2018年10月16日

第48回座錦湯

☆第48回座錦湯

 出演:月亭遊真さん、桂三幸さん、月亭秀都さん、桂文路郎さん
(2018年10月15日19時開演/錦湯)


 ようやく秋めいてきた京この頃。
 48回目となる座錦湯は、月亭遊真さんの差配で、ゲストに二週続けての桂三幸さん、月亭秀都さん、桂文路郎さんを迎えた。

 定刻19時を少し過ぎたあたりで4人が登場し、師弟関係などについてトークを繰り広げ盛り上げる。

 で、頃合いのよいところで秀都さんが高座へ。
 季節からは少し外れたけれどまだなんとか間に合うだろうからと、桂雀三郎さんにつけてもらった『青菜』を演じる。
 おなじみの古典だが、秀都さんは基本は丹念かつ快活に進めつつ、ここぞというところでは顔や身体を大きく変化させて話を大きく造っていった。

 続いては、文路郎さん。
 天満天神繁昌亭近くの天神筋を歩いていると、休みの店のシャッターに「誠に勝手ながら○○のため休みます」といった貼り紙がされていることがあって…。
 と、マクラで語ってから自作の新作『誠に勝手ながら』に入った。
 激しい夫婦喧嘩をして家を飛び出した夫、お腹が空いたので何か食べようと商店街を歩くものの、どの店も「誠に勝手ながら…」と休業だらけで…。
 等身大というか、自然な語り口が妙にツボにはまった。
(途中、錦湯さんならではのアクシデントがあってその対応に追われてしまったのは残念)

 三席目は、遊真さんの『粗忽長屋』だ。
 これまたおなじみの古典だが、桂雀太さんにつけてもらったという遊真さんの口演は、じっくりためる部分があったり、強弱が通常以上にはっきりしていたりと、どこかハンス・クナッツパーツブッシュがウィーン・フィルを指揮した『ポピュラー・コンサート』<タワーレコード/DECCA>を思わせるような密度の濃い内容。
 終盤、死の気配も強かった。

 トリは、三幸さん。
 マクラは短めで、その代わりネオはめ物を駆使したR-1グランプリ用のネタを披露して笑いをとる。
 本題は、以前錦湯さんでもかけた『二つの未来』のBバージョン(で、いいのかな?)。
 ある会社の余興に落語家さんを呼んだまではよかったが…。
 といった展開の内容で、途中何度かスリリングな箇所もあったが三幸さん流のハンドルさばきで見事に乗り切った。

 最後は、四人の今後の会の告知で〆た。
 錦湯さんの会もいいけど、大きな小屋での会や違った顔触れの会にももっと足を運んでいけたらなと思った次第。

 と、今夜はたっぷり落語四席の座錦湯でした。
 ああ、面白かった!!

 そして、毎週月曜夜は皆さんも錦湯さんにぜひ!!
posted by figarok492na at 00:11| Comment(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年10月09日

第47回座錦湯

☆第47回座錦湯

 出演:桂三実さん、桂三幸さん、桂あおばさん
(2018年10月8日19時開演/錦湯)


 花巻滞在や体調不良といろいろあって、ここ3回足が遠のいていた錦湯さんだが、今夜は三連休の最終日とあってか、常連さんにリピーターさん、ご新規さんと30人以上のお客さんが集まって盛況も盛況の大盛況。
 実は今夜で4周年を迎えた錦湯さんでの落語の会を記念するに相応しい大入りだった。
(と言って、4周年4周年と取りたてて騒がないのも奥ゆかしい)

 47回目となる座錦湯は、桂三実さんの差配で、ゲストに二代目支配人の桂三幸さん、そして桂あおばさんとおなじみの面々が揃った。

 定刻19時頃に、お三人が登場し開演のトークですかさず盛り上げる。

 で、頃合いのよいところで三実さんが高座へ。
 まずは入門直前の7年前の大失恋のエピソードを涙涙に語って(ほんとかな???? 木綿のハンカチーフで涙をぬぐう前に眉を唾で濡らしそう……)大いに笑いをとってから、本題の『商活・栄町商店街野球部』に入る。
 ここはさびれにさびれた栄町商店街。
 これではならじと提案されたのは、商店街メンバーで草野球チームをつくって成果を挙げて、大きくメディアに取り上げられること!
 果たして、その思惑はかなうのか否か…。
 ヒットを細かく重ねるがごとくくすぐりが盛り込まれた、お師匠である桂文枝さんによる新作で、三実さんはテンポよく、けれど要所要所をきっちり押さえた丹念な高座できっちり笑いを生んでいた。

 続いては、あおばさん。
 メインとなったのは、最近友人と決行した九州までのヒッチハイク。
 そこで出会った人たちのエピソードを次から次と語っていくのだけれど、そのおかしさに笑いながら、堂に入ったマクラの語りぶりには、あおばさんのこの4年間の研鑽を強く感じたりもした。
 継続は力なり、と改めて痛感した次第。
 あおばさん、しばらくしたら大きく化けるかも。

 トリは、三幸さんだ。
 まずは、大好きなF1についてなど肩肘のはらない三幸流儀のマクラを繰り広げる。
 自分が語りたいことを自分が語りたいように語る。
 そのことにぶれない三幸さんが嬉しい。
 で、本題は自作の『二つの未来』。
 母校の高校に2週間の教育実習にやって来た門真太郎は、かつて自らが所属した軽音部の顧問も引き受けることとなるが、今や部員数は僅か4人に激減し…。
 といった具合の展開の作品で、お得意のネオはめ物=ボウズのスピーカーがここぞというところで効果を挙げている。
 自慢の歌声をあまり聞けなかったのは残念だけれど、まあこれは次回以降(もしくは別の場所で)のお愉しみということで!

 最後は、予告通り「あいうえお作文祭り」。
 大喜利などでよくやられるあいうえお作文を、三実さん、三幸さん、あおばさんばかりか、お客さんまで巻き込んでやってみようという錦湯さんならではの趣向だ。
 名回答が出ればよし、出なくったってなんとか回答しようともだえ苦しむさまもまたおかしい。
 お客さんの積極的な参加もあって、愉しいひとときとなった。

 と、今夜も盛りだくさんな内容でした。
 ああ、面白かった!!!

 そして、毎週月曜夜は5年目に突入した座錦湯へ皆さんもぜひ!!!
posted by figarok492na at 00:46| Comment(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年09月10日

第44回座錦湯

☆第44回座錦湯

 出演:桂小留さん、月亭天使さん
(2018年9月10日19時開演/錦湯)


 急に気温が下がって秋の気配を感じる京この頃、日中のどんよりとした空から月や星の見えるお天気となった今夜も座錦湯さんには常連さん(懐かしい顔も)、リピーターさん、ご新規さんが集まってなかなかの盛況。
 44回目となる座錦湯は、ビリートップ五人衆の桂小留さんが差配を務め、ゲストには月亭天使さんを迎えた。

 定刻19時になって小留さんと天使さんが登場し、トークを開始する。
 話題は先日大阪は生國魂神社の境内で開催された彦八まつりについて。
 小留さんや天使さん関連のブースやら、綱引き等々の出し物に関する話題で盛り上げる。
 流石は藝人落語家さんたち、話題に事欠かない。

 で、頃合いのよいところで小留さんが高座へ。
 上述の生國魂神社をはじめ関西各地に激しい被害を与えた台風21号に関してマクラで語る。
 なんとあの日、小留さんは出番のためにNGKに足を運んでいたとのこと…。
 あなおそろしや……。
 本題のほうは、奈良が舞台の『鹿政談』。
 奈良には、過って鹿を殺しても死罪、石子詰めの刑という重い重い決まりがあった。
 ところが、正直者で知られる豆腐屋の六兵衛さんがひょんなことから赤犬と間違えて鹿を殺してしまう…。
 そんな六兵衛さんを助けてやりたいと思ったお奉行様は…。
 といった展開のおなじみの古典だ。
 小留さんの『鹿政談』を聴くのは確かこれが二回目だけれど、丹念な筋運び。
 説明の部分もくすぐりを交えながら巧く処理していった。
 中でも、お奉行様と鹿奉行のやり取りが、やはり印象に残った。

 トリは、天使さん。
 マクラでは、大阪で体験したとある仕事の話について語る。
 で、本題は『佐々木政談』。
 天使さんも説明していたが、本来寄席や落語会では同系統・似たようなスタイルの噺はネタがつくといって避けるものなんだけれど、ここは錦湯さん、月亭太遊さんが支配人の時代からタブーなんて破ってなんぼの会である。
 試しの場でもあることゆえと、天使さんは断った上で噺に入った。
 大坂の西町奉行に新たに赴任した佐々木信濃守がお伴の者とともに市中を見回っていると、子供たちがお白洲遊びに興じている。
 中でも、奉行=自分の役を演じた男の子の利発さが気になった佐々木信濃守は、お伴の者にあとをつけさせる。
 といった具合に進んでいくお話で、肝は後半の奉行役の男の子四郎吉と佐々木信濃守のやり取り。
 頓智のきいた言葉を繰り広げる四郎吉だが、天使さんが演じるとこまっちゃくれた感じがしないで、すっと噺を聴いていることができた。

 で、最後は再びトークで〆た。

 今夜は政談物をたっぷり二席。
 ああ、面白かった!!

 そして、毎週月曜夜は座錦湯に皆さんもぜひ!!
(ちなみに、16日〜27日にかけて岩手県花巻市を訪問の予定のため、次回次々回は座錦湯を観に行くことができません。その点、ご容赦のほど!!)
posted by figarok492na at 22:59| Comment(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年09月04日

第43回座錦湯

☆第43回座錦湯

 出演・桂三実さん、月亭秀都さん
(2018年9月3日19時開演/錦湯)


 台風21号がじわじわと接近中の京都だが、今夜も錦湯さんには常連さん、リピーターさん、ご新規さんがバランスよく集まった。
 43回目となる座錦湯は、先週に続いて桂三実さんの差配、ゲストには鳥取県は三朝温泉での42日間の三朝寄席を終えたばかりの月亭秀都さんが迎えられた。

 定刻19時になったところで、まずは三実さんが登場。
 スタイリッシュな私服で登場した三実さんは、足元を強調。
 と、靴下を履いていない。
 錦湯さんでは初めて、一青窈か元ちとせ、中島美嘉といったスタイルでのぞんでみましたと決めてくる。
 で、前口上を一くさり。

 すぐさま秀都さんが高座へ。
 最後のトークが控えているのである程度抑えつつも、もともとヌード小屋だった会場のことをはじめ、三朝温泉・三朝寄席でのエピソードをマクラで語る。
 ちなみにあとのトークで触れられていたが、お子さん連れのお客さんが多かったこともあり、三朝寄席でかけるネタは『動物園』や『寿限無』、『時うどん』、『桃太郎』が上位を占めていたとのこと。
 そうした不満(?)を払拭する意味合いもあってだろう、今夜の一席目は三朝寄席では演じることのなかった『宿屋町』(「東の旅から」を秀都さんは演じた。
 おなじみお伊勢参りの二人連れ喜六清八が大津の宿を訪れて、宿屋の客引きにあった末、とある宿屋へ入っていく…。
 といった流れの話で、確かにお子さん相手には渋さも渋しの内容となっている。
 秀都さんは、上方流儀の太くて渋い声を活かしつつ、喜六や清八と宿屋の人々とのやり取りを快活に描いていった。

 二席目は、三実さん。
 土日に開催された彦八まつりでのエピソード(のど自慢に出演したが、残念受賞ならず…。ちなみに、寅さん風の格好をしながら加山雄三の歌を歌うというのが三実さんのネタだった!)で笑いをとったのち、本題の『宿題』に入る。
 塾で出た算数の宿題を教えて欲しいと息子にせがまれた父親だったが、その内容というのは池の周りに鶴と亀が集まるといった彼にとって意味不明、難解なもので(いわゆる「つるかめ算」というやつ)…。
 三実さんのお師匠桂文枝さんの三枝時代の新作落語である。
 臨機応変の細かいくすぐりは交えつつも、基本は丁寧丹念、三実さんの文枝さんへの敬愛の念を強く感じることのできる口演になっていた。

 トリは、再び登場の秀都さん。
 今度はよくかけているネタということで、『皿屋敷』を演じる。
 播州姫路の皿屋敷なるお化け屋敷を舞台にしたおなじみ古典であり、錦湯さんでもだいぶん前に秀都さんは演じたことがあるが、軽快な語り口や細かい表現の変化等々、三朝寄席ももちろん含むこの間の秀都さんの研鑽がよく窺えた。
 トリに相応しい高座だった。

 最後は、秀都さんの三朝トーク。
 鳥取県の中で三朝温泉がある中部地域の特色や、三朝温泉の特徴(美肌、美白といった外面的な効果ではなく、健康な体質づくりといった身体内部に効果のある温泉とのこと。観光中心より、癒し、保養の場所として訪れて欲しいとのことだ)などもそうだけど、やはり面白かったのは、歴代三朝寄席出演者のシークレットなエピソード。
 『新婚さんいらっしゃい』の文枝さんよろしく、引き出し役の三実さんがころげる一場面もあったのだけれど、内容が内容だけにここでは割愛します。
 ほかに、三実さんの洲本のいいとこ発信大使と秀都さんの三朝寄席との条件のあまりの違いに三実さんがびしびし突っ込みを入れていったところもおかしかった。

 と、今夜も盛りだくさんの座錦湯でした。
 ああ、面白かった!!

 そして、毎週月曜夜は皆さんも座錦湯にぜひ!!
posted by figarok492na at 00:30| Comment(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月27日

第42回座錦湯

☆第42回座錦湯

 出演:桂三実さん、桂三幸さん
(2018年8月27日19時開演/錦湯)


 まだまだ暑い京この頃だが、錦湯さんは冷房完備で無問題。
 常連さんやリピーターさん、ご新規さん(ふらっと立ち寄った男性三人組など)でけっこうな入りだった。

 42回目となる今夜の座錦湯は、ビリートップ五人衆のうち桂三実さんの差配で、二代目支配人である桂三幸さんをゲストに迎えた。
 が、前の仕事の都合で三幸さんは開演には間に合わず。

 そこで、三実さんが定刻19時とともに高座に上がった。
 まずは、暑さの中での仕事にまつわるエピソードをマクラで語ったのち、本題の『商売根問』に入る。
 あほな男が考え出した商売というのが、どれもこれも珍妙滑稽極まるもので…。
 といったおなじみの古典。
 三実さんは丹念にテンポよく演じ切った。

 続く二席目は、『ミュージック野菜ステーション』(?)。
 あの人気歌番組『ミュージックステーション』に野菜を織り込んでみたらという趣向の短めの新作で、次から次へと繰り出されるくすぐりに、三実さんのファニーさ、おかしみがよく表れていた。

 まだ三幸さんはやって来ない。
 ということで、三実さんは三席目に突入した。
 と、その前に、『彦八まつり』の宣伝を。
 当代文枝一門の売店は今年も豚キムチを扱うことになっているが、なんとその責任者の大役にあたっているのが三実さん。
 いろいろ苦労もあってと話すうち、ちょうどいないから言うけれど、三幸さんはなんやかやと用事があって、なかなか店のほうを手伝ってくれない…。
 などと話し終わったところでグッドタイミング、三幸さんがやって来た。
 ひと笑い起きたのち、三実さんが演じたのはこれまたおなじみ古典の『動物園』。
 基礎の部分はしっかり丁寧に。
 そして、そこに加えられたくすぐりもまたおかしかった。

 トリは、「待ってました!」三幸さん。
 久しぶりの錦湯さんになるが、そこは勝手知ったるホームグラウンド、慌てず騒がず泰然自若と三幸流儀のマクラで笑いをとる。
 本題は、新作『二つの未来』のBバージョン。
 ここまでの移動中に改作しあげたバージョンとのことだ。
 とある会社の社員が余興に呼んだのは、落語家だったが…。
 落語家あるあるもふんだんに盛り込んで、大いに笑いを生み出した。

 最後は、三実さんアレンジのゲームに挑戦!
 まずは、『三幸ガオガオ』から。
 物を順番にとっていくと、突然番犬がガオガオと唸ってびっくりするという、黒ひげ危機一髪のバリエーションのようなゲームをもとにしたもので、番犬役に三幸さんが扮する。
 見台に置かれたラムネに見立てた紙切れを一人一人がとっていくうち、目をつむった三幸さんが好き勝手に吠えるという趣向で、三実さんや女性のお客さんとともに当方も参加したが、なかなかスリリングでけっこう愉しめた。
 続いては、5秒で説明。
 三実さんが出す質問に、三幸さんが5秒程度でぱぱっと答えるもので、答える人の意識無意識の思考嗜好志向が即表れてしまうものである。
 ある問題を当方も振られたのだが、いやあ本音が出てしまった…。
 ラストは、ただいま精進中の三実さんの笛にあわせて三幸さんが『ふるさと』を歌うという歌謡ショー(?)
 三実さんの笛に対して三幸さんがあれこれと突っ込みを入れるあたりにも笑ってしまった。

 と、今夜も盛りだくさんな座錦湯でした。
 ああ、面白かった!!

 そして、毎週月曜夜は皆さんも座錦湯にぜひ!!
posted by figarok492na at 22:36| Comment(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月20日

第41回座錦湯

☆第41回座錦湯

 出演:笑福亭智丸さん、露の新幸さん、桂恩狸さん
(2018年8月20日19時開演/錦湯)


 先週風邪のためお休みして二週間ぶりとなる座錦湯は、第41回目。
 ビリートップ五人衆の一人笑福亭智丸さんを差配に、露の新幸さんとの「二人会」という形式で行われるはずだったが、ここに飛び入り、ではなく本来今回出演を希望していた桂恩狸さんが加わった。

 今回も19時開演。
 定刻とともに、恩狸さんが登場し、新幸さんが少し遅れていますので、今夜は自分が祇園花月の前説を錦湯さん風にやってみますと高らかに宣言し、前説を始める。
 開始早々、恩狸さんのパワーが全開だ。

 で、新幸さんの到着にあわせて、智丸さんを含めた三人のトークへ。
 ここで、上述した飛び入り騒動の顛末が恩狸さんの口から語られる。
 自ら語るが如く、実に大きな声で続けてパワー全開だ。

 と、頃合いを見計らったところで、まずは智丸さんが高座へ。
 先日の豪雨の際、ちょうど新横浜を訪れようと新幹線に乗って難儀したエピソードをマクラで語ってから、旅繋がりの本題「東の旅」から『七度狐』に入った。
 お伊勢参りの二人連れ、喜六と清八はひょんなことからひどい目にあったら七度も化けて相手に復讐するという七度狐に石をぶつけてしまう…。
 といったおなじみの展開。
 麦畑でまず騙されて、さらには庵寺でもまた騙される喜六と清八の姿を智丸さんは丁寧に描いていく。
 加えて、「深いか深いか」といったやり取りや金貸し婆などのチャーミングさは、「ちまちま」という智丸さんの愛称にぴったりだとも思った。

 二席目は、新幸さん。
 自分はスピンオフが嫌いとまずもって一言。
 どうやらスピンオフというのは『スターウォーズ』シリーズが契機らしいが、当たりに当たった一本目の前日譚をつくればそりゃお客さんも集まる、ずるいとさらに説を進める。
 ところで、本題として演じたのは「東の旅」の『煮売屋』、つまりは『七度狐』の前日譚ならぬ前段のお話である。
 新幸さんはメリハリがよく効いてテンポのよい高座。
 喜六と清八に対する煮売屋の親父の造形も印象に残った。

 そして、中トリは恩狸さん。
 ささっとマクラを切り上げて演じたのは、『船弁慶』。
 喜六の誘いにようやく乗って清八が重い腰を上げたところに戻って来たのは、すずめのお松、雷お松の異名を持つ怖ろしい妻お松だった…。
 といったおなじみ上方の古典。
 恩狸さんは当たるもの皆なぎ倒す勢い、息継ぐ暇を惜しむかの如くに語り続ける。
 まさに疾風怒濤の趣だ。
 とともに、金を出し惜しむ清八や口から生まれたかの如きやかまし屋のお松といった強烈なパーソナリティを持った登場人物と恩狸さんの柄がよくあっていたようにも思う。

 中入りを挟んで四席目は再び新幸さん。
 またも、スピンオフは嫌いと口にしたあと、『船弁慶』の前日譚とでも思っていただければと断って、『厩火事』を演じた。
 くすぐりどころもそうだけれど、妻が夫を想うところだとか、夫が妻を気遣うところとか、そういった人の心の細やかな部分がべたつかない形で浮かび上がっていたのではないか。
 茶碗を洗おうと突然言い出した嫁に動揺する、亭主の姿が中でも忘れがたい。

 トリは智丸さんで、22日(水曜日)の夜に動楽亭の「としごの会」でコントとして演じる予定の『謝り方指南』の前日譚にあたる新作(題名は「Like a Rolling Kyao!」)。
 かつて一世を風靡したピン芸人・二階堂メンゴだったが、今は鳴かず飛ばず。
 飲み屋で一人侘しい酒を飲んでいると、かつての人気ギャグ「メンゴ」をやれと馬鹿にされる始末。
 ここでも、チャーミングさとフラ、滑稽さが前面に押し出されていたが、一方で、途中からのぐにゃんと捻りが加わるような展開にも智丸さんらしさを覚えた。
 もちろん、藝や藝人に対する智丸さんの想いの一端も示されていた。

 と、落語がたっぷり五席。
 ああ、面白かった!!

 そして、毎週月曜夜は皆さんも座錦湯にぜひ!!
posted by figarok492na at 23:20| Comment(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月07日

第39回座錦湯

☆第39回座錦湯

 出演:桂文五郎さん、柳家かゑるさん
(2018年8月6日19時開演/錦湯)


 猛暑が続く京この頃だが、錦湯さんは冷房もばっちり効いて無問題。
 今夜は、常連さんやリピーターさんもだけど、落語好きと思しきご新規さんが集まっての盛況となった。
 39回目となる座錦湯は、支配人ビリートップ五人衆の一人桂文五郎さんの差配で、ゲストに東京(江戸)の落語家柳家かゑるさんを迎えた。
 かゑるさんといえば、錦湯さんでの会の長い常連さんならよくご存じ。
 会の創始者である月亭太遊さんのネオラクゴ『たまげほう』とネット動画で出会い、自らのネタにする許可を得たことがきっかけとなって、ここ錦湯さんの会にも出演することとなった落語家さんだ。

 定刻19時にお二人が登場。
 斜め向かいの工事の音がギーギーガーガーとけっこううるさいが、そこは根っからの芸人、それもきちんとネタにして笑いを生む。
 当然の如く、錦湯さんでの会などについて話をして盛り上げた。

 で、頃合いのよいところで、文五郎さんが高座へ。
 この間、ずっと京都が好きだと言ってきたがそれは大嘘。
 実は京都は嫌い。
 なぜなら自分は奈良の出身だから…。
 と、マクラで語ったのちに演じたのは、古典の『延陽伯』。
 嫁はどうかと男に甚兵衛はんが紹介したのは、見目麗しい女性。
 ただし、この女性、京都のお公家さんに奉公していたとかで言葉が相当わかりにくい…。
 といった具合の、京都風をちらと皮肉ったおなじみの古典である。
 文五郎さんは、基本はしっかり。
 丹念に演じつつ、ところどころ錦湯さん対応のくすぐり、メタ的志向をはめ込んでいた。

 続いては、かゑるさん。
 メガネをかけたままの高座で、『都々逸親子』をかける。
 息子から小学校で都々逸が流行っていると知らされた父親は、自分もかつては都々逸で鳴らしたんだと親子で都々逸の作り合いを始めるが…。
 もともとは今は亡き三代目の三遊亭圓右さん(つるっとした頭の落語家さん)の新作なんだけど、そこは今風にたっぷりアレンジされている。
 それでも、やはり都々逸が題材だけに、どこか昔懐かしい人情を感じたりもした。
 かゑるさんは高身長で体育会系的がっしりとした体格だけに、せせこましさを感じない口演だった。

 三席目は、再び文五郎さん。
 古典の文五郎さんだけど、今夜は自作の新作、それも来がけの電車の中で作ったほやほやの新作『ネオガンダム』をネタおろしした。
 おなじみ『ガンダム』のあるシーンを下敷きにしつつ、ここ錦湯さんだからこその展開の新作で、抱腹絶倒。
 大いに笑った。
 これ、再演はまずないだろうから、聴けてよかった!

 トリは、かゑるさん。
 紺屋で働く染物職人久蔵が恋焦がれたのは、花魁中の花魁三浦屋の高尾太夫。
 親方の言葉を信じて三年間働き詰めに働いた久蔵は、ようやく高尾太夫に会いに行く…。
 まさしくトリに相応しい、江戸の古典落語を代表する『紺屋高尾』だ。
 細かいくすぐりは入れつつも、かゑるさんは本寸法、しっかりじっくりと演じ上げた。
 特に、久蔵が自らの正体と真情を高尾太夫に明かすあたりの気の入り方が強く印象に残った。
(そういえば、かゑるさん演じる『たまげほう』の肝も、こうした真情の吐露にあるのだった)

 と、東西二人の落語家が古典新作をたっぷり演じた座錦湯でした。
 ああ、面白かった!!

 そして、終演後は本当に久方ぶりの打ち上げ(交流会)も開催されました。
 そうそう、これが錦湯さんでの会の恒例だったんだと懐かしさを覚えた次第。
posted by figarok492na at 01:04| Comment(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年07月30日

第38回座錦湯

☆第38回座錦湯

 出演:月亭遊真さん、桂りょうばさん、桂文路郎さん
(2018年7月30日19時開演/錦湯)


 台風一過。
 厳しい暑さは続いているものの、先週の猛暑よりはなんとかしのげるようになった京この頃。
 38回目となる座錦湯は、支配人のビリートップ五人衆の一人月亭遊真さんの差配で、2015年入門の落語家三人によるプチ同期会が開催された。
 ただし、今回は遊真さんに桂りょうばさんまでは同じだけれど、桂文路郎さんが前回の桂小きんさんに代わって出演していた。
 ちなみに、今夜はプチ同期会がお目当てのご新規さんやリピーターさんとお客さんも新鮮な顔触れが多く集まって重畳重畳。

 定刻19時に三人が登場し、トークをスタート。
 それぞれの入門や修業、年季明けといった話題で盛り上げる。

 で、頃合いのよいところで遊真さんが高座へ。
 季節が季節だけに、師匠月亭遊方さんがかつて体験した「背筋も凍るような」エピソードをマクラで語ってから本題の『犬の目』に入る。
 上方の古典落語ではもうおなじみの噺。
 遊真さんの口演もすでに接したことはあるが、筋運び、掛け合いの流れ等、この間の積み重ね・研鑽がよく表れていた。

 続いては、文路郎さん。
 マクラは、弟弟子たちのちょっと困ったエピソード。
 本題のほうは、師匠桂文枝さんの新作『お忘れ物承り所』だ。
 文枝一門が最初につけてもらうネタということで、ここ錦湯さんでも何度も取り上げられてきたが、文路郎さんはあえて田中真紀子の言葉を引用すれば「凡人、軍人、変人」のうちの「凡人」の趣である。
 芸人流儀の派手さではなく、昔の邦画の登場人物の如き淡々とした語り口が印象に残る。
 普通さに徹した文路郎さんの自作の新作を聴いてみたい。

 三席目は、すでに錦湯さんでもおなじみの一人となったりょうばさんだ。
 りょうばさんは、遊真さんのマクラを受けて、若き日にガソリンスタンドでバイトしていた頃体験した「背筋も凍るような」エピソードを口にする。
 そして、本題は『秘伝書』。
 怪しげなテキ屋から2000円で買った秘伝書だったが…。
 といった具合の、これまたおなじみの古典である。
 強弱のふり幅の大きいメリハリがくっきりとした口演で、りょうばさんは笑いを誘っていた。

 トリは、遊真さんの二席目。
 自分自身をはじめ、落語家仲間の酒にまつわる失敗譚を披瀝したのち、新ネタとなる『親子酒』をかけた。
 親が酒好きなら子も酒好き…。
 上方流儀だから、もちろんうどん屋のくだりも入っている。
 『犬の目』もそうだけれど、遊真さんの高座は陽性だなと改めて思う。
 声の張りがよく動きもダイナミックで、柄も大きい。
 錦湯さんだけではなく、大きめの小屋でも接してみたいなと感じた。
 むろん、細かい部分はきっちり細かく演じていることは言うまでもないけれど。

 最後は三人が再登場し、軽めのトークで〆た。

 と、今夜は落語がたっぷり演じられた座錦湯でした。
 ああ、面白かった!!
 そして、毎週月曜夜は皆さんも錦湯さんへぜひ!!
posted by figarok492na at 23:21| Comment(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年07月24日

第37回座錦湯

☆第37回座錦湯

 出演:桂小留さん、桂三実さん
(2018年7月23日19時半開演/錦湯)


 記録的な猛暑が続く今日この頃。
 おまけに祇園祭の後祭も重なったが、今夜も錦湯さんには常連さん、リピーターさん、ご新規さんが集まった。
 銭湯の休日を知らずにやって来たお客さんがそのまま落語を愉しんで帰るという一幕は、錦湯さんならではのことだろう。

 先々週が別のライヴ、先週が祇園祭の前祭の関係でお休みだったため、三週間ぶりとなる座錦湯だが、37回目となる今回は桂小留さんと桂三実さんのお二人が支配人を務める、ツートップ体制で送った。

 ちなみに今夜の開始は諸般の事情から19時半。
 まずは、小留さんと三実さんの軽快なトークで盛り上がる。

 で、頃合いのよいところで、三実さんが高座へ。
 師匠の桂文枝さん(が三枝さん時代)の新作『ピッカピカの一年生』を演じた。
 中学を卒業してからすぐに町工場で働き始めた父親も、今は社長に。
 そんな社長が息子と同じ高校の夜間部への進学を目指し…。
 といった展開のお話で、リアルな設定の中のここぞというところにあれこれとくすぐりが仕掛けられている。
 三実さんは丁寧な口演で、しっかりと笑いをとっていった。
 それにしても、文枝さんの新作には「教育」「学ぶこと」が主題になった作品が多いなと改めて感じた。

 続いては、トリとなる小留さん。
 最近好んで演じているという『酔っぱらい』(『上燗屋』の部分が終わり、『首提灯』のうち道具屋をなぶって仕込み杖を酔っぱらいが買うまで)をかける。
 男が上燗屋で酒に酔って上機嫌、上燗屋の主人をなぶった次は道具屋をなぶり出し…。
 という、おなじみの古典である。
 あえて『酔っぱらい』でサゲたことからもわかるように、小留さんの酔っぱらいぶりが肝となる高座だった。
 しかし、こんな酔っぱらいが隣にいたら、ほんとに迷惑だなあ…。

 最後は、大喜利を決行。
 ただし、今回は小留さん、三実さんが共にshowroom配信を行いながらという特別篇。
 showroomに集まった皆さんからお題に対する答えを求めるスタイルで、小留さんと三実さんが勝負を繰り広げた。
 結果は、錦湯さんのお客さんの拍手で小留さん(チーム)が勝利した。
 いやあ、こういうパターンもあるんやなと感心しきりである。

 と、今夜も盛りだくさんな座錦湯でした。
 ああ、面白かった!!
posted by figarok492na at 02:44| Comment(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年07月15日

百物語の館〜落語と怪談〜

☆百物語の館〜落語と怪談〜

 ゲスト:笑福亭笑利さん
(2018年7月15日15時開演の回/誓願寺2階講堂)


 38度を超す猛暑と祇園祭の宵々山の混雑の中、日本怪談研究と朗読公演の一座「百物語の館」を聴きに誓願寺まで足を運んだが、いやあやっぱり足を運んでよかったな。
 今回は「落語と怪談」のテーマの下、落語を下敷きにした怪談が朗読されるとともに、落語家の笑福亭笑利さんがゲスト出演し落語を一席披露していた。

 まずは、猫山絢子さんの読みで、『漆塗りの女』(『諸国百物語』より/堤蛇彦先生台本)。
 死んで遺言通り身体を漆塗りされた前妻が後妻に復讐していくという、いわゆる「後妻打ち(うわなりうち)」をテーマにした作品。
 猫山さんは感情を強く込めた読みで、前妻の言葉が印象に残る。
 余談だけれど、猫山さんの雰囲気やエロキューションにふと若き日の千石規子を思い出した。

 続いては、柚木琴音さんの読みで、『つんつんとんとん』(岡山での聞き取りを元にした作品/仙崎耕助さん台本)。
 女にとりつく男の話で、老婆が口にする岡山弁にインパクトがある。
 やり様によっては恐ろしさに満ちた作品になり、逆に内田百闢Iなおそろおかしい作品にもなるような展開だけれど、柚木さんは声で語るというか、淡々とした読みで聴かせた。
 つんつんとんとんつんとんとん、という部分が美しい。

 前半最後は、亀山笑子さんの読みで『牡丹灯籠』(『伽婢子』より/堤蛇彦先生台本)。
 おなじみ『牡丹灯籠』のお話。
 ただし、三遊亭圓朝作よりだいぶん前、江戸初期の頃に書かれたもので、京都の五条・万寿寺辺りが舞台となっている。
 亀山さんは堂に入って安定した読み。
 節度ある艶っぽさだ。

 短めの休憩を挟んで、後半は元締の堤先生、怪談研究者の井上ねくてぃさん、笑福亭笑利さんによるトークからスタートする。
 『牡丹灯籠』など、主に三遊亭圓朝の作品について語られていたが、圓朝のフィールドワークにも触れられていた点が興味深かった。

 そして、お待ちかねの笑利さんの高座である。
 照明を絞った会場の雰囲気にあわせ、笑利さんは低めの声で口演を始める。
 自己紹介を兼ねた吉本がらみのエピソードや小咄を怪談風に演じてしっかり笑いをとったのちの本題は、十八番の『鯉つかみ』。
 琵琶湖のほとりに宿をとった旅の男二人。
 そのうちの片方が美しい女に誘われたと喜び勇んで夜な夜な琵琶湖へと出かけたが、実はそれは…。
 というまさしく百物語の館にぴったりな設定の新作だ。
 錦湯さんでの初演時以来、すでに何度も接してきた噺だけれど、演じるごとに筋運びが練れてきているし、人形も「グレードアップ」してきている。
 しかも、笑利さんは場の雰囲気を巧くつかむことも忘れてはいない。
 大いに笑ってしまった。
 それとともに、笑利さんの落語そのものや師匠の笑福亭鶴笑さんに対する敬意の念、人との繋がりや場を共有することへの強い想いもよく窺えた。
 いずれにしても、着実に成果を上げている笑利さんの姿をこうやって目にすることができるのは本当に嬉しいかぎりである。

 続いて、黒川茜さんの読みで『破約の果てに』(古典落語『三年目』より/堤蛇彦先生台本)。
 病のために死にゆく妻に夫は、もし自分が再び妻をめとったら幽霊になって化けて出てきて欲しいと約束する。
 ところが、後妻を迎えても前妻は化けることはなく…。
 というおなじみのお話。
 語尾の切り方等も含め、黒川さんは抑制が効いた読みを披瀝していた。
 サゲも効果的。

 五話目は、三輪涼さんの読みで『紋三郎稲荷』(古典落語『紋三郎稲荷』より/戸田和代さん台本)。
 ふとしたことからお狐様と間違えられた侍は、これ幸いと周囲の間違いにのっかるが…。
 三輪さんは、地の部分の丁寧な読みと会話の滑稽さのバランスが上手くとれていた。
 特に、侍が自分のしてしまったことにはっと気づいてしまうあたりの、話の一瞬の変化が記憶に残る。

 トリは、高杉詩音さんの読みで『もう半分』(古典落語『もう半分』より/仙崎耕助さん台本)。
 一合の酒を半分ずつ、「もう半分、もう半分」と注文する常連の老人がある夜五十両もの大金を店に忘れていく。
 すぐさま取りに戻る老人。
 だが、店の主人は女房の言葉に従って、そんな金はなかったと白を切る…。
 これも古典落語の中ではおなじみの怪談、というより人間の業ががっと前面に押し出されたような陰惨な話だ。
 高杉さんは張りのある声で話を運びながら、老人、主人、女房もよく演じ分けていた。
 サゲの台詞も、本来の落語をよく踏まえたグロテスクな笑いとなっていたのではないか。

 と、盛りだくさんで存分に愉しみました。
 ああ、面白かった!!!
posted by figarok492na at 19:21| Comment(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月26日

笑福亭笑利落語会「水滴々」

☆笑福亭笑利落語会「水滴々」

(2018年6月26日19時半開演/恵文社一乗寺cottage)


 最近自作の歴史落語などで精力的な活動を繰り広げている笑福亭笑利さんが約1年ぶりに恵文社cottageで落語会を開催するというので、迷わず足を運んだ。

 昨日の大阪での会と同様、今回の題名は「水滴々」。
 高座に上がった笑利さんは、一滴の水も大河や海の水も、同じ水…、なあんて、といった具合にその由来を説明して笑いをとる。
 それから、お客さんとの関係や少しずつ進めている四国八十八か所のお遍路について、様々なエピソードなどを交えて笑わせながら語っていく。
 笑利さんの会は、本題の落語とともに、このトークの部分もまた愉しみなのだ。
 で、前半は昔話を落語に仕立て直した新作の『六助稲荷(いなり)』と、古典中の古典の『寿限無』の二席。
 『六助稲荷(いなり)』は丹後峰山の昔話を下敷きにした作品で、徳を積もうと狐の巣を掃除してやった六助だが、狐にとってはそれが大迷惑、しこたま仕返しされるという筋運びだ。
 実は、2015年5月10日に出町柳のかぜのねで開催された落語会でこの『六助稲荷(いなり)』には接しているのだけれど、この3年間の笑利さんの研鑽と核になる変わらない部分が同時にわかって、その意味でも非常に面白かった。
 一方、『寿限無』は今更言うまでもない噺。
 笑利さんは大きく手を加えることはしないものの、掛け合いの強弱やテンポの変化できちんと笑いを生んでいた。

 ちょっとした休憩を挟んだ後半は、歴史学者の磯田道史先生との出会いを語るトークから。
 そして、本題も磯田先生の『無私の日本人』の中の一篇を原作とした『穀田屋十三郎』。
 困窮にあえぐ陸奥国吉岡宿の住人穀田屋十三郎は、茶師菅原屋篤平治の知恵を借りて、仙台藩に金を貸し、その利息でなんとか吉岡宿の財政の立て直しを目論むのだが…。
 と、ここまで書けばお察しの方も少なくないかもしれないが、阿部サダヲ主演で映画化された『殿、利息でござる!』の元になったお話だ。
 そこは落語だから、くすぐりもふんだんに盛り込まれているものの、やはりこの作品の肝は十三郎たちがどうやって千両(五千貫)もの大金を用立てるかというところにある。
 そして、その他の新作やこれまでのトークと通じる、笑利さんの心根というか真情もよく表れていたと思う。
 磯田先生とのコンビネーションがどういった歴史落語を生み出していくのか、今後がますます愉しみで仕方ない。
 それにしても、やっぱり継続は力なりだなあ!

 以上、足を運んで大正解の会でした。
 ああ、面白かった!!
posted by figarok492na at 23:28| Comment(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月25日

第35回座錦湯

☆第35回座錦湯

 出演:桂文五郎さん、桂ぽんぽ娘さん
(2018年6月25日20時開演/錦湯)


 日中は夏真っ盛りとでも呼びたくなるような激しい暑さの京都だったが、夜になってようやく少しはしのげるようになったか。
 それに、今夜の錦湯さんは冷房稼働なので暑さに関しては無問題。
 常連さんやリピーターさんもだけれど、今夜はご新規さんが集まって大盛況。
 特に、女性のお客さんが多かった。

 大阪北部を震源とする強い地震の影響でお休みとなった座錦湯は、今回が第35回目。
 差配は桂文五郎さんが務め、ゲストには桂ぽんぽ娘が迎えられた。

 定刻20時過ぎ、文五郎さんの軽い挨拶ののち、ぽんぽ娘さんも登場して二人のトークで盛り上がる。
 ぽんぽ娘さんと文五郎さんと錦湯といえば、どうしても因縁深い取り合わせになるが、トークではそこら辺もしっかり説明され、笑いを生んでいた。
(ぽんぽ娘さんと文五郎さん、ではなく、当時支配人だった月亭太遊さんとぽんぽ娘さんの間でバトルが繰り広げられるという回が以前あったのだ。太遊さんの立場を慮りつつも、ぽんぽ娘さんが口にしたある指摘が、ああ、それはせやねんなあと思ったり…)

 で、頃合いのよいところで、文五郎さんが高座へ。
 ぽんぽ娘さんのピンク落語に対抗して、文五郎さんはエロ全開で臨む所存と冒頭のトークで宣言していたが、その前に先日の地震についてのエピソードをマクラで語る。
 と、そこから早速エロネタへ。
 性は生なり。
 本題は、文五郎さんの十八番『阿弥陀池』。
 だけれど、そこは今日の企画に合わせて、バレ噺風にアレンジしたバージョンを聴かせた。
 文五郎さんで聴くと、バレ噺がなんだか「おかかなしく」(by色川武大)で聴こえてくるのはなぜだろう。
 藝は人なり。

 続いて、ぽんぽ娘さんが高座へ。
 性の近況報告・身辺報告を行いつつ、きちんと(男性)客に釘を刺したマクラののち、ピンク落語の新作を二つ演じた。
 いずれも、AV男優の一徹さん(よしもと祇園花月で7月21日19時開演の「桂ぽんぽ娘の京都ピンク花月〜第四夜〜」で共演予定。ほかに、作家の花房観音さんなども出演/前売り2000円/R18)を知ってから作った作品だそうで、一つ目はインポテンツの男性、二つ目は童貞の男性が主題となった作品だ。
 もうそれだけで相当シュートなネタということがわかるんだけど、じゃあこれが単なる下ネタ全開のお下劣お下種な内容かというとさに非ず。
 笑いをまぶしながら男性の身勝手な言動や思い込みが痛烈に描かれていて、大いに愉しみながらもいろいろと考えさせられる。
 ぶれないぽんぽ娘さんの本領発揮だった。

 トリは、文五郎さん。
 女性の視点によるぽんぽ娘さんに対して、文五郎さんは若き日のほろ苦い想い出を吐露(?)した上で、本題の『故郷に錦』に入った。
 気鬱の病、ぶらぶら病にかかった男に尋ねたところ、実は恋の病、しかも恋した相手が実の母親で…。
 という、まさしく突拍子もない、というか一筋縄ではいかない古典だ。
 文五郎さんは上方流儀ではなく、よりはっきりと二人の関係を見せる形で演じて、この噺の妖しげな部分も際立たせていた。

 と、今夜も盛りだくさんの座錦湯でした。
 こうして、差配の落語家さんごとにバラエティに富んだ企画が催されるのは嬉しいかぎりです。
 ああ、面白かった!!
 そして、毎週月曜20時は錦湯さんへ皆さんもぜひ!!
posted by figarok492na at 23:53| Comment(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月12日

第34回座錦湯

☆第34回座錦湯

 出演:桂三実さん、桂三語さん、桂文路郎さん
(2018年6月11日20時開演/座錦湯)


 夕方頃まで降り続いた雨も夜にはやんで、今夜も錦湯さんには常連さん、リピーターさんとなかなかのお客さんが集まった。

 34回目となる座錦湯は先週に続いて、ビリートップ5人衆の一人桂三実さんが差配を務め、ゲストに初登場となる桂三語さん、桂文路郎さんの二人を迎えた。
 って、三人共に当代の桂文枝さんのお弟子さんではないか。
 ということで、今回はプチ一門会の趣となった。

 定刻20時頃、まずは三実さんの口上に始まり、三語さん、文路郎さんが登場。
 自己紹介も兼ねた冒頭のトークで会場を盛り上げる。
 加えて、このトークで三人の個性や師匠文枝さんとの関係性もなんとなく判断がついていく。

 で、頃合いのよいところで、文路郎さんが高座へ。
 今日京都に来て目にしたことなどを皮切りに、ペットとの想い出などをマクラで語って本題の『猫すねちゃった』に入る。
 師匠文枝さん(三枝時代)の新作で、おとぎ話の桃太郎の世界を下敷きに、見事桃太郎の御伴に選ばれた犬とそうはならなかった猫の掛け合いが物語の中心となっている。
 文路郎さんは34歳というが(冒頭のトークで判明)、初々しい語り口。
 人柄がよく表れた口演だった。

 続いては、三実さんが登場。
 「満を持して」と宣言した上で演じたのは、おなじみの『時うどん』。
 前回の座錦湯に来られた方ならもうおわかりだろう。
 『帰り道に卵かけごはんが食べたくなる落語』は、この『時うどん』のための大いなるマクラ、伏線だったのだ!!(って、大袈裟な…)
 三実さん曰く、教わって下ろしてすぐなので型に副って演じているそうだけれど、昨日のアルテミス・カルテットの演奏じゃないが、強弱の取り方、間合い、アクセントの置き方等々の違いに、三実さんの特性、フラがよく出ていておかしい。
 これで独自のくすぐりなんて加わったら。
 想像するだに愉しみだなあ。

 トリは、三語さん。
 冒頭のトークではサッカー好きと話したけれど、それに加えて相撲も好き。
 というマクラにおやと思っていたら、そこはトリだけに軽い噺でお茶は濁さず『花筏』を選ぶ。
 親方の頼みで、大関花筏の身代わりとして高砂での巡業に参加した提灯職人の徳さんだったが、どうしたことか地元の強豪素人力士千鳥が浜と勝負をしなければならなくなって…。
 張りがあって渋めの声、これぞ上方落語の落語家といった口舌で、三語さんはたっぷりと語り切った。

 最後は、「オレの修行中はこうだった!」トークを決行。
 一門の三人が揃ったんだもの、ここは修行中のエピソードを語り合おうということで、三実さんが用意したお題に従って、トークを繰り広げた。
 「文枝師匠の気持ちをアップさせるには?」、「(他の二人は)ここがずるい」といったお題への答えに、三語さん、三実さん、文路郎さんの人柄はもちろんのこと、文枝師匠その人の人柄も浮かび上がっていたのではないだろうか。
 もちろん、文枝師匠への三人の想いが伝わってきたことは言うまでもない。

 と、今回も盛りだくさんでした。
 ああ、面白かった!!
 そして、毎週月曜20時は皆さんも座錦湯へぜひ!!
posted by figarok492na at 00:48| Comment(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月04日

第33回座錦湯

☆第33回座錦湯

 出演:桂三実さん、桂三幸さん、桂ちきんさん
(2018年6月4日20時開演/錦湯)


 まだ6月に入ったばかりというのに、夏同然のむわむわとした暑さに包まれる京この頃だが、今夜も錦湯さんには常連さん、リピーターさん、ご新規さんと幅広いお客さんが多く集まった。
 33回目となる座錦湯は、支配人ビリートップ5人衆のうち桂三実さんの差配で、二代目支配人桂三幸さんに、おなじみ桂ちきんさんがゲストとして迎えられた。

 定刻20時頃、三実さんが前口上を行ったのち、三幸さん、ちきんさんが登場。
 後半の「お茶子でボケようグランプリ」に関する説明なども含めたトークで盛り上がる。

 頃合いのよいところで、じゃんけんに勝ったものの希望順で三実さんが高座へ。
 錦湯さんでの三実さんといえば、まずは一出演一挑戦。
 ということで、今夜は現在修業中の笛を使ったネタを披露したが、いつもの如く着想の妙というか、思わず笑ってしまう。
 で、本題は新作の『帰り道に卵かけごはんが食べたくなる落語』。
 『時そば』など、食べ物が出るいい落語を聴いたあとはついついその食べ物を食べたくなってしまうもの。
 そこで三実さんが選んだのは、なんと卵かけごはん。
 卵かけごはんにちなんだくすぐりやうんちくと細やかな目配りも嬉しいが、途中で話がひゅっと横に逸れるような変化ぶりもおかしい。
 三実さんの新作は要注目だ。

 続いては、ちきんさん。
 今年で10年目、いろいろ古典のネタも持っているけれど、このあと三幸さんの出番なので遠慮してと、「あえて」断ってから新作の『初恋のブダペスト』に入る。
 『初恋のブダペスト』。
 まるで1970年代末から1980年代にかけて撮影された大人の恋愛を主題にした邦画みたいなタイトルだが、実は筋とは全く関係なし。
 自分が芸能プロデュースを引き受けたらどんな感じになるだろう、といった落語家の幕内をテーマにした作品で、三実さんのネタや冒頭のトークその他がふんだんに盛り込まれていく。
 最後は、わあわあ言うておりますというおなじみのフレーズで高座を下りた。

 トリは、三幸さんが古典の『狸賽』を演じた。
 恩を受けた子狸が、男のためにサイコロに化けて博打勝負に挑むというおなじみの噺である。
 三幸さんは、快活なテンポで進めていったが、あれ、いつも耳にする『狸賽』と比べると、なんだか話がスマートというか洗練されているな、またそれが三幸さんの雰囲気にあっているなと思っていたら、あとで桂九雀さんからのものだと本人から説明があった。
 なるほど、そういうことか。
 それにしても、同じ古典といえど演じ方は十人十色千差万別なのだなあと改めて思う。

 そして、後半はお待ちかね三実さん提案の「お茶子でボケようグランプリ」。
 落語会では、座布団を裏返したり、見台(膝隠し)を用意したり、めくりを捲ったりとお茶子さんが大いに活躍する。
 そんなお茶子さんに三実さん、ちきんさん、三幸さんが扮して、いろんなボケをかましてみせようという趣向だ。
 新作落語同様変化球勝負、あの手この手の三実さん、錦湯さんにある小物を使ってやたけた必死のぱっちで目まぐるしいちきんさん、グリーンにきっちり寄せて行く三幸さんと三者三様のボケっぷりで、愉しいひとときだった。

 と、今夜も盛りだくさんの座錦湯でした。
 ああ、面白かった!!
 そして、毎週月曜20時は皆さん錦湯さんにぜひ!!
(来週も三実さんが差配の予定とのことです。お愉しみに!!)
posted by figarok492na at 23:44| Comment(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月29日

第32回座錦湯

☆第32回座錦湯

 出演:笑福亭智丸さん、オダウエダ
(2018年5月28日20時開演/座錦湯)


 なんだか夏みたいな暑さが続く京この頃だが、今夜の錦湯さんには常連さん、リピーターさん、ご新規さんと幅広いお客さんが集まってまずは重畳重畳。
 第32回目の座錦湯は、ビリートップに支配人が移行して初めて笑福亭智丸さんが差配を務め、現在東京で活動を行っているオダウエダのお二人をゲストに迎えた。
 その名もずばり「笑福亭智丸×オダウエダ三人会」。
 ちなみに、オダウエダは小田結希さん(背が高め。小保方さんをちょっとしゅっとさせたような感じで、清楚でおっとり、天然も少し混じってますてな具合)と植田紫帆さん(雰囲気は桂ぽんぽ娘さん、そこに未知やすえさんのしゃきしゃきっとした感じが加わったよう)の女性二人組で、智丸さんと植田さんは大阪芸大の落研で田舎家君吉(くんきち)と田舎家南果(ぱいん)と田舎家の名前を分け合った先輩後輩関係にある。

 定刻20時頃に三人が登場し、まずは自己紹介を兼ねたトークで盛り上げる。
 で、頃合いのよいところで、智丸さんが高座へ。
 落語三席、コント三本ということもあり、前座代わりにおなじみ『十徳』から演じる。
 男が十徳を騙し借りするまでを演じるなど丹念な口演で、小気味よい笑いを生んだ。

 と、以降智丸さん、オダウエダのお二人で出番は続くのだけれど、ネタの関係もあり智丸さんの二席について書いていく。
 二席目は、桂米輝さんのネタにアレンジを加えた『カフェ役者』。
 とある劇団に所属する役者だったが、どうも前日に口にした飲み物に自分の演技を引きずられるようで…。
 といった展開のネタで、その引きずられぶりの積み重ねがどうにもおかしい。
 智丸さんのキュートな感じも話にぴったりだった。

 三席目は智丸さんの新作ネタおろし『ごろごろ(ゴロゴロ)』だ。
 ニートの中のニート、日がな一日ごろごろごろごろしてばかり。
 ところがそんな男を必要とする人物が現れて…。
 という風に筋はごろごろと転がっていく。
 智丸さんらしい良い意味での「荒唐無稽」な跳躍展開が肝の作品で、今夜は錦湯の狭い高座を見事に活用していた。
 広い高座ならば、なお栄える作品と聴いた見た笑った!!

 一方、オダウエダのコントは、冒頭のトークでバッファロー吾郎さんの名前が出たことからも明らかな通り(智丸さんからは、リットン調査団さんからの流れとの言葉もあり)、一捻りも二捻りもある内容となっている。
 あえて詳しくは記さないが、小田さんのすっとぼけた感じを植田さんが〆るというか、独特の間合いの掛け合いで、智丸さんの新作落語にも通じるシュールさとアナーキーさを兼ね備えていて、ついつい笑ってしまった。
 そうそう、小道具がまたこっていたんだ。

 そして、今夜は大喜利も決行。
 植田さんの仕切りで、智丸さん、小田さん、同じ大阪芸大落研仲間の講談の旭堂南遊さんに、久方ぶりに集まった大喜利猛者の貯蓄アンドザシティさん、あふろだんぺ〜さん、ゴハさん、さらにはシェンロンや廣瀬信輔君も客席から解答に加わるなど賑やかに進む。
 さらには、智丸さん考案の顔大喜利(用意したお題に副って、オールスター感謝祭のCM前の顔芸を行うというもの)に、智丸さん、オダウエダのお二人、南遊さんが挑戦するという長めのおまけも!

 と、いつもとは毛色が大きく違った座錦湯でした。
 アナーキーな座錦湯もまたよきかな!!
 ああ、面白かった!!

 毎週月曜20時は、何が起こるかわからない座錦湯へ皆さんもぜひ!!
posted by figarok492na at 00:04| Comment(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月22日

第31回座錦湯

☆第31回座錦湯

 出演:桂文五郎さん、月亭天使さん、林家染八さん
(2018年5月21日20時開演/錦湯)


 日中はひとまず置くとして、暑過ぎず寒過ぎず、ようやくほどよい加減の京この頃。
 今夜の錦湯さんには、常連さんやリピーターさん、ご新規さんとバランスよい顔触れのお客さんが集まった。
 31回目となる座錦湯は、支配人であるビリートップ五人衆のうち桂文五郎さんが差配を務め、お久しぶりとなる月亭天使さんにおなじみ林家染八さんがゲストに迎えられた。

 定刻20時になって三人が颯爽と登場し、冒頭のトークを始める。
 が、この時季の腐ったウーロン茶は危険です、と文五郎さんが呼びかける。
 なんと文五郎さん、酔った勢いで明らかに危ない紙パックのウーロン茶を飲んで、非常に大変な目にあったとのこと。
 で、すかさず染八さんがネタがつくと指摘。
 詳しくは、後述の感想をご参照くださいませ。

 と、頃よくあたたまったところで、ジャンケンに勝ったもんの希望順で文五郎さんが高座へ。
 マクラでは、文五郎さんの「ドメスティック」な近況報告についつい笑ってしまう。
 本題は、『新版牛ほめ』。
 文五郎さんの努力のあとがしっかり刻印されており、思わずぐっと心に迫ってきた。
 落語は奥が深いや。

 続いては、天使さんが登場。
 噺の笑いの構図を説明したり、錦湯の「舞台」を広く利用する旨断ってから、ネタおろしとなる本題の『浮かれの屑より』に入る。
 居候中の男、ちょっとは働きなさいと、長屋の空き家に置かれた紙屑のより分けを任されたものの、間の悪い(良い?)ことに隣は稽古屋。
 思わず、屑よりがお留守になって…。
 『紙屑屋』の別名でも知られる上方ではおなじみの古典の一つで、先代文枝さんが特に得意にしていた。
 テンポよく掛け合いを重ねたのちが、この噺の肝。
 天使さんは録音された音源を駆使しつつ、狭めの高座から床に下りて居候の浮かれぶり、踊りぶりを熱演した。
 演劇経験者ということもあって、入れ子構造のこのネタはそれこそ天使さんの十八番になるのではないか。

 トリは、染八さんだ。
 こちらも、新ネタの『ちしゃ医者』。
 あえて詳細は語らぬが、上方落語界のキューバのカストロ議長ならぬバキューのスカトロ議長とでも呼ぶべきまさしく尾籠なネタだ。
 けれど、そこをどう演じ切るかが問われるわけで、結果ハイブロウなネタともいえる。
 染八さんは丁寧快活にやり取りを重ねたのち、ここぞというところでフォルテッシモを決める「落語は爆発だ!」といったタイプの口演で、中でも終盤の爆発ぶり、叫びっぷりが大きな笑いを生んでいた。

 最後は、三人のトークで〆た。
(終演後、天使さんより、期間中に天使さんと桂米紫さんの落語界も開催される龍谷ミュージアムの「お釈迦さんワールド」展の招待券をいただいた。多謝!!)

 と、今夜も盛りだくさんな座錦湯でした。
 ああ、面白かった!!
posted by figarok492na at 00:23| Comment(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月15日

第30回座錦湯

☆第30回座錦湯

 出演:桂三実さん、月亭八斗さん、笑福亭笑利さん、桂りょうばさん
(2018年5月14日20時開演/錦湯)


 寒暖の差がようやく落ち着いて5月らしさを感じる京この頃。
 今回の座錦湯は、「洲本のいいとこ発信大使スペシャル」と題して支配人の桂三実さん(二代目)をはじめ、おなじみ月亭八斗さん(初代)、お久しぶりの笑福亭笑利さん(三代目)の兵庫県洲本市(淡路島)のいいとこ発信大使三人が顔を揃え、さらには桂りょうばさんも加わるという30回目に相応しい豪華版。
 そんな30回目にこれまた相応しく、客席にも常連さん、リピーターさん、ご新規さんと幅広いお客さんが大勢集まった。

 定刻20時過ぎ、洲本のいいとこ発信大使の法被を身に纏った三実さんが軽く口上を述べたあと、ゲストの3人が登場。
 洲本のいいとこ大使とはなんぞやといった話題でトークを盛り上げる。

 で、頃合いのよいところで、三実さんが高座へ。
 錦湯さんでは毎回何か工夫をこらしたネタを披露する三実さん、今回は『ドラえもん』のジャイアンのリサイタル(あまりの下手さに皆が悶絶するというおなじみ)を落語に置き換えたらどうなるか、と小咄を実演。
 見事な変化球で笑いのストライクをとった。
 本題は、古典の『松山鏡』をかける。
 三実さんの『松山鏡』は二度目だけれど、今夜は途中一箇所ある現代語を挟んでみますと断りが入ったバージョンだ。
 この間の三実さんの研鑽経験とともに、落語への取り組み方、姿勢もよくわかる口演となっていた。
 と、こう書くと小難しくとらえる向きもあるかもしれないが、そこは一筋縄ではいかない(?)三実さん、ここぞというところで笑いをとっていた。
 四人の出演者共通の「洲本や洲本のいいとこ発信大使に関係するネタを盛り込む」という課題も、予告した現代語もそれぞれすとんと決まり、空振り三振!

 続いては、りょうばさんが登場。
 実は、今週末の独演会に新ネタを披露する予定で、きちんと上がりはしたのだけれど、ぜひ客前で一度試しておきたい。
 ということで、この錦湯さんを思い出したとまずもって語る。
 で、人生とは偶然(たまたま生まれて)と必然(必ず死ぬ)の間という死生観を口にしてから、本題の『片棒』に入った。
 しぶちんケチでのし上がった伊勢屋さん、人生も晩年を迎え、三人の息子を前にして、自分が亡くなったときはどういう葬式を出すのかと一人一人尋ね始めたが…。
 相手が三人の娘でシリアスな内容なれば、まさしくシェイクスピアの『リア王』の煉獄における悲劇ということになるが、そこは落語の世界。
 三者三様、無茶苦茶を言い募る。
 りょうばさんは筋そのものはもちろんのこと、くすぐりもオーソドックスな線に則りつつ、間の取り方や、掛け合いの強弱など、マクラで語った言葉を想起させるような色づけも試していたのではないか。
 共通の課題もしっかりクリアした。
 ご都合よろしい方は、5月19日(土曜)に動楽亭で開催予定の『第3回 動楽亭のりょうば』(18時半開演、予約1500円、当日2000円)にぜひ!!
(ある意味「ゲネプロ」代わりに錦湯さんでの会を落語家さんに利用してもらうというのは、投げ銭制で毎回愉しませていただいてる客としては、大いに首肯のいくところだ。それと、新支配人のビリートップの皆さんにも、月亭太遊さんから始まったこれまでの形式に無理にとらわれず、自分の勉強会代わりにするとか、落語以外の出し物に挑むとか、素人の友人でもいいし、芸人さん以外のゲストを呼ぶとか、「好き勝手」にやっていただければと切に願ったりもする)

 三人目となる笑利さんは、「母の日の翌日というのに、父が死ぬ話が二つも…」とジャブをかました上で、洲本のいいとこ発信大使のエピソードを。
 といっても、短期間の大使に留まった笑利さんの体験がまあ、ああ、それはまあと思える内容で、ついつい笑ってしまう。
 で、「古典か新作どちらがいいですか」とお客さんに振って、「新作で」という返事があったのに、あえて古典をやるというルーティンから本題の『道具屋』へ。
 『道具屋』といえば、先週月亭遊真さんが演じたばかりだが、同じ噺でも演じ手が変われば受ける印象も大きく変わるということで、笑利さんは速いテンポではなから攻めの高座。
 が、途中共通の課題を盛り込んだあたりで、アクシデント発生(最後のトークで、どうやらゲシュタルトの崩壊を起こした旨、説明していた)。
 けれど、肉を切らして骨を切り、骨を切らして髄を切りと、まるで萬屋錦之助演じる柳生宗矩もかくやと思わせる省略の切り返しで抱腹絶倒、大きな笑いを掴んでいた。
 もちろんそこには芸人としての対処の素早さもあるだろうけれど、同時に笑利さんのお客さんとともに場をつくる力も小さくないのではないかと思ったりもした。

 トリは、八斗さん。
 まずは、錦湯さんで披露して好評を博した「マッハ時うどん」の続編、「マッハたちぎれ線香」に挑む。
 えっ、あの涙なくしては聴き終えられない『たちぎれ』をマッハでやるの…。
 という不安もなんのその、超スピードの神業でマッハたちぎれ線香を演じ終えた。
 そして、本題も『まんじゅうこわい』ならぬ『ドラゴンボールこわい』!
 どんぴしゃの世代であるものの、実は『ドラゴンボール』って詳しくないな、とは丸山交通公園ワンマンショーの感想で記したところだが、あのあとwikiっておいて正解だった。
 ドラゴンボールの世界に置き換えられた『まんじゅうこわい』の相関関係がよくわかる。
 お得意のフリーザ(中尾隆聖!)をはじめ、物真似も挟まれたりして、ファンにはこたえられない改作に仕上がっていた。
 もちろん、共通の課題も織り込みずみ。

 最後は、りょうばさんの仕切りで、三実さん、八斗さん、笑利さんが洲本のいいとこ発信大使の思い出話を繰り広げていた。
 三実さん、笑利さんのエピソードに笑いつつ、現代版蟹工船とでも呼びたくなるような八斗さんのある日のいいとこ発信大使ぶりには胸を揺さぶられた(?)。
 そうそう、りょうばさんは仕切りになれているなあと改めて思ったんだった。

 と、今夜も盛りだくさんな座錦湯でした。
 ああ、面白かった!!!
 毎週月曜夜は、座錦湯へ皆さんもぜひ!!
posted by figarok492na at 01:21| Comment(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月08日

第29回座錦湯

☆第29回座錦湯

 出演:月亭遊真さん、桂白鹿さん、露の新幸さん
(2018年5月7日20時開演/錦湯)


 世はゴールデンウイーク明け。
 おまけに雨降りと、正直芳しからぬ状況だったが、今夜も錦湯さんには常連さんにリピーターさん、ご新規さんとお客さんが集まり、なかなかの入り。

 29回目となる今回は月亭遊真さんが差配を務め、桂白鹿さん、露の新幸さんの二人がゲストに招かれた。

 定刻20時頃に三人が登場し、まずは錦湯さんでの会への出演など自己紹介を兼ねたトークから。
 さらに話題は、上方落語協会の会長選挙について。
 何せ白鹿さんはアンチ現会長派の急先鋒として昨今何かと話題の桂文鹿さんのお弟子さんだから、そこら辺の話題などについてもきっちり踏み込みつつ、若手噺家の立場に則ったおしゃべりを繰り広げて盛り上げた。

 で、じゃんけんで勝ったもんの順番ということで、本来は入門が一番早い白鹿さんから高座へ。
 白鹿さんはすでに錦湯さんに一度登場しているのだけれど、あいにくその回はこちらが足を運べていなかった(その際のエピソードに関しては、冒頭のトークで白鹿さんがしっかり語ってくれた)ので、生の高座に接するのは今夜が初めて。
 師匠文鹿さんとのエピソードをマクラで語って笑わせてから、本題の『色事根問』を演じる。
 もてる男の条件について、それこそこれっぽっちももてなさそうな男があれこれ訊いていくというおなじみの古典だが、テルマエ・ロマエ風の偉丈夫な白鹿さんは上方の落語家さんとしてはオーソドックスな語り口でまずは丹念に掛け合いを重ねていく。
 そして、大事な部分では音量をぐっと強め、テンポをきっと速める。
 その強弱の塩梅も効いて、くすぐりをはじめここぞというところで笑いを生んでいた。

 続いて、登場したのは新幸さん。
 こちらも、マクラでは師匠の露の新治さんについて触れる。
 とあることからお師匠さんの人となりについては知っていることもあって、実におかしい。
 さらに、自分がどのような具合にネタの稽古をつけてもらっているか、そしてこれから演じるのは非日常の世界を経験してきた者が登場人物である旨を説明した上で、本題に入る。
 どこぞでたっぷり愉しんできた男が二人、胴間声張り上げて馬鹿なやり取りを繰り返している。
 と、お腹が空いてきた、だったらうどんを喰おうやないか…。
 これはもうおなじみ『時うどん』。
 ただし、新幸さんがつけてもらった『時うどん』はそんじょそこらの『時うどん』とはわかが違う。
 この人を見よ!
 ならぬ、この高座を見よ!
 とばかりに、とばすとばす、叫ぶ叫ぶ。
 その有り様はうどん屋の親父ならずとも、キ××イと思うだろうクレージーさで、お客さんがわきにわいた。
 途中、高座外のアクシデントもあったが、そこは緊張と緩和、巧くやり過ごした。

 トリは、遊真さん。
 遊真さんもまた師匠の月亭遊方さんのエピソードをマクラで語ったのち、本題に。
 あほな男が道具屋を始めるという古典中の古典『道具屋』で、要所急所を押さえた快活な語り口は、うどんはうどんでも香辛料も具もたっぷりのメインディッシュのうどんのあとだと、お茶漬けさらさらといった感じであっさりとした滑稽さが引き立った。

 と、今夜も充実した座錦湯でした。
 ああ、面白かった!!

 そして、毎週月曜20時は錦湯さんに皆さんもぜひ!!
posted by figarok492na at 01:19| Comment(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月01日

第28回座錦湯

☆第28回座錦湯

 出演:桂小留さん、林家染八さん、月亭秀都さん
(2018年4月30日20時開演/錦湯)


 昭和の日の振り替え休日。
 世はゴールデンウイーク真っ盛り。
 そんな中、錦湯さんには常連さんやリピーターさんが集まって、今夜もなかなかの入りだった。

 ビリートップの面々が持ち回りで支配人を務める座錦湯も、今回でもう5回目。
 今週はお昼に今出川近辺のスターエッグスで「たまごのらくご」を終えたばかりの桂小留さんの差配で、同じく「たまごのらくご」に出演した月亭秀都さん、そして林家染八さんが顔を揃えた。
 実はこの三人、上方落語協会の野球部・モッチャリーズの花形(?)メンバーなのだった。
 冒頭のトークもそのモッチャリーズ、ではなく先ごろ笑福亭仁智さんの当選で終わった上方落語協会の会長選挙の話題から。
 桂吉弥さんもABCのラジオでちらちら内情を語っていたが、ここは錦湯、さらに踏み込んで…、もちろん隠(画)すべきところはきちんとそうしつつ、大きな笑いを生んでいた。

 で、頃合いのよいところでじゃんけんの勝ったものの希望順にそって秀都さんが高座へ。
 高校時代野球部に入ってはいたが…、とモッチャリーズ関連のエピソードなどをおかしくマクラで語ったのち、本題の『千早振る』に入る。
 百人一首の「ちはやふる神代もきかず竜田川からくれなゐに水くくるとは」という在原業平の歌の意味を尋ねられた町内で物知りと評判の男、知らないなどとは言い出せず、とうとう口から出まかせを…。
 といった具合のおなじみの古典で、二人の男のやり取りをしわぶき声というか渋みの入った声でテンポよく語っていく。
 肝はもちろん、男が平然と出まかせを言い立てるところ。
 その出まかせの自然な語り口が秀都さんの柄にぴったりだった。

 続いては、小留さんが登場する。
 今日の「たまごのらくご」でネタ下ししたスターエッグス(武者小路町)周辺を題材にした新作を、早速こちらでもかけてみようという趣向。
 ただし、この新作、同じく近辺の衣棚通を舞台にした『はてなの茶碗』の後日譚(担ぎの油屋が「十万八千両」の代物と盛って来る、漏れる水壺がどうなるか?)。
 なので、小留さんは『はてなの茶碗』を丸ごと演じた上で、そのまま新作に入るという形をとった。
 東京の『茶金』に比べ、『はてなの茶碗』にはより人の情がそこはかとなく表われている感じがして、小留さんの高座でもそのことを改めて強く感じる。
(先日の『ちりとてちん』でもそうだったが、この『はてなの茶碗』でも追い詰められた油屋が必死のぱっちで真情を語るあたりに小留さんの特性を観る想いがした)
 さて、後日譚のほうは、舞台が京都を離れ長崎へ。
 十万八千両の取り引きをするには、何しろ世界が相手でないと…。
 と、ここからの詳しいあらすじは今後の口演もあるかもしれないのであえて触れないけれど、長崎出身で京都在住の人間にとっては、一粒で二度嬉しい内容だった。
 そして、座錦湯同様、スターエッグスでの「たまごのらくご」も皆さんぜひ!!

 トリは、染八さん。
 マクラでは、最近の様々な話題を語ってみせる。
 さらに、今夜の座錦湯出演の本来の目的にふくみをもたせて大きな笑いをとってから、本題に。
 幇間太鼓持ちの茂八が若旦那の求めに応じて鍼を打たせたまではよかったが…、というおなじみの古典『太鼓腹』で、一度錦湯さんでもかけたことがあるネタだ。
 お金欲しさ丸出しの茂八が、若旦那の無茶な要求に困惑する様、鍼を打たれて大騒ぎする様、その積み重ね、強弱の変化が面白く、会場がわいた。

 最後は、三人でモッチャリーズというチームの実像に迫る(んな、大袈裟な!)トークを繰り広げて休日の夜を〆た。

 と、今夜も盛りだくさんな座錦湯でした。
 ああ、面白かった!!
 そして、毎週月曜は皆さんも座錦湯へぜひ!!
posted by figarok492na at 01:14| Comment(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月24日

第27回座錦湯

☆第27回座錦湯

 出演:桂三実さん、桂三幸さん、桂恩狸さん
(2018年4月23日20時開演/座錦湯)


 4月も下旬。
 というのに、まるで夏のような暑さの京この頃だが、今夜の錦湯さんには常連さん、リピーターさんが集まってなかなかの入り。
 ビリートップ5人衆が支配人となって4回目となる今回は、桂三実さんが差配を務めた。
 ゲストは、二代目支配人の桂三幸さんに、「ふたりでできるもん」のほか三実さんあるところにはこの人ありの桂恩狸さんのお二人。

 定刻20時頃に三実さんが登場し、軽く前口上を行ってから、三幸さん、恩狸さんが登場し早速トークを始める。
 テーマは、今夜天満天神繁昌亭で開催されていた若手噺家グランプリの予選について。
 実は、今夜の結果次第で三幸さんが決勝戦に進出できるか否かが判明するのである。
 ということで、ボードに出演順に記された出演者の名前を確認しつつ、競馬のオッズよろしく1位、2位、3位を三人が占いつつ盛り上げた。

 で、ほどよくお客さんがあたたまったところで、三実さんが高座へ。
 残念ながら二年連続で時間不足(!)のため決勝進出を逃した三実さんは、よくある「あるある」ネタと思わせつつ、実は捻りの効いた歌ネタを披露してから本題の『擬音』に入る。
 まさしく若手噺家グランプリのリベンジだ!
 会社の同僚二人が話をしているうちに、話題は擬音のほうへ。
 というのも、片方の男の口にする擬音というのがどうにも妙で…。
 といった展開の新作だけれど、先の歌ネタ同様、三実さんの目のつけどころ耳のつけどころが実におかしい。
 落語というスタイル、演芸というスタイルをしっかり押さえながら、そこに自分自身の特性得意技を仕掛けたネタであり、存分に愉しんだ。

 続いては、これまた若手噺家グランプリの決勝進出ならなかった恩狸さん。
 お師匠さんの桂文福さんのエピソードなどを高らかにマクラで語らったのちは、『子ほめ』を演じる。
 って、こちらもグランプリのリベンジである!
 ぶつりぶつりと話を切らずに、息をつぐ間も惜しんだ懸河の勢い。
 それでもせせこましくならないのは、牛刀を持って鶏を裂く的な大どかな語り口であるからだろう。
 登場人物の感情の起伏の激しさも興味深くおかしかった。

 トリは、三幸さん。
 トートバッグを手にして現れた三幸さんに、何やらよい意味の不穏さを感じるが、まずはいつもの如く肩ひじ張らないマクラで笑いを生む。
 そして、本題は新作のそれも出来立てほやほや。
 けれど、いや、だからかあえて詳しいことは書けないんだよね。
 ある男が父親の墓石の前で…。
 と、ここからは5月1日に予定されている三幸さんの落語会にぜひとも足を運んでもらいたい。
 ハイブリッド落語の真骨頂。
 最新技術(?)を駆使した体感型(?)のスリリングでおかしい作品世界が生み出されていた!
 いやあ、笑った。

 今回は久しぶりに大喜利も決行。
 三幸さん仕切りの下、三実さん、恩狸さん、さらには合田団地君や丸山交通公園君に常連のきょうとうさんがお題に挑む挑む。
 皆々、コンスタントに解答を重ねる中、客席からも不規則発言、ならぬ不規則解答が飛び出したほどだった。
 三実さんがちらと呟く「毒」がまたおかしい。

 最後は若手噺家グランプリの結果発表。
 惜しくも三幸さんの決勝進出はならず。
 ああ……。

 と、残念な結果とはなったものの、盛りだくさんの会ではありました。
 ああ、面白かった!!
 そして、毎週月曜20時は皆さん錦湯さんへぜひ!!
posted by figarok492na at 01:49| Comment(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月16日

第26回座錦湯

☆第26回座錦湯

 出演:月亭遊真さん、桂りょうばさん、桂小きんさん
(2018年4月16日20時開演/錦湯)


 4月も半ばを過ぎたが、まだ肌寒さの残る京この頃だが、今夜も錦湯さんには常連さん、リピーターさんが集まった。
 ビリートップの面々が持ち回りで差配を務めることになった新年度の二回目となる今回は、月亭遊真さんが支配人。
 2015年入門のプチ同期会ということで、桂りょうばさん、桂小きんさんの二人をゲストに迎えた。

 定刻20時頃に三人が登場。
 落語ファンならすでにご存じのことだろうが、りょうばさんは先代の枝雀さんの息子さん、小きんさんは先代の文枝さんのお孫さん、そして自分は…、と遊真さんが落としてみせるなど、自己紹介を兼ねたトークで盛り上げる。
 まず話題の中心となったのは初登場となる小きんさんで、きん枝師匠に入門するまでの「数奇」な道のりがおかしい。
 むろん、それを巧みに引き出した遊真さんのちょっとSっけのある突っ込みや、世事に長けたりょうばさんの誘い水も忘れてはなるまいが。
(ちなみに、りょうばさん、遊真さん、小きんさんが年齢順。ところが、小きんさんにはすでに二人のお子さんがいるそう)

 で、頃合いのよいところで、ジャンケンの勝負に勝った人の希望順にそって小きんさんが高座へ。
 マクラで語るべきエピソードをトークで話してしまったと口にしたりしたのち、本題の『牛ほめ』へ。
 アホな男が教えを受けて、普請を誉めに出かけたが…。
 というおなじみの古典。
 小きんさんは元気一発、陽性な、ただしゆっくりとした語りぶりで口演を始める。
 その語りぶり、強弱メリハリの付け方にどうしてもお祖父さんにあたる先代の(小文枝の)文枝さんを思い起こすが、アホな男に普請の誉め方を教える際の淡々とした語りの部分にも、小きんさんの伸びしろがあるのではないかとふと思ったりもした。
 20年後、いや30年後の小きんさんの高座が愉しみだ。

 続いて、ジャンケンでいっとう最初に勝ち抜けた遊真さんが登場する。
 よくよく考えてみれば錦湯さんへの登場は久しぶりとなる遊真さんだが、マクラでは近況報告などをしっかりと。
 無学での会の鶴瓶さんとのエピソードなど、積極的な語りで好感を抱く。
 本題は、これまたおなじみの古典『看板のピン』。
 要所急所は押さえつつも、わざとらしさを感じさせない流れのよいやり取りにこの間の遊真さんの研鑽鍛錬を識る想いがして嬉しかった。

 トリは、今回で三度目の錦湯さんへの出演となるりょうばさん。
 小きんさんの高座を耳にして、やはりところどころ先代の文枝さんに似ているところがあった、けれど本人はそうは思っていないだろう、自分も枝雀さんに似ていると言われるが、実際はそう思ってない、と言うのも…といった具合の滑り出し。
 続けて、冒頭の小きんさんのトークを受ける形で、入門についてや自らの嗜好(シュールな話が好きとのこと)を笑いを交えて語るなど、トリに相応しくたっぷりとしたマクラが愉しい。
 さらに実際にあった病院でのシュールな出来事を語ってから、本題の『義眼』へ。
 医者に義眼をこしらえてもらった男は、喜び勇んで松島新地のなじみの女のもとへと駆け付ける。
 と、悪酔いに悪酔った男が隣の部屋に通されて…。
 確かにシュールな展開の噺で、想像力を非常に掻き立てられる。
 一つ間違うと尾籠な話で終わってしまいかねないが、りょうばさんは線を踏み外すことなく見事に語り切った。

 で、最後は、三人のトークで〆た。
 トークもそうだし、個々の落語もそうだし、いい塩梅いい雰囲気の会になっていて、錦湯さんでも継続的にプチ同期会を開催してもらえたらなあと強く思った次第。
 落語ファンの方はもちろん、そうでない方もお薦めです。

 と、今夜も盛りだくさんな座錦湯でした。
 ああ、面白かった!!

 ちなみに、次回は桂三実さんが支配人の予定。
 二人でなくともきっちりできる三実さんの差配が愉しみだ。
 皆さんも、毎週月曜は錦湯さんへぜひ!!
posted by figarok492na at 23:48| Comment(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月10日

第25回座錦湯

☆第25回座錦湯

 出演:桂文五郎さん、月亭八織さん
(2018年4月9日20時開演/錦湯)


 ここ二日ほど気温が下がって肌寒い感じが続いているが、4月ももう十日近く。
 新年度2回目、そしてビリートップのメンバーに支配人が変わって2回目となる第25回座錦湯は、桂文五郎さんが差配を務めた。
 ゲストは、月亭八織さん。
 よくよく考えてみたら、お二人とも久しぶりの錦湯さんへの登場ということで(文五郎さんはなんと一年ぶりだ)、最近の会の様子を確かめるべく、冒頭のトークは膝詰め談判、ならぬ座談形式をとる。
 こういうところにも、新生座錦湯、新しいスタイルへの模索が始まっていて実に嬉しい。

 で、太遊さんが九州に行かれて以降の錦湯さんでの会について振り返ってみたり、お二人の近況などを窺ったりして盛り上がったのち、文五郎さんが高座へ。
 3月31日の大阪での月亭太遊さんでの会でも演じた『兵庫船』を取り上げる。
 ただし、そこは今後の座錦湯でいろいろと試していきたいと語る文五郎さんのこと、31日の会を踏まえつつ、錦湯さんでの会ということも意識して、そこここに新たなくすぐりを仕掛けたり、批判的な視点を交えたりして半ばまで演じた。

 続いては、八織さん。
 月曜日は地元滋賀のFM局でのレギュラーが入っているため本来ならば錦湯さんに来れないところだけれど、たまたま番組の編成の都合で出演がかなったと改めて挨拶をする。
 さらに近況報告ということで、大師匠の月亭可朝さんについて触れてから、座錦湯の前支配人である月亭方気さん夫妻の結婚式の話題へ。
 式や引き出物のあらましを笑いをまぶして語ったのち、本題の『引き出物』に入る。
 鹿児島枕崎で行われた結婚式の引き出物、さて中身はと家に帰って確かめてみると、そこはお国柄、薩摩揚げな焼酎と共に鰹節も入っていて…。
 といった展開の、鰹節をはじめとした擬人化された引き出物たちの会話が肝となる桂文枝さんによる新作だ。
 八織さんの口演に接するのは本当に久しぶりになるが、軽妙な筋運びを心掛けるなど、この間の研鑽が窺える高座となっていた。

 トリは、再び文五郎さんが登場し、ネタ下しとなる『商売根問』をかける。
 今日も今日とてしゃむない男、いったいどうやって暮らしているのかと問われたところ、その答えというのが、味醂のかすのこぼれ梅と南京豆の殻を使ってすずめを取るというものだからどうにもこうにも…。
 すずめで懲りず、うぐいす取り、はてはガタロ(河童)取りを始めるというしゃむない男のあほうぶりが肝となる噺で、文五郎さんはその肝をしっかり押さえつつ、メリハリを効かせてテンポよく演じ切っていた。
 錦湯さんのお客さんの嗜好志向を汲みつつ、座錦湯をネタ下しなど積極的に試しの場、研鑽の場にしていくという文五郎さんの今後の差配と口演を愉しみにしていきたい。

 と、今夜も盛りだくさんの内容でした。
 五人五様、ますますバラエティに富むだろう座錦湯さんに皆さんもぜひ!!
 ああ、面白かった!!
posted by figarok492na at 00:40| Comment(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月03日

第24回座錦湯

☆第24回座錦湯

 出演:桂小留さん、月亭太遊さん
(2018年4月2日20時開演/錦湯)


 4月となって暑さすら感じる京この頃。
 新年度から座錦湯は、石川県住みます芸人となった三代目支配人月亭方気さんご夫妻に代わって、ビリートップの面々(以下あいうえお順、桂三実さん、桂小留さん、桂文五郎さん、笑福亭智丸さん、月亭遊真さんの5人)が週替わりの持ち回りで支配人を務めるという集団体制へとシステムが変わった。
 で、今週の差配は桂小留(と書いて「ちろる」と読む)さん。
 STAR EGGSでの「たまごのらくご」など、ここのところ京都との縁が強くなっている落語家さんだ。
 そして、錦湯さんでの一連の会の創始者であり初代支配人である月亭太遊さんがゲストとして登場し、栄えある新生座錦湯のスタートを彩った。
 お客さんも、ご新規さんにリピーターさん、常連さんと大入り満員となって重畳重畳。

 定刻20時を過ぎた頃、差配の小留さんの呼び込みで太遊さんが登場し、二人のトークがスタートする。
 座錦湯の新たな支配人の制度や小留さん自身の自己紹介を兼ねたあたりから始まって、小留さんの祇園花月での前説の再現、「脱演芸」・アーティストへの道を歩み始めた太遊さんの近況など、40分以上のトークを繰り広げて大きな笑いを生む。
 そうそう、小留さんは地下アイドル好きだそうで、諸々条件が整えば(チェキの実施等々)もしかしたら彼女たちが錦湯さんにやってくるかもしれないと!

 で、頃合いのよいところで太遊さんの一本じめ(!)を合図に小留さんが高座へ。
 改めて自己紹介を兼ねたマクラののち、ところ変われば言葉も変わると本題の『勘定板』に入る。
 福井県のとある漁村では、紐の付いた板の上で便所をすませそれをそのまま海に流す。
 そんな漁村の二人が大阪まで旅に出て旅館に泊まったまではよかったが…。
 といった展開の古典落語で、いわゆる落語界の「スカトロ」ネタで序列をつければまさしくカストロ議長、じゃないスカトロ議長に選ばれるにたる内容のえげつない噺である。
 錦湯さんでは確か桂恩狸さんがかけたことがあって、あちらは牛刀でもって鶏を裂くというか、大掴みにすとんすとんと噺を進めていく感じだったが、小留さんは丹念、そしてここぞというところで粘りを効かせた高座を披露していた。
 差配一席目に『勘定板』をぶつけてくるなど、小留さん、なかなかの臭(くさ)者ではない、曲者ではないか!

 トリは、太遊さん。
 帽子を被ったままの私服で高座に上がったのは、それこそ「脱演芸」の一歩ということだろう。
 ネタは、昨年の11月、別府で挑んだ一日一ネタおろしの総決算と呼ぶべき「ネオラクゴ・フロムヘル」で演じた『8メモリーズ・オブ・ヘル』の連作8掌編落語の中から、1本目の「はじまりのまち」と8本目の「ドウクッチョンの村」の2本。
 大分弁を駆使した、即興味も強い作品で、会場は大いにわいていた。
 実は、太遊さんのご厚意で「ネオラクゴ・フロムヘル」の動画を拝見したことがあって、今夜改めてはじめと終わりの2本に接し、この『8メモリーズ・オブ・ヘル』とは、もしかしたら太遊さんが意図し意識した以上に、ある種の私落語というか、自分自身を相当さらけ出したものではないかと強く感じた。
 と、ともに太遊さんがこれから進んで行こうとする道筋、方向についていろいろと考えさせられた。
 今後の太遊さんの活動を注視していかなければ。

 最後は、再び小留さんと太遊さんのトーク。
 お二人のトークを受けた、この会によく来られるお子さんの「テレビに出ろ!」という掛け声などでさらに盛り上がって華やかに会を〆た。

 と、今夜も盛りだくさんの座錦湯でした。
 4月以降も、皆さん毎週月曜20時は錦湯さんにぜひ!!
 そして、ああ、面白かった!!
posted by figarok492na at 01:01| Comment(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月27日

第23回座錦湯

☆第23回座錦湯

 出演:桂三幸さん、桂あおばさん、林家染八さん
(2018年3月26日20時開演/錦湯)


 ようやく春めいてきた京この頃。
 今夜の錦湯さんは、常連さんやリピーターさんが集まった。
 17−18年度最後の座錦湯だったが、4月1日から石川住みます芸人となる月亭方気さんは一足先にその石川のほうで仕事があるということで、支配人としては前回がお別れ。
 23回目となる今回は、前々支配人の桂三幸さんとおなじみの桂あおばさん、林家染八さんが出演し、年度末を飾った。

 定刻20時を少し過ぎた頃、三幸さん、あおばさん、染八さんが登場。
 上方落語界の「近況」をじっくり語って盛り上げた。
 上方落語界を詳しく識りたい方は座錦湯へ!
 というのは、まあ冗談。
 途中、あおばさんがちょこちょこ挟んでくるギャグがまたおかしかった。

 で、頃合いのよいところで、染八さんが高座へ。
 最近はお年寄りのお客さんの前で落語をする機会が多いと、老人ホームなどで直面したエピソードをマクラで披露する。
 本題は、若手噺家グランプリで演じる予定の笑福亭福笑さん作による『もう一つの日本』。
 以前錦湯さんでも演じた作品で、福笑さんらしい毒に満ちた内容となっている。
 染八さんは毒=くすぐりを必要以上に強調することなく、流れよく演じ切っていた。
 それにしても、アメリカのビジネスマンを迎える日本のサラリーマンの名前が三島と森田というのもすごいな、やっぱり!

 続いては、あおばさんが登場する。
 昨日出演した落語会はちょっと変わった趣向で、休憩の際にいただいたアンケート(質問)をもとに後半トークを行ったのだけれど…。
 と、アンケートの内容を語って笑いをとる。
 一方、本題はこれまた若手噺家グランプリで演じる予定の『秘伝書』だ。
 あおばさんの『秘伝書』はずいぶん前に一度耳にしたことがあるが、グランプリを考えたテンポ設定。
 そしてくすぐりのほうも…。
 あとは、若手噺家グランプリの予選をお愉しみのほど!

 トリは三幸さんで、こちらは桂文枝師匠の新作『涙をこらえてカラオケを』を演じる。
 文枝さんの上方落語協会会長退任の意向を受けてのチョイス…。
 ではなく、いつものネオはめ物とは違う大きめのスピーカーが手元にあったので、これを使わぬ法はないという選択だ。
 病床でもマイクを手にするカラオケ好きの老人、今日も今日とて息子の嫁にデュエットをせがんだが…。
 といった展開の作品で、急転直下後半の葬儀シーンで特にスピーカー、そして三幸さんの歌声が活躍する。
 登場人物のとぼけた感じも三幸さんならではだった。

 最後は、三人のトークで〆た。
 あと、せっかくだからと三幸さんが自慢の喉を披露していた。
 これも錦湯さんならではの一幕。

 と、今夜も盛りだくさんな座錦湯でした。
 ああ、面白かった!!
 そして、4月以降も毎週月曜夜は錦湯さんにぜひ!!
posted by figarok492na at 00:13| Comment(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月25日

たまごのらくご 第1回

☆たまごのらくご 第1回

 出演:桂小留さん、笑福亭智丸さん
(2018年3月25日15時開演/STAR EGGS)


 御所西活性化プロジェクトと銘打たれた落語会「たまごのらくご」に足を運んだ。
 地下鉄の今出川駅・同志社大学から歩いて5分ほど、室町通を西に入ってすぐの武者小路町にある4階建てのビルの2階のイベントスペースが会場で、上の階は録音スタジオ、1階はカフェのSTAR EGGS。
 STAR EGGSはその名の通り、未来のスターを目指す俳優さんやアイドルの卵たちがアルバイトとして入っていて、ビル全体で芸能や芸術活動を支える形となっている。

 2月に話が持ち上がり、早速打ち合わせ、そして3月末にはスタートとなったという「たまごとらくご」だけれど、その差配を任されたのはここのところ京都進出の風が吹いている桂小留さん。
 上方落語界、というより関西ではおなじみのこえぴょんこと桂小枝さんのお弟子さんである。
 1回目の今日は、同じ落語ユニット「ビリートップ」のメンバー・笑福亭智丸さんと二人で二席ずつ古典落語を聴かせてくれた。

 開演時間の15時を少し過ぎたところで、差配の小留さんが高座へ。
 上述したようなSTAR EGGSやこの会のあらましについてを詳しくマクラで説明してから本題の『ちりとてちん』に入る。
 せっかくお酒や料理をご馳走しているにもかかわらず何やかにやと文句をつける男に一泡吹かせてやろうと、男たちが用意したのは豆腐の腐ったもので…。
 というおなじみの古典落語。
 小留さんは流れよく丹念に筋を運んでいったが、特に印象に残ったのは、嫌味な男竹やんが「長崎名産 元祖 ちりとてちん」の正体を目にしてそれでもそれを食べねばならぬと必死の形相となったところ。
 真に迫った男の姿が身につまされた。

 続いては、智丸さんが登場する。
 初めてのお客さんもいらっしゃるということで、自己紹介を兼ねたマクラから。
 で、現代詩の詩人として本名の疋田龍之介で活動していると断ったあとにかけたのは、『西行鼓ヶ滝』である。
 もとは北面の武士佐藤義清なれど、今は出家して歌人としても名の知れた西行法師は、摂津国の鼓ヶ滝(川西あたり)を訪れ、一首詠む。
 いやこれはよい出来の歌ができたと自賛する西行法師だったが…。
 といった、ある種藝道物とでも呼ぶべき作品だ。
 むろんそこは落語、くすぐりを交えて笑わせながらも、詩人疋田龍之介としての、そして落語家笑福亭智丸としての想いが強く窺えた一席だった。
 たとえ才能があったとしても、それに慢心して研鑽を怠れば先はない。
 どんな言い訳をしたところで、観る人が観れば聴く人が聴けば怠惰堕落はすぐわかる。
 分野は違えど、表現活動を続ける者にとっては身に沁みる噺である。

 10分ほどの休憩を挟んだ後半は、智丸さんから。
 同じ傾向ばかり続けているのもどうかと思ってしばらく演じるのを控えていたが、今日はあえて演じてみますと取り上げたのは、古典の『桃太郎』。
 昔話の桃太郎を語って子供がすやすや眠ってくれるのは、それこそ今は昔の話。
 最近の子供は…。
 と、子供が『桃太郎』の由来を諄々と語って聴かせるというのがミソの落語だ。
 やっぱり智丸さんの子供っぷりはおかしいな。
 そうそう、智丸さんにははなこそ『桃太郎』っぽいものの、そこから脱線脱臼を繰り広げる自作新作の『金太郎』もある。
 こちらもぜひまた聴いてみたい。

 トリは、再び小留さん。
 マクラは改めて自己紹介。
 並びに、所属する吉本さんの関係で落語以外のジャンルにも積極的に打って出ていると、ネット配信の「SHOW ROOM」をやっていることや、あの秋元康が絡んだ「吉本坂46」の1次審査に合格したことなどを語って笑いを生んだ。
 そして本題は、京都ではなく奈良を舞台にした『鹿政談』。
 誤って鹿を殺してしまった正直者の豆腐屋六兵衛の運命は如何に!!??
 これももうおなじみの古典落語、政談物、いわゆるお奉行様が活躍するお白州物の一つで、小留さんは凛々しい奉行ぶり。
 とともに、鹿担当の役人を時代劇風の大悪に描かず、慣習と正義の板挟みになる小役人に描いたところにリアリティがあった。

 最後は、「SHOW ROOM」を同時配信しつつの、小留さんと智丸さんのトーク。
 今後も月1で『たまごのらくご』を開催していく予定ということや、会場(御所西)界隈を舞台にした新作落語もつくっていきたいという小留さんの宣言もあったりして大いに盛り上がって栄えある第1回を〆た。
 なお、終演後は、この会のためにSTAR EGGSさんが用意した小留(と書いて「ちろる」と読む)さんの写真のついたチロルチョコ+智丸さんの写真入り+カフェと関係の深い南羽真理(と書いて「みさと」と読む)の写真入りのチロルチョコと3個のチロルチョコも振る舞われた。

 たまたま隣に座った近所の方から、今では住宅街のようになっているけれど、この界隈は60年前、50年前は様々な商店街が並んで非常に賑わっていた、この会が町内以外の人にも知ってもらう機会になればといった話を伺うことができた。
 『たまごのらくご』が、まさしく御所西活性化の一助となればと願うばかりだ。
 地下鉄の烏丸駅や同志社大学からもすぐ近くということで、皆さんも一度ぜひ!!
 ああ、面白かった!!
posted by figarok492na at 19:05| Comment(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月20日

第22回座錦湯

☆第22回座錦湯

 出演:月亭方気さん、月亭秀都さん、夕暮れ社 弱男ユニット
(2018年3月19日20時開演/錦湯)


 ようやく春めいてきたと思ったら、しばらく雨が続きそうな京この頃。
 が、あいにくのお天気にもかかわらず、今夜もなかなかな数のお客さんが錦湯に集まった。
 今夜は常連さん、リピーターさんよりもご新規さんが多いという新鮮な会。
 夕暮れ社 弱男ユニットの面々の初登場が大きく影響したようだ。

 定刻20時頃に支配人の月亭方気さん、おなじみの月亭秀都さん、そして夕暮れ社 弱男ユニットの代表村上慎太郎君が登場。
 まずは、4月1日から住みます芸人として石川県に移られる方気さんから、諸々の事情で今回が支配人としては最後の出演になること、また今後の錦湯さんでの会はビリートップの皆さん(アイウエオ順で桂三実さん、桂小留さん、桂文五郎さん、笑福亭智丸さん、月亭遊真さん)が回り持ちで差配を務めることが発表された。
 その後は、初めてのお客さんも多いということで、自己紹介などを兼ねたトークで盛り上げる。

 で、頃合いを見計らったところで、村上君の前説ののち、夕暮れ社 弱男ユニットの面々の作品(と称したほうがよいだろうな)が始まる。
 ちなみに、夕暮れ社 弱男ユニットは京都造形芸大出身の村上君をはじめ、稲森明日香さん、向井咲絵さん、南志穂さん、藤居知佳子さんの五人による演劇グループ。
 そのうち藤居さんは同志社女子大学から京都市立芸術大学大学院で声楽を本格的に学んでいて、今夜の『ドイツリートのための演劇創作〜シューマン「女の愛と生涯 TU」編』もそうした藤居さんの歌唱を要とする内容となっていた。
 って、なんだかアートアートした小難しい作品と危惧する向きもあるだろうけれど、そこは演劇公演のほかにコント公演など開催してきた夕暮れ社 弱男ユニットの面々だもの、ご安心のほど。
 稲森さんと向井さん扮する女中(下働き)の女性と南さん扮するお嬢様、さらには村上君演じるピアノ教師の四人が、よい意味での「小芝居」「軽演劇」を繰り広げながら、シューマンの歌曲『女の愛と生涯』の1曲目、2曲目を説明したのち、藤居さんにバトンを渡す。
 銭湯のお風呂を活かした筋書きに、稲森さんと向井さんがコメディエンヌぶりを発揮し、南さんもお嬢様のこまっしゃくれた感じをよく表していた。
 さらには、久々に村上君の演技を見ることができのも収穫だった。
 そして、忘れちゃいけないのが藤居さんの声量が豊かで情感のこもったメゾソプラノ(アルト)独唱。
 電子ピアノによる出口青空さんの伴奏も機智に富む。
 錦湯さんでの会に新たな可能性を夕暮れ社 弱男ユニットの面々は与えてくれた。
 ぜひV以降もここで披露してもらいたいものだ。

 続いて、高座の準備が終わったところで秀都さんが登場する。
 落語が初めてのお客さんも多いということに配慮しつつ、最近は後輩も増えてきてと落語家さんの世界を紹介を兼ねたマクラをひとくさり。
 本題のほうも、おなじみの『時うどん』を選ぶ。
 藤居さんの歌唱が本格的なクラシックなら、こちらも古典中の古典、歌うように語る流れのよい口演で、ここぞというところでは観客を巻き込みつつサゲまで演じ切った。

 トリは、方気さん。
 こちらも初めてのお客さんに対応して、マクラでおのが人となりを語っていく。
 そして本題は、たっぷりと『茶の湯』を演じた。
 小僧と二人の隠居暮らしを始めた老人、何か趣味を持とうと手を出したのが茶道だったが、小僧はもちろんのこと、老人のほうも詳しいことは一切知らず…。
 隠居老人と小僧がはちゃめちゃを繰り返す前半部分、店子たちがお茶に誘われて翻弄される中盤、そしてサゲにいたる終盤の三つの部分がある噺だけれど、方気さんはここぞというところで表情表現を強調しつつ、細部も丁寧に演じ重ねていった。
 石川県での活動が方気さんの藝にどう磨きをかけていくのか、非常に愉しみで仕方がない。

 最後は、方気さん、秀都さん、夕暮れ社 弱男ユニットの面々が登場してのトークで〆た。

 と、今夜も盛りだくさんの座錦湯だった。
 ああ、面白かった!!!

 そして、方気さんご夫妻は、半年間の支配人、本当にお疲れ様でした!!!!
posted by figarok492na at 00:52| Comment(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月13日

第21回座錦湯

☆第21回座錦湯

 出演:月亭方気さん、桂三幸さん、月亭八斗さん
(2018年3月12日20時開演/錦湯)


 3月も半ば近くとなって日中はだんだん気温が上昇するも、まだまだ夜は肌寒い京この頃だが、錦湯さんには常連さんに東京からお越しのご新規さんと、なかなかのお客さんが集まった。
 21回目となる座錦湯は、支配人の月亭方気さんに前支配人の桂三幸さん、おなじみの月亭八斗さんの出演。
 定刻20時頃、お三人が登場し、こちらもパスしてしまった前回の座錦湯のことなどあれこれと語って盛り上げる。

 で、頃合いのよいところで八斗さんが高座へ。
 まずは、だいぶん先の話になるがと断ってから、8月10日の夜に天満天神繁昌亭で自分が主催の会を開くと告知をし、その進捗状況を語って聴かせる。
 これは何やら興味深い会になりそうだ。
 続いて、今日は三つネタを用意してきたのでお客さんにお決めいただければと、アンケートを実施する。
 あえて題名は出さず、馬、財布、釣り(これは、冒頭のトークで『野ざらし』ばっかりやっているという突っ込みがあったことを受けてのもの)というキーワードだけを口にした結果、財布が圧倒的支持を得た。
 ということで、本題は『紙入れ』。
 亭主が留守だからとの女房の誘いに乗った亭主の弟分の男だったが、どうしたことか帰って来ないはずの亭主が帰って来た。
 這う這うの体で逃げ出したまではよかったものの、うっかりして紙入れを忘れてしまった。
 紙入れの中には女房からの付文が入っている、これは一体どうしたものか。
 といった具合のおなじみ古典で、八斗さんは流れよく丹念に噺を運んで行った。
 中でも、女房のここぞというところでの表情の変化が印象に残る。

 続いて、方気さんが登場する。
 4月1日から石川県の住みます芸人となる方気さんだけれど、支配人としての出演は残すところ今回を入れてあと3回。
 珍しいネタを演じるシリーズとしてかつてすべりにすべった『軒付け』をかけようかと思っていたが、どうにもいーっとといらつくことがあったりもして、急遽ネタを変更することにした。
 はじめにそのいーっといらつくことをマクラで語ってきかせる。
 最初の小怒りが続く大きな怒りの伏線となって、これはどうなるやばいぞやばいぞと思わせておいて、緊張と緩和、ああよかった!とほっとして大笑い。
 さて本題は、いーっといらついていてはいけませんよいうことで、『天災』。
 実の母親を蹴り倒すような喧嘩大好きなDV男。
 それではいかんと紹介されたのは心学の先生で…。
 といった具合のこれまたおなじみの古典だ。
 前半の先生による男への説諭というフリが、最後の男の頓珍漢な言葉の連続に巧く結びついていてやっぱりおかしい。
 しばらく方気さんの落語が聴けなくなるのは、さみしいかぎりだ。

 トリは、じゃんけんで一番先に負けた三幸さん。
 つまるところ、今夜はじゃんけんに勝ったものの順で高座に上がったのであった。
 いつもの如く軽快なマクラで笑わせたのちは、以前錦湯さんでも演じた新作落語を演じる。
 師匠から破門されて居酒屋で働く元落語家の男だったが、今も落語への想いは立ち切れていないようで…。
 男と居酒屋の店主のやり取りによる前半は、落語家あるあるの連発。
 笑わせつつ、これでええんかいという三幸さんの心の声も聞こえてくるような内容となっている。
 一転、後半は男の想いが叶おうか…、といった、さあ、ここからというところでアクシデントが発生。
 三幸さんはそれを笑いに変えて、高座を切り上げた。
 そうそう、高座へ上がる移動中の三幸さんからキットカットの小豆味をお客のおっさん三人組のうちの一人としていただいたんだ。
 美味しく食べました。
 ごちそうさま!!

 最後は、大喜利を決行。
 前半は方気さんが仕切り、後半は八斗さんが仕切りで、三幸さんやお客さんの地主君と共にお題に挑んだ。
 それぞれコンスタントに解答を重ねたが、後半仕切りの八斗さんの仕掛けぶり、細かいあれこれがツボにはまってついつい笑ってしまった。

 と、今夜も盛りだくさんの座錦湯でした。
 ああ、面白かった!!

 ちなみに来週は、月亭方気さんと月亭秀都さんに加え、夕暮れ社 弱男ユニットの面々が出演の予定です。
 皆さん、ぜひぜひ錦湯さんへ!!
posted by figarok492na at 00:37| Comment(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月27日

第19回座錦湯

☆第19回座錦湯

 出演:桂三幸さん、笑福亭べ瓶さん、荻野晋吾(くるくるコミック)
(2018年2月26日20時開演/錦湯)


 ようやく気温は上昇してきたものの、何やら朝から喉の調子が悪い。
 おやおやくしゃみも連発しているぞ。
 遂に花粉の季節の到来か、とうんざりしてしまう京この頃だが、そんなときには笑いが一番。
 と、いうことで今夜も錦湯には常連さんやリピーターさんが集まってなかなかの入りだった。
 19回目となる座錦湯は、支配人の月亭方気さんがお休みのため、前支配人の桂三幸さんが差配を務め、錦湯さんは初めてとなる笑福亭べ瓶さんと荻野晋吾さんを迎えた。

 定刻、20時を過ぎた頃、三幸さんの呼び込みでべ瓶さんと荻野さんが登場し、近況報告を兼ねたトークを繰り広げる。
 いつもの如くかろみの効いた三幸さんに対し、錦湯さんでの会の様子を窺いつつ荻野さんやべ瓶さんがぱんぱんぽんぽんとジャブを打って盛り上げる。
(ちなみに、以下の出番はじゃんけんで決めて、勝ったもの順)

 で、頃合いのよいところで、荻野さんのネタがスタートする。
 荻野さんは、おぎの信号の芸名で亡くなった田口れんじさんとWコミックを組んでいたが(荻野さんが田口さんの最後の相方)、現在は本名の荻野晋吾で昔の相方であるよね皮ホホ骨さんとくるくるコミックを結成している。
 今回は荻野さん一人なので漫談(トーク)を披露していたのだけれど、肝というか、真骨頂は、相方のよね皮さんの師匠である村上ショージさんを彷彿とさせる、会場の空気に切り込んであえてだじゃれを連発する攻めの姿勢。
 予定調和であえて終わらせないところが嬉しかった。
 そして、冒頭のトークなどでの足の動きのきれのよさに、荻野さんのこれまでの積み重ねを見る想いもした。

 続いては、三幸さんが登場。
 べ瓶さんに、冒頭のトークで同期だけどちっとも口調が変っていない…と突っ込まれていたが、それもどこ吹く風。
 今夜も柳に風とばかり、冬季オリンピックを題材にした三幸マクラで笑いをとっていた。
 本題は、ネオはめ物が「物を言う」『空みなよin東京』。
 彼氏がうなぎ屋になると大阪を飛び出した、と彼女に泣きつかれた男のもとに友人であるその彼氏から留守番電話がかかってくる…。
 といった展開のハイブリッドな新作落語で、留守番電話のネタの積み重ねがやはりおかしい。
 と、ともに合間に挟まれる時宜にぴったりのくすぐりもおかしかった。

 トリは、べ瓶さんだ。
 笑福亭鶴瓶さんのお弟子さんで、今は東京と関西を股にかけて活躍している。
 まずは住まいのある東京と関西の違いをマクラで語って笑いを生む。
 それから、落語ファンを誉めつつその特性を突き、『君の名は』を観た話に繋げてさらに笑いを大きくしていった。
 本題は、『地蔵の散髪』。
 道の真ん中で男が何かやっている。
 親しくしている男が声をかけると、なんとこの男、往来で尻の毛を抜いているところだった。
 と、言うのも実は…。
 という風に進んで行く、べ瓶さんが掘り出した今はかける人のいない噺だそう。
 表現のふり幅の激しさにまず惹きつけられるが、そこに落語家としての、芸人としての、よい意味での狂気を感じる。
 一方、尻の毛を抜かねばならぬ男がぼつりと呟くかみさんへの言葉に、おかかなしさというか、話の拡がりを感じもした。
 いやあ、べ瓶さんの高座、愉しかった。

 最後は、今回も大喜利を決行。
 大喜利猛者のゴハさんの仕切りで、三幸さん、べ瓶さん、荻野さんに無農薬亭農薬君が加わって舌戦を繰り広げたが、途中客席から「正解」の解答が飛び出すなど、錦湯さんの会ならではの展開となった。

 と、今夜も盛りだくさんの座錦湯でした。
 ああ、面白かった!!

 毎週月曜20時は、皆さんも錦湯さんにぜひ!!
posted by figarok492na at 00:57| Comment(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月20日

第18回座錦湯

☆第18回座錦湯

 出演:月亭方気さん、日本夢之助さん、藤本真希さん、藤本康志さん
(2018年2月19日20時開演/錦湯)


 2月も半ばを過ぎたというのに、まだまだ寒い京この頃。
 それでも、今夜の錦湯も、常連さん、リピーターさんに大喜利猛者と多彩なお客さんが集まった。
 18回目となる座錦湯は、支配人の月亭方気さんにピン芸人の日本夢之助さん、初出演となる三線の藤本真希さん、その夫で藤本康志さんの四人が出演した。
(ただし、康志さんはトークと大喜利のみの出演)

 定刻20時を過ぎたあたりで、四人が登場。
 方気さんと三朝温泉での繋がりやアジア住みます芸人のエピソードを日本夢之助さんが語れば、真希さんの天然ぶりを康志さんが語って、インティメートな雰囲気で笑わせる。

 で、頃合いを見計らって、真希さんが三線を持って再登場。
 真希さんは沖縄出身で、ご両親も沖縄在住、といった一端は前回の出演時に康志さんが漫才中に語っていたところ。
 確かに、こいつぁ天然、というか天真爛漫天衣無縫な柄の人だなあと心地よくなりつつも、まあ歌のほうは申し訳程度だろうと高を括っていたのが大間違い。
 あとで方気さんがマクラで語ったところによると、天童よしみの先生に歌唱を学んでいるそうで、澄んで張りのある声は美しい。
 真希さんのフラに微笑みながら、三線の音色ともども沖縄の歌の数々を愉しんだ。
 というか、真希さんに勧められるままハイサイおじさんでは踊り狂ってしまったほど。
 真希さんの意図はひとまず置くとして、よくよく考えずとも沖縄の歌の持つ意味合いはわかろうはずで、傍目も気にせず踊り狂って、おまけに身体が痛くなったのだから、これではハイサイおじさんならぬ、基地外おじさんのおまぬけおじさんではないか。
 ああ。

 続いては、日本夢之助さんがトークを展開。
 錦湯出演は相当お久しぶりとなる二回目。
 現支配人の方気さんや錦湯での会の創始者である月亭太遊さんら他の芸人さんとの関係譚に始まって、自分自身の芸名の話などを訥弁の能弁といったスタイルで語っていく。
 もう一つ夢之助さんの特性といえば、斜に構えるというか、一歩前進二歩後退さらに一歩前進といった話の切り口か。
 アンパンマンについて粘り強く突っ込んで、滑稽さを醸し出していた。

 トリは、月亭方気さんが務める。
 前回宣言した通り、これまでなかなかかけてこなかったネタをあえて掘り出して試してみるというシリーズの第二段。
 これが二度目であるという古典の『大安売り』だ。
 町内の関取に江戸での勝負はどうだったかと訊いてみたところ、勝ったり負けたりと返事がある。
 これは正直な関取だと、重ねて勝負の内容を訊いてみたまではよかったが…。
 という筋運びで、錦湯では桂三河さんの十八番(?)だし、露の棗さんもかけていたが、お二人はその容姿雰囲気にあわせて大柄大造りな高座。
 一方、方気さんは小兵相撲というか、細部まで丁寧に仕上げた語り口で、当然今現在の錦湯さんでの番組を考えてのネタの選択でもあるのだろうけれど、それよりもっと先の番付を睨んだ勝負の積み重ねのようにも感じられた。
 継続は力なり。

 などと、前半は三朝温泉の話もあったりして、冬の温泉場での渋い会といった趣だったが、後半は一転、大喜利レースが繰り広げられた。
 今夜は、大喜利猛者のゴハさんの出題と仕切りで、出演者の四人、並びに方気さん、康志さん、真希さんの落研の後輩にあたるぷるーとさんが解答に挑むというスタイル。
 康志さん、夢之助さん、方気さんがコンスタントにヒットを重ね、ぷるーとさんがその間隙を突き、さらに真希さんがらしい答えで笑わせるといった展開ののち、そんな五人に煽られてお客さんの中からも解答が飛び出した。

 今夜も盛りだくさんの座錦湯でした。
 ああ、面白かった!!
 そして、毎週月曜20時は皆さんも錦湯さんにぜひ!!
posted by figarok492na at 00:13| Comment(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月13日

第17回座錦湯

☆第17回座錦湯

 出演:月亭方気さん、桂あおばさん、桂三実さん、笑福亭智丸さん
(2018年2月12日20時開演/錦湯)


 いやあ、痛い。
 いくらなんでも氷点下の寒さにはかなわない。
 そんな厳しく激しい寒さが続く京この頃だが、三連休最終日の今夜も座錦湯は問題なく開催された。
 17回目となる今回は、支配人の方気さんに、おなじみのあおばさん、三実さん、智丸さんの四人のご出演。

 定刻20時を過ぎたあたりで、方気さんが高座へ。
 バレンタインが近いということで、まずはふるまいチョコあり。
 多謝!!
 次に先週の急な休みに関して報告があったのち、ほんまに、ほんま、ほんまに、ほんま…とどこかで耳にしたフレーズを繰り返す方気さん。
 おやこれは、と思っていると、これからは今までかけてこなかったネタを掘り出していくことにしたいという趣向とのことで、その一発目として、ほんの僅かな期間入門していた月亭可朝さんにつけてもらった唯一のネタである『犬の目』をつけてもらった通りにかけてみると本題に入って行った。
 『犬の目』といえば、月亭太遊さんや月亭遊真さんも錦湯でかけている月亭一門にとってはおなじみのネタの一つだが、方気さんは可朝さん流儀。
 はじまりからして変化球というか、あえてテンポをずらして軽みの効いた筋運び。
 患者と医者、医者と助手のやり取りの滑稽さが増している。
 実に新鮮でおかしな『犬の目』だった。

 続いては、あおばさんの登場。
 実は、座錦湯さんの公式アカウントのツイートではあえて出演者として記載されていなかったあおばさんだけれど、我が意を得たりしてやったりと快調な出だし。
 最近、桂枝雀さんのSR落語にはまっているといくつか例として演じた上で、自作のSR落語も披露する。
 その流れで、素人さん・学生さんの演じる落語を観聴きすると刺激を受けるとも。
 続いて、ざこば師匠とのエピソードなども語って盛り上げる。
 まさしく舌好調。
 さらには、まだ錦湯さんでもかけてない古典のネタがいくつかあると、そのうち『ろくろ首』の冒頭部分をさらっとかけてお客さんの反応を試したりもする。
 途中のアクシデントも巧く笑いに変えて、大きな拍手の中、あおばさんは高座を下りた。

 三人目は、三実さんだ。
 自分は高校を卒業してすぐ(桂文枝=当時三枝師匠)に入門したので、勉強したといえばかれこれ7、8年前になるがと断ってから本題の新作へ。
 ある高校生が好きな女の子を紹介してもらうために友人とのしりとり勝負に挑むが…。
 といった展開の作品で、しりとりや会話の中に学校で習ったあれやこれやが巧みに織り込まれている。
 そのチョイスが的確というか、面白い。
 流れのよい快活な口演だったが、後半の「変容」(とあえて呼びたくなる)も皮肉が効いていておかしかった。

 トリを務めたのは、智丸さん。
 今日の出演者で酒好きといえば支配人の方気さんがいっとう最初にくるだろうが、自分もそれなりの酒好き。
 だからお酒の噺をしたいのだけれど、ここ錦湯さんではなぜだか「汚い」ネタが多くなってしまう、その点ご勘弁を、と断って演じたのは『禁酒関所』。
 殿様から酒を飲むなと禁酒のお達しがあり、酒を持ち込んではならじと関所まで設けられてはいるが、そこは酒好きの侍のこと、どうにか屋敷まで酒を届けてくれと頼んできた。
 そこで、酒屋の連中はあの手この手を思い付くのだけれど…。
 というおなじみの古典で、智丸さんは規矩によくそった丁寧な筋運び。
 それでいて、侍と酒屋の人間のやり取りの滑稽さ、丁稚のかわいらしさにも欠けていない。
 智丸さんの渋み、よい意味での荒味の効いた声も噺の雰囲気によく合っていた。

 最後は、四人のトークで〆た。
 なぜだかご機嫌の方気さんや、三実さんや智丸さんにネタを振るあおばさんと、ここでも皆さん快調だった。
 そうそう、方気さんと智丸さんは入門が同期だが、そのことに関して近々何か報告があるかもしれない様子。
 これまた愉しみだ。

 と、今夜も盛りだくさんの座錦湯。
 ああ、面白かった!!
 そして、毎週月曜20時は錦湯さんに皆さんぜひ!!
posted by figarok492na at 00:20| Comment(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月05日

第16回座錦湯

☆第16回座錦湯

 出演:桂あおばさん、月亭秀都さん
(2018年2月5日20時開演/錦湯)


 またもや大寒波が襲う京この頃で、今夜はめっきり冷え込んだ。
 そんな中、錦湯さんは常連さんにリピーターさん、そしてご新規さんとなかなかのお客さんの入りだった。
 ある常連さんに伺ったところ、以前世界向け用に撮影された錦湯さんでの会のことが昨夜NHK地上波の全国放送で放映されていたとか。
 実際、その放映を観てお越しになった東京からのお客様もいらしたほどだった!

 16回目となる今回の座錦湯は、支配人の月亭方気さんが体調不良で急遽お休みとなって、出演者は桂あおばさんと月亭秀都さんのお二人。
 が、そこはおなじみあおばさんと、月亭一門のホープ秀都さんだけに、全篇しっかり乗り切った。

 定刻20時を少し過ぎたあたりで、あおばさんと秀都さんが登場。
 開口一番、あおばさんが錦湯さんでは定番のネタというかぼやきで笑いをとると、秀都さんも負けじと自らのエピソードを披露。
 近況や落語界のあれこれを語って大いに盛り上げた。

 と、頃合いのよいところで、秀都さんが高座へ。
 昨夜、とある超満員の落語会に間近に接してその「グルーヴ」にいたく心を動かされた。
 規模は違えど、ここ錦湯さんでも熱い「グルーヴ」を期待したいとマクラで呼びかけて本題の『兵庫船』に入る。
 旅の二人連れがいわゆる兵庫船に乗り込んだところから噺は始まり、船中の情景が謎かけなどを織り込みつつ描かれたのち、船旅に暗雲が立ち込める…。
 という、上方ではおなじみの古典落語。
 秀都さんは、快活なテンポを維持しつつ焦って巻くことなく噺を進めて行く。
 久しぶりにかけるネタゆえ、アクシデントも発生したが、そこも巧く機転を効かせて笑いに換えた。
 途中、お客さんも秀都さんの煽りに乗って「グルーヴ」を醸し出していたのではないか。
 そうそう、秀都さんの野太いじゃないな、よい意味で渋さ荒さのある声は滑稽な噺に向いているような気がした。

 トリは、あおばさん。
 身近にいるおかしな人たちのエピソードをマクラで語って笑わせる。
 さて、袴姿が凛々しいあおばさんだけれど、今夜の本題はそのいで立ちにぴったり。
 旭堂南鱗先生につけていただいたという、講釈ネタの『木津勘助』を演じてみせた。
 木津勘助とは、豊臣の末から江戸時代の半ばまで大坂のために尽くした実在の人物で、中でも飢饉の際に黒田藩の米蔵を打ち破り、そこの米を人々に分け与えたたことで知られている。
 ただし、講釈並びに落語で取り上げられるのはその前日譚。
 大坂の豪商淀屋十兵衛に気に入られ、遂にはその娘が嫁に入ってしまうという勘助の若き日の姿を描いた物語だ。
 あおばさんは、大きな筋をきっちり語りつつ、そこに様々なくすぐりを仕掛け、さらには小咄を盛り込んで、笑いどころの多い噺に仕上げる努力を重ねていた。
 あおばさんの研鑽と意欲が窺える高座だった。

 最後は、再びあおばさんと秀都さんのトークで〆た。

 落語がたっぷり二席に、丁々発止のトークと、今夜も大いに愉しみました。
 ああ、面白かった!!
 そして、毎週月曜20時は錦湯さんに皆さんもぜひ!!
posted by figarok492na at 23:27| Comment(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月30日

第15回座錦湯

☆第15回座錦湯

 出演:月亭方気さん、桂三幸さん、リスナップ
(2018年1月29日20時開演/錦湯)


 少し穏やかになったと思ったら、またぞろぐっと冷え込み始めた京の夜だったが、錦湯さんは常連さんに、お久しぶりのおなじみさん、リピーターさん、さらには3月に出演希望のご新規さんがバランスよく集まって、けっこうな入りだった。
 15回目となる座錦湯は、支配人の月亭方気さんに前支配人の桂三幸さん、そして漫才のリスナップのお二人が出演。

 定刻20時を少し過ぎたところで、方気さんの盟友であるリスナップのお二人が登場。
 なにせ、客側から見て左側の少しふくよかな藤本康志さん、同じく右側の少しスリムな土井隆さん、ともに方気さんと同じ関西大学の落研仲間なのだ。
(藤本さんが方気さんと同じ回で、土井さんが後輩)
 で、インフルエンザが流行っているが大丈夫ですかと健康に心を配ったり、実弾攻撃一口チョコを手ずから配ったりと、お客さんへのサービス精神をまずもってアピール。
 それから、幅広く活躍するお二人らしく、大衆演劇での経験を面白おかしく語ってみせる。
 方気さんも三幸さんも新作をかけるので時間を伸ばさなきゃいけないと内幕をばらしてさらに笑いをとったのちは、藤本さんがお嫁さんの実家である沖縄を訪ねたエピソードへ。
 実は藤本さんのお嫁さんのお母さんは…。
 と、ここから先は別のライヴやイベントでぜひぜひお聴きくださいませ。
 何か沖縄の風を感じる、おかかなしいならぬ、ちょっとおかおかしい「ファミリープロット」だった。
 最後は、物真似しろという藤本さんの無茶振りに土井さんが応じて(?)方気さんにバトンタッチした。

 続く、方気さんは開口一番、非常に驚きの報告。
 座錦湯とも深く関係した報告なのだけど、あえてここではまだ触れないことにしておく。
 ある意味、春らしい報告であった。
 さて、方気さんがかけたのは、先々週演じそびれたお客さんからいただいたお題「バレンタインデー」をもとにした新作である。
 我々米朝一門(月亭一門が桂米朝さんの一門であることを忘れちゃちゃあいけない)はまず『東の旅』の発端から始まると断って、扇子を二本ぱたんぱたんと打ち始める。
 で、そのまま本題の新作へ。
 今回は虎の巻があるから大丈夫!
 まさしく張り扇調の名調子で、幸薄子なる薄幸な女性のバレンタイン悲話を「読み」「聴かせた」。
 よくできたほら話だけれど、女性が痛い目にあうあたり方気さんらしいとも思ってしまった。

 トリは、三幸さん。
 こちらも虎の巻持参で新作に挑む。
 どちらかといえば、方気さんが完璧主義の垣間見える虎の巻であるとすれば、三幸さんは肩ひじ張らぬ柳に風、無手勝流で我が道を行く虎の巻の感強し。
 大きな声で独り言を口にする携帯電話ショップのお客さんと女性店員のやり取りを描いたもので、そこここに仕掛けられたくすぐりに加え、虎の巻の行ったり来たりも笑いに変えていたのは、三幸さんならではだった。
 完成形がどのようなものになるか、サゲの部分も含めて愉しみだ。

 最後は、大喜利を決行。
 今夜は大喜利猛者で常連のゴハさんが出題するお題に、方気さん、三幸さん、藤本さん、土井さんが応える形式だ。
 定石にそった「正解」もきちんと出て来るけど、やはりこのメンバーだと脱線脱臼した答えも少なくない。
 藤本さんなど、毒っけたっぷりだった。
 ただ、ちょっと後半は耐久戦気味の展開にも。
 長丁場を方気さんの解答が〆た。

 と、今夜はある意味スリリングさに満ちた座錦湯でした。
 毎週月曜20時は、皆さん錦湯さんにぜひ!
 ああ、面白かった!!
posted by figarok492na at 00:12| Comment(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月23日

第14回座錦湯

☆第14回座錦湯

 出演:月亭八斗さん、笑福亭大智さん、露の新幸さん、桂りょうばさん
(2018年1月22日20時開演/錦湯)


 東北関東では激しい雪となっているそうだが、なんとか京都は雨で留まった。
 それでも気温はぐぐんと下がって厳しい寒さの夜となったものの、今夜も錦湯さんには常連さんやご新規さんとなかなかの数のお客さんが集まり、まずは重畳。
 14回目となる座錦湯は、支配人の月亭方気さんが拠無い事情のため急のおやすみとなったが、おなじみ月亭八斗さんのほか、笑福亭大智さん、露の新幸さん、桂りょうばさんの四人の揃い踏みで、危うげなく乗り切った。

 定刻20時頃に、八斗さん、大智さん、新幸さん、りょうばさんが登場し、各々簡単な挨拶をすませたところで、早速大喜利に突入。
 大智さん仕切りの下、大喜利猛者のゴハさんが用意した難問と呼ぶべきお題に残りの三人さんが挑むということで、これは苦戦するかなと思っていたら、なんのなんの。
 最近の話題をあっけらかんの気楽感と盛り込むなど、これはという解答が続く。
 こうしたスタイルの大喜利は初めてというりょうばさんも、そこはリリパ等々でもまれただけあって、毒っけも辞さずにコンスタントな答えを披露していた。
 大智さんはその名の如く大柄で、かつ軽妙な仕切り。
 林業をやっていたときの山で毒キノコを食べたエピソードがおかしかった。

 で、頃合いのよいところで大智さんが高座へ。
 笑福亭仁智さんのお弟子さんである大智さんといえば上記の如く林業(伐採)をやっていたことで知られているが、ラジオ好きとしては、ABCラジオの『兵動大樹のほわ〜っとエエ感じ』で兵動さんのトークに準レギュラー的に登場していることをすぐに思い出す。
(終演後お声がけしたら、二人で何か会ができないかとお話していると教えていただく。これは愉しみだ!)
 そんな大智さんはお子さんとのほんわかしたエピソードをマクラで語ったのち、本題の『看板のピン』を演じる。
 誰か博打のいい相手はいないかと町内の若い衆が声をかけたのは、隠居と呼ばれる老人だった…。
 というおなじみの古典だけれど、大智さんは軽快な流れで間のよい筋運び。
 隠居の老人の渋い声も堂に入っており、お調子者が真似をする際の間抜けぶりとの対比も面白かった。

 続いては、りょうばさん。
 二回目となる錦湯さんだが、ここは雰囲気がいいのでまた来たいと思っていた。
 それに大きな通りからちょっと入った錦湯さん辺りのちょっと静かで暗い感じも貴重だし、脇のトイレのところなど真っ暗…。
 といった流れから本題の『稲荷俥』へ。
 高津神社の門の辺りで客待ちをしている人力車夫に一人の紳士が産湯まで運んでくれと声をかける。
 狐や狸が出るので産湯には行きたくないという車夫だったが、車賃をはずむとの紳士の言葉に思わず承知してしまい…。
 大師匠の桂米朝さんを筆頭に、いわゆる米朝一門が得意とする噺の一つであり、りょうばさんは要所急所をよく押さえつつ強弱を巧くつけた口演で、後半、車夫が紳士の忘れていった財布の金で酒盛りをはじめようとする場面などには話がぱっと広がっていく感じがした。
 枠の中できっちり仕上げていく部分と、それを踏み越えて大きく跳躍しようとする部分の駆け引きというか、変化の様が興味深い。

 三席目は、八斗さんだ。
 先日とある落語のレースで苦汁をなめた、以前錦湯さんでかけたこともあるが、せっかくお師匠の月亭八方さんに教わったネタでもあるので、この間の研鑽をぜひとも観てもらいたいと『野ざらし』を演じる。
 もちろん、八方師匠とのやり取りに触れて笑いをとることも忘れてはいなかったが。
 八斗さんといえば、まずは鼻にかかった女ぶりが板についていて、これはきっと小股の切れ上がったいい女なんだろうなと想像するのだけれど、もう一つ忘れられないのは、あほな男が釣り竿持ってさいさい節を歌うところ。
 ここの盛り上がりが強く印象に残った。

 トリは、今夜で二回目の出演となる露の新幸さん。
 身近で起こったちょっとおかしいと思えるエピソードをマクラで披露し、本題へ。
 お師匠の露の新治さん(その名の通り革「新」的な落語家さんである)の十八番といえる『狼講釈』をかけた。
 前半は革新的、じゃない確信的に丁寧に話を進め、肝となる狼相手の講釈の部分ではここぞとばかり語り上げていた。
 その脱臼ぶりには、筒井康隆の小説を思い起こしたほどだ。
(というか、たぶん筒井はこの噺にも影響を受けてるんじゃないのかな)
 前回の『金明竹』同様、新幸さんの高座の流れのよさを愉しんだ。

 と、大喜利に古典落語四席と予想以上に密度の濃い回でした。
 ああ、面白かった!!
posted by figarok492na at 00:25| Comment(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月09日

第12回座錦湯

☆第12回座錦湯

 出演:月亭方気さん、桂恩狸さん
(2018年1月8日20時開演/錦湯)


 三連休最終日は、あいにくの雨。
 それでも錦湯さんには、常連さん、リピーターさんがなかなかに集まって、新年一回目に相応しい会となった。

 12回目となる座錦湯は、支配人の月亭方気さんとお久しぶりの桂恩狸さんの出演。
 定刻20時を少し過ぎたあたりで登場したお二人だが、方気さんは黒の紋付、一方恩狸さんは白ではないけれどアイボリーというかクリームというか白系統の色合いということで、コントラストがよくきいている。
 で、先代の支配人桂三幸さん時代以降、久しぶりの出演となる恩狸さんは、The錦湯や座錦湯の番組の組み方、つまるところ自分にとって錦湯さん出演へのハードルが非常に高かったと熱弁をふるう。
 その途中、前回出演時に左手を骨折していたことの原因や、例年年末に恩狸さんと方気さんで参加している蟹食べ放題のツアー(恩狸さんが方気さんをごちそうしている由)について、面白く脱線したりもした。

 と、盛り上がったところで、恩狸さんが高座へ。
 この座錦湯が今年の高座初めになるという恩狸さんは、12日の桂文福一門会に備えて自作の新作『喫茶・鉄』をかける。
 昼休みのサラリーマン二人が昼飯でも食べようと足を運んだのは、喫茶・鉄。
 いったい何が売りなのだろうと、店に入ったところ鉄は鉄でも鉄板焼きの鉄ではなく…。
 すでに何度か接したことのあるネタだけれど、細かいくすぐりや展開などについて、どうすればさらに面白くなるかという恩狸さんの意欲が窺える高座だった。
 それとともに、どこから飛び出すかわからない隠し玉というか変化球というか、話の突然の跳躍がいつもながらにおかしかった。

 続いては、方気さんだ。
 ガキ使や紅白歌合戦、そしてゆく年くる年と大晦日のテレビの話題や、このお正月に関する話題をマクラで語った方気さんは、こういう寒い時分は食べ物、それも暖かい食べ物の噺をかけたいと本題の『時うどん』に入る。
 もはや語るまでもない、そして方気さん自身が口にしていた通り、ここ錦湯さんでも初代支配人の月亭太遊さんはじめ数々の落語家さんが取り上げた古典中の古典。
 ただし、方気さんは要所要所をきちんと押さえた高座で(ちなみに、方気さんの『時うどん』は二人連れではなく、いわゆる『時蕎麦』として知られている形)、前半の丁寧な仕込みが、後半部分の「変化」に巧く繋がっていた。
 特に、しゃむない男がことごとく間を外される際の感情の動き、うどん屋への反応の様がとてもおかしかった。

 トリは、二席目となる恩狸さん。
 未だ初夢を見ていないと訝りながら、演じ始めたのはこれまた古典中の古典と呼ぶべき『天狗裁き』である。
 妙な寝顔をしている男に対し、女房がいったいどんな夢を見ていたと訊く。
 夢など見ていないと男は言い張るものの、女房はその言葉を信じようとしない。
 隣家の男、家主、町奉行、はては天狗までが男の夢を聞き出そうとするが…。
 というSFっぽくもあり、不条理演劇っぽくもある展開だ。
 恩狸さんは小細工なしの大柄な口演で、噺の筋がよく伝わってくる。
 それとともに、この噺が人間関係というものの微妙さ、崩壊しやすさを笑って、いや嗤ってみせたものであることを改めて感じた。

 最後は、方気さんと恩狸さんのトークで〆たが、ここで方気さんがお客さんよりお題を募集。
 来週15日の座錦湯で、お題をもとにした新作のネタ下ろしができればと話された。
 今年は創作にも力を入れたいと口にする方気さん、果たしてどのような作品に仕上がるか。
 こうご期待である!

 と、今夜も盛りだくさんの座錦湯でした。
 毎週月曜20時は、皆さん錦湯さんへぜひ!
 ああ、面白かった!!
posted by figarok492na at 01:21| Comment(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月26日

第11回座錦湯

☆第11回座錦湯

 出演:月亭方気さん、桂三幸さん、林家染八さん、月亭秀都さん
(2017年12月25日20時開演/錦湯)


 世はクリスマス!
 平日ではあるけれど、イヴほどではないとはいえある種イベント化しているクリスマス、しかも寒さ厳しい京この頃、が、蓋を開けたら錦湯さんには大勢のお客さんが集まった。
 12月に入って、常連さんにリピーターさん、ご新規さんとバランスのほうもよくなっている。

 で、年内最後となる11回目の座錦湯は、支配人の月亭方気さんに前支配人の桂三幸さん、おなじみの林家染八さん、月亭秀都さんが出演した。
 定刻20時を10分ほど過ぎたあたりで三幸さん以外のお三人が登場、クリスマスだしあえて遅れて来てるんではと盛り上がっているところに三幸さんが到着、なんのこたない、環状線が遅れているというオチ。
 さらに、秀都さんのお師匠さんである月亭文都さんと方気さん、秀都さんの三人で方気さんの実家から送られてきた牡蠣を食べたら、他の二人はあたったにもかかわらず、秀都さんだけなんともなかったというエピソードが笑いを誘う。

 と、頃合いを見計らって秀都さんが高座へ。
 先輩方のマクラの定番のエピソードに、「会を開いたらお客さんが一人。自分と相手と差し向い」というのがあるけれど、いやいやそんなことあるかいなと思っていたら先日そんなことがありました、こうやってお客さんにお越しいただいてありがたいとお礼の言葉を述べてから、本題の『転失気』へ。
 お医者さんから「てんしき」なる言葉を訊かれた和尚さん、なんのことだかわからない。
 が、そこは知ったかぶりの和尚さんのこと、自分で確かめるのはプライドが許さぬとばかり小僧さんを訊かせに行かせたが…。
 というおなじみの古典。
 底意地の悪そうな和尚さんと、かわいらしいけど機転の効く小僧さんという対比がまずおかしい。
 そして、終盤小僧さんからの偽の情報に踊らされる和尚さんとお医者さんのやり取りが実に滑稽だ。
 秀都さんの柄、語り口によく合ってるように感じた。

 続いては、染八さん。
 着物の色が毛氈や座布団と丸被りで、大きな笑いが起こる。
 で、年末に落語家で108個の小咄を語るイベントがあって自分もいくつか考えなきゃいけない。
 ついては、その思い付いた分をここで試しておきたいと早速披露。
 今年にぴったりのネタで、イベントの成功を心より祈っております!
 本題のほうは、年の暮に相応しい『尻餅』。
 餅つきの音ぐらいさせたいという嬶の言葉に、何を思ったか貧乏な男、嬶の尻を持ちに見立てて叩けば餅つきの音になると…。
 というこれまたおなじみの古典で、すでに一度錦湯で染八さんもかけたことのあるネタだ。
 やはり見せ場聴かせ場は男がちんつき屋(餅つき屋)の真似をし始めて、嬶の尻をテンポよく叩いていくところだろう。
 仕草姿がおかしいし、ちんつき屋(に扮した男)の歌声などには染八さんのこれまでの研鑽も窺える。
 ただ、それに加えて印象に残ったのは、嬶が夫の寝顔に言葉をかけるところ。
 この噺の肝が、マクラでもちらと触れられた貧乏な男と嬶の結びつきであることに改めて気づかされた。

 三席目は方気さんで、実家七尾のエピソードをマクラで語ったのち、新作の『とかいなか』をかける。
 今は都会と田舎の中間である「とかいなか」がクローズアップされている。
 で、そんな「とかいなか」を代表するその名もとかいなかという架空の場所が舞台のお話で、さらにこのとかいなかの人口アップ、知名度アップをはからんと昔話の桃太郎を下敷きにしたパンフレットが作られようとしていた…。
 以前、錦湯でも演じられたことがあるのだけれど、主題がしっかりしている上に、細かいくすぐりが効いており、さらに時事ネタも織り込まれていて笑いが豊富な作品となっている。
 方気さんの十八番の一つとなるのではないか。

 そして、トリは三幸さんだ。
 ささっとと言いつつ、マクラを語る三幸さん。
 その肩肘張らない軽快なマクラが面白い。
 さらに、本題はお師匠さんの桂文枝さんがつくった新作『お忘れ物承り所』。
 駅のお忘れ物承り所に集まる人々の姿を、基本はリアル、けれど巧くデフォルメを効かせて描いた作品で、しっかり笑いどころが詰まっている。
 しかも、今夜はさらに、前のネタ(『転失気』)を受けたエピソードが加わるなど三幸さん流の脱線脱臼がはまって大きな笑いが起こっていた。
 いやあ、おかしかったなあ。
(余談。この作品に接すると、「透明な過去の駅で遺失物係の前に立った僕は余計に悲しくなってしまった」という谷川俊太郎の詩をふと思い出す。文芸趣向の強い文枝さんとはいえ、いくらなんでもまさかそれとは関係ないだろうけれど)

 最後は、大喜利。
 前支配人の三幸さんが約束した大喜利大会とはならず、大喜利猛者も集まってはいなかったが、常連さんやリピーターさん、ご新規さんも客席から果敢に参加。
 方気さんの仕切りの下、三幸さん、染八さん、秀都さんがコンスタントに的確な解答を重ね、2017年の錦湯さんでの大喜利を〆た。

 終演後は、クリスマスパーティーと忘年会を兼ねた打ち上げ&交流会が久しぶりに開催され、思わず聞し召した当方はすぐさま顔を真っ赤にしてあれこれ歓談してしまった。

 と、今夜も盛りだくさんな座錦湯さんでした。
 2018年も毎週月曜20時は錦湯さんにぜひ!
 ああ、面白かった!!
(正月1日はお休みです。悪しからず)
posted by figarok492na at 02:24| Comment(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月19日

第10回座錦湯

☆第10回座錦湯

 出演:月亭方気さん、月亭天使さん、桂三実さん、笑福亭智丸さん
(2017年12月18日20時開演/錦湯)


 師走真っ盛り。
 新年を間近に控え、寒さも一段と厳しくなってきた京この頃だが、錦湯さんには常連さん、リピーターさん、ご新規さんとバランスよくお客さんが集って、けっこうな入り。
 10回目となる座錦湯は、支配人の月亭方気さんをはじめ、月亭天使さん、桂三実さん、笑福亭智丸さんとお馴染みの顔触れが揃った。

 定刻20時を少し過ぎたあたりで、方気さん、天使さん、三実さんが登場。
 近況報告というか、最近体験したあれあれ??と思うようなエピソードなどを語って盛り上げる。

 で、頃合いの良いところで方気さんが高座へ。
 方気さんといえばもちろん月亭八方さんのお弟子さんだけれど、実はその前に半年間だけ八方さんのお師匠さんにあたる月亭可朝さんの弟子をやっていたことがあったと、可朝さんへの入門時代のエピソードをいくつか語ってくれたのだが、いやあこれが可朝やん(by上岡龍太郎さん)らしいとんでもないもので、大いに笑ってしまう。
 一方、本題は可朝さんにつけてもらったものではないが、月亭一門にとって避けては通れないのが博打ということで『看板のピン』を演じる。
 昔博打で鳴らした老人に授かった(?)奇策で勝負に挑もうとしたまではよかったが…。
 というおなじみの古典で、表情の変化の面白さはもちろんのこと、方気さんの場合、噺運びの丁寧さ、細かい所作も忘れてはならないと思った。
 そして、登場人物がS気質に変わったとたん、がぜん活き活きとしてくる方気さん!
(方気さんと可朝さんの関係を一切知らずに、以前方気さんには「大師匠と通じるものがある」旨記したことがあったのだけれど、なるほどそういうことだったのか!)

 続いては、月亭天使さん。
 開場前に中から三味の音が聴こえてくるなと思っていたら、これが天使さんだった。
 で、クリスマスメドレーを聴かせてくれたのだが、西洋のメロディーを三味線が奏でるそのミスマッチのマッチというか、緩やかでおおらかな雰囲気が錦湯という空間にはぴったりだ。
 婚活を続けているが、どうしてこういうところに参加する男性は自分の顔をきちんと示さないみょうちきりんな写真ばかりアカウントにあげるのかという独身中年男性の当方には少々耳の痛いマクラののち、本題の『書割盗人』に入る。
 天使さんでこの噺を聴いたのは、これで二度目か三度目かな。
 とんとんとんとんとテンポよく進めて行こうとする高座で、耳になじみがいい。
 中性的というとちょっと違うが、媚態に溺れることのない演じ具合、筋運びは天使さんの特性であり、好感が持てる。

 三席目は、よんどころのない事情で入りが遅れた智丸さんだ。
 と、ここで錦湯さんを訪ねて海外からのお客様二人をなぜだか対応せざるをえなくなり外へ出る。
 一人は、台湾からの中年の男性で日本語はもちろんのこと、英語も話せない。
 おまけに、スマホの画面を見せてくれるのだけれど、そこにも中国語しか書いてない。
 もう一人はアジア系の女性(中国か韓国の人)でこちらは英語がぺらぺら。
 二人は連れではないそうで、同時に話しだしたりもして、いやあよそへ行ってもらうのに時間がかかった。
 英会話もそうだけど、中国語会話もある程度マスターして…おく必要はないか?
 で、中に戻るとマクラはほぼ終わって本題に突入。
 子供が昔話を聴いてすぐに眠ってくれるのは20世紀半ばまで…。
 なんだ『桃太郎』か、と思っていると、あれあれなんだかおかしいぞ。
 話が金太郎へと脱臼をし始めて、遂にはとんでもない世界へと拡がって行った!
 まさしく智丸ワールド全開だ。
 確か、智丸さんは藤枝静男の作品を高く評価していたはずだけれど(筒井康隆も高く評価している)、その藤枝作品を彷彿とさせる内容ともなっていた。
 ちなみに、題名は『金太郎』とのこと。

 トリは三実さんで、大阪にはおもしろい人がいますねと観察眼の確かさを示すエピソードを重ねて笑いを生む。
 本題はこれまた新作の『同姓同名』。
 巡査が駐在さんんとしてとある村に赴任することになったのだけれど、この村というのが特徴のある姓名の持ち主だらけの村で…。
 目の付け所のよさが即くすぐり即笑いに通じている作品で、村役場の村長さんの裏切り方など大いに笑ったなあ。
 お客さんもフィーバーしていた。
 三実さんの一筋縄ではいかない新作はやっぱり愉しいや。

 と、今夜も盛りだくさんの座錦湯でした。
 ちなみに来週はクリスマスで今年最後の座錦湯となります。
 ご都合よろしい方はぜひ!!
 ああ、面白かった!!
posted by figarok492na at 01:30| Comment(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月12日

第9回座錦湯

☆第9回座錦湯

 出演:月亭方気さん、月亭八斗さん、桂あおばさん、海底都市
(2017年12月11日20時開演/錦湯)


 いやあ、寒い。
 寒波の到来と天気予報が言っていた通り、夕方頃から寒さがぐぐぐぐぐっと激しくなった京都だったが、今夜も錦湯さんにはご新規さん、リピーターさん、常連さんが集まって何より。
 後述、桂あおばさんがマクラで「自分の出演のときは…」、といういつもの言葉をかき消すほどの入りとなった。

 9回目となる座錦湯は、支配人の月亭方気さんに、おなじみ月亭八斗さんと桂あおばさん、そして海底都市と四組五人が出演する豪華版。
 まずは、定刻20時あたりにあおばさんが早速高座へ。
 上記、自分が出演したときは…というおなじみのフレーズと、今夜まだ二度目にかけるネタでと言って本題に入りかけたところで、どどどどっとお客さんが入って来て、仕切り直し。
 その仕切り直しのあおばさんの茶目っ気がいい。
 で、本題はおなじみ古典の『阿弥陀池』。
 あおばさんのフラ、師匠桂ざこばさん譲りの語り口と「真情」がよく出て、実におかしかった。
 中でも、だまそうとしてうまくだませぬ滑稽な掛け合いから一転、ついた嘘のせいで落ち込んでしまう男の慌てぶり、おか弱さがあおばさんの柄にぴったりだった。

 続いては、八斗さん。
 高座へ上がった八斗さん、いつもはこういうことは言わないのだけれどと断った上で、あおばさんが今回二度目にかけるネタと口にしたことに対し、そんなことを言ってしまったらお客さんが構えてしまうと苦言を呈する…。
 と、思ったら、自分は今夜がネタおろし…。
 ただ、自分の家の屋根が台風で飛んでしまった(これ、twitterのツイートで知って、わちゃいと驚いていた)、それで金を稼がなきゃいけない等々、「ないない」と断ったはずのマクラを語っているうちに時間が…。
 と、振りつつ本題の『饅頭こわい』を途中から。
 当然スピーディーな展開。
 が、ここから仕掛けが。
 八斗さん!!
 しかし、この仕掛けは別のところで使われるかもしれないので、あえて書かない。
 それを書いたら、『オリエンタル急行殺人事件』の犯人は実は乗客…。
 とネタばれするのと一緒なので。
 マクラが巧く効いていた。

 三組目は海底都市。
 京都小劇場界ではおなじみ西マサト国王と合田団地君によるコンビで、今夜のネタは小物もあったりして相当コント寄り。
 前回同様、西マサト国王の妄想が爆発する展開だったのだけれど、今回はさらに数歩先を狙ったか。
 こうしてお客さんと身近な場所で、果敢に勝負に挑む二人に大きな拍手を捧げたい。
 さらなる挑戦が愉しみだ。

 トリは、月亭方気さんで、あおばさんや八斗さんを受ける形で、自分は久しぶりにかけるネタをやるとまずは一言。
 で、女性は怖いと重ねてから、本題の『転宅』に入った。
 方気さんの『転宅』に接するのは二回目だが、この間の研鑽経験も加わって、トリに相応しい高座に変わっているように僕には感じられた。
 丹念丁寧さもそうだし、構え雰囲気もそうだ。
 それでいて、肩肘張った大げささとは無縁、軽みもあってデフォルメも効かせる。
 女性の演じ方、終盤の間抜けな男の追い詰められ具合も強く印象に残った。

 と、今夜も盛りだくさんの座錦湯でした。
 ああ、面白かった!!
posted by figarok492na at 00:54| Comment(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月05日

第8回座錦湯

☆第8回座錦湯

 出演:桂三幸さん、林家染八さん、丸山交通公園君
 大喜利出演:あふろだんぺ〜さん、きょうとうさん、こみやさん
(2017年12月4日20時開演/錦湯)


 世は師走。
 いつの間にやら今年もひと月を切り、寒さもぐぐっと激しくなった京この頃だが、錦湯さんには常連さん、リピーターさん、ご新規さんとなかなかのお客さんが集まったのは何より。
 8回目となる座錦湯はよんどころない事情のため支配人の月亭方気さんご夫妻がお休みで、前支配人の桂三幸さんにもうおなじみとなった林家染八さん、そして大喜利以外では初登場となる丸山交通公園君が顔を揃えた。

 定刻20時頃に三人が登場し、まずはトークを繰り広げた。
 三幸さんが肩肘張らない軽みの効いた話を投げかけると、弟子入り以前から付き合いの深い染八さんがぱっと応える。
 負けじと丸山君も二人に伍してトークを盛り立てる。
 といった感じ。

 で、頃合いのよいところで染八さんが高座に上がった。
 マクラで大先輩にあたる落語家さんのエピソードなどを語りつつ、流れをつくったところで本題の『太鼓腹(幇間腹)』に入る。
 なじみの若旦那に呼ばれた太鼓持ち(幇間)、お座敷に顔を出すなり、たっての願いがあるからとの言葉。
 いったいどんなことかと思ったら、この若旦那、ここのところ鍼に凝っているということで、どうしても生身の人間に鍼を打ちたい、ついては…。
 といった展開の有名な古典落語である。
 染八さんは、時に強めの声を上げるなどデフォルメを効かせながらも、基本は要所急所を押えた丹念な口演を心掛けていた。
 そうそう、歌う部分での調子のよさも印象に残ったんだった。
 いずれ喉が物を言う噺をたっぷり聴かせて欲しい。

 続いては、丸山君が登場し、丸山交通公園ワンマンショーでネタおろしした『サッカーが世界を滅ぼす』を披露していた。
 すでに大喜利には何度か出演している丸山君だけれど、こうやって一つの芸として出演するのは今回が初めて。
 落語を、漫才を、笑いを愛する丸山君にとってはここでネタを披露できるのは光栄だと断ってから、ネタに入る。
 サッカーは嫌い、どうして嫌いかといえば…。
 と、ワンマンショーでならした口調で言葉を重ねていく。
 ホームグラウンドのK’s office-京都二条の館-に対し、こちら錦湯さんはまさしくアウェイだが、ここぞというところで笑いが起こっていた。
 加えて、ちょっとしたアクシデントが笑いに変わっていたのも「持ってる人」の証拠ではないか。
 錦湯さんでのワンマンショーも期待したい。

 トリは、三幸さん。
 丸山君のネタを受ける形で、自分は小学校の頃サッカーをやっていた…、と自らの来し方・部活の想い出を語ったあと演じたのは、古典の『鉄砲勇助』。
 一度、錦湯さんでも取り上げたネタではあるが、今夜の三幸さんはかつての阪急の特急の如く大宮を出たなら、あとは十三まで停まりませんの勢いだ。
 しかも、その流し具合がいい。
 木曽の山中から北海道の旅行へ移るあたりの素っ気ない感じがおかしかったし、ハイブリッド落語の使途らしいサゲ方にも笑ってしまった。

 そして、今夜は大喜利を決行。
 染八さんの仕切りの下、三幸さん、丸山君がコンスタントに解答する一方、大喜利猛者のあふろだんぺ〜さんや、大喜利連に参入したきょうとうさん、こみやさんもヒットを重ねた。
 それにしても、大喜利好きの人たちは大喜利をやるとアナウンスしていないのに、こうもタイミングよく集まるのか!?

 と、今夜も盛りだくさんな座錦湯でした。
 今後も誰が登場するかわからない座錦湯は、毎週月曜20時からのスタートです。
 ご都合よい方はぜひにぜひに!
 ああ、面白かった!!
posted by figarok492na at 00:14| Comment(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月28日

第7回座錦湯

☆第7回座錦湯

 出演:月亭方気さん、森乃阿久太さん、林宏樹さん×湯気さん
(2017年11月27日20時半開演/錦湯)


 いくぶん気温が上がったものの、もはや冬かと思うような寒さが続く京この頃。
 そして、別のイベントが開催されていたため30分遅れの20時半スタートにもかかわらず、錦湯さんには常連さんにリピーターさん、ご新規さんが集まった。
 どうやら今夜は湯気さん目当てのお客さんもいらしたような。

 7回目となる今回は、支配人の月亭方気さんに錦湯さんでは2回目となる森乃阿久太さんが出演。
 予定の20時半を少し過ぎたあたりで、その阿久太さんが高座へ上がった。
 いつもと違って、浴場へのガラス戸が開いていて反響が激しかったため、まずはそこらの加減を口にする。
 で、自分は色が黒いが、これは日に焼けたんじゃなくて酒に焼けたものと断ってから酒飲みの話、そして本題の『酒の粕』へ。
 下戸の男がどうしたことか酒粕二枚を食べて酔いが回る、これ幸いといつも馬鹿にしている連中のところへ足を向けたはいいが…。
 という古典落語で、阿久太さんは要所急所をきちんと押さえつつ、自分なりのアレンジも効かせてじっくり語り上げた。
 いぶし銀、滋味あふれる落語家さんになるのではと、これからが愉しみだ。

 続いては、銭湯偏愛ライターの林宏樹さんをホストに、銭湯熟女の湯気さんが登場。
 どうやら、先ごろ刊行された2冊目の写真集のPRのためらしい。
 当然、その写真集に関するやり取りが中心になったのだけれど、プロの落語家さんたちとは一味違う林さんの受け答えに誠実な人柄が窺えたし、湯気さんのそこはかとない(?)雰囲気も滑稽だった。
 終了後、物販にお客さんが集まっていたのも何よりである。

 トリは、方気さん。
 自分はいらちだ、ちょっとしたことでもいらいらしてしまう、とマクラで語ったのちにかけた本題は『天災』。
 妻を殴れば実の母親を蹴り倒すようないらちな男、これではあかんと紹介されたのは心学の先生で…。
 というおなじみの噺で、方気さんは基本は快活、流れるようなテンポだけれど、一方で細かい仕草など細部にも目配りした高座を生んでいた。
 それとともに、例えば心学の先生が男を宥め諭す場面や、男が自らが学んできたことを頓珍漢に説教する場面での、相手を追い詰めるようなところでは方気さんの特性、別の魅力が垣間見えたのもおかしかった。

 と、今夜もバラエティに富んだ座錦湯でした。
 ちなみに、来週は諸般の事情で方気さんはお休みで、前支配人の桂三幸さんがやって来ます!
 毎週月曜20時は座錦湯にぜひ!
 ああ、面白かった!!
posted by figarok492na at 00:12| Comment(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月21日

第6回座錦湯

☆第6回座錦湯

 出演:月亭方気さん、桂ちきんさん、リスナップ、福神よしきさん
(2017年11月20日20時開演/錦湯)


 ぐぐぐぐぐっと気温が下がり、もはや冬なんじゃないかと思う寒さの京この頃だが、今夜も錦湯さんには常連さん、ご新規さんとなかなかのお客さんが集まった。
 6回目となる今回の座錦湯は、支配人の月亭方気さんに桂ちきんさん、福神よしきさん、そしてリスナップのお二人と、ある意味錦湯さんだからこその番組となっていた。

 定刻20時を過ぎたあたりで、ちきんさんと福神さんが登場。
 ちきんさんは桂きん枝さんのお弟子さんで、言わずと知れた(?)映画狂。
 一方、讃岐のヒッチコックの異名をとる福神さんはぴん芸人。
 すでに何度か錦湯さんにも出演して、当意即妙のコンビネーションを発揮してきた。
 まずはそのコンビネーションを活かした掛け合いから。
 まんざいはまんざいでも、良い意味でのいなたさ、大どかさをためた三河萬歳風の掛け合いがどうにもおかしい。
 そして、本藝は福神さんの南京玉すだれである。
 実は福神さんは一度ここで南京玉すだれに挑戦したものの、二つ目の業にかかったところで玉すだれの紐がとれて悲惨な事態に陥った。
 つまりは、今夜はそのリベンジということだ。
 ところどころスリリングな場面はありつつも、ちきんさんの突っ込みを兼ねたおしゃべりの助けもあって、福神さんは無事全ての業を為し切った。
 いやあ、笑ったなあ。
 この二人ならば、異色の太神楽としていけるかも?

 続いて登場したのは、リスナップのお二人。
 客席から向かって左側が藤本康志さん、右側が土井隆さんの漫才コンビで、支配人の方気さんとは関西大学の落研の同期にあたる。
(というか、もともと方気さんはリスナップのメンバーだった)
 千葉県出身の藤本さんは、すでに錦湯さんへも出演ずみ。
 銭湯熟女の湯気さんとのトークの相手をしたのもこの藤本さんで、はじまってすぐにそのことネタにして笑いをとっていた。
 今回が錦湯初出演となる土井さんは滋賀県の出身で、劇団そとばこまちの一員として演劇活動も積極的に行っている(というのは、終了後にお話してわかったこと。あとで調べたら、メイシアターではTHE ROB CARLTONの村角ダイチさんや満福満君とも共演されていた)。
 で、いわゆるコント風ではないしゃべくり中心のネタを披露した。
 持ち時間がけっこう長かったこともあって、いくつかのネタを重ねていくスタイルがとられていたが、そのチョイスというか繋ぎのあたりにも二人の関係性がよく窺えたように思う。
 それまでのいじりの積み重ねが伏線にもなっていて、最後の結婚式のエピソードが中でもおかしかった。

 トリの方気さんは、嬉しい報告から切り出す。
 まさに喜ばしいお話だ。
 そして、本題は『初天神』。
 すでに錦湯さんでも演じたおなじみの古典だけれど、今夜の方気さんはさらにじっくりたっぷり演じてみせた。
 ここぞというところでデフォルメをかけるのは方気さんの特徴なのだが、今回はさらに磨きがかかるというか、粘りをきかせるというか、その仕掛けっぷりが面白い。
 特に、父親が飴玉を選ぶところやみたらし団子の蜜をねぶるあたりの攻め具合には笑ってしまう。
 それとともに、ここのところの高座同様、全体には落ち着きというか重心が下がった感じがしたことも事実である。
 これからの方気さんの落語がますます愉しみで仕方ない。

 さらに、今夜は大喜利を決行。
 方気さん仕切りの下、出演者5人がお題に答えるという形式で、ちきんさん=福神さん、リスナップのお二人というコンビネーションがまずあって、それが微妙に混じり合うスタイルとなっていた。
 乱れつつ、統一のとれた大喜利で、ここでも大いに笑った。

 と、今夜も盛りだくさんの座錦湯でした。
 ちなみに、諸般の事情で来週は20時半からの開演です。
 ご都合よろしい方は、一度ぜひ!
 ああ、面白かった!!
posted by figarok492na at 00:39| Comment(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月14日

第338回市民寄席

☆第338回市民寄席

 出演:桂塩鯛さん、桂三風さん、笑福亭たまさん、月亭天使さん
 座席:1階8列16番
(2017年11月14日19時開演/ロームシアター京都サウスホール)


 二日続けて落語の会だが、昨夜の座錦湯がインティメートな空間でのサロン・コンサートだとすれば、今夜の市民寄席は大ホールでのピアノ・リサイタルと喩えることができるのではないか。
 そういえば、来年で京都に住み始めて30年が経つのだけれど、市民寄席に足を運んだのはなんとこれが一回目だ。
 で、諸事情のため、ホールに着いてから座席を知って大いにびっくり!
 1階の通路を挟んだ1列目、それも高座に真っ向から対峙するという良席も良席で、これは目立つな、いつも以上に縮こまっておかねば…。
 と書くと大げさだけど、近過ぎず、遠過ぎず、この規模の小屋で落語に接するには本当にありがたい席だった。

 さて、一番目に登場したのは月亭天使さん。
 天使さんといえば、錦湯さんでの会やちゃいちゃい寄席、そして独演会とこれまで何度も接してきた落語家さんの一人だけれど、こうして比較的大きなホールの高座を聴くのは初めて。
 自己紹介を兼ねたマクラに続いて、おなじみ『鉄砲勇助』を演じる。
 前座、開口一番の代わりということもあってか、強弱メリハリをつけつつテンポよく噺を進めて行った。
 それでも、火事を背負った牛の背中が燃えだすあたりまでしっかり演じていたが、女性にとってあまり適切とはいえない部分を巧く省略していたのは一つの見識だと思う。

 続いては、笑福亭たまさんが登場する。
 京都とは縁が深い、と言ってKBS京都で番組をもっていたことを軽く語ったあと(もっと縁が深い部分についてあえて言及しないのも賢い)、お得意の30秒落語を連発し、大きな笑いをとる。
 本題は、『軽業講釈』。
 旅の部分ははしょって、たまさんは早速講釈の部分から噺を始めた。
 鳴り出すは隣の軽業小屋のお囃子、もちろん講釈師、途中で講釈を辞めて大声を張り上げる…。
 その繰り返し、というか変奏が肝の作品で、たまさんは変奏ごとに巧く調子を変えながら笑いを生んでいった。
 後半の軽業小屋との対比もくっきりとしてわかりやすい。
 実にクレバーな口演だった。

 三席目は、桂三風さん。
 三風さんは当代桂文枝さんの7番目のお弟子さんで、創作落語(新作)の作り手として知られている。
 晴れて京都市民となったことをまず「報告」したのち、時事ネタをひとくさり。
 そして、お師匠の文枝さんの芸能生活50周年を記念した富士山山頂奉納落語に関して詳しく語ったのち、自作の『目指せ!ちょっと岳』に入った。
 つまりは、登山繋がりということだ。
 登山の案内を引き受けたとある大学の山岳部のメンバーだったが、予想に反して、案内すべき女性登山会のメンバーというのは…。
 登山といえば、月亭太遊さんのネオラクゴ『絶対安全ハイキング』や丸山交通公園君の『登山の害について』をすぐさま思い起こすが、あちらが山を登らず過激に跳躍したり、山に登らず諦念低回地に堕ちようとしたりするのに対し、こちら三風さんの作品は、一歩一歩地に足を付けて山を登るといったまさしく地道な作品。
 大阪のおばちゃん連中のあるあるエピソードをしっかり組み込んで、会場をわかせていた。

 トリは、桂塩鯛さんの『小間物屋政談』。
 塩鯛さんの生の高座に接したのは、染屋町寄席が二条駅近くの喫茶店でやっていた頃だから、かれこれ20年も近く前になるのではないか。
 ただ、かつてKBSのラジオで放送されていた『桂塩鯛のサークルタウン』をよく聴いていたことと、同じ立命館大学出身ということもあって親しみのある落語家さんの一人ではある。
 『小間物屋政談』は、もともと江戸の落語を上方に移し替えたもの。
 旅の途中の小間物屋が追剥にあった小間物問屋の大店の主を助けたが、運の悪いことにこの主が死んでしまい…。
 といった展開の江戸から上方へを上方から江戸へ、箱根の山を鈴鹿峠に変えるなど設定の変更もそうだけれど、やはり大きく変わったのは、江戸と上方の人情の機微のあり様の違いだろう。
 ウェットとドライが綯い交ぜになって即物的な上方の人間の滑稽さが、塩鯛さんの大人(おとなではなく、たいじん)風な語り口と独特のフラによく合っており、なんともおかしい。
 一つ間違うと嫌な感じの残りかねない噺だが、すっきりとした気分で聴き終えることができた。

 と、たっぷり四席。
 充実した会でした。
 ああ、面白かった!!
posted by figarok492na at 22:58| Comment(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

座錦湯 第5回

☆座錦湯 第5回

 出演:月亭方気さん、月亭秀都さん、桂りょうばさん、海底都市(西マサト国王&合田団地君)
(2017年11月13日20時開演/錦湯)


 じわじわと寒さが増す京この頃。
 それでも、錦湯さんには常連さん、リピーターさん、ご新規さんとなかなかのお客さんが集まってまずは何より。

 5回目を迎える座錦湯は、3週休みをとった新支配人の月亭方気さんに月亭秀都さん、桂りょうばさん、そして西マサト国王と合田団地君による漫才コンビ・海底都市の5人が出演した。
 まさに5繋がり。

 定刻20時を過ぎたあたりで、その5人が登場。
 方気さんの3週間のお休みのお詫びを兼ねた挨拶(おなじく支配人となったお嫁様の地元で披露宴を行っていたとのこと。改めておめでとうございます!!)を皮切りに、トークがスタートする。
 まずは初登場のりょうばさんの紹介から。
 桂ざこばさんのお弟子さんで、今は亡き桂枝雀さんの息子さんということで、まさしく上方落語界のサラブレッド! という紹介にご本人はいたって謙虚。
 さらに、太遊さんが支配人時代に登場したとはいえ、あまり面識のない海底都市に対する突っ込みと、あれこれ盛り上がる。

 で、頃合いのよいところでりょうばさんが高座へ。
 東京に長く住んでいたが、なかなか関西の掛け合いの妙をわかってもらえなかったエピソードやざこばさんが倒れた際のエピソードを、自己紹介を兼ねたマクラで語ってから本題の『胴斬り』に入る。
 辻斬りに胴のところから横にずばっと斬られて上半身と下半身に別れた男だったが、相手がよほどの達人と見えて血一つでない状態。
 ちょうど通りかかったいつもの仲間に家まで送ってもらった男は、その仲間から上半身のほうは銭湯の番台に、足の方はお麩屋の生地を踏む仕事を世話してもらう…。
 といった展開の古典で、りょうばさんが本題の前に一言断ったように、考え出すとええっと思ってしまうような実にシュールな噺である。
 以前、二人でできるもんでりょうばさんの高座には接したことがあるが、基本は丹念、丁寧な語り口で、ここぞというところではぱっと場面が拡がるような感じの演者さんである。
 ここでも、噺自体のシュールさナンセンスさをきちんと心得つつも、それを特異なものに感じさせない自然の運びの口演を繰り広げる。
 とともに、冒頭登場する正体不明の辻斬りは置くとして、登場人物の心根のよさ、善良さが伝わってくる高座ともなっていた。

 続いては、西マサト国王と合田団地君による漫才コンビ・海底都市が登場。
 この二人、以前は「努力家でもあり、ボンクラでもある。」の名で出演したことがあるが、どうやら錦湯さんへの出演ごとにコンビ名を変えるようにしたらしい。
 で、この二人といえば、先日丸山交通公園君のワンマンショーでネタを目にし耳にしたばかりだが、今夜はさらに国王陛下の妄想妄念がスパーク炸裂。
 トウキョウマジンクラブ(東京魔人倶楽部?)なる組織や、その組織を生むもととなった映画『トウキョウマジン』やら何やらについて国王陛下が語る語る語り走る。
 脱線余談の部分も含めて、合田君を振り回す体のネタに仕上がっていた。
 さて、次回出演時のコンビ名は如何なるものになることか!

 番組三番目は、月亭秀都さん。
 月亭文都さんのお弟子さんで、最近年季が明けたばかり。
 錦湯さんへは二度目の登場だ。
 マクラでは、藝の幅を広めるためにある試みを行おうとしたところ、大師匠にあたる月亭八方さんから厳しい申し付けがあった。
 しかもそれが直弟子の月亭八斗さんに飛び火して…。
 というエピソードでわかせたのち、本題の『阿弥陀が池』を演じた。
 町内の年かさの人物にほら話でからかわれた男が、こうなりゃ別の人間をからかってやろうと思い付いたのはよかったが…。
 といったおなじみの古典で、秀都さんは非常にテンポよく噺を進めて行った。
 上方流儀のちょっとだみっぽくってちょっとねっちゃりした語り口も相まって、要所急所でしっかりきっちり笑いを生んだ。

 トリは、方気さん。
 先日三代目桂春蝶さんと酒を酌み交わす機会があって、そこで錦湯さんの会の三代目支配人となった話をしたところ、三代目という言葉にぴんときた春蝶さん…。
 という三代目ネタでまずはひと笑い。
 続けて、その春蝶さんから耳にした師匠八方さんの「スリリング」なエピソードでふた笑い。
 さらに、結婚してその「怖さ」を実感した小咄を披露したのち、新婚に相応しい『延陽伯』を方気さんはかけた。
 器量よしの妻をめとったがさつな男だったが、この妻というのがやたらと言葉遣いが丁寧な女性で…。
 これまたおなじみの古典だけれど、ここぞというところで表現表情を的確に変化させながらも、方気さんは焦らず落ち着いた高座ぶり。
 それでいて、重く粘るようなことはしないで巧く時間配分も考えて噺を進め、途中でサゲた。

 と、今夜も盛りだくさんの会でした。
 落語とともに、幅広いジャンルの出演者も募っていきたいという座錦湯に皆さんもぜひ!
 ああ、面白かった!!
posted by figarok492na at 00:26| Comment(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月07日

座錦湯 第4回

☆座錦湯 第4回

 出演:林家染八さん、笑福亭智丸さん、露の棗さん、露の新幸さん
(2017年11月6日20時開演/錦湯)


 立冬を前にしてぐぐっと気温が下がった京都だが、今夜も錦湯さんには常連さん、リピーターさん、ご新規さんとなかなかのお客さんが集まった。
 今回は新支配人の月亭方気さんご夫妻の登場、かと思っていたらまさかのお休み。
 しかも前支配人の桂三幸さんも不在という状況だったが、そこは伊達に3年間も会をやって来たわけではない。
 林家染八さん、笑福亭智丸さんというおなじみの顔触れに、初登場の露の棗さん、露の新幸さんと四人の落語家さんが顔を揃え、万事順調に会を進めた。

 で、染八さんの進行のもと、自己紹介を兼ねたトークを繰り広げたのちは、新幸さんが高座へ上がる。
 新幸さんは、露の新治さんのお弟子さん。
 もともとはロックミュージシャン、それもメジャーデビューも果たしたのだけれど…、とまずは詳しい紹介をマクラですませてから本題の『金明竹』へ。
 店番をしていた丁稚、来る客ごとに失敗を重ねてごりょんさんに叱られてばかりだったが、最後に現れた加賀屋の使いが一番の難物で…。
 というおなじみの古典だが、前半の丁稚さんとごりょんさんを中心としたやり取りでは声の強弱や表情の変化を巧くつけながら丹念に噺を進めていく。
 そして、肝となるのはなんと言っても加賀屋の使いの言い立てだ。
 流石は元ミュージシャン(?)、新幸さんはこの言い立てをよどみがなくてテンポよく聴かせた。
 爽快な一席。

 続いては、棗さん。
 露の都さんのお弟子さんで、三年の年季が明けたばかり。
 実は、年季明け初の仕事がこの座錦湯になるとのことで、貴重な機会をこちらもいただいたということだ。
 はじめに、小咄を三つ披露して場をなじませてから演じたのは、「ナイスバディ」な容姿の自分にあったネタの『大安売り』。
 町内の衆と関取の滑稽なやり取りを描いたこれまたおなじみの古典だけれど、棗さんは大ぶりな語り口で、この噺の持つおおどかさをよく掴んでいたのではないか。
 時に内面の細やかさが窺えたりもしたが。
 いずれにしても、今後の棗さんの活躍を期待したい。

 三席目は智丸さん。
 錦湯さんの会で演じてきたネタを再確認したら、『有馬小便』や『転失気』と「汚い」噺ばかり。
 こうなりゃ行くところまで行くと覚悟をした智丸さんが演じたのは、新作の『スネークアドベンチャー』だ。
 何をやっても運のない男だったが、ひょんなことから蛇神から恩返しを受けることになり…。
 20世紀前半に盛んになった新古典派音楽ではないが、智丸さんは古典落語風のやり取り、さらには引用を基調としつつも、そこに流石は詩人と唸らされる特異な言語感覚(何せ「ずんずん丸」!)や突拍子もない設定を織り交ぜて、笑いが豊富の作品に仕立て上げていた。
 口演中の恥じらいというか、臆面のある加減もチャーミングだった。

 トリは、染八さんの『もう一つの日本』。
 笑福亭福笑さんの新作で、商談にやって来たアメリカ人とそれに対する関西のこてこてのビジネスマンの掛け合いがどうにもおかしい。
 時折飛び出す毒の効いたくすぐりも嬉しい。
 染八さんはそうした作品を丁寧に演じつつ、自らの人懐こさ、人柄を巧く垣間見せてもいた。
 トランプ大統領の来日というタイミングにもぴったりのチョイスである。
(『エアフォース・ワン』なんか放映するよりよっぽどましだぜ!)

 最後は、染八さんの仕切りで大喜利を決行。
 智丸さん、棗さん、新幸さんがコンスタントに解答を重ねる一方、客席のおなじみさんも果敢にお題に挑んでいた。
 なお、錦湯さんの大喜利で鍛えられた染八さんが初代支配人の太遊さんの仕切りをリスペクトしていた点にも好感が持てた。

 と、今夜も盛りだくさんな座錦湯でした。
 次回こそは方気さんご夫妻が登場か?
 毎週月曜20時は錦湯さんへぜひ!
 ああ、面白かった!!
posted by figarok492na at 01:48| Comment(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月31日

座錦湯 第3回

☆座錦湯 第3回

 出演:桂三幸さん、桂米輝さん、笑福亭乾瓶さん
 大喜利出演:丸山交通公園君、ゴハさん
(2017年10月30日20時開演/錦湯)


 台風が去ってぐぐっと気温が下がり、肌寒さを強く感じる京都だったが、今夜も錦湯さんには常連さん、リピーターさん、ご新規さんとなかなかのお客さんが集まった。
 新支配人の月亭方気さんご夫妻がお休みとなった3回目の座錦湯は、2週続けて前支配人の桂三幸さんが差配を務める。
 今回は三幸さんのほか、桂米輝さんに笑福亭乾瓶さんと初登場がお二人。

 定刻20時を過ぎたあたりで、お三人が登場しトークを繰り広げる。
 米輝さんや乾瓶さんのお師匠さんや兄弟子さんについて話題になっていたが、そこは三幸さん、あっちへ行ったりこっちへ行ったりと一筋縄ではいかない。
 そこをまた、米輝さんや乾瓶さんが突っ込んで盛り上げた。

 で、頃合いのよいところで乾瓶さんが高座へ。
 乾瓶さんはその名からも察せられる通り、笑福亭鶴瓶さんのお弟子さん。
 大分県の出身で、入門は去年の12月とのこと。
 見習い期間中だが、今日急に三幸さんからオファーがあってお師匠さんに確認の上、出演が決まった旨、まずもって話す。
 そんな見習い期間中の厳しい生活についてマクラで語ってから本題の『子ほめ』に入る。
 もはや詳しく語る必要もないおなじみの古典である。
 乾瓶さんは楷書の芸というのか、基本はつけてもらった通り細かく丁寧に演じているように感じられたが、あと少しで一本調子になりそうなところで巧くテンポを変えて噺にメリハリをつけている点が強く印象に残った。
 また、語り口に名人大師匠の風を感じさせるところもあって、これからがとても愉しみだ。

 続いては、米輝さんが登場する。
 米輝さんは桂米團治さんのお弟子さんで、今年上方落語噺家グランプリに優勝した若手実力派。
 多芸多才の人としても知られている。
 そんな米輝さんは、昨日日曜日の二つの落語会での三幸さんの無茶苦茶ぶりを「暴露」したのち、新作の『イルカ売り』を演じた。
 落語会にははじめからネタが決まっている場合とその日になってネタを決める場合がある。
 ただ、あまりにも前に決めてしまった場合は、こんなネタやることになってたのか! と驚くケースもあって…。
 で、作中の「桂米輝」が、お師匠米團治さんの独演会で演じなければならなくなったのは、『イルカ売り』という未知の噺。
 さてどうしたものかと慌てふためく「米輝」だったが…。
 といった展開の作品で、時に古典も交えたり落語会の情景を巧みに盛り込んだりとメタ的趣向に富んでいる。
 そこに流れがよくて闊達、なおかつ表現の幅が広い米輝さんの口演が加わるとなると、当然の如く大きな笑いが生まれる。
 米輝さん、その名の通り輝いていた。

 トリは、前支配人の三幸さんだ。
 米輝さんの語った昨日の無茶苦茶ぶりの内情を説明したあと、まもなくR-1の季節ということで過去のネタ二つを披露。
 いわゆるネオはめ物を駆使した作品で、笑いの仕掛けが豊富だ。
 本題は、おなじみ新作の『冬のゴルゴ』。
 削りに削ってここぞという部分を残した作品だけに、くすぐりが巧く効く。
 ネタバレは控えるけれど、ゴルゴ13を題材にするならそうこなくちゃというネタがいくつもあるのは嬉しい。

 最後は、大喜利を決行。
 大喜利ガーのゴハさん考案のお題に対して(出題もゴハさん)、出演出場者が挑むというスタイルで、三幸さんが安定しているのは言わずもがなだが、乾瓶さんが勇猛果敢積極的に解答を重ねていたのは予想外。
 一方、米輝さんは独特なイラストが効果的だった。
 また、ワンマンショーでならす丸山交通公園君も三人に伍してほぼ正解の解答をかましていた。

 と、今夜も盛りだくさんの座錦湯でした。
 毎週月曜20時は錦湯さんに皆さんもぜひ!
 ああ、面白かった!!
posted by figarok492na at 01:03| Comment(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月24日

座錦湯 第2回

☆座錦湯 第2回

 出演:桂三幸さん、桂紋四郎さん
(2017年10月23日20時開演/錦湯)


 台風一過、冴え冴えとする空となり、気温もぐっと下がった今夜の京都だったが、錦湯さんには常連さん、リピーターさん、ご新規さんが顔を揃えた。
 新生座錦湯の第2回は、新支配人の月亭方気さんご夫妻がお休み。
 だが、ご安心あれ。
 錦湯さんには、二代目支配人の桂三幸さんがいる。
 ということで、今回はその三幸さんの号令の下、錦湯初登場となる桂紋四郎さんがやって来た。

 定刻20時を過ぎたあたりで、三幸さんと紋四郎さんが登場。
 本当は別の落語家さんが出演の予定だったが、急遽だめになり紋四郎さんを誘ったのだと、三幸さんが手の内を明かす。
 そこは紋四郎さん、それを逆手にとって笑いに換える。
 丁々発止の掛け合いで、盛り上げた。

 頃合いのよいところで、紋四郎さんが高座へ。
 錦湯さんという距離感もあって、いったんはけてまた出てくるのは恥ずかしい。
 それならばと、なんと浴場のほうからぱぱっと出てくる新手の手法を決行。
 インパクト大だ。
 で、自己紹介を兼ねたマクラでお客さんの様子を巧く掴んでいく。
 ちなみに、紋四郎さんは桂春蝶さん(最近の時勢にも乗って、大活躍。ただ、50近くの当方からすると、春蝶といえばどうしても、『霊感ヤマカン第六感』なども含めて、これぞまさしく上方の藝人だなあと感嘆した先代のお父さんのほうを思い出してしまう)のお弟子さんで、阪大の工学部出身の由。
 本題は、『植木屋娘』。
 植木屋の幸右衛門は、娘おみつの婿にひょんなことから知り合った寺に居住している伝吉を迎えたいと思い込むようになる。
 だが、伝吉はもとはといえば五百石の旗本の跡継ぎとなるべき人物で…。
 といった内容で、大きな笑いというよりも話の運びが肝となるべき古典である。
 ここぞというところでは「フォルテ」を活用していたが、紋四郎さんは基本的にはメリハリが効いて歯切れのよい口演。
 べたつかず粘らずのさわやかな語り口で、耳なじみが実によかった。
 へえっとなるようなサゲもすっきりして柄に合っていた。

 トリは、三幸さん。
 そして本題は予告通り、前回ネタ下ろしした新作。
 ちょっとだけ内容に触れれば、甲子園出場を目指すとある高校野球部の試合前日の模様…。
 おっとここから先は言えない言わない。
 観客を巻き込むスリリングな展開で、今夜も幾人かのお客さんが三幸さんの狙い通り、もしくは狙いを外れた「返し」を行っていた。
 さらに、新たに加えたくすぐりもあって、ハイブリッド落語の要素はさらに加速化。
 終演後、紋四郎さんが「アバンギャルド」と喩えたのも無理はないはっちゃけた内容となっている。
 いやあ、笑ったな。

 最後は、大喜利を決行する。
 三幸さんや紋四郎さんらが思い付いたお題を下に、出演者全員が解答に挑むというスタイルで、三幸さんと紋四郎さんのやり取りがはまって決まっておかしい。
 自らを「ジャブを重ねるタイプ」と言う回転の速い紋四郎さんだったが、「片側三車線」は大パンチ。
 それを受けた三幸さんの桂片側三車線もグッジョブ。
 一方、大喜利ガー(by三幸)ではないと断った上で出場したお客さんのたくまさんも、果敢に解答を重ねていた。

 と、今夜もバラエティに富んだ座錦湯でした。
 ああ、面白かった!!
 そして、毎週月曜20時は座錦湯に皆さんもぜひ!!
 なお、次回も方気さんはお休みで、三幸さんが差配を務める予定です。
posted by figarok492na at 00:47| Comment(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月17日

座錦湯 第1回

☆座錦湯 第1回

 出演:月亭方気さん、桂三幸さん他
(2017年10月16日20時開演/錦湯)


 月亭方気さんご夫妻が新支配人となり、その名も「座錦湯」と改まった錦湯さんの会。
 その第1回目はあいにくの雨にもかかわらず、常連さん、リピーターさん、ご新規さんが顔を揃えたなかなかの入りでまずは何より。
 新支配人の道行く人へのお声がけも見事に功を奏した。

 定刻20時を過ぎたあたりで方気さんが登場し、颯爽と高座へ。
 新支配人就任の挨拶を一くさりしたのち、錦湯さんが馴れ初めの場ということもあって、ご夫人とのエピソードをマクラで披露し笑いを生む。
 で、入った本題は『ふぐ鍋』。
 ふぐは喰いたし、命は惜ししとばかり、家の主も客人もふぐ鍋に手をつけようとしない。
 と、そこにおこも(乞食)がやって来て…。
 というおなじみの古典で、方気さんは錦湯でもすでに一度この噺をかけていたが、流れがよくて安定したやり取りの合間に仕掛けてくる表情の変化がおかしい。
 特に、今夜の高座で方気さんの柄にぴったりで一瞬ぞくっとしたのが、おこもに食べさせるふぐをあつらえているときの狂気をためた嗤い!
 テレビドラマ『相棒』のシーズン5の第9話「殺人ワインセラー」で、それまであえて抑えた演技を重ねていた佐野史郎が、最後の最後でかましたマッドな大嗤いを思い起こしもした。

 続いては、錦湯ならではのシークレット・サプライズ。
 それこそ、茶屋町界隈に寄ってっていならぬ、錦小路界隈に寄ってっていだ。
 いや、座錦湯情宣アカウントのツイートでもしやとも思ってはいたのだけれど。
 敵もさるものひっかくもの、うっしっしと大喜びの一時だった。

 三席目は前支配人の三幸さんで、先週スペシャルゲストとして久しぶりに登場した月亭太遊さんとのエピソードをマクラで語ったのち、出来立てほやほやの新作をぶつける。
 支配人は退任したとはいえ、そこはホームグラウンドの錦湯さん。
 攻める攻める。
 これから練りに練っていく新作ハイブリッド落語だけに、あえて詳細は触れないけれど、高校野球をテーマにした観客をぐいと巻き込む新作とはやはり語っておきたい。
 やたけたスリリングな展開だったが、それがまた大きな笑いに変わっていて、面白かった。

 トリは、再びサプライズ!!
 まさか二席とは思ってもみなかった。
 それこそ、夢のような時間を愉しんだ。

 最後は、方気新支配人と三幸前支配人のトークで盛り上げて〆た。
 ちなみに、次回次々回は方気さんがお休みで、三幸さんが差配を行うとのこと。
 この臨機応変ぶりも錦湯ならではのものだ。

 と、座錦湯の船出に相応しい一夜でした。
 ああ、面白かった!!!
 そして、毎週月曜20時は座錦湯に皆さんもぜひ。
posted by figarok492na at 00:55| Comment(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月10日

錦湯さんでの会の出演者・出演回数記録

☆錦湯での会 出演回数(150回まで)


 2014年10月6日にネオラクゴ・フロンティアとしてスタートした錦湯さんでの会が、昨夜をもって150回目、3周年を迎えました。
 ということで、その出演者を回数順に発表しておきたいと思います。
 出演者は落語、漫才(コント含む)、ピン芸の3ジャンルで出演回数が多い方、同数の場合は基本的に初登場の早い方順に掲載してあります。
 出演者名横の数字は、フロンティア、ネオ落語・セントラル、毎週月曜 錦湯劇場、The錦湯ごとの出演回数と初登場の回です。
 なお、ネオラクゴ・フロンティアのsection2と3、8と9は同一回となるため1回として計算しています。
 また、トークゲストや大喜利出演者に関しては不明確な点もあるため除外してあります。


*落語
116回  月亭太遊 48、46、21、01  フロンティア1〜
65回   桂三幸  17、21、13、14  フロンティア2+3〜
45回   桂三河  18、27、00、00  フロンティア1〜
27回   桂あおば 09、11、01、06  フロンティア6〜
21回   月亭天使 07、11、01、02  フロンティア4〜
13回   桂恩狸  03、08、01、01  フロンティア24〜
      月亭方気 02、03、05、03  フロンティア28〜
12回   月亭遊真 00、07、03、02  セントラル1〜
11回  笑福亭笑利 03、04、02、02  フロンティア18〜
      桂三実  00、04、04、03  セントラル4〜
9回    月亭八織 00、04,04、01  セントラル17〜
6回    桂文五郎 00、04、02、00  セントラル28〜
5回   笑福亭智丸 00、03、02、00  セントラル33〜
      月亭八斗 00、02、01、02  セントラル44〜
      林家染八 00、00、03、02  劇場1〜
4回   柳家かゑる 01、03、00、00  フロンティア43〜
     桂ぽんぽ娘 00、02、01、01  セントラル30〜
     サプライズ 00、01、03、00  セントラル47〜
3回    桂三四郎 00、03、00、00  セントラル17〜
      桂ちきん 00、00、02、01  劇場2〜
       桂小留 00、00、00、03  錦湯1〜
2回   林家けい木 00、02、00、00  セントラル48〜
1回    柳家花飛 00、01、00、00  セントラル50
       桂雀太 00、00、01、00  劇場30
     笑福亭大智 00、00、00、01  錦湯7
     森乃阿久太 00、00、00、01  錦湯7
      月亭秀都 00、00、00、01  錦湯11
       桂治門 00、00、00、01  錦湯14
       桂小鯛 00、00、00、01  錦湯19
   道楽亭くりりん 00、01、00、00  セントラル49
     三憂亭凡馬 00、01、00、00  セントラル49(注)


*漫才・コント
18回 センサールマン 08、08、02、00 フロンティア16〜
7回  十手リンジン  02、03、02、00 フロンティア14〜
6回   太陽の小町  06、00、00、00 フロンティア2+3〜
2回 努力家でもあり、ぼんくらでもある。 2、0、0、0 フロンティア49〜
1回 ネイビーズアフロ 00、01、00、00 セントラル20
   リトルサンパウロ 00、01、00、00 セントラル50
    おたまじゃくし 00、00、01、00 劇場9
   アルトバイエルン 00、00、00、01 錦湯11
      努力クラブ 00、00、00、01 錦湯3


*ピン芸等
8回     ターザン 00、02、06、00  セントラル43〜
5回     石村一也 02、01、02、00  フロンティア22〜
3回    BAVAAAL 00、00、03、00  劇場18〜
2回   かおりーんっ 01、00、01、00  フロンティア48〜
       藤本康志 00、00、01、01  劇場26〜
      福上よしき 00、00、01、01  劇場27〜
1回    日本夢之助 01、00、00、00  フロンティア22
       ちゃびー 01、00、00、00  フロンティア47
    親指ぎゅー太郎 00、00、01、00  劇場11
  バッテンなかちゃん 00、01、00、00  セントラル49(注)


(注)
 ネオ落語・セントラル49は、ネオキャクノセントラルと題して常連客のみの出演回。
 うち、三憂亭凡馬とバッテンなかちゃんは同一人物=中瀬宏之自身です。
posted by figarok492na at 13:20| Comment(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

The錦湯 第20回(錦湯さんでの会 150回&3周年記念)

☆The錦湯 第20回(錦湯さんでの会 150回&3周年記念)

 出演:桂三幸さん、月亭太遊さん、月亭方気さん
 大喜利出演:貯蓄アンドザシティさん、シェンロンさん、きょうとうさん、伊達努さん
(2017年10月9日20時開演/錦湯)


 ネオラクゴ・フロンティア、ネオ落語・セントラル、毎週月曜 錦湯劇場、そしてThe錦湯と続いてきた錦湯さんでの一連の会も、今回で通算150回目&3周年を迎えた。
 ということで、記念すべき今回は、現支配人の桂三幸さん、現在は別府に居を移し九州・関西・東京と各地で活躍している前支配人の月亭太遊さん、プライベートでおめでたいことのあった月亭方気さんの出演。
 150回&3周年、約半年ぶりの太遊さんの錦湯出演、祝日休日と重なって、おなじみ常連さんやお久しぶりの懐かしい顔触れ、リピーターさん、三幸さんや方気さんの熱心なファンの方、さらにはご新規さんと幅広いお客さんが集まり大盛況となった。
 しかも今夜は、CSの旅番組の撮影(11月12日放送予定)まで入り、まさしく記念回に華を添えた。

 定刻20時を少し過ぎたあたりで三幸さん、太遊さん(スペシャルゲストと三幸さんより説明あり)、方気さんが登場する。
 まずはCS番組の撮影の方より、皆さんで「姉三六角蛸錦」の京の通りの名を歌って欲しいというお願いがあり、皆で唱和する。
 京都生まれの常連さんがここで活躍。
 で、今回が記念すべき回であるということがお三人の口から語られ、その中でネタ帳代わりに当方のブログがなっているとのお言葉までいただく。
 恐縮汗顔の至り…。
(台風で休んだ会については、当日足を運んでおられたお客さんより情報をいただいています。あとは、2回目=ネオラクゴ・フロンティアsection2のデータがないのが悔しいかぎり)
 その繋がりで、当方の「ああ、面白かった!!」に加え、月亭八織さんの「みんなで大笑い」というお決まりの言葉も話題となる。
 その後、太遊さんの別府での生活やこの間の錦湯の出来事など近況報告でぐっと盛り上がる。

 で、良い頃合いとなったところで、三幸さんが高座へ。
 軽みの効いたマクラののち、題名を並べてどちらがいいかお客さんにアンケートをとった上で、リクエストの多かった『そらみなよin東京』を演じた。
 自分の夢を適えるからと大阪を旅立った男が向かった先は、東京だった。
 追う彼女。
 そして、留守電のメッセージを聴き続ける男の友人…。
 といった展開の新作=ハイブリッド落語で、おなじみミニスピーカーの活躍するネオはめ物でもある。
 くすぐりの積み重ねが男の頓珍漢ぶりとなっていて、おかしい。
 ハッピーエンドのラストもお話によく合っていて爽快だ。

 続いては、方気さんが登場。
 先述のネタ帳に関する、師匠の月亭八方さんのエピソードを語ってまずはひと笑い。
 さらにマクラを重ねて笑いを生んだところで、本題の『茶の湯』に入る。
 なんの趣味もなかった御隠居が丁稚とともに茶の湯をはじめたまではよかったが、この二人、茶の湯についてなんにも知らないものだから…。
 というおなじみの古典で、方気さんは基本の部分は丁寧丹念な語り口でたっぷり演じ切る。
 上野湯でのちゃいちゃい寄席でも少し感じたことだけれど、重心が僅かに低くなったというか安定感がさらに増したというか。
 もちろん、この噺の肝となるみょうちきりんなお茶を口にした登場人物の表情の変化では思い切りデフォルメを効かせていて、これもまた方気さんの特性魅力と再認識する。

 トリは、太遊さんのネオラクゴ。
 と、その前に別府での活躍活動を笑いを交えながら語る。
 やはり別府には一度足を運んでおかねばなるまいな!
 久しぶりの錦湯で選んだ作品は、『さよならシガー&ラミー』だ。
 カフェで執筆活動に勤しむ男性の前に現れたのはヒッピーの地縛霊、その名もシガー&ラミー。
 ところがこの二人、その姿かたちに反して口にする言葉といえば…。
 自由になれと口にする人間が実は一番しがらみにとらわれていたというあたり、まさしく太遊さんの真骨頂と呼びたくなるような内容だが、そんな作品をあえてこの会に演じてみせたことにも大きな意味を感じた。
 まずは大いに愉しむ。
 それは当然の基本だけれど、それに加えて…。
 という部分、ネオラクゴ・フロンティア以来の錦湯さんでの会の重要な柱になっていることを改めて痛感させられた。

 今回も大喜利を決行。
 太遊さんの下、ゴハさん提供のお題に皆が解答していくという形式で、太遊さんのスピーディーな仕切りがまずは懐かしい。
 一方、解答者も粒ぞろい。
 三幸さん、方気さんのプロ勢に伍して、大喜利猛者の貯蓄君、おお久しぶりやんのシェンロン、2回目の出演となる「きょうとう」さん(で、いいのかな?)、途中からはイラストレーターの伊達努さんもコンスタントにヒットを重ねる。
 捻りの効いた解答に、べたオールドな解答の連打ののち、とどめはきょうとうさんの「みんなで大笑い」。
 よくわかってる!

 最後に何か飛び出すなと思っていたら、先ごろ入籍したばかりの方気さん夫人も登場。
 次回からは、これまでの三幸さんに代わって方気さんが新支配人となり、錦湯さんと縁浅からぬ方気さんのご夫人も積極的に方気さんを支えていくという発表が為された。
 また内容的にも、落語ばかりではなく、銭湯を前面に出してさらにバラエティに富んだ内容に変えていくとのことだ。
 方気さんご夫妻、これからよろしくお願いいたします!
 そして、三幸さん、番組づくり等、この半年間、お忙しい中本当にお疲れ様でした。
 支配人は交代すれども、錦湯さんが三幸さんのホームグラウンドであることには変わりはないわけで、今後ともよろしくお願いいたします!
 最後の最後、太遊さんにあわせて万歳三唱、盛大な拍手で全ては終わった。

 と、150回目&3周年ならではのThe錦湯でした。
 皆さん、これからも毎週月曜20時は錦湯さんにぜひ!
 ああ、面白かった!!!
posted by figarok492na at 01:59| Comment(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月03日

The錦湯 第19回

☆The錦湯 第19回

 出演:桂三幸さん、桂小鯛さん
(2017年10月2日20時開演/錦湯)


 先日の台風の日以上に強い雨が降り続く京都の夜だったが、錦湯さんには常連さんなどおなじみの顔が集まった。
 19回目となるThe錦湯は、支配人の桂三幸さんと初登場となる桂小鯛さんが出演。

 定刻20時を少し過ぎたあたりで、お二人が登場しトークをスタートさせる。
 小鯛さんといえば、桂塩鯛(前都丸)さんのお弟子さんであり、つまるところ米朝事務所所属の落語家さんでもある。
 と、いうことで、あなた米朝事務所の小鯛さんとこなた吉本の三幸さんが二つの事務所の違いについてあれこれ語って笑いを誘う。
 さらには、師匠の塩鯛さんや大師匠のざこばさんに関するエピソード等でも盛り上げた。

 で、頃良いところで小鯛さんが高座へ。
 初めての錦湯さんの会、しかも今日急遽オファーがかかった上に全く三幸さんから詳しい説明もないということもあって、トークの間、マクラと会場やらお客さんやらの様子を巧みに窺っていた小鯛さんだが、本題には『青菜』を選んだ。
 仕事を終えた植木屋が旦さんから名酒柳蔭をご馳走になり、鯉の洗いをご馳走になり、口直しに青菜までご馳走に…。
 といったおなじみの古典だけれど、いやあこれは面白かった。
 基本は明晰な口跡でテンポがよくて流れのよい語り口だが、ここぞというところではデフォルメを仕掛けるなど表現に大きさが加わる。
 また、破顔一笑とでも呼びたくなるような笑顔も印象的だ。
 特に、植木屋が旦さんの真似事をして無茶を重ねる終盤、ぐっと噺がはねて笑いも弾けた。
 小鯛さん、これからも注目していきたい。

 トリは、三幸さん。
 以前、錦湯さんでも取り上げた新作で、題名は未詳。
 どうやら部下の刑事が宝くじに当たったらしい、これは捨て置けぬと上司は内々に調査を命じるが…。
 といった具合の展開で、上司の刑事が報告を受けるたびに口にする言葉(大事なネタなのであえて書かない)が、雰囲気はまるで違うものの市川崑監督の金田一耕助シリーズの加藤武演じる警部の風があっておかしかった。
 途中ちょっとだけスリリングな部分もあったが、そこは三幸さん。
 なんなく錦湯流儀でばっちり乗り切った。

 最後は、大喜利を決行。
 大喜利猛者のゴハさんが以前用意した大喜利のお題を読んでもらいつつ、三幸さん、小鯛さん、客席のお客さん数人がお題に挑むというスタイルで、三幸さんがコンスタントに答えを重ねるのは当然な一方、こういった大喜利はまずないという小鯛さんも機転と機智に富んだ解答を繰り広げていた。
 お客さんも、中瀬とかいう変なおっさんを除き健闘していた。

 と、今夜も盛りだくさんなThe錦湯でした。
 そして、来週10月9日は、ネオラクゴ・フロンティア、ネオ落語・セントラル、毎週月曜錦湯劇場、The錦湯と続いてきた錦湯さんでの会の150回、並びに3周年記念の会となります。
 皆さん、錦湯さんへぜひ!
 ああ、面白かった!!
posted by figarok492na at 01:28| Comment(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月26日

月亭太遊さんとR-指定さんの対談が面白い

 YouTubeにアップされた、旧知の月亭太遊さんとR-指定さん(CreepyNuts)の対談が面白い。


 あなた落語も愛するラッパーのR-指定さんと、こなたラップを落語に積極的に取り入れた「らぷご」などエッジのきいた新作ネオラクゴで勝負する太遊さんが、お互いの表現、スタイルを尊重しつつ、自らの来し方行く末について語り合っていて、実に聴き応えがある。
 中でも、二人が自らの表現のあり様、狙い、方法について語る7分台後半からの<Kodawari>は、同じ言葉でもって創作活動を行っている当方にとって、様々に刺激となる内容となっている。
 とともに、二人の原点が語られる前半部分も含めて、形式や技というものはそれそのもののためにあるのではなく、表現したい何かがあってのものだと改めて感じたりもした。
 全編15分弱。
 ぜひ一度、皆さんにもお聴きいただければと思う。
 特に、ジャンルは問わず表現活動に携わる人たちにはなべてお薦めしたい。

 それにしても、R-指定さんが演じるネオラクゴってどんな感じになるんだろうな。
 太遊さんとのらぷごとのコラボなど、非常に愉しみである。
posted by figarok492na at 13:38| Comment(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする