンショーでネタおろしした『サッカーが世界を滅ぼす』を披露していた。
 すでに大喜利には何度か出演している丸山君だけれど、こうやって一つの芸として出演するのは今回が初めて。
 落語を、漫才を、笑いを愛する丸山君にとってはここでネタを披露できるのは光栄だと断ってから、ネタに入る。
 サッカーは嫌い、どうして嫌いかといえば…。
 と、ワンマンショーでならした口調で言葉を重ねていく。
 ホームグラウンドのK’s office-京都二条の館-に対し、こちら錦湯さんはまさしくアウェイだが、ここぞというところで笑いが起こっていた。
 加えて、ちょっとしたアクシデントが笑いに変わっていたのも「持ってる人」の証拠ではないか。
 錦湯さんでのワンマンショーも期待したい。

 トリは、三幸さん。
 丸山君のネタを受ける形で、自分は小学校の頃サッカーをやっていた…、と自らの来し方・部活の想い出を語ったあと演じたのは、古典の『鉄砲勇助』。
 一度、錦湯さんでも取り上げたネタではあるが、今夜の三幸さんはかつての阪急の特急の如く大宮を出たなら、あとは十三まで停まりませんの勢いだ。
 しかも、その流し具合がいい。
 木曽の山中から北海道の旅行へ移るあたりの素っ気ない感じがおかしかったし、ハイブリッド落語の使途らしいサゲ方にも笑ってしまった。

 そして、今夜は大喜利を決行。
 染八さんの仕切りの下、三幸さん、丸山君がコンスタントに解答する一方、大喜利猛者のあふろだんぺ〜さんや、大喜利連に参入したきょうとうさん、こみやさんもヒットを重ねた。
 それにしても、大喜利好きの人たちは大喜利をやるとアナウンスしていないのに、こうもタイミングよく集まるのか!?

 と、今夜も盛りだくさんな座錦湯でした。
 今後も誰が登場するかわからない座錦湯は、毎週月曜20時からのスタートです。
 ご都合よい方はぜひにぜひに!
 ああ、面白かった!!
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2017年11月28日

第7回座錦湯

☆第7回座錦湯

 出演:月亭方気さん、森乃阿久太さん、林宏樹さん×湯気さん
(2017年11月27日20時半開演/錦湯)


 いくぶん気温が上がったものの、もはや冬かと思うような寒さが続く京この頃。
 そして、別のイベントが開催されていたため30分遅れの20時半スタートにもかかわらず、錦湯さんには常連さんにリピーターさん、ご新規さんが集まった。
 どうやら今夜は湯気さん目当てのお客さんもいらしたような。

 7回目となる今回は、支配人の月亭方気さんに錦湯さんでは2回目となる森乃阿久太さんが出演。
 予定の20時半を少し過ぎたあたりで、その阿久太さんが高座へ上がった。
 いつもと違って、浴場へのガラス戸が開いていて反響が激しかったため、まずはそこらの加減を口にする。
 で、自分は色が黒いが、これは日に焼けたんじゃなくて酒に焼けたものと断ってから酒飲みの話、そして本題の『酒の粕』へ。
 下戸の男がどうしたことか酒粕二枚を食べて酔いが回る、これ幸いといつも馬鹿にしている連中のところへ足を向けたはいいが…。
 という古典落語で、阿久太さんは要所急所をきちんと押さえつつ、自分なりのアレンジも効かせてじっくり語り上げた。
 いぶし銀、滋味あふれる落語家さんになるのではと、これからが愉しみだ。

 続いては、銭湯偏愛ライターの林宏樹さんをホストに、銭湯熟女の湯気さんが登場。
 どうやら、先ごろ刊行された2冊目の写真集のPRのためらしい。
 当然、その写真集に関するやり取りが中心になったのだけれど、プロの落語家さんたちとは一味違う林さんの受け答えに誠実な人柄が窺えたし、湯気さんのそこはかとない(?)雰囲気も滑稽だった。
 終了後、物販にお客さんが集まっていたのも何よりである。

 トリは、方気さん。
 自分はいらちだ、ちょっとしたことでもいらいらしてしまう、とマクラで語ったのちにかけた本題は『天災』。
 妻を殴れば実の母親を蹴り倒すようないらちな男、これではあかんと紹介されたのは心学の先生で…。
 というおなじみの噺で、方気さんは基本は快活、流れるようなテンポだけれど、一方で細かい仕草など細部にも目配りした高座を生んでいた。
 それとともに、例えば心学の先生が男を宥め諭す場面や、男が自らが学んできたことを頓珍漢に説教する場面での、相手を追い詰めるようなところでは方気さんの特性、別の魅力が垣間見えたのもおかしかった。

 と、今夜もバラエティに富んだ座錦湯でした。
 ちなみに、来週は諸般の事情で方気さんはお休みで、前支配人の桂三幸さんがやって来ます!
 毎週月曜20時は座錦湯にぜひ!
 ああ、面白かった!!
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2017年11月21日

第6回座錦湯

☆第6回座錦湯

 出演:月亭方気さん、桂ちきんさん、リスナップ、福神よしきさん
(2017年11月20日20時開演/錦湯)


 ぐぐぐぐぐっと気温が下がり、もはや冬なんじゃないかと思う寒さの京この頃だが、今夜も錦湯さんには常連さん、ご新規さんとなかなかのお客さんが集まった。
 6回目となる今回の座錦湯は、支配人の月亭方気さんに桂ちきんさん、福神よしきさん、そしてリスナップのお二人と、ある意味錦湯さんだからこその番組となっていた。

 定刻20時を過ぎたあたりで、ちきんさんと福神さんが登場。
 ちきんさんは桂きん枝さんのお弟子さんで、言わずと知れた(?)映画狂。
 一方、讃岐のヒッチコックの異名をとる福神さんはぴん芸人。
 すでに何度か錦湯さんにも出演して、当意即妙のコンビネーションを発揮してきた。
 まずはそのコンビネーションを活かした掛け合いから。
 まんざいはまんざいでも、良い意味でのいなたさ、大どかさをためた三河萬歳風の掛け合いがどうにもおかしい。
 そして、本藝は福神さんの南京玉すだれである。
 実は福神さんは一度ここで南京玉すだれに挑戦したものの、二つ目の業にかかったところで玉すだれの紐がとれて悲惨な事態に陥った。
 つまりは、今夜はそのリベンジということだ。
 ところどころスリリングな場面はありつつも、ちきんさんの突っ込みを兼ねたおしゃべりの助けもあって、福神さんは無事全ての業を為し切った。
 いやあ、笑ったなあ。
 この二人ならば、異色の太神楽としていけるかも?

 続いて登場したのは、リスナップのお二人。
 客席から向かって左側が藤本康志さん、右側が土井隆さんの漫才コンビで、支配人の方気さんとは関西大学の落研の同期にあたる。
(というか、もともと方気さんはリスナップのメンバーだった)
 千葉県出身の藤本さんは、すでに錦湯さんへも出演ずみ。
 銭湯熟女の湯気さんとのトークの相手をしたのもこの藤本さんで、はじまってすぐにそのことネタにして笑いをとっていた。
 今回が錦湯初出演となる土井さんは滋賀県の出身で、劇団そとばこまちの一員として演劇活動も積極的に行っている(というのは、終了後にお話してわかったこと。あとで調べたら、メイシアターではTHE ROB CARLTONの村角ダイチさんや満福満君とも共演されていた)。
 で、いわゆるコント風ではないしゃべくり中心のネタを披露した。
 持ち時間がけっこう長かったこともあって、いくつかのネタを重ねていくスタイルがとられていたが、そのチョイスというか繋ぎのあたりにも二人の関係性がよく窺えたように思う。
 それまでのいじりの積み重ねが伏線にもなっていて、最後の結婚式のエピソードが中でもおかしかった。

 トリの方気さんは、嬉しい報告から切り出す。
 まさに喜ばしいお話だ。
 そして、本題は『初天神』。
 すでに錦湯さんでも演じたおなじみの古典だけれど、今夜の方気さんはさらにじっくりたっぷり演じてみせた。
 ここぞというところでデフォルメをかけるのは方気さんの特徴なのだが、今回はさらに磨きがかかるというか、粘りをきかせるというか、その仕掛けっぷりが面白い。
 特に、父親が飴玉を選ぶところやみたらし団子の蜜をねぶるあたりの攻め具合には笑ってしまう。
 それとともに、ここのところの高座同様、全体には落ち着きというか重心が下がった感じがしたことも事実である。
 これからの方気さんの落語がますます愉しみで仕方ない。

 さらに、今夜は大喜利を決行。
 方気さん仕切りの下、出演者5人がお題に答えるという形式で、ちきんさん=福神さん、リスナップのお二人というコンビネーションがまずあって、それが微妙に混じり合うスタイルとなっていた。
 乱れつつ、統一のとれた大喜利で、ここでも大いに笑った。

 と、今夜も盛りだくさんの座錦湯でした。
 ちなみに、諸般の事情で来週は20時半からの開演です。
 ご都合よろしい方は、一度ぜひ!
 ああ、面白かった!!
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2017年11月14日

第338回市民寄席

☆第338回市民寄席

 出演:桂塩鯛さん、桂三風さん、笑福亭たまさん、月亭天使さん
 座席:1階8列16番
(2017年11月14日19時開演/ロームシアター京都サウスホール)


 二日続けて落語の会だが、昨夜の座錦湯がインティメートな空間でのサロン・コンサートだとすれば、今夜の市民寄席は大ホールでのピアノ・リサイタルと喩えることができるのではないか。
 そういえば、来年で京都に住み始めて30年が経つのだけれど、市民寄席に足を運んだのはなんとこれが一回目だ。
 で、諸事情のため、ホールに着いてから座席を知って大いにびっくり!
 1階の通路を挟んだ1列目、それも高座に真っ向から対峙するという良席も良席で、これは目立つな、いつも以上に縮こまっておかねば…。
 と書くと大げさだけど、近過ぎず、遠過ぎず、この規模の小屋で落語に接するには本当にありがたい席だった。

 さて、一番目に登場したのは月亭天使さん。
 天使さんといえば、錦湯さんでの会やちゃいちゃい寄席、そして独演会とこれまで何度も接してきた落語家さんの一人だけれど、こうして比較的大きなホールの高座を聴くのは初めて。
 自己紹介を兼ねたマクラに続いて、おなじみ『鉄砲勇助』を演じる。
 前座、開口一番の代わりということもあってか、強弱メリハリをつけつつテンポよく噺を進めて行った。
 それでも、火事を背負った牛の背中が燃えだすあたりまでしっかり演じていたが、女性にとってあまり適切とはいえない部分を巧く省略していたのは一つの見識だと思う。

 続いては、笑福亭たまさんが登場する。
 京都とは縁が深い、と言ってKBS京都で番組をもっていたことを軽く語ったあと(もっと縁が深い部分についてあえて言及しないのも賢い)、お得意の30秒落語を連発し、大きな笑いをとる。
 本題は、『軽業講釈』。
 旅の部分ははしょって、たまさんは早速講釈の部分から噺を始めた。
 鳴り出すは隣の軽業小屋のお囃子、もちろん講釈師、途中で講釈を辞めて大声を張り上げる…。
 その繰り返し、というか変奏が肝の作品で、たまさんは変奏ごとに巧く調子を変えながら笑いを生んでいった。
 後半の軽業小屋との対比もくっきりとしてわかりやすい。
 実にクレバーな口演だった。

 三席目は、桂三風さん。
 三風さんは当代桂文枝さんの7番目のお弟子さんで、創作落語(新作)の作り手として知られている。
 晴れて京都市民となったことをまず「報告」したのち、時事ネタをひとくさり。
 そして、お師匠の文枝さんの芸能生活50周年を記念した富士山山頂奉納落語に関して詳しく語ったのち、自作の『目指せ!ちょっと岳』に入った。
 つまりは、登山繋がりということだ。
 登山の案内を引き受けたとある大学の山岳部のメンバーだったが、予想に反して、案内すべき女性登山会のメンバーというのは…。
 登山といえば、月亭太遊さんのネオラクゴ『絶対安全ハイキング』や丸山交通公園君の『登山の害について』をすぐさま思い起こすが、あちらが山を登らず過激に跳躍したり、山に登らず諦念低回地に堕ちようとしたりするのに対し、こちら三風さんの作品は、一歩一歩地に足を付けて山を登るといったまさしく地道な作品。
 大阪のおばちゃん連中のあるあるエピソードをしっかり組み込んで、会場をわかせていた。

 トリは、桂塩鯛さんの『小間物屋政談』。
 塩鯛さんの生の高座に接したのは、染屋町寄席が二条駅近くの喫茶店でやっていた頃だから、かれこれ20年も近く前になるのではないか。
 ただ、かつてKBSのラジオで放送されていた『桂塩鯛のサークルタウン』をよく聴いていたことと、同じ立命館大学出身ということもあって親しみのある落語家さんの一人ではある。
 『小間物屋政談』は、もともと江戸の落語を上方に移し替えたもの。
 旅の途中の小間物屋が追剥にあった小間物問屋の大店の主を助けたが、運の悪いことにこの主が死んでしまい…。
 といった展開の江戸から上方へを上方から江戸へ、箱根の山を鈴鹿峠に変えるなど設定の変更もそうだけれど、やはり大きく変わったのは、江戸と上方の人情の機微のあり様の違いだろう。
 ウェットとドライが綯い交ぜになって即物的な上方の人間の滑稽さが、塩鯛さんの大人(おとなではなく、たいじん)風な語り口と独特のフラによく合っており、なんともおかしい。
 一つ間違うと嫌な感じの残りかねない噺だが、すっきりとした気分で聴き終えることができた。

 と、たっぷり四席。
 充実した会でした。
 ああ、面白かった!!
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座錦湯 第5回

☆座錦湯 第5回

 出演:月亭方気さん、月亭秀都さん、桂りょうばさん、海底都市(西マサト国王&合田団地君)
(2017年11月13日20時開演/錦湯)


 じわじわと寒さが増す京この頃。
 それでも、錦湯さんには常連さん、リピーターさん、ご新規さんとなかなかのお客さんが集まってまずは何より。

 5回目を迎える座錦湯は、3週休みをとった新支配人の月亭方気さんに月亭秀都さん、桂りょうばさん、そして西マサト国王と合田団地君による漫才コンビ・海底都市の5人が出演した。
 まさに5繋がり。

 定刻20時を過ぎたあたりで、その5人が登場。
 方気さんの3週間のお休みのお詫びを兼ねた挨拶(おなじく支配人となったお嫁様の地元で披露宴を行っていたとのこと。改めておめでとうございます!!)を皮切りに、トークがスタートする。
 まずは初登場のりょうばさんの紹介から。
 桂ざこばさんのお弟子さんで、今は亡き桂枝雀さんの息子さんということで、まさしく上方落語界のサラブレッド! という紹介にご本人はいたって謙虚。
 さらに、太遊さんが支配人時代に登場したとはいえ、あまり面識のない海底都市に対する突っ込みと、あれこれ盛り上がる。

 で、頃合いのよいところでりょうばさんが高座へ。
 東京に長く住んでいたが、なかなか関西の掛け合いの妙をわかってもらえなかったエピソードやざこばさんが倒れた際のエピソードを、自己紹介を兼ねたマクラで語ってから本題の『胴斬り』に入る。
 辻斬りに胴のところから横にずばっと斬られて上半身と下半身に別れた男だったが、相手がよほどの達人と見えて血一つでない状態。
 ちょうど通りかかったいつもの仲間に家まで送ってもらった男は、その仲間から上半身のほうは銭湯の番台に、足の方はお麩屋の生地を踏む仕事を世話してもらう…。
 といった展開の古典で、りょうばさんが本題の前に一言断ったように、考え出すとええっと思ってしまうような実にシュールな噺である。
 以前、二人でできるもんでりょうばさんの高座には接したことがあるが、基本は丹念、丁寧な語り口で、ここぞというところではぱっと場面が拡がるような感じの演者さんである。
 ここでも、噺自体のシュールさナンセンスさをきちんと心得つつも、それを特異なものに感じさせない自然の運びの口演を繰り広げる。
 とともに、冒頭登場する正体不明の辻斬りは置くとして、登場人物の心根のよさ、善良さが伝わってくる高座ともなっていた。

 続いては、西マサト国王と合田団地君による漫才コンビ・海底都市が登場。
 この二人、以前は「努力家でもあり、ボンクラでもある。」の名で出演したことがあるが、どうやら錦湯さんへの出演ごとにコンビ名を変えるようにしたらしい。
 で、この二人といえば、先日丸山交通公園君のワンマンショーでネタを目にし耳にしたばかりだが、今夜はさらに国王陛下の妄想妄念がスパーク炸裂。
 トウキョウマジンクラブ(東京魔人倶楽部?)なる組織や、その組織を生むもととなった映画『トウキョウマジン』やら何やらについて国王陛下が語る語る語り走る。
 脱線余談の部分も含めて、合田君を振り回す体のネタに仕上がっていた。
 さて、次回出演時のコンビ名は如何なるものになることか!

 番組三番目は、月亭秀都さん。
 月亭文都さんのお弟子さんで、最近年季が明けたばかり。
 錦湯さんへは二度目の登場だ。
 マクラでは、藝の幅を広めるためにある試みを行おうとしたところ、大師匠にあたる月亭八方さんから厳しい申し付けがあった。
 しかもそれが直弟子の月亭八斗さんに飛び火して…。
 というエピソードでわかせたのち、本題の『阿弥陀が池』を演じた。
 町内の年かさの人物にほら話でからかわれた男が、こうなりゃ別の人間をからかってやろうと思い付いたのはよかったが…。
 といったおなじみの古典で、秀都さんは非常にテンポよく噺を進めて行った。
 上方流儀のちょっとだみっぽくってちょっとねっちゃりした語り口も相まって、要所急所でしっかりきっちり笑いを生んだ。

 トリは、方気さん。
 先日三代目桂春蝶さんと酒を酌み交わす機会があって、そこで錦湯さんの会の三代目支配人となった話をしたところ、三代目という言葉にぴんときた春蝶さん…。
 という三代目ネタでまずはひと笑い。
 続けて、その春蝶さんから耳にした師匠八方さんの「スリリング」なエピソードでふた笑い。
 さらに、結婚してその「怖さ」を実感した小咄を披露したのち、新婚に相応しい『延陽伯』を方気さんはかけた。
 器量よしの妻をめとったがさつな男だったが、この妻というのがやたらと言葉遣いが丁寧な女性で…。
 これまたおなじみの古典だけれど、ここぞというところで表現表情を的確に変化させながらも、方気さんは焦らず落ち着いた高座ぶり。
 それでいて、重く粘るようなことはしないで巧く時間配分も考えて噺を進め、途中でサゲた。

 と、今夜も盛りだくさんの会でした。
 落語とともに、幅広いジャンルの出演者も募っていきたいという座錦湯に皆さんもぜひ!
 ああ、面白かった!!
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2017年11月07日

座錦湯 第4回

☆座錦湯 第4回

 出演:林家染八さん、笑福亭智丸さん、露の棗さん、露の新幸さん
(2017年11月6日20時開演/錦湯)


 立冬を前にしてぐぐっと気温が下がった京都だが、今夜も錦湯さんには常連さん、リピーターさん、ご新規さんとなかなかのお客さんが集まった。
 今回は新支配人の月亭方気さんご夫妻の登場、かと思っていたらまさかのお休み。
 しかも前支配人の桂三幸さんも不在という状況だったが、そこは伊達に3年間も会をやって来たわけではない。
 林家染八さん、笑福亭智丸さんというおなじみの顔触れに、初登場の露の棗さん、露の新幸さんと四人の落語家さんが顔を揃え、万事順調に会を進めた。

 で、染八さんの進行のもと、自己紹介を兼ねたトークを繰り広げたのちは、新幸さんが高座へ上がる。
 新幸さんは、露の新治さんのお弟子さん。
 もともとはロックミュージシャン、それもメジャーデビューも果たしたのだけれど…、とまずは詳しい紹介をマクラですませてから本題の『金明竹』へ。
 店番をしていた丁稚、来る客ごとに失敗を重ねてごりょんさんに叱られてばかりだったが、最後に現れた加賀屋の使いが一番の難物で…。
 というおなじみの古典だが、前半の丁稚さんとごりょんさんを中心としたやり取りでは声の強弱や表情の変化を巧くつけながら丹念に噺を進めていく。
 そして、肝となるのはなんと言っても加賀屋の使いの言い立てだ。
 流石は元ミュージシャン(?)、新幸さんはこの言い立てをよどみがなくてテンポよく聴かせた。
 爽快な一席。

 続いては、棗さん。
 露の都さんのお弟子さんで、三年の年季が明けたばかり。
 実は、年季明け初の仕事がこの座錦湯になるとのことで、貴重な機会をこちらもいただいたということだ。
 はじめに、小咄を三つ披露して場をなじませてから演じたのは、「ナイスバディ」な容姿の自分にあったネタの『大安売り』。
 町内の衆と関取の滑稽なやり取りを描いたこれまたおなじみの古典だけれど、棗さんは大ぶりな語り口で、この噺の持つおおどかさをよく掴んでいたのではないか。
 時に内面の細やかさが窺えたりもしたが。
 いずれにしても、今後の棗さんの活躍を期待したい。

 三席目は智丸さん。
 錦湯さんの会で演じてきたネタを再確認したら、『有馬小便』や『転失気』と「汚い」噺ばかり。
 こうなりゃ行くところまで行くと覚悟をした智丸さんが演じたのは、新作の『スネークアドベンチャー』だ。
 何をやっても運のない男だったが、ひょんなことから蛇神から恩返しを受けることになり…。
 20世紀前半に盛んになった新古典派音楽ではないが、智丸さんは古典落語風のやり取り、さらには引用を基調としつつも、そこに流石は詩人と唸らされる特異な言語感覚(何せ「ずんずん丸」!)や突拍子もない設定を織り交ぜて、笑いが豊富の作品に仕立て上げていた。
 口演中の恥じらいというか、臆面のある加減もチャーミングだった。

 トリは、染八さんの『もう一つの日本』。
 笑福亭福笑さんの新作で、商談にやって来たアメリカ人とそれに対する関西のこてこてのビジネスマンの掛け合いがどうにもおかしい。
 時折飛び出す毒の効いたくすぐりも嬉しい。
 染八さんはそうした作品を丁寧に演じつつ、自らの人懐こさ、人柄を巧く垣間見せてもいた。
 トランプ大統領の来日というタイミングにもぴったりのチョイスである。
(『エアフォース・ワン』なんか放映するよりよっぽどましだぜ!)

 最後は、染八さんの仕切りで大喜利を決行。
 智丸さん、棗さん、新幸さんがコンスタントに解答を重ねる一方、客席のおなじみさんも果敢にお題に挑んでいた。
 なお、錦湯さんの大喜利で鍛えられた染八さんが初代支配人の太遊さんの仕切りをリスペクトしていた点にも好感が持てた。

 と、今夜も盛りだくさんな座錦湯でした。
 次回こそは方気さんご夫妻が登場か?
 毎週月曜20時は錦湯さんへぜひ!
 ああ、面白かった!!
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2017年10月31日

座錦湯 第3回

☆座錦湯 第3回

 出演:桂三幸さん、桂米輝さん、笑福亭乾瓶さん
 大喜利出演:丸山交通公園君、ゴハさん
(2017年10月30日20時開演/錦湯)


 台風が去ってぐぐっと気温が下がり、肌寒さを強く感じる京都だったが、今夜も錦湯さんには常連さん、リピーターさん、ご新規さんとなかなかのお客さんが集まった。
 新支配人の月亭方気さんご夫妻がお休みとなった3回目の座錦湯は、2週続けて前支配人の桂三幸さんが差配を務める。
 今回は三幸さんのほか、桂米輝さんに笑福亭乾瓶さんと初登場がお二人。

 定刻20時を過ぎたあたりで、お三人が登場しトークを繰り広げる。
 米輝さんや乾瓶さんのお師匠さんや兄弟子さんについて話題になっていたが、そこは三幸さん、あっちへ行ったりこっちへ行ったりと一筋縄ではいかない。
 そこをまた、米輝さんや乾瓶さんが突っ込んで盛り上げた。

 で、頃合いのよいところで乾瓶さんが高座へ。
 乾瓶さんはその名からも察せられる通り、笑福亭鶴瓶さんのお弟子さん。
 大分県の出身で、入門は去年の12月とのこと。
 見習い期間中だが、今日急に三幸さんからオファーがあってお師匠さんに確認の上、出演が決まった旨、まずもって話す。
 そんな見習い期間中の厳しい生活についてマクラで語ってから本題の『子ほめ』に入る。
 もはや詳しく語る必要もないおなじみの古典である。
 乾瓶さんは楷書の芸というのか、基本はつけてもらった通り細かく丁寧に演じているように感じられたが、あと少しで一本調子になりそうなところで巧くテンポを変えて噺にメリハリをつけている点が強く印象に残った。
 また、語り口に名人大師匠の風を感じさせるところもあって、これからがとても愉しみだ。

 続いては、米輝さんが登場する。
 米輝さんは桂米團治さんのお弟子さんで、今年上方落語噺家グランプリに優勝した若手実力派。
 多芸多才の人としても知られている。
 そんな米輝さんは、昨日日曜日の二つの落語会での三幸さんの無茶苦茶ぶりを「暴露」したのち、新作の『イルカ売り』を演じた。
 落語会にははじめからネタが決まっている場合とその日になってネタを決める場合がある。
 ただ、あまりにも前に決めてしまった場合は、こんなネタやることになってたのか! と驚くケースもあって…。
 で、作中の「桂米輝」が、お師匠米團治さんの独演会で演じなければならなくなったのは、『イルカ売り』という未知の噺。
 さてどうしたものかと慌てふためく「米輝」だったが…。
 といった展開の作品で、時に古典も交えたり落語会の情景を巧みに盛り込んだりとメタ的趣向に富んでいる。
 そこに流れがよくて闊達、なおかつ表現の幅が広い米輝さんの口演が加わるとなると、当然の如く大きな笑いが生まれる。
 米輝さん、その名の通り輝いていた。

 トリは、前支配人の三幸さんだ。
 米輝さんの語った昨日の無茶苦茶ぶりの内情を説明したあと、まもなくR-1の季節ということで過去のネタ二つを披露。
 いわゆるネオはめ物を駆使した作品で、笑いの仕掛けが豊富だ。
 本題は、おなじみ新作の『冬のゴルゴ』。
 削りに削ってここぞという部分を残した作品だけに、くすぐりが巧く効く。
 ネタバレは控えるけれど、ゴルゴ13を題材にするならそうこなくちゃというネタがいくつもあるのは嬉しい。

 最後は、大喜利を決行。
 大喜利ガーのゴハさん考案のお題に対して(出題もゴハさん)、出演出場者が挑むというスタイルで、三幸さんが安定しているのは言わずもがなだが、乾瓶さんが勇猛果敢積極的に解答を重ねていたのは予想外。
 一方、米輝さんは独特なイラストが効果的だった。
 また、ワンマンショーでならす丸山交通公園君も三人に伍してほぼ正解の解答をかましていた。

 と、今夜も盛りだくさんの座錦湯でした。
 毎週月曜20時は錦湯さんに皆さんもぜひ!
 ああ、面白かった!!
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2017年10月24日

座錦湯 第2回

☆座錦湯 第2回

 出演:桂三幸さん、桂紋四郎さん
(2017年10月23日20時開演/錦湯)


 台風一過、冴え冴えとする空となり、気温もぐっと下がった今夜の京都だったが、錦湯さんには常連さん、リピーターさん、ご新規さんが顔を揃えた。
 新生座錦湯の第2回は、新支配人の月亭方気さんご夫妻がお休み。
 だが、ご安心あれ。
 錦湯さんには、二代目支配人の桂三幸さんがいる。
 ということで、今回はその三幸さんの号令の下、錦湯初登場となる桂紋四郎さんがやって来た。

 定刻20時を過ぎたあたりで、三幸さんと紋四郎さんが登場。
 本当は別の落語家さんが出演の予定だったが、急遽だめになり紋四郎さんを誘ったのだと、三幸さんが手の内を明かす。
 そこは紋四郎さん、それを逆手にとって笑いに換える。
 丁々発止の掛け合いで、盛り上げた。

 頃合いのよいところで、紋四郎さんが高座へ。
 錦湯さんという距離感もあって、いったんはけてまた出てくるのは恥ずかしい。
 それならばと、なんと浴場のほうからぱぱっと出てくる新手の手法を決行。
 インパクト大だ。
 で、自己紹介を兼ねたマクラでお客さんの様子を巧く掴んでいく。
 ちなみに、紋四郎さんは桂春蝶さん(最近の時勢にも乗って、大活躍。ただ、50近くの当方からすると、春蝶といえばどうしても、『霊感ヤマカン第六感』なども含めて、これぞまさしく上方の藝人だなあと感嘆した先代のお父さんのほうを思い出してしまう)のお弟子さんで、阪大の工学部出身の由。
 本題は、『植木屋娘』。
 植木屋の幸右衛門は、娘おみつの婿にひょんなことから知り合った寺に居住している伝吉を迎えたいと思い込むようになる。
 だが、伝吉はもとはといえば五百石の旗本の跡継ぎとなるべき人物で…。
 といった内容で、大きな笑いというよりも話の運びが肝となるべき古典である。
 ここぞというところでは「フォルテ」を活用していたが、紋四郎さんは基本的にはメリハリが効いて歯切れのよい口演。
 べたつかず粘らずのさわやかな語り口で、耳なじみが実によかった。
 へえっとなるようなサゲもすっきりして柄に合っていた。

 トリは、三幸さん。
 そして本題は予告通り、前回ネタ下ろしした新作。
 ちょっとだけ内容に触れれば、甲子園出場を目指すとある高校野球部の試合前日の模様…。
 おっとここから先は言えない言わない。
 観客を巻き込むスリリングな展開で、今夜も幾人かのお客さんが三幸さんの狙い通り、もしくは狙いを外れた「返し」を行っていた。
 さらに、新たに加えたくすぐりもあって、ハイブリッド落語の要素はさらに加速化。
 終演後、紋四郎さんが「アバンギャルド」と喩えたのも無理はないはっちゃけた内容となっている。
 いやあ、笑ったな。

 最後は、大喜利を決行する。
 三幸さんや紋四郎さんらが思い付いたお題を下に、出演者全員が解答に挑むというスタイルで、三幸さんと紋四郎さんのやり取りがはまって決まっておかしい。
 自らを「ジャブを重ねるタイプ」と言う回転の速い紋四郎さんだったが、「片側三車線」は大パンチ。
 それを受けた三幸さんの桂片側三車線もグッジョブ。
 一方、大喜利ガー(by三幸)ではないと断った上で出場したお客さんのたくまさんも、果敢に解答を重ねていた。

 と、今夜もバラエティに富んだ座錦湯でした。
 ああ、面白かった!!
 そして、毎週月曜20時は座錦湯に皆さんもぜひ!!
 なお、次回も方気さんはお休みで、三幸さんが差配を務める予定です。
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2017年10月17日

座錦湯 第1回

☆座錦湯 第1回

 出演:月亭方気さん、桂三幸さん他
(2017年10月16日20時開演/錦湯)


 月亭方気さんご夫妻が新支配人となり、その名も「座錦湯」と改まった錦湯さんの会。
 その第1回目はあいにくの雨にもかかわらず、常連さん、リピーターさん、ご新規さんが顔を揃えたなかなかの入りでまずは何より。
 新支配人の道行く人へのお声がけも見事に功を奏した。

 定刻20時を過ぎたあたりで方気さんが登場し、颯爽と高座へ。
 新支配人就任の挨拶を一くさりしたのち、錦湯さんが馴れ初めの場ということもあって、ご夫人とのエピソードをマクラで披露し笑いを生む。
 で、入った本題は『ふぐ鍋』。
 ふぐは喰いたし、命は惜ししとばかり、家の主も客人もふぐ鍋に手をつけようとしない。
 と、そこにおこも(乞食)がやって来て…。
 というおなじみの古典で、方気さんは錦湯でもすでに一度この噺をかけていたが、流れがよくて安定したやり取りの合間に仕掛けてくる表情の変化がおかしい。
 特に、今夜の高座で方気さんの柄にぴったりで一瞬ぞくっとしたのが、おこもに食べさせるふぐをあつらえているときの狂気をためた嗤い!
 テレビドラマ『相棒』のシーズン5の第9話「殺人ワインセラー」で、それまであえて抑えた演技を重ねていた佐野史郎が、最後の最後でかましたマッドな大嗤いを思い起こしもした。

 続いては、錦湯ならではのシークレット・サプライズ。
 それこそ、茶屋町界隈に寄ってっていならぬ、錦小路界隈に寄ってっていだ。
 いや、座錦湯情宣アカウントのツイートでもしやとも思ってはいたのだけれど。
 敵もさるものひっかくもの、うっしっしと大喜びの一時だった。

 三席目は前支配人の三幸さんで、先週スペシャルゲストとして久しぶりに登場した月亭太遊さんとのエピソードをマクラで語ったのち、出来立てほやほやの新作をぶつける。
 支配人は退任したとはいえ、そこはホームグラウンドの錦湯さん。
 攻める攻める。
 これから練りに練っていく新作ハイブリッド落語だけに、あえて詳細は触れないけれど、高校野球をテーマにした観客をぐいと巻き込む新作とはやはり語っておきたい。
 やたけたスリリングな展開だったが、それがまた大きな笑いに変わっていて、面白かった。

 トリは、再びサプライズ!!
 まさか二席とは思ってもみなかった。
 それこそ、夢のような時間を愉しんだ。

 最後は、方気新支配人と三幸前支配人のトークで盛り上げて〆た。
 ちなみに、次回次々回は方気さんがお休みで、三幸さんが差配を行うとのこと。
 この臨機応変ぶりも錦湯ならではのものだ。

 と、座錦湯の船出に相応しい一夜でした。
 ああ、面白かった!!!
 そして、毎週月曜20時は座錦湯に皆さんもぜひ。
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2017年10月10日

錦湯さんでの会の出演者・出演回数記録

☆錦湯での会 出演回数(150回まで)


 2014年10月6日にネオラクゴ・フロンティアとしてスタートした錦湯さんでの会が、昨夜をもって150回目、3周年を迎えました。
 ということで、その出演者を回数順に発表しておきたいと思います。
 出演者は落語、漫才(コント含む)、ピン芸の3ジャンルで出演回数が多い方、同数の場合は基本的に初登場の早い方順に掲載してあります。
 出演者名横の数字は、フロンティア、ネオ落語・セントラル、毎週月曜 錦湯劇場、The錦湯ごとの出演回数と初登場の回です。
 なお、ネオラクゴ・フロンティアのsection2と3、8と9は同一回となるため1回として計算しています。
 また、トークゲストや大喜利出演者に関しては不明確な点もあるため除外してあります。


*落語
116回  月亭太遊 48、46、21、01  フロンティア1〜
65回   桂三幸  17、21、13、14  フロンティア2+3〜
45回   桂三河  18、27、00、00  フロンティア1〜
27回   桂あおば 09、11、01、06  フロンティア6〜
21回   月亭天使 07、11、01、02  フロンティア4〜
13回   桂恩狸  03、08、01、01  フロンティア24〜
      月亭方気 02、03、05、03  フロンティア28〜
12回   月亭遊真 00、07、03、02  セントラル1〜
11回  笑福亭笑利 03、04、02、02  フロンティア18〜
      桂三実  00、04、04、03  セントラル4〜
9回    月亭八織 00、04,04、01  セントラル17〜
6回    桂文五郎 00、04、02、00  セントラル28〜
5回   笑福亭智丸 00、03、02、00  セントラル33〜
      月亭八斗 00、02、01、02  セントラル44〜
      林家染八 00、00、03、02  劇場1〜
4回   柳家かゑる 01、03、00、00  フロンティア43〜
     桂ぽんぽ娘 00、02、01、01  セントラル30〜
     サプライズ 00、01、03、00  セントラル47〜
3回    桂三四郎 00、03、00、00  セントラル17〜
      桂ちきん 00、00、02、01  劇場2〜
       桂小留 00、00、00、03  錦湯1〜
2回   林家けい木 00、02、00、00  セントラル48〜
1回    柳家花飛 00、01、00、00  セントラル50
       桂雀太 00、00、01、00  劇場30
     笑福亭大智 00、00、00、01  錦湯7
     森乃阿久太 00、00、00、01  錦湯7
      月亭秀都 00、00、00、01  錦湯11
       桂治門 00、00、00、01  錦湯14
       桂小鯛 00、00、00、01  錦湯19
   道楽亭くりりん 00、01、00、00  セントラル49
     三憂亭凡馬 00、01、00、00  セントラル49(注)


*漫才・コント
18回 センサールマン 08、08、02、00 フロンティア16〜
7回  十手リンジン  02、03、02、00 フロンティア14〜
6回   太陽の小町  06、00、00、00 フロンティア2+3〜
2回 努力家でもあり、ぼんくらでもある。 2、0、0、0 フロンティア49〜
1回 ネイビーズアフロ 00、01、00、00 セントラル20
   リトルサンパウロ 00、01、00、00 セントラル50
    おたまじゃくし 00、00、01、00 劇場9
   アルトバイエルン 00、00、00、01 錦湯11
      努力クラブ 00、00、00、01 錦湯3


*ピン芸等
8回     ターザン 00、02、06、00  セントラル43〜
5回     石村一也 02、01、02、00  フロンティア22〜
3回    BAVAAAL 00、00、03、00  劇場18〜
2回   かおりーんっ 01、00、01、00  フロンティア48〜
       藤本康志 00、00、01、01  劇場26〜
      福上よしき 00、00、01、01  劇場27〜
1回    日本夢之助 01、00、00、00  フロンティア22
       ちゃびー 01、00、00、00  フロンティア47
    親指ぎゅー太郎 00、00、01、00  劇場11
  バッテンなかちゃん 00、01、00、00  セントラル49(注)


(注)
 ネオ落語・セントラル49は、ネオキャクノセントラルと題して常連客のみの出演回。
 うち、三憂亭凡馬とバッテンなかちゃんは同一人物=中瀬宏之自身です。
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The錦湯 第20回(錦湯さんでの会 150回&3周年記念)

☆The錦湯 第20回(錦湯さんでの会 150回&3周年記念)

 出演:桂三幸さん、月亭太遊さん、月亭方気さん
 大喜利出演:貯蓄アンドザシティさん、シェンロンさん、きょうとうさん、伊達努さん
(2017年10月9日20時開演/錦湯)


 ネオラクゴ・フロンティア、ネオ落語・セントラル、毎週月曜 錦湯劇場、そしてThe錦湯と続いてきた錦湯さんでの一連の会も、今回で通算150回目&3周年を迎えた。
 ということで、記念すべき今回は、現支配人の桂三幸さん、現在は別府に居を移し九州・関西・東京と各地で活躍している前支配人の月亭太遊さん、プライベートでおめでたいことのあった月亭方気さんの出演。
 150回&3周年、約半年ぶりの太遊さんの錦湯出演、祝日休日と重なって、おなじみ常連さんやお久しぶりの懐かしい顔触れ、リピーターさん、三幸さんや方気さんの熱心なファンの方、さらにはご新規さんと幅広いお客さんが集まり大盛況となった。
 しかも今夜は、CSの旅番組の撮影(11月12日放送予定)まで入り、まさしく記念回に華を添えた。

 定刻20時を少し過ぎたあたりで三幸さん、太遊さん(スペシャルゲストと三幸さんより説明あり)、方気さんが登場する。
 まずはCS番組の撮影の方より、皆さんで「姉三六角蛸錦」の京の通りの名を歌って欲しいというお願いがあり、皆で唱和する。
 京都生まれの常連さんがここで活躍。
 で、今回が記念すべき回であるということがお三人の口から語られ、その中でネタ帳代わりに当方のブログがなっているとのお言葉までいただく。
 恐縮汗顔の至り…。
(台風で休んだ会については、当日足を運んでおられたお客さんより情報をいただいています。あとは、2回目=ネオラクゴ・フロンティアsection2のデータがないのが悔しいかぎり)
 その繋がりで、当方の「ああ、面白かった!!」に加え、月亭八織さんの「みんなで大笑い」というお決まりの言葉も話題となる。
 その後、太遊さんの別府での生活やこの間の錦湯の出来事など近況報告でぐっと盛り上がる。

 で、良い頃合いとなったところで、三幸さんが高座へ。
 軽みの効いたマクラののち、題名を並べてどちらがいいかお客さんにアンケートをとった上で、リクエストの多かった『そらみなよin東京』を演じた。
 自分の夢を適えるからと大阪を旅立った男が向かった先は、東京だった。
 追う彼女。
 そして、留守電のメッセージを聴き続ける男の友人…。
 といった展開の新作=ハイブリッド落語で、おなじみミニスピーカーの活躍するネオはめ物でもある。
 くすぐりの積み重ねが男の頓珍漢ぶりとなっていて、おかしい。
 ハッピーエンドのラストもお話によく合っていて爽快だ。

 続いては、方気さんが登場。
 先述のネタ帳に関する、師匠の月亭八方さんのエピソードを語ってまずはひと笑い。
 さらにマクラを重ねて笑いを生んだところで、本題の『茶の湯』に入る。
 なんの趣味もなかった御隠居が丁稚とともに茶の湯をはじめたまではよかったが、この二人、茶の湯についてなんにも知らないものだから…。
 というおなじみの古典で、方気さんは基本の部分は丁寧丹念な語り口でたっぷり演じ切る。
 上野湯でのちゃいちゃい寄席でも少し感じたことだけれど、重心が僅かに低くなったというか安定感がさらに増したというか。
 もちろん、この噺の肝となるみょうちきりんなお茶を口にした登場人物の表情の変化では思い切りデフォルメを効かせていて、これもまた方気さんの特性魅力と再認識する。

 トリは、太遊さんのネオラクゴ。
 と、その前に別府での活躍活動を笑いを交えながら語る。
 やはり別府には一度足を運んでおかねばなるまいな!
 久しぶりの錦湯で選んだ作品は、『さよならシガー&ラミー』だ。
 カフェで執筆活動に勤しむ男性の前に現れたのはヒッピーの地縛霊、その名もシガー&ラミー。
 ところがこの二人、その姿かたちに反して口にする言葉といえば…。
 自由になれと口にする人間が実は一番しがらみにとらわれていたというあたり、まさしく太遊さんの真骨頂と呼びたくなるような内容だが、そんな作品をあえてこの会に演じてみせたことにも大きな意味を感じた。
 まずは大いに愉しむ。
 それは当然の基本だけれど、それに加えて…。
 という部分、ネオラクゴ・フロンティア以来の錦湯さんでの会の重要な柱になっていることを改めて痛感させられた。

 今回も大喜利を決行。
 太遊さんの下、ゴハさん提供のお題に皆が解答していくという形式で、太遊さんのスピーディーな仕切りがまずは懐かしい。
 一方、解答者も粒ぞろい。
 三幸さん、方気さんのプロ勢に伍して、大喜利猛者の貯蓄君、おお久しぶりやんのシェンロン、2回目の出演となる「きょうとう」さん(で、いいのかな?)、途中からはイラストレーターの伊達努さんもコンスタントにヒットを重ねる。
 捻りの効いた解答に、べたオールドな解答の連打ののち、とどめはきょうとうさんの「みんなで大笑い」。
 よくわかってる!

 最後に何か飛び出すなと思っていたら、先ごろ入籍したばかりの方気さん夫人も登場。
 次回からは、これまでの三幸さんに代わって方気さんが新支配人となり、錦湯さんと縁浅からぬ方気さんのご夫人も積極的に方気さんを支えていくという発表が為された。
 また内容的にも、落語ばかりではなく、銭湯を前面に出してさらにバラエティに富んだ内容に変えていくとのことだ。
 方気さんご夫妻、これからよろしくお願いいたします!
 そして、三幸さん、番組づくり等、この半年間、お忙しい中本当にお疲れ様でした。
 支配人は交代すれども、錦湯さんが三幸さんのホームグラウンドであることには変わりはないわけで、今後ともよろしくお願いいたします!
 最後の最後、太遊さんにあわせて万歳三唱、盛大な拍手で全ては終わった。

 と、150回目&3周年ならではのThe錦湯でした。
 皆さん、これからも毎週月曜20時は錦湯さんにぜひ!
 ああ、面白かった!!!
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2017年10月03日

The錦湯 第19回

☆The錦湯 第19回

 出演:桂三幸さん、桂小鯛さん
(2017年10月2日20時開演/錦湯)


 先日の台風の日以上に強い雨が降り続く京都の夜だったが、錦湯さんには常連さんなどおなじみの顔が集まった。
 19回目となるThe錦湯は、支配人の桂三幸さんと初登場となる桂小鯛さんが出演。

 定刻20時を少し過ぎたあたりで、お二人が登場しトークをスタートさせる。
 小鯛さんといえば、桂塩鯛(前都丸)さんのお弟子さんであり、つまるところ米朝事務所所属の落語家さんでもある。
 と、いうことで、あなた米朝事務所の小鯛さんとこなた吉本の三幸さんが二つの事務所の違いについてあれこれ語って笑いを誘う。
 さらには、師匠の塩鯛さんや大師匠のざこばさんに関するエピソード等でも盛り上げた。

 で、頃良いところで小鯛さんが高座へ。
 初めての錦湯さんの会、しかも今日急遽オファーがかかった上に全く三幸さんから詳しい説明もないということもあって、トークの間、マクラと会場やらお客さんやらの様子を巧みに窺っていた小鯛さんだが、本題には『青菜』を選んだ。
 仕事を終えた植木屋が旦さんから名酒柳蔭をご馳走になり、鯉の洗いをご馳走になり、口直しに青菜までご馳走に…。
 といったおなじみの古典だけれど、いやあこれは面白かった。
 基本は明晰な口跡でテンポがよくて流れのよい語り口だが、ここぞというところではデフォルメを仕掛けるなど表現に大きさが加わる。
 また、破顔一笑とでも呼びたくなるような笑顔も印象的だ。
 特に、植木屋が旦さんの真似事をして無茶を重ねる終盤、ぐっと噺がはねて笑いも弾けた。
 小鯛さん、これからも注目していきたい。

 トリは、三幸さん。
 以前、錦湯さんでも取り上げた新作で、題名は未詳。
 どうやら部下の刑事が宝くじに当たったらしい、これは捨て置けぬと上司は内々に調査を命じるが…。
 といった具合の展開で、上司の刑事が報告を受けるたびに口にする言葉(大事なネタなのであえて書かない)が、雰囲気はまるで違うものの市川崑監督の金田一耕助シリーズの加藤武演じる警部の風があっておかしかった。
 途中ちょっとだけスリリングな部分もあったが、そこは三幸さん。
 なんなく錦湯流儀でばっちり乗り切った。

 最後は、大喜利を決行。
 大喜利猛者のゴハさんが以前用意した大喜利のお題を読んでもらいつつ、三幸さん、小鯛さん、客席のお客さん数人がお題に挑むというスタイルで、三幸さんがコンスタントに答えを重ねるのは当然な一方、こういった大喜利はまずないという小鯛さんも機転と機智に富んだ解答を繰り広げていた。
 お客さんも、中瀬とかいう変なおっさんを除き健闘していた。

 と、今夜も盛りだくさんなThe錦湯でした。
 そして、来週10月9日は、ネオラクゴ・フロンティア、ネオ落語・セントラル、毎週月曜錦湯劇場、The錦湯と続いてきた錦湯さんでの会の150回、並びに3周年記念の会となります。
 皆さん、錦湯さんへぜひ!
 ああ、面白かった!!
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2017年09月26日

月亭太遊さんとR-指定さんの対談が面白い

 YouTubeにアップされた、旧知の月亭太遊さんとR-指定さん(CreepyNuts)の対談が面白い。


 あなた落語も愛するラッパーのR-指定さんと、こなたラップを落語に積極的に取り入れた「らぷご」などエッジのきいた新作ネオラクゴで勝負する太遊さんが、お互いの表現、スタイルを尊重しつつ、自らの来し方行く末について語り合っていて、実に聴き応えがある。
 中でも、二人が自らの表現のあり様、狙い、方法について語る7分台後半からの<Kodawari>は、同じ言葉でもって創作活動を行っている当方にとって、様々に刺激となる内容となっている。
 とともに、二人の原点が語られる前半部分も含めて、形式や技というものはそれそのもののためにあるのではなく、表現したい何かがあってのものだと改めて感じたりもした。
 全編15分弱。
 ぜひ一度、皆さんにもお聴きいただければと思う。
 特に、ジャンルは問わず表現活動に携わる人たちにはなべてお薦めしたい。

 それにしても、R-指定さんが演じるネオラクゴってどんな感じになるんだろうな。
 太遊さんとのらぷごとのコラボなど、非常に愉しみである。
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The錦湯 第18回

☆The錦湯 第18回

 出演:月亭天使さん、桂小留さん
 大喜利出演:あふろだんぺーさん
(2017年9月25日20時開演/錦湯)


 18回目となるThe錦湯は、支配人の桂三幸さんがお休みで、おなじみ月亭天使さんと今回が三度目の桂小留さんの出演。
 常連さんやリピーターさんがお客さんということもあって、定刻20時を過ぎたあたりで登場した天使さんと小留さんは高座に座った「縁側でおしゃべり」スタイルのトークを繰り広げる。
 なかでも、この夏、鳥取は三朝温泉に滞在した小留さんが現地でのエピソードを披露していたのが面白かった。

 で、盛り上がったところで、小留さんが高座に上がる。
 身近で気になる出来事のネタやR-1対策についてマクラで語ったのちの本題は、『つる』。
 町内の物知りに鳥の鶴の名前の由来を教えてもらったあほな男がそれを吹聴するべく、知り合いを訪ねてみたのはよいものの…。
 というおなじみの古典。
 テンポのよい闊達な掛け合いを聴かせた小留さんだが、ここぞというところでは師匠の桂小枝さん譲りのためが入っていて、そこもおかしかった。

 トリは、天使さん。
 天使さんも身近であったどうなんと思う出来事をマクラで語っていたが、どうにも他人事と思えぬ部分もありおかかなしい。
 本題のほうは、『桃太郎』。
 桃太郎の昔話を親がして黙って聴いてくれたのは遠い昔のそれこそ昔話、今の子供はなかなかそうはいかなくって…。
 天使さんは母親が語り聞かせるという形をとっていたのだけれど、『初天神』などと同様、やっぱり子供がキュート。
 あまりこまっちゃくれた感じがしないのがよい。

 そして、今夜も大喜利を決行。
 天使さんが仕切りつつ解答も兼ね、小留さん、あふろだんぺーさんがお題に挑むという構図で、お題がなかなか難しかったこともあって終盤苦戦する場面も。
 が、その苦戦ぶりがまたおかしくもあった。

 と、アットホームな感じの強いThe錦湯でした。
 毎週月曜20時は、錦湯さんへぜひ!
 ああ、面白かった!!
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2017年09月19日

The錦湯 第17回

☆The錦湯 第17回

 出演:桂三幸さん、桂あおばさん、桂三実さん
 大喜利出演:ゴハさん、きょうとう(?)さん
(2017年9月18日20時開演/錦湯)


 世は敬老の日。
 三連休の最終日。
 台風一過で好天となったこともあってか、今夜の錦湯さんは常連さん、リピーターさん、ご新規さんがバランスよく集まってなかなかの盛況となった。

 17回目となるThe錦湯は、支配人の桂三幸さんに三週連続の桂あおばさん、今回は台風直撃とならなかった桂三実さんのお三人の出演。
 定刻20時頃に揃って登場し、あれこれとトークを重ねる。

 で、程よく盛り上がったところで、三実さんが高座へ。
 あえてゆったりめと見たマクラのあとは、早口が肝となった新作落語(『早口言葉が邪魔をする』か?)を演じた。
 おなじみの早口言葉をアレンジして織り込んだ作品なのだが、その早口言葉の捻り具合に三実さんの言語感覚、というか笑いの感覚の独特さがしっかり表れていて愉しい。
 早口を畳みかけるところの熱の入れようも実におかしかった。

 続いては、あおばさん。
 さっと入った本題は古典落語の『景清』である。
 失明した定次郎は、なんとか眼が見えるようになるようにと清水さんへ連日お参りに行くが…。
 といった具合のおなじみの大ネタだ。
 実は、錦湯であおばさんの『景清』を聴くのは久しぶりなのだけれど、この間のあおばさんの研鑽努力がよく表れていた。
 中でも、定次郎が内面を吐露する場面に、あおばさんは自分自身の想いを盛り込むというか、噺の力点を置こうと努めていたように強く感じた。
 それとともに、あおばさん自身のかろみや師匠である桂ざこばさんとの関係が垣間見えた点も印象に残った。
(ちなみに、あおばさんの独演会が10月25日に大阪・ABCホールで開催される予定です。ご都合よろしい方はぜひ!!)

 トリは、三幸さんで『幸せの行方』。
 息子に縁談を勧める父親だったが、その縁談の相手というのが…。
 といった展開のハイブリッド落語(by桂三幸)で、縁談話の前半といわゆるネオはめ物を駆使した後半とにわかれている。
 で、ハイブリッドさが効いてくるのは、やはりネオはめ物が効果的な後半。
 フレーズの言い方に、三幸さんの茶目っ気、肩ひじはらなさがよく出ていた。

 最後は、恒例の大喜利。
 まずは、三幸さんの仕切りで、あおばさん、三実さん、ゴハさん、きょうとう(?)さんがお題に挑む。
 あおばさん、三実さんがコンスタントにヒットを重ね(三実さんの「甥も」は場外ホームラン!)、ゴハさんも大喜利猛者ぶりを発揮していたが、伏兵だったのは大喜利初出演の常連格きょうとう(?)さん。
 新婚の強みも活かして場をわかせていた。
 後半はあおばさんと三幸さんが仕切りと解答を交換し、それぞれ特性を発揮した。

 と、今夜も盛りだくさんなThe錦湯でした。
 毎週月曜20時は錦湯さんに皆さんもぜひ!
 ああ、面白かった!!

 なお、このまま順調に毎週The錦湯が開催されるとすると、10月9日がネオラクゴ・フロンティア、ネオ落語・セントラル、「毎週月曜 錦湯劇場」、そしてThe錦湯と続いて来た錦湯さんでの会の150回、並びに3周年記念となります。
 関係各位はご留意のほど!!!
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2017年09月12日

第22回ちゃいちゃい寄席in上野湯

☆第22回ちゃいちゃい寄席in上野湯

 出演:月亭天使さん、桂文五郎さん、月亭方気さん
(2017年9月12日19時開演/上野湯)


 銭湯数珠繋ぎという趣向で始まったちゃいちゃい寄席も、今回で22回目。
 錦湯でもおなじみの月亭天使さん、桂文五郎さん、月亭方気さんのお三人が出演するというので、ここのところちゃいちゃい寄席のフランチャイズ的な場所となっている上野湯さんまでお邪魔した。
 上野湯さんは、最寄りのバス停でいうと紫野泉堂町ということになるか。
 こちらはバスの便の都合で佛教大学前から歩いたが、旭ヶ丘中学の隣の小さな道をぶらぶら下りて行ったらありますよという近くのローソンストア100の店員さんの案内に従って大正解。
 迷わず到着することができた。
 住宅街の真ん中ということもあって、今夜のお客さんも地元密着型、近所の方々が開演までに三々五々と集まって来て、開演前には結構な入りとなっていた。
 そうそう、開演前までテレビの阪神巨人戦のナイター中継をつけていたところ、当方の隣に座った常連さんと思しき初老の男性から、はよ消さなと突っ込みが入った。
 まさしく地元密着型だ。

 定刻頃、ご主人の挨拶のあとに、お三人が登場しちゃいちゃい寄席などについてトークがある。
 と、ここで方気さんの口からおめでたい発表が。
 が、これはいずれ錦湯の感想で記すこともあるだろうから、今夜のところは省略。
 方気さん、誠におめでとうございます!

 で、文五郎さんが高座へ。
 文五郎さんの高座は本当にしばらくぶり。
 文五郎さんほどではなかったとはいえ、かつて両膝の手術を行った人間としてはやはり他人事ではない。
 もちろん、文五郎さんは見事復活、難なく高座を務めていた。
 まずもって毒の効いた小話を二つ披露したのち、本題の『牛ほめ』へ。
 と、言ってもそんじょそこらの『牛ほめ』と文五郎さんのものとでは『牛ほめ』が違う。
 時季にあわせた怪談調、というよりブラック文五郎の本領発揮とでも呼べる内容に改作されていた。
 サゲは冒頭の「伏線」がしっかり活きたものとなっていた。

 続いては、方気さんが登場する。
 客席前方に陣取った女の子たちをきちんと意識しつつ、自己紹介を兼ねたエピソードや小話をいくつか語ったのち、本題の『動物園』に入った。
 『動物園』といえば、昨夜錦湯で桂あおばさんの高座を聴いたばかりだが、あちらが師匠桂ざこばさん譲りの無手勝流の口演だったとすれば、方気さんは折り目正しいオーソドックスな語り口。
 ただし、ここぞというところでは大きな表情づけを行って女の子たちも引き付けていた。
 ぽんぽんぽんとテンポよく決まった『動物園』だった。

 トリは、月亭太遊さんが別府に移ったのち差配の役回りを務めている天使さん。
 こちらもマクラで小話をいくつか披露したのち(猿の表情が印象に残る)、『元犬』の猫バージョン、『元猫』を演じる。
 これはもう、猫好きの天使さんならではのネタだろう。
 天満の天神さんに願をかけて人間となった白猫が、親切な大店のご主人の伝手を頼って奉公する身となったが…。
 というその白猫の奇妙奇天烈ぶりが柄によく合っていた。

 と、錦湯さんの会とは一味も二味も違っていて、興味深く愉しめた会でした。
 ああ、面白かった!!
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The錦湯 第16回

☆The錦湯 第16回

 出演:桂三幸さん、月亭八斗さん
 大喜利出演:たまいさん、地主君
(2017年9月11日20時開演/錦湯)


 夏が終わり、徐々に秋が近づく京この頃。
 16回目となるThe錦湯は、支配人の桂三幸さんに久しぶりの月亭八斗さん、そして二週連続となる桂あおばさんの三人が出演し、常連さん、リピーターさん、ご新規さんとお客さんもなかなかの入りだった。

 定刻20時頃、三幸さん、八斗さん、あおばさんが登場し、適度な距離感のトークで盛り上げる。

 で、頃合いのよいところであおばさんが高座へ。
 NHKの新人落語大賞の予選が迫っているということで、それ用のネタの『動物園』をかける。
 予選用に刈り込んでいる分、笑いどころもはっきりとわかったのではないか。
 男が虎となって檻に入ってからが当然の如く肝。
 客とのやり取りのここぞというところでの大きな動きが印象に残るとともに、あおばさんの必死のぱっちぶりが男の必死さと重なっておかしかった。

 続いては、八斗さんが登場。
 師匠月亭八方さんとのエピソードをマクラで語ったのち、その八方さんより弟子入り十年目にして初めてつけてもらったネタの『野ざらし』を演じる。
 八斗さんが女形、女を演じることに強い興味を抱いていることは、すでに錦湯での会でも公言しているところで、今夜の『野ざらし』でも終盤ちょいと鼻にかかった声色の色女ぶりを発揮していたが、基本はメリハリがよく効いた「男前」な語り口。
 鐘がゴンと鳴りゃ上げ潮…の節回しも八斗さんの柄によく合っていた。

 三席目は再度あおばさん。
 こちらも10月25日のABCホールでの独演会でかける予定の『宮戸川』に挑む。
 もともとは月亭方正さんが江戸の落語を上方に移し替えたもので、あおばさんも一度錦湯さんで演じたことがある。
 ということで、今夜が二度目となるわけだが、この間あおばさんがこのネタとどう接してきたかがよくわかる高座となっていた。
 つけてもらったくすぐりはくすぐりとして活かしつつ、それを咀嚼して自分のものにするというか。
 あおばさんの特性、人柄がよく加味されていて、そこもまた面白かった。

 トリは、支配人の三幸さんが師匠桂文枝さん(の三枝時代)の新作『読書の時間』を口演した。
 すでに何度か錦湯でもかかったことのある作品だけれど、師匠直伝ということもあってか、三幸さんはツボをよく押さえた流れのよい高座に仕上げていた。
 それにしても、文枝さんの文学的嗜好、文芸趣味はその新作のあちらこちらに垣間見ることができるなあと改めて痛感した。

 最後は大喜利を決行。
 はじめ三幸さん仕切りの下で、八斗さん、あおばさん、リピーターの地主君、たまいさん(相当久しぶりの登場)がお題に挑んだ。
 八斗さん、あおばさんがコンスタントに解答を重ねる一方、たまいさん、地主君は大喜利ずれしていない新鮮な答えを連発し、大喜利連の穴を巧く埋めていた。
 後半は、あおばさんと三幸さんが立場をチェンジ。
 三幸さんの安定は言わずもがな、あおばさんも生き生きとした仕切りを見せた。

 と、今夜も盛りだくさんのThe錦湯でした。
 ああ、面白かった!!
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2017年09月04日

The錦湯 第15回

☆The錦湯 第15回

 出演:桂あおばさん
(2017年9月4日20時開演/錦湯)


 15回目となるThe錦湯は、支配人の桂三幸さんがお休み。
 けれど、錦湯さんではもうおなじみの桂あおばさんがやって来たので全く無問題。
 で、出演者もあおばさん一人というまさしく正真正銘の独演会となったのだが、常連さんリピーターさんとお客さんも入って、結構な会となった。

 定刻20時頃に、やおらあおばさんが登場。
 今夜は自分だけの会なのでと一言断ってから、トークを繰り広げながら舞台で着替えを披露する。
 ちょうど昨日終わったばっかりの彦八まつりや、師匠の桂ざこばさんとのエピソードで大いに盛り上げる。

 で、程よい頃合いで高座へ。
 一席目は『替り目』。
 師匠のざこばさんとは切っても切れない酒の話題をマクラで語ってから、本題に入る。
 今日も今日とて酔っ払って帰宅した男、まだ飲み足りないと女房にかんとだき(おでん)を買いに行かせるが…。
 それこそざこばさんを彷彿とさせる酔態ぶりもおかしいが、やはりあおばさんの肝は、男が女房への愛情を語るところ。
 あおばさんが好んでかける新作『ハンカチ』に通ずるおかかなしい情の世界が描かれた。

 続く二席目は、題名だけを口にした上でお客さんのアンケートをとった結果の『肝つぶし』。
 マクラの部分で、この噺の演じ手がほとんどいない理由を明かしてから本題に入る。
 何やら奇妙な病にとりつかれた男のために、ここは男の父親に受けた大きな恩をかえす機会とばかり兄は妹の肝を切り取ろうとするが…。
 と、ここだけ聴くとやけにグロテスクのような噺だけれど、そこは落語。
 どんな病にとりつかれたかを説明する男と兄との会話は、やけに滑稽だ。
 ただし、ここでも肝となったのは、兄と妹のやり取りだろう。
 加えて、サゲ直前のいったん緊張が緩まるところもおかしかった。

 で、本来はここで終演となるところだったが、ぎりぎりになってお客さんがやって来られたので、その方のために『鉄砲勇助』の木曽山中の部分をあおばさんはテンポよく演じ、滑稽に〆た。

 と、桂あおばさんの特性魅力が十分十二分に発揮された会でした。
 大喜利のないThe錦湯もすっきりしてよきかな。
 ああ、面白かった!!

 ちなみに、10月25日には大阪・ABCホールであおばさんの独演会が予定されています。
 ご都合よろしい方はこちらもぜひ!!
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2017年08月29日

The錦湯 第14回

☆The錦湯 第14回

 出演:桂三幸さん、桂治門さん、林家染八さん
 大喜利出演:ぷるーとさん
(2017年8月28日20時開演/錦湯)


 前回は冷房の調子が今一つで若干暑さの厳しいThe錦湯だったが、今夜は絶好調。
 ひんやりとした雰囲気の中、落語に大喜利が愉しめた。
 お客さんも、常連さんにリピーターさん、ご新規さんと偏りのないなかなかの入りでこちらも好調だった。

 定刻20時を少し過ぎた頃、三幸さん、治門さん、染八さんの三人が登場し、丁々発止(?)のトークを重ねる。

 で、錦湯ではもうおなじみの一人となった染八さんが高座へ。
 初めて落語を聴くというお客さんもいることから、タイトルだけを口にしますのでどっちのほうをお聴きになりたいか拍手してくださいとアンケートを実施したところ、『七度狐』が選ばれた。
 お伊勢さん参りに向かう喜六清八の二人連れ、気づかぬうちに狐に怪我をさせてしまったが、この狐というのが恨みをはらすために七度もばかすという怖ろしい狐で…。
 といったおなじみの噺で、染八さんは二人が狐にばかされるあたりから本題を始める。
 生憎三味線はなかったものの、熱の入った演技でそこはカバーした染八さん、メリハリと流れのよい高座が心掛けられていた。

 続いては、治門さんが登場。
 錦湯初出演となる治門さんは桂小春団治さんのお弟子さんで、顎のラインがちょっと印象的だ。
 これまたおなじみの古典『天災』を演じたのだけれど、その独特なエロキューションを巧く活かしたやり取りが面白い。
 例えば桂ざこばさんのような沙汰の限り、登場人物と演者が表裏一体といった風の強弱の強、狂気を強調した『天災』とは一線を画し、ソットヴォーチェというか、あえて小さく潜めた声が特に効果的だった。

 トリは、支配人である三幸さん。
 きっちりした古典の落語は染八さんと治門さんがやった、だから俺は俺の道を行く、と言わんばかり、と言っても、もちろん肩ひじ突っ張らかすようなことなく、軽やかに三幸さんは未完成の新作『天井高い(仮)』に挑んだ。
 9月5日の天満天神繁昌亭での会があるのであえて詳しくは記さないが、三幸さん流の上方落語界への「プロテスト」…。
 は、ちょっと大げさかな。
 でも、それってどないやねん!? という三幸さんの想いがくすぐりの連なりから窺えたことも事実だ。
 さて、この新作の完成形や如何?
 ぜひ繁昌亭でお試しくださいませ。

 最後は、恒例の大喜利を決行した。
 三幸さん仕切りの下、諸般の事情から落語絡みのお題を答えていくという形式で、ある意味お題の千本ノック状態。
 治門さん、染八さん、大喜利連のぷるーとさんはコンスタントに解答を重ねていたが、途中楽屋話的なおしゃべりが挟まっていたのはThe錦湯らしい。

 と、今夜も盛りだくさんなThe錦湯でした。
 毎週月曜20時は、錦湯さんにぜひ!
 ああ、面白かった!!
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2017年08月22日

The錦湯 第13回

☆The錦湯 第13回

 出演:桂三幸さん、桂あおばさん、桂恩狸さん
 大喜利出演:ゴハさん
 音楽の先生:しのはら先生
(2017年8月21日20時開演/錦湯)


 先々週は台風直撃による体調不良でパスしてしまい、先週は銭湯芸術祭の公演でお休みと、2週間ぶりのThe錦湯は、常連さんにリピーターさん、ご新規さんでなかなかの入り。
 冷房の不調でいつもより熱気のこもった錦湯さんだったが、そこは笑いと体力でなんとか最後まで乗り切った。

 定刻の20時を少し過ぎたあたりで、三幸さん、あおばさん、恩狸さんが登場。
 The錦湯になって初めての出演で、支配人が変わって雰囲気違うようになってるんとちゃうかと心配ですという恩狸さんに、そんなことないよと返す三幸さん。
 二人から距離を置いて、ちょっと入っていきたくないと口にするあおばさん。
 そんな感じのトークを20分ほど繰り広げて盛り上げる。

 で、頃合いを見計らって恩狸さんが高座へ。
 先日腕を骨折する事態に見舞われたが、脅威の回復力、全治一ケ月のところを二週間でほぼ具合がよくなった、今は予後のために牛乳を飲んでいる、それでも今日はお酒に関する噺を演じるとマクラで話してから、本題の『禁酒関所』を演じた。
 ときは幕末、禁酒のお触れが出たとある藩で、なじみの侍が屋敷に酒を届けてくれと店の者に頼む。
 だが、侍に酒を届けるには監視厳しい関所を超える必要があって…。
 恩狸さんは、発端の侍が店で酔うところから、水カステラや油のくだり、そして小便のくだりとしっかり演じ切った。
 やりようでは、ただただ下がかったねば汚い口演になってしまうのだけれど、鶏と牛刀で割く的な恩狸さんの大掴み、大柄な語り口がここでは功を奏し、それほど汚らしさを感じることはなかった。

 続いては、あおばさんが登場。
 次回の独演会のためにどんなマクラがよろしかろうかと、用意したマクラをいくつか試して笑いを生む。
 お師匠ざこばさんへの想いが伝わって来るのもあおばさんらしい。
 本題は、桂文枝さん(の三枝時代)の新作『読書の時間』。
 学校の読書の時間用に、息子は父親の本棚から司馬遼太郎の『竜馬がゆく』を選んで持って行く。
 ところが、それは父親がこっそり愉しんでいたポルノ小説で…。
 文枝さんの文学趣味がくすぐりのそこここに垣間見える作品だが、そこはあおばさん、そこにお師匠ざこばさんのネタも放り込んでいく。
 で、この話もやりようによっては下がかった部分が悪目立ちしかねないところだけれど、あおばさんはテンポがよくてさっぱりした語り口で、エロさよりも滑稽さをよく表していた。

 トリは、三幸さんが新作のハイブリッド落語を演じる。
 転勤が決まった部長のサプライズ送別会を開こうとする部下たちだったが、うっかり部長をlineグループへと招待してしまい…。
 といった具合の内容で、ここぞというところでチューナー付きの大型スピーカーがよい役割を果たしていた。
 驚くに驚けない部長の呆然とした様子がおかしい作品だ。

 もちろん大喜利も決行。
 今夜は、あおばさんの仕切りでゴハさんが用意したお題に、三幸さん、恩狸さん、ゴハさんが答えていくスタイルだった。
 各々コンスタントに解答を重ねていたが、終盤は暑さとの勝負ともなっていた。

 で、ここでいったんお開きになったあと、延長戦がスタートする。
 キーボード持参で駆け付けたボイストレーナーのしのはら先生の伴奏で、三幸さんがミニライヴを行ったのだ。
 三幸さんの美声のほか、しのはら先生のちょっとした発声指導もあるなど、これはこれで参加しがいのある延長戦だった。

 と、今夜も盛りだくさんなThe錦湯でした。
 毎週月曜20時は、皆さんも錦湯さんへぜひ!
 ああ、面白かった!!
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2017年08月16日

豊中の天使の☆落語会 昼の部

☆「豊中の天使☆落語会」昼の部

 出演:月亭天使さん、桂華紋さん、笑福亭智丸さん
ゲスト:笑福亭たまさん
三味線:岡野鏡さん
(2017年8月16日14時開演/豊中市立文化芸術センター小ホール)


 月亭天使さんが地元豊中に今年オープンしたばかりの豊中市立文化芸術センターで落語会を開催するというので、朝昼二回のうち昼の部に足を運んだ。
 もとの市民会館のスペースにあれこれ入れ込んだためか、ホワイエ・ロビーは若干手狭な感じがするものの、小ホール自体は席の前横の空間が比較的広めに設定してあって当方のような身体が大き目の人間には非常にありがたい。
 また、席と席との間の段差も巧くつけてあるため、前のお客さんの頭でいらいらいりいりする必要もない。
 前から5列目にあたるE-04という客席から見て左サイドの真ん中通路寄りの席に座ったが、演者さんの演技表情をメガネなしでくっきり目にすることが出来た。

 まずは、笑福亭仁智一門の智丸さんが登場。
 かつて病院のカルテの整理のバイトをやっていたとマクラで触れてから、本題の『犬の目』に入る。
 『忍者ハットリくん』の獅子丸っぽい容姿をした智丸さんだが、本題に入れば一転、上方落語の本流とでも呼ぶべきだみ声っぽい声質で達者な口演を行う。
 今日の『犬の目』も、発端の部分をはしょることなく丁寧闊達な高座に仕上げていた。

 続いては、桂文華さんのお弟子さんである華紋さん。
 世の中にはおかしな人がいると実例を示して笑いを誘ってから、おなじみ『粗忽長屋』を演じた。
 恰幅のよい身体つきにちょっと喉を詰めたような高めの声から想像がつくように、実に陽性な高座。
 笑いを重ねながら、にぎやかに噺を進めて行った。
 ただ、だからこそ強く印象に残ったのは、終盤の長い間。
 演じているのは華紋さん一人きりだけれど、音楽でいうところのゲネラルパウゼのような時間になっていた。

 三席目は、天使さんが高座に上がり、地元の豊中でこうして落語会を開催するのが夢でしたと口にする。
 本題は『書割盗人』。
 貧乏極まる男が知り合いの画家に芝居の書割よろしく家財道具一式、おまけに庭の遠景まで描いてもらったが…。
 といった具合のお話で、天使さんは速めの調子、流れのよい掛け合いを心掛けており、耳馴染みがよかった。

 仲入り前は、「ゲスト」の笑福亭たまさん。
 言わずと知れた上方落語界の鬼才、イーゴリ・マルケヴィッチが日本に生まれて落語家になったらこんな感じになるだろう…、というとこれは大げさか。
 桂米朝さんにやしゃご弟子が出来た、どんな女の子や…、といった天使さんの他己紹介をマクラで的確に行って、早速笑いをとる。
 で、予告通り『地獄八景(亡者戯)』を演じたが、芸能ネタ、時事ネタのくすぐりをふんだんに織り込んで大きな笑いを生んでいた。
 同業者へのちょっとした(?)毒もたまさんならではだろう。
 閻魔の庁の場に智丸さん、天使さんを呼び出してやり取りを行ったところで、ほどよくサゲた。

 後半は、お囃子の紹介から。
 大太鼓や締太鼓を華紋さんが、鐘類を智丸さんが演奏し、一番太鼓やら何やらお囃子の類いを紹介説明しようという企画である。
 司会の天使さんの説明がぐだっとなりがちなところ(それがまた天使さんのフラになっているのだけれど)に、たまさんが愛のある(?)容赦ない指摘を入れて笑いに換えていた。
 途中からは『地獄八景』で活躍した三味線の岡野鏡さんも登場、お囃子に合わせてたまさんが『兵庫船』の一場面を演じたりもした。

 トリは天使さんで、時節に合わせた『皿屋敷』。
 錦湯では、同じ月亭一門の方気さんや秀都さん(天使さんの弟弟子)の『皿屋敷』を最近聴いているが、お二人のデフォルメが効いた口演に比較すると、天使さんの高座は若干あっさりというか、あくが控えめだ。
 いや、天使さんもここぞというところではきちんとデフォルメを行ってはいるのだけれど、どこかで抑制が効いているように感じられるのである。
 ときにそれは、天使さんにとってマイナスに働く可能性もあるかもしれないが、一方で、こうした特性・距離感と先述した「フラ」が一層自覚化され巧く結びつくならば彼女の大きな武器になるのではないかと思ったりもする。
 いずれにせよ、プラスの部分としての天使さんの「女性噺家」らしくなさ、「女性芸人」らしくなさ(さらに加えるならば、「噺家」らしくなさ、「芸人」らしくなさ)を改めて感じることができたのは、今日の大きな収穫だった。

 ああ、面白かった!!
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2017年08月01日

The錦湯 第11回

☆The錦湯 第11回

 出演:桂あおばさん、月亭方気さん、月亭秀都さん、ティル・ワインガルトナーさん*
 大喜利仕切り:藤本康志さん
 大喜利出演:あふろだんぺーさん、ゴハさん、こみやさん
(2017年7月31日20時開演/錦湯)


 三週間のご無沙汰でした。
 と、今は亡き玉置宏さんなら言うだろうか。
 祇園祭のために先々週、先週はお休みで三週間ぶりとなったThe錦湯だが、今回は支配人の桂三幸さんはお休み。
 副支配人の月亭方気さんに、おなじみ桂あおばさん、月亭秀都さん、さらには方気さんのかつての相方ティル・ワインガルトナーさん(*ガートナーとガルトナーの間の発音。たぶん指揮者のフェリックス・ワインガルトナーと同じ姓だと思う)というバラエティに富んだ顔触れが集まった。

 定刻20時頃、方気さんが早速高座へ。
 冒頭のトークに換えて今夜の趣向などを簡潔に説明してから、マクラを話し始める。
 で、趣味の話などや最近の世情などを語ってマクラの反応を探ったのち、本題の『野ざらし』に入る。
 『野ざらし』といえば、先述した玉置さんのラジオ番組でも聴いた(あの番組で玉置さんはミソをつけてしまったんだよなあ…)三代目春風亭柳好のうたうような口演をどうしても思い出してしまうのだけれど、方気さんは語るべきところはきちんと語り、流すべきところはきちんと流した口演。
 特に、男が骨釣りに血道を上げる部分の暴走ぶり、狂気の表出が強く印象に残った。
 「鐘がごんと鳴りゃ…」のさいさい節も嬉しいかぎり。

 続いては、あおばさんが登場。
 今夜の出演者はみんな関大出身で、なんと自分も関大出身なんです、ただしその関大というのは…。
 といった風に切り出したあおばさん。
 まずは、某所で披露しなくてはならない小話をここで試してみたいと、二つの小話を続けて演じたが、いずれもくすぐりがよく効いた上であおばさんの柄が巧く表れた内容となっていた。
 さらに、無事順調に快復したお師匠の桂ざこばさんから、入院中に「ネタを増やすとはまだまだ早い。『子ほめ』をやれ。一からやり直せ」とお叱りの言葉があったこともあり、ここで演じさせてもらうとあおばさんは『子ほめ』を演じる。
 他人からただの酒を飲ませてもらおうとべんちゃらの方法を教えてもらった男だったが…。
 というおなじみの古典で、錦湯で初めに接してからもうまもなく三年、あおばさんのこの間の研鑽ぶりがよくわかる口演だった。
 中でも、男の憎めないあほさかげん、間の抜けた感じ、悪意のなさがいい。

 トリは、錦湯さん「初上陸」となる秀都さん。
 月亭文都さんのお弟子さんで、近頃年季が明けたとのこと。
 そして、秀都さんもまた関大の落研出身ということで、その落研の一風変わった稽古のやり方をマクラで話す。
 加えて、心を動かされた大先輩の落語家さんの言葉を紹介したりしたのち、本題の『皿屋敷』を演じた。
 男たちが寄り集まって肝試しに向かったのは、お菊さんなる幽霊が出るという通称皿屋敷だったが…。
 といった具合の、これまたおなじみの噺だ。
 播州姫路が舞台ということもあって、よい意味での泥臭さも出た口演で、基本はねっちりとした上方流のオーソドックスな語り口だが、ここぞというところでのフォフォフォルテテテッシモ!の大声が効果を上げていた。

 そして、方気さん(客席から見て右側)とティルさん(同左側)が登場。
 実はこの二人、今から十年ほど前にアルトバイエルンという名で漫才コンビを組み、松竹芸能に所属して活動を続けていたのであった。
 で、たまたまティルさんが来日していたということもあり、今夜一夜限り、特別にコンビを復活させたそうである。
 流暢な日本語で「それらしい」ボケを重ねる長身で好人物そうな顔立ちのティルさんに、方気さんが適切的確な突っ込みを入れていくスタイルの漫才で、大いに笑った。

 最後は、これまた関大の落研出身で方気さんの盟友でもあるリスナップの藤本康志さんの速いテンポの仕切りで大喜利を決行する。
 ティルさんが茶目っ気とウイットを発揮すれば、方気さんはコンスタントに答え、秀都さんも必死のぱっちで奮闘した。
 また、大喜利猛者のあふろだんぺーさん、ゴハさん、途中交代で常連格のこみやさんも解答を重ねていた。
 そして、忘れてはならないのがあおばさん。
 検分と称して泰然自若、ここぞというところではすべりも辞さお題に挑んで、他の面々を巧く支えていた。

 と、今夜も盛りだくさんのThe錦湯でした。
 月曜20時は、皆さん錦湯さんへぜひ!
 ああ、面白かった!!
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2017年07月11日

The錦湯 第10回

☆The錦湯 第10回

 出演:桂三幸さん、桂小留さん
 大喜利出演:かるあさん、はしかわさん
(2017年7月10日20時開演/錦湯)


 雨が降るかと思っていたら、青空、それも容赦ない陽光で激しい暑さとなった一日。
 それでも錦湯さんには、常連さんにリピーターさん、ご新規さんが顔を揃えた。

 今回は、支配人の桂三幸さんに二回目となる桂小留さんのご出演。
 定刻20時を過ぎたあたりでお二人が登場し、近況報告や落語界の話題などでじわじわと盛り上げていく。

 で、ほどよい頃合いで小留さんが高座へ。
 小留さんは桂小枝さんのお弟子さんだがそのことは冒頭のトークで触れたので、ここでは割愛。
 いらっとすることがいろいろあるんですよ、と身近なエピソードを重ねて笑いを掴む。
 と、マクラは、素とは違うけれどまさしくエピソードトーク的なおしゃべりぶり。
 が、本題の『阿弥陀池』に入ると、古典落語の規矩に沿った語り口に一転した。
 次から次へと作り話に騙されて新聞を読まなあかんとなぶられた男、自分も他人に仕掛けておもろがってやろうと思ったわよいが…。
 といった具合のおなじみの噺だが、基本は早めのテンポ、ただし要所ではきちんと語り、逆にここぞというところでは流れるように言い立てる。
 特に、冷房があまりきかない中で汗だくになりながらも、きちんと筋を通して一気呵成にまくり上げたエネルギッシュな終盤が強く印象に残った。

 トリは三幸さん。
 ようやく冷房もきき始めたこともあって、こちらは肩ひじ張らないかろみのきいたマクラからスタートする。
 ただし、あるアクシデントで左目の上のほうを激しく傷つけたという話にはびっくり。
 そういえば、あれ今日は眼鏡をかけてはるなあとは思っていたのだが。
 数日前は青く腫れ上がっていたというが、今は眼鏡をとれば傷が目立つ程度まで快復されていて、まずは何より。
 で、そうした出来事もあってか、今夜かけたのは、師匠桂文枝さんの新作『ダンシング・ドクター』だ。
 もちろんそこは落語のこと、当たり前の病院医者が登場するはずはなくて、いろいろと皮肉がきいている。
 三幸さんは軽快な掛け合いで小気味のよい口演を行っていた。
 錦湯劇場〜The錦湯と錦湯さんでの会の支配人となった三幸さんが、こうやってこれまでのネタを掘り起こしたり、新しいネタを作ったりしている点は、月亭太遊さんのネタオロシとは異なるとはいえ、やはりきちんと記憶しておくべきことだと思う。

 最後は、三幸さん仕切りによる大喜利を開催。
 今回は、小留さんのほかに、本当に久しぶりとなるかるあさんに、新星はしかわ君(三幸さんが名前を巧くいじっていた)が参加する。
 途中、小留さんとかるあさんの大学絡みの浅からぬ因縁を知ったのだけれど、小留さんがプロの切れを見せていけば、かるあさんは大喜利猛者らしい機智に富んだ答えを披瀝していた。
 一方、はしかわ君も負けじと解答を重ね、今後の活躍を期待させた。
 で、三幸さんの裁定で、かるあさん、はしかわ君は年末の大喜利大会の出場権も獲得した。

 と、今夜も盛りだくさんのThe錦湯でした。
 ああ、面白かった!!

 ところで、前回の感想でもお知らせしたとおり、次週次々週は祇園祭の関係で錦湯さんが営業日となるため二回連続でお休みです。
 皆さん、7月31日以降、月曜20時は錦湯さんにぜひ!!
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2017年07月04日

The錦湯 第9回

☆The錦湯 第9回 〜三幸は、あの人を尾行してるので、お休みスペシャル!〜

 出演:桂あおばさん、桂三実さん
 大喜利出演:貯蓄アンドザシティさん、あふろだんぺーさん、フロムヨーさん
(2017年7月3日20時開演/錦湯)


 本当は19時からの企画に足を運びたかったのだけれど、急な用件が入ってしまい出遅れて、結局錦湯さんに着いたのは20時近く。
 で、9回目となるThe錦湯は上記副題の理由で(???)支配人の桂三幸さんがお休み。
 代わりに、おなじみ桂あおばさんと桂三実さんが出演した。

 片付け・入れ換えなどもあって、定刻をちょっと過ぎたあたりであおばさんと三実さんが登場し、前の企画について三幸さんから知らされていなかったので戸惑ってしまったといった感じにトークをはじめ、盛り上げる。

 で、ちょうどよい具合になったところで、三実さんが高座へ。
 錦湯さんには久しぶりとなる三実さんなのだけれど、『征平吉弥の土曜も全開!!』や『武田和歌子のぴたっと。』を聴いていると、桂吉弥さんが「桂三実君が稽古に来ている」といった話を度々してくれるものだから、あまりお久しぶりという感じにはならない。
 今夜のお客さんの雰囲気から、名古屋出身ということでかつての大須演芸場の話をしたり、淡路島などで習得した「日常の何かをやっている様子」を披露したりしたあと、本題の『商売根問』に入った。
 ちょっと抜けた男が、銭を稼ごうとあの手この手を考えるも、そこは抜けた男、いずれも大失敗…。
 といったおなじみの古典で、三実さんは河童(がたろー)が出る形で話を終えていた。
 早いテンポだけれど口跡のしっかりした高座で、話の流れがよくわかった。
 それにしても、節々に垣間見える三実さんのほのかな不穏さはやっぱり面白い。

 トリは、あおばさんでネタおろししたばかりという『手水廻し』。
 大坂からのお客さんがちょうずを廻してくれと言い出した、はてちょうずとはいったいなんのことか…。
 と、これはもうくどくどと語る必要のない上方落語の古典中の古典である。
 あおばさんは、つけてもらったくすぐりなどをきっちり演じて笑いをとる一方、あおばさんらしい独特の雰囲気、フラもよく出していた。
 特に、長い頭を回す場面や、大坂で手水を飲み込む場面での大きな動きが強く印象に残った。

 最後は、大喜利を決行。
 今夜は、あおばさんの仕切りの下、あふろだんぺーさんが準備したお題に解答者が挑むというスタイル。
 プロなんだからと強調するあおばさんの言葉を受けて三実さんがコンスタントに解答を重ねれば、あふろさん、貯蓄アンドザシティさん、フロムヨーさん(電車の関係で早退)も大喜利猛者ぶりを発揮した。
 あおばさんは、陽性な仕切り。
 解答だけではなく、大喜利猛者の特徴を掴んで笑いに変えていた。
 最後はプロの意地を見せつけるべく(?)あおばさんが解答に回り、三実さんが仕切りを行った。
 いずれにしても、ますますアナーキーさが増している錦湯さんでの大喜利である。

 と、今夜も盛りだくさんでした。
 月曜20時は錦湯さんへ皆さんもぜひ!
 ああ、面白かった!!

 ちなみに、来週は通常通り開催される予定ですが、17日と24日は祇園祭の関係でお休みになる可能性もありそうです。
 詳細はまた改めて。
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2017年06月27日

The錦湯 第8回

☆The錦湯 第8回

 出演:桂三幸さん、笑福亭笑利さん
 大喜利出演:ゴハさん(仕切り)、あふろだんぺーさん(同)、宇多川どどどさん
(2017年6月26日20時開演/錦湯)


 ようやく梅雨らしくなってきた京この頃だが、今夜はなんとか雨は降らず、気温のほうも少し低めで過ごしやすかった。
 8回目となるThe錦湯は、支配人の桂三幸さんにおなじみ笑福亭笑利さんの出演。
 常連さんにリピーターさん、大喜利猛者に加え、今夜は『モノクル』というイギリス発の雑誌の取材の方も来られていた。
 京都では何やら新しい小劇場がどうこうと話題になっているが、ここ錦湯さんは地域の人たちにとって大事な銭湯であるとともに、大事な劇場だなあと改めて痛感した次第。

 定刻20時頃、三幸さんと笑利さんが登場、近況報告は短めにすませ、早速お題集めが始まる。
 お客さんから一つずつ単語を言ってもらい(「職業」を出してもらえればありがたいというサジェスチョンあり)、その単語をアトランダムに結び付けて架空の落語の題名に仕上げ、そのオチの部分を考えるという、桂三実さん考案のゲームのためのお題集め。
 で、『リラックマテロリスト』、『たこ焼き医者』、『銭湯マジシャン』といった架空落語の題名が集まった。

 と、あとあとの準備も決まったとこところで、笑利さんが高座へ。
 さる17日に一休寺で開催された落語会についてマクラで語って(誰も観に来てないのはどういうことや!)笑いを誘ったところで、本題に入る。
 江戸末期に空を飛ぼうと試みた、岡山の浮田幸吉なる人物の試行錯誤の様を描いた新作落語で、以前笑利さんの独演会『独利』でも口演されたもの。
 もちろん、笑いの仕掛けもそこここにあって十分笑ったし、侍の語り口など、やはり笑利さんの時代劇好きが活きているなあと思ったが、やはりこの作品の肝は、何があっても空を飛びたいと自らの意志を貫いた幸吉の姿だ。
 笑利さんの強い想いがしっかりと伝わってくる話である。
(なお、一休寺で初演された作品が、明日28日19時開演の笑福亭笑利落語会特別公演「一休」で再演される予定とのこと。場所は大阪福島の八聖亭、料金は前売り1000円、当日1300円。ご都合よろしい方はぜひ!!)

 トリは、三幸さん。
 結構大きめのスピーカー(アンプ付き)を手にして高座へ上がる。
 岐阜でのラジオの収録のあと鈍行を乗り継いで京都まで戻って来たが、このスピーカーが重たく大変だったとマクラでこぼしてから本題に入る。
 母国の家族への仕送りのために毎日アルバイトに励む留学生のクリスだったが…。
 三幸さん自身の新作『その川の向こう側』だ。
 クリスのお人好しぶりが笑いの核となった作品で、実際ここぞというところで笑いが起こっていたのだけれど、今夜の肝はなんと言っても三幸さんの歌。
 高音質のスピーカーを駆使して、三幸さんの熱唱を愉しんだ。
(そんな三幸さんの熱唱がさらに愉しめそうな会が9月5日に天満天神繁昌亭で予定されているとのこと。こちらのほうも皆さんぜひ!!)

 冒頭のトークで集めたお題のオチを笑利さんがいくつか巧く決めてから、おなじみフリップ大喜利に入る。
 今夜は、ゴハさんのお題提出と仕切りでスタート。
 ゴハさんの捻りの効いたお題に、三幸さんがコンスタントに解答を重ねれば、笑利さんは錦湯の大喜利名物と呼んでも過言ではないイラストを繰り出して笑いを狙う。
 一方、大喜利猛者の正統派あふろだんぺーさん、異端の王道宇多川どどどさんも負けてはいない。
 後半はだんぺーさんがお題提出と仕切りに移り、ゴハさんが解答に回る。
 「かわいい犬とは?」といった一見当たり前、その実難しいだんぺーさんのお題に対しても、そこはプロ。
 そして大喜利猛者。
 名解答が飛び出していた。

 と、ますます進化を遂げるThe錦湯。
 月曜20時は、錦湯さんへ皆さんも集まれ!
 ああ、面白かった!!
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2017年06月20日

The錦湯 第7回

☆The錦湯 第7回

 出演:桂三幸さん、笑福亭大智さん、森乃阿久太さん
 大喜利出演:ゴハさん(仕切り&出題)、宇多川どどどさん
(2017年6月19日20時開演/錦湯)


 笑福亭大智さん、森乃阿久太さんと、7回目となるThe錦湯は、支配人の桂三幸さん以外はいずれも初登場。
 初夏を飛び越して夏を思わせる暑さにも負けず今夜も集った常連さんやリピーターさんにとってはとても嬉しい顔触れである。

 定刻20時を過ぎた頃、三幸さんに誘われて大智さん、阿久太さんが登場。
 初めましての挨拶を兼ねたトークを繰り広げる。
 その手探り感も面白い。

 で、程よい頃合いで、大智さんが高座へ。
 大智さんは笑福亭仁智さんのお弟子さんで、錦湯関連では智丸さんの弟弟子にあたる。
 もともと伐採(林業)をやっていたというがたいの良さと、もじゃっとしたヘアスタイルが特徴的だ。
 マクラでは、冒頭のトークでも話が出た近くに住んでいて親しくさせてもらっているという矢野・兵動の兵動大樹さんとのエピソードを語って、まさしくすべらない滑り出し。
 本題ではおなじみ古典の『寄合酒』を演じたが、はっきりとした登場人物の演じ分けに、テンポのよい掛け合いと陽性な高座に仕上がっていて、実におかしい。

 続いては、阿久太さん。
 阿久太さんは森乃福郎さんのお弟子さんだが、もとは太秦の生まれで、本名井上久男の名前で東映京都に所属する役者さんでもある。
(以前、『父のこころ』の現場でご一緒させていただいた福本清三先生のお話をうかがえばよかった)
 マクラでもそういった役者稼業の話に触れてから、小話で様子を窺った阿久太さんが本題に選んだのは、『たけのこ』。
 隣の屋敷のたけのこが自分の屋敷の庭に顔を出して…。
 お武家様と家臣のべくない三人のやり取りを描いた噺だけれど、やはり時代劇を演じて来たこともあってか、語り口が堂に入っている。
 もちろん、「役者」に偏り過ぎないバランスのよさも強く印象に残った。

 トリは、三幸さんが『ロボ・G』を演じた。
 お師匠の文枝さん(三枝時代)の作品で、わがままいっぱいの高校生の娘のために、両親が退化型ロボット(おじいさん型のロボットで、徐々に言葉や記憶を退化させていく)いちべえさんを購入したが…、といった展開の内容。
 文枝さんらしい目のつけどころの作品だけれど、三幸さんはウエットに過ぎない口演で、要所ごとに笑いを生んでいた。

 最後は、おなじみ大喜利のコーナー。
 なんと今回は、大喜利猛者の一人ゴハさんがお題の出題ばかりか仕切りにも挑むという、ここ錦湯でなければありえないスタイル。
 支配人の三幸さんが動じず安定した解答を重ねるのは言うまでもないが、大智さんや阿久太さんもすぐさま錦湯ののりを受け入れたか、ちょっとだけ下がかったネタも織り交ぜつつ、ヒットを打ち続けた。
 そして、もう一人の大喜利猛者は宇多川どどどさん。
 変化球の直球勝負、変格派の王道とでも呼びたくなるような勝負っぷりだった。

 と、今夜も盛りだくさんでした。
 新しい顔触れがやって来る錦湯さんに皆さんもぜひ!
 ああ、面白かった!!
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2017年06月13日

The錦湯 第6回 〜ダークサイド〜

☆The錦湯 第6回 〜ダークサイド〜

 出演:桂三幸さん、月亭天使さん
(2017年6月12日20時開演/錦湯)


 このまま夏まっしぐらかと思っていたら、ここのところ涼しさが続いている京この頃。
 二週間ぶりの登場となる支配人の桂三幸さんの差配の下、6回目となるThe錦湯が開催された。
 今回は、常連さん中心に集まってアットホームな会となった。

 定刻20時を過ぎたあたりで三幸さんと月亭天使さんが登場。
 月亭太遊さんが九州に移って以降、ちゃいちゃい寄席の仕切りを務めている天使さんだが、よくよく考えてみれば錦湯さんでの出演は本当に久しぶり。
 そんなことも含めて、冒頭のトークは三幸さん主導で軽やかに盛り上がる。

 で、頃合いを見計らって天使さんが高座へ。
 近況報告とミステリ小説が好きというマクラののち、本題に入る。
 女性家族がひょんなことから俳句を捻ってみせようという内容で、古典の『雑俳』を現代流に大きくアレンジしたものだ。
 べたな洒落も豊富だが、特におかしかったのはマクラのミステリ小説の話題が伏線になった「句だり」。
 詳細は省くけれど、ミステリ小説を題材にした映画(35回程度観ている大好きな映画)をくすぐりにしていて、とても嬉しかった。

 続いては、三幸さん。
 師匠の桂文枝さん(の三枝時代)の新作『僕達ヒローキッズ』。
 母親に遊びに行けと言われて公園まで足を運んだ小学生だったが、塾通いなどで友達は誰一人いない。
 と、そんなところへ同級生がやって来たものの…。
 といった展開の話で、心身ともに疲労困憊な小学生の姿が描かれたおかかなしい内容だった。
 もちろん、ここぞのくすぐりでは笑ったけれど。

 三席目は再び天使さんが登場する。
 ソフトに艶っぽい小話を二つ披露してから、本題の『転宅』を演じた。
 泥棒が盗みに入った先の女に騙されて…。
 というおなじみの古典だが、小話繋がりでやはり騙す女のほうのほどよい艶っぽさが強く印象に残る。
 ネタおろしの頃か、だいぶん前に錦湯さんで演じたことがあったけれど、この間の天使さんの語り込みが感じられる高座だった。

 トリは、三幸さんの『結構です』(表記はこれでよいのかな?)。
 初期のハイブリッド落語と三幸さんは説明していたが、錦湯さんで演じられるのは確か今回が初めて。
 上品な女性と結婚した医師だったが、その上品さがどうにも堅苦しくて…。
 前半はクラシック音楽の権威主義が巧くくすぐりに使われており、後半はネオはめ物が大活躍。
 特に、ネオはめ物の部分のディスコミュニケーションぶりがおかしかった。

 さらに、大喜利も決行。
 今回は大喜利猛者がいないということもあり、三幸さんと天使さんが解答にまわり、解答ばかりか仕切りもお客さんが務めるという「総動員」体制。
 当方もネオキャクノセントラル以来久しぶりに俄か仕切りを仰せつかった次第。
(まあ、前には出ずには座布団の上に中腰になってではあったけれど)

 何が起こるかわからない。
 盛りだくさんのThe錦湯へ皆さんもぜひ!
 ああ、面白かった!!
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2017年06月06日

The錦湯 第5回

☆The錦湯 第5回 八斗ママ、プレゼンツ〜ママの人生相談のまま〜

 出演:桂ぽんぽ娘さん、月亭八斗さん、桂ちきんさん、月亭遊真さん、福上よしきさん
 大喜利出演:ゴハさん
(2017年6月5日20時開演/錦湯)


 5回目となるThe錦湯さんは、先週のアナウンス通り支配人の桂三幸さんがネタ探しの旅(?)のためお休み。
 変わって、出演者中最若手で副支配人の月亭遊真さんが差配仕切りを務めた。
 今回は、「八斗ママ、プレゼンツ〜ママの人生相談のまま〜」という副題が付いていたのだけれど、蓋を開ければ全く違った内容の会となっていた。
 しかも、こういう特別な日にかぎって産経新聞の記者さんが取材にやって来るというのだから、やっぱり世の中一筋縄ではいかない。

 定刻20時を少し過ぎたあたり、遊真さんに続いて、八斗さん、ちきんさん、福上さんが登場。
 スタートのトークから、ちきんさんと福上さんの留まるところを知らない掛け合いが席捲するなど今夜の波乱含みの展開を予感させる。

 で、ひとしきりトークを重ねたところで、福上さんが舞台へ。
 前回は自前のオフビートなネタを披露していたが、今回は伝統芸の一つ南京玉すだれに挑戦する。
 が、そこは福上さんだけに、何かがついている。
 必死のぱっち、でありながら、脱臼につぐ脱臼。
 オフビートな南京玉すだれに仕上がった。

 続いては、遊真さんが高座へ。
 何度もかけているネタで申し訳ないのだけれど、と断った上で、その代わり、江戸時代の時間区分(0時・24時=九つ云々といった)を丁寧に説明してから、本題の『時うどん』へ。
 先日、たまたま先代の小さんさんが演じる『時そば』をネットで耳にしたばかりだが、江戸の『時そば』が蘊蓄語りというか、一人語りの部分に重きを置いているとすれば、上方の『時うどん』は、一人のしぐさばかりでなく相手とのやり取りに面白さがあるのだなあ、と改めて思う。
 遊真さんの『時うどん』を聴くのはこれで何度目かだが、そうした登場人物のやり取りの部分が大切にされており、かつそれがしっかり笑いに繋がっていて愉しい。

 三番目は八斗さん。
 『時うどん』には以前嫌な思い出があって、と早速語り出す。
 漫才中心のあるライヴに出演した際、持ち時間が僅か2分しかないというのに、すでに『時うどん』を演じるとアナウンスがされている。
 さて、どうしたものかと思案した末に演じたのが高速『時うどん』。
 で、その高速『時うどん』を八斗さんはマクラ代わりに演じてみせた。
 本寸法の遊真さんの口演もしっかり「伏線」となって、いやあ笑った。
 さて、本題のほうは『厩火事』。
 今日も今日とて、仕事もせずにぐうたらしているこれぞまさしく髪結いの亭主と喧嘩した女は、世話焼きの男のもとへ愚痴をこぼしにやって来る。
 そんな女に男が入れ知恵したのは、亭主が自分のことをどう思っているのか試してみろということで…。
 といった具合のおなじみの古典である。
 八斗ママという惹句じゃないけれど、女性を演じることに愉しみ喜びを感じている八斗さんらしく、鼻にかかった声で演じる女房がまず肝。
 が、最後の最後に登場する亭主のちょっとした色悪ぶりもまた八斗さんの柄に合っていると思った。

 トリは、サプライズゲストの桂ぽんぽ娘さん。
 錦湯さんへの久しぶりの登場だ。
 マクラ代わりに、7月2日に祇園花月で開催される『桂ぽんぽ娘の京都ピンク花月〜第二夜〜』(桂楽珍さん、タナからイケダのお二人、遊真さん、そして日本エレキテル連合のお二人などの出演)の宣伝をしっかりやってから、本題の『ICOCCA(いこか)娘』を演じた。
 まさしく因縁のネタである。
 それをこの場でかけるというのがぽんぽ娘さんの真骨頂だろう。
 むろん、支配人が月亭太遊さんから三幸さんに変わったということも大きいだろうが。
 その内容も含めて、ぽんぽ娘さんの退かない姿勢が全面に押し出された高座だった。

 そのまま最後の大喜利に突入。
 遊真さんの仕切りで、お題に挑むといういつもの形式だったが、今回は前代未聞空前絶後の乱打戦。
 ちきんさんと福上さんの攪乱プレイあれば、八斗さんはお客さんに向けての解答を連発し、むろんのことぽんぽ娘さんは下ネタを繰り出す。
 遊真さんの奮闘と大喜利猛者のゴハさんの耐え忍ぶ姿も強く印象に残った大喜利だった。

 結局2時間半。
 何が起こるかわからないThe錦湯へ皆さんもぜひ!
 大喜利で、ゴハさんにいつものフレーズをとられたこともあって、今回の〆の言葉は以下の通り。
 ああ、物凄かった!!
posted by figarok492na at 00:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする