2016年08月04日

関西のプロ・オーケストラ/室内オーケストラに関するメモ

☆関西のプロ・オーケストラ/室内オーケストラに関するメモ


以下、日本オーケストラ連盟会員
*京都市交響楽団 
定期演奏会実施

*大阪交響楽団
旧大阪シンフォニカー、大阪シンフォニカー交響楽団
定期演奏会実施

*大阪フィルハーモニー交響楽団
旧関西交響楽団
定期演奏会実施

*関西フィルハーモニー管弦楽団
旧ヴィエール室内合奏団、ヴィエール・フィルハーモニック
定期演奏会実施

*日本センチュリー交響楽団
旧大阪センチュリー交響楽団
定期演奏会実施

*兵庫芸術文化センター管弦楽団
定期演奏会実施


以下、日本オーケストラ連盟準会員
*京都フィルハーモニー室内合奏団
定期公演実施

*ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団
定期演奏会休止中

*テレマン室内オーケストラ
日本テレマン協会として定期演奏会実施

*奈良フィルハーモニー管弦楽団
定期演奏会実施


以下、日本オーケストラ連盟非会員
*アマービレフィルハーモニー管弦楽団
アマービレ楽器が立ち上げた若手奏者によるオーケストラ。
9月23日(いずみホール)に、粟辻聡の指揮で第二回定期演奏会の開催が予定されている。

*アンサンブル神戸
指揮者矢野正浩が率いる団体。
定期演奏会実施

*いずみシンフォニエッタ大阪
いずみホールが運営する室内オーケストラ。
定期演奏会は、現代音楽中心のプログラム。
定期演奏会実施

*エウフォニカ管弦楽団
音楽鑑賞やオペラ、バレエの伴奏を中心とするオーケストラ。
定期演奏会など主催公演は行っていない。

*大阪チェンバーオーケストラ
指揮者はオーボエ奏者の河野正孝。ほかに、本山秀毅なども指揮。
定期演奏会は長らく開催されず、関西室内楽協会として活動。

*神戸市室内合奏団
今年度から独自の定期公演回数を表示するようになった。
定期公演実施

*室内合奏団THE STRINGS
今年度は定期公演は実施しない模様。

*シンフォニア・コレギウムOSAKA
指揮者当間修一が率いる団体。大阪コレギウム・ムジクムとして活動。
独自の定期演奏会は休止中か。

*西日本フィルハーモニー交響楽団
指揮者藏樂幸男が率いる団体。
定期演奏会実施

*ハーモニアス室内管弦楽団
ルーマニア出身のチプリアン・マリネスクを中心とする、国際ヒューマニティ音楽協会の中核をなすオーケストラ。
今年度は定期演奏会を実施していない。

*兵庫交響楽団
1993年に結成される。
2003年4月13日、高橋敏仁の指揮で神戸新聞松方ホールにおいて公演を行っている。
現在も第九演奏会などに出演。

*モーツァルト室内管弦楽団
指揮者門良一が率いる団体。
定期演奏会実施



 記載漏れに関して、情報いただければ幸いです。
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2014年04月26日

ラジオ深夜便で幸田延の作品を聴いた

 金曜深夜のラジオ深夜便といえば、通常関西など地方局からの放送だが、連休間近ということもあってか、今夜はおなじみ遠藤ふき子アンカーで東京からの放送となっていた。

 で、11時台、0時台は、音楽評論家の萩谷由喜子を迎え、瀧廉太郎と幸田延に関する特集が組まれていたのでけれど、『荒城の月』の原曲(現行版は、山田耕筰によって音の変更が行われ、ピアノ伴奏が加えられている)が聴けた11時台も悪くなかったが、なんと言っても幸田延の作品が放送された0時台が聴きものだった。

 幸田延[1870−1946]は、幸田露伴の妹(露伴の娘幸田文が『小石川の家』で延についても触れていて、久世光彦演出でドラマ化されたときは、先年亡くなった淡島千景が延を演じていた)で、もう一人の妹幸(結婚して安藤姓に。ヴァイオリニスト)とともに、日本の洋楽受容史を語る際には決して忘れてはならない存在である。
 アメリカ、ドイツ、オーストリアへの留学経験があり、ヴァイオリニスト、ピアニスト、作曲家としてその才能を発揮したほか、東京音楽学校の教授として後進の指導にもあたった(瀧廉太郎も師事した)が、女性蔑視、男尊女卑、女性への嫉妬によるバッシングもあって(「上野の西太后」等と揶揄された)東京音楽学校を追われ、その後は楽壇と完全に距離を置いた。

 こうした彼女の経歴に関しては先日読了したばかりの青島広志の『クラシック漂流記』<中央公論新社>にも触れられており、そこでも高く評価されていた二曲のヴァイオリン・ソナタが今夜放送された。
 池辺晋一郎によって欠落部分が補われているというが、ブラームスやシューマンは無理としても、ブルッフやヘルツォーゲンベルクあたりの初期の作品と言われれば、へえなるほどと思ってしまえそうな、ドイツ・ロマン派の語法に沿った弾き栄えのする音楽で、青島さんが記していた通り、瀧廉太郎の作品よりも聴き応えがある。
(そうそう、池辺さんと長年『N響アワー』でコンビを組んだ檀ふみが『わが愛の譜 滝廉太郎物語』で幸田延を演じていたんだった。もしかしたら、『N響アワー』でもそのことに触れたことがあったかもしれない)

 それと、これまた青島さんが記していた、幸田延が作曲した神奈川県立高等女学校・現神奈川県立横浜平沼高校校歌(佐佐木信綱作詞)を聴くことができたのも大収穫だ。
 陰から陽への変化、特に陽のあたりのメロディには、ブラームスの合唱曲を想起する。
 また、冒頭の音型が『荒城の月』と全く同じで、その点青島さんは疑問を呈していたのだけれど、これは教え子の瀧廉太郎に対するオマージュという萩谷さんの見解に僕も与したい。

 ところで、今夜読み終えたばかりの『いつも私で生きていく』<KKベストセラーズ>の著者草笛光子も同校の出身(神奈川県立横浜第一高等女学校時代。ただし、松竹歌劇団に入ったため、草笛さんは卒業できなかった)だが、その草笛さんの名前が出たのは、偶然ながら嬉しかった。
(ちなみに、遠藤ふき子アンカーも平沼高校の出身とのこと)

 残念だったのは、放送がラジオ第1でステレオ放送ではなかったことだけれど、これはまあ仕方あるまい。
 いずれにしても、ああ、面白かった!
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2013年11月21日

youtubeで昔の日本のオーケストラの演奏を聴いた

 音質的な問題はありつつも、古今東西の様々な音源に触れることができるのは、やはりyoutubeのありがたみの一つである。
 昨夜は、鑑賞用の名曲アルバム(LP)からの音源を中心に愉しんだ。

 まずは、「おやかた」近衛秀麿がフィルハーモニア交響楽団を振ったハイドンのセレナード(現在は、ホフシュテッターの作曲とされる弦楽4重奏曲第17番第2楽章の弦楽合奏版)。
 これは、子供の頃、両親に買ってもらって愛聴した日本コロンビア(学研)の名曲集「こどものクラシック」(25センチLP)中の録音で、録音用の寄せ集めのメンバーか既存の団体の変名によるアンサンブルだろうが、しっとりたっぷりと鳴らされた弦楽が美しく、とても懐かしかった。

 続いては海外の録音で、エドゥアルト・ファン・ルモーテル指揮セントルイス交響楽団が演奏したプロコフィエフの歌劇『3つのオレンジへの恋』から行進曲を聴く。
 ひょこひょこピコピコした音質演奏が幸いしたのか、この曲が『スター・ウォーズ』の帝国のマーチ(ダース・ベイダー・マーチ)の下敷き(の一つ)ということが今頃になってわかった。
 それにしても、いつもながらジョン・ウィリアムズは「いただき」が巧い。
 アメリカの久石譲だ。
 いや、逆か。

 「いただき」の巧さといえば、こっちもか。
 芥川也寸志指揮旧東京交響楽団が演奏したハチャトゥリアンのバレエ音楽『ガイーヌ』から剣の舞(この録音の存在は、知らなかった)を聴いて、思わず玉木宏樹が作曲した懐かしの時代劇ドラマ『大江戸捜査網』のテーマ曲を聴いてしまった。
(『大江戸捜査網』は、ミクロス・ロージャやラロ・シフリンっぽくもあるのだが、やっぱり大枠は剣の舞なんじゃないかな)
 ところで、玉木さんは旧東京交響楽団のヴァイオリン奏者だったんだけど、上述した剣の舞のセッションには参加していたのだろうか。
 もしそうだったら、ちょっと面白いんだけどなあ。

 エーリヒ・ベルゲル指揮読売日本交響楽団が演奏したシベリウスの交響詩『フィンランディア』とドビュッシーの牧神の午後への前奏曲は、残念な出来。
 一応れっきとしたプロの仕事ではあるのだが、個々の技量に加えて、アンサンブルがもっさいというか、粗いというか。
 フィンランディアの勇壮な部分など、昔々の特撮映画か何かの「防衛隊出撃!」的な雰囲気である。
 ちなみに小川昂編集の労作『日本の交響楽団』、並びに『新編日本の交響楽団』<民音音楽資料館>によると、1998年に亡くなったルーマニア出身の指揮者ベルゲルは、1975年7月と1986年11月に読売日本交響楽団の定期演奏会に登場しているので(あと、1982年11月にはNHK交響楽団の定期公演も指揮している)、そのいずれかの際の録音と思われる。

 そして、ガエタノ・コメリが旧日本フィルとコロンビア合唱団を指揮したヘンデルのオラトリオ『メサイア』からハレルヤ・コーラスは、予想通り、今ではめったに聴くことのできないオールド・スタイルの演奏だった。
 ムソリーニによって戦前派遣されたというコメリはイタリア出身の指揮者で、音楽教育に携わったほか、日本のオペラの基礎づくりに努めたり、皇紀2600年を記念した演奏会でピツェッティの交響曲を指揮したりもしていた。
(加えて、ジョセフ・ローゼンストック来日直前の1936年1月の新交響楽団=現NHK交響楽団の定期公演を指揮してもいる)
 ゆったりとしたテンポと一音一音を丁寧に歌う生真面目な合唱に、高校時代、長崎市内の県立五高校による連合音楽祭で歌った同じ曲を思い出した。
 あのときは速く歌おう、速く演奏しようとする未熟な合唱とオーケストラに、「走るな」とA先生がお怒りになったものだが、21世紀を迎えた今では走りに走って装飾音までつけたハレルヤ・コーラスが当たり前というのだから隔世の感ありだ。

 ほかに、昭和のヤマカズさん山田一雄指揮旧東京交響楽団が演奏したスッペの喜歌劇『軽騎兵』序曲と渡邉暁雄指揮旧日本フィルが演奏したヴォルフ=フェラーリの歌劇『聖母の宝石』間奏曲も聴けて、大いに満足。
 ああ、愉しかった
posted by figarok492na at 15:34| Comment(0) | TrackBack(0) | クラシック豆情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月20日

新世紀管弦楽団に関して調べてみた

 『ぶらあぼ』5月号を拾い読みしていたら、東京北西部・埼玉県を拠点とし、モダン楽器とピリオド楽器、モダン奏法とピリオド奏法の両方を取り入れたドイツ・オーストリアスタイルのオーケストラを目指すという「新世紀管弦楽団」なるプロのオーケストラが楽団員を募集していたので、早速そのホームページをのぞいてみることにした。
(同じ段に広告が掲載されている、埼玉県を拠点とした「新世紀オペラ」というオペラカンパニーも含めて「新世紀プロジェクト」という組織が運営しているようだ)

 で、新世紀管弦楽団といえば、どうしても創価大学の学生オーケストラを想起してしまうのだけれど、ホームページをのぞいたかぎりでは、そことは関係ないらしい。
 管弦楽団のほうは、今年の8月7日に三鷹市芸術文化センターの風のホールで第1回目の演奏会を予定していて、指揮はリンツ歌劇場の指揮者森内剛氏(国立音大出身のようだ)が務めるとのことだ。
(700前後の席数のホールで演奏会を行うと記してあるので、三鷹やさいたま芸術劇場などでコンサートを行う予定なのではないか)

 いずれにしても、今後の展開を注視しておきたい。
(もしかしたら、またぞろ電話かメールでさらなる情報収集を行うかもしれない)
posted by figarok492na at 22:39| Comment(0) | TrackBack(0) | クラシック豆情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月16日

『最新 世界のオーケストラ名鑑387』を僕はお薦めしない

 作家の宮脇俊三は、かつて時刻表を「不言実行。桃李言わざれど、下自ら蹊を成す」と高く評価した。
 旧国鉄の全区間走破、さらには最長片道切符の旅の断行と、いわゆる鉄ちゃんの大先達たる宮脇さんのことだから、そこは身びいきが一切ないとは言えないものの、データが命、データで勝負の時刻表のあり様には、確かに宮脇さんならずとも、ときに感嘆の念を抱かざるをえないことも事実である。
 そして、時刻表ほどではないにせよ、世のムックや名鑑と呼ばれる類いの書物もまた、データが命であり、データで勝負すべきものだと、僕は思う。
 特に、インターネットの普及にともない、大量の情報をスピーディーに入手することができるようになった現在では、なおさらのこと、しっかりと裏付けのとれた信憑性の高いデータの集積と提示が、ムックや名鑑と呼ばれる類いの書物には求められるはすだ。

 そうした観点からいって、今日読み終えたONTOMO MOOK『最新 世界のオーケストラ名鑑387』<音楽之友社>は、残念ながら大きく不満が残る。
 この『最新 世界のオーケストラ名鑑387』は、1990年代に発行された同じONTOMO MOOK『世界のオーケストラ123』を継承したもので、確かに掲載オーケストラ数は387と約倍増しているし、これまで詳しく語られることのなかったラテン・アメリカやアジア、中東、アフリカのオーケストラにも少なからぬスペースが割かれている。
 だから、世界のオーケストラのおおまかな現状を把握し俯瞰するという意味では、それなりに適した一冊と評することができるだろう。
 が、しかし、データの正確さ、掲載オーケストラの選択のバランス、編集の誠実さという意味では、やはり強い疑念を持たざるをえない。

 まずもって、イングリッシュ・バロック・ソロイスツの項目に、誤ってイギリス室内管弦楽団の解説が掲載されている点は単純なミスとしても、「世界のメジャー・オーケストラ50」に選ばれたシュトゥットガルト放送交響楽団が、「世界の主要オーケストラ210」に南ドイツ放送交響楽団をして再度選ばれているのは論外だし、本来NHK交響楽団の自主定期公演会場ではないオーチャードホールをその中に加え、N響から抗議を受ける形で『音楽の友』誌などに訂正記事が掲載されたことにも呆れかえる。
 ほかに、フィルハーモニア管弦楽団の歴代指揮者の中に、同時期ロンドン・フィルの指揮者であったはずのクルト・マズアが加えられていたり、新日本フィルの定期公演会場からサントリーホールが抜けていたりと、細かいミスを言いだせばきりがない。
(オーケストラの本拠地=ホールについては、各オーケストラのホームページを丹念にあたれば、だいたいの見当はつくはずだ。ところが、相当数のオケの本拠地に関し、ただ都市名が書かれているだけというのは、いったいどういう了見か?)

 また、個々のオーケストラの解説の文章に関しては、彼我の好みの違いもあるから、踏み込んで云々かんぬんすることはしないけれど、「世界のメジャー・オーケストラ50」などで、実演に接したことのない筆者がそのオーケストラの文章を担当している点は、やはり問題だろう。

 そして、そもそもの世界のオーケストラ387、中でも「世界の主要オーケストラ210」を選択する基準には、非常に不信感を抱く。
(なお、目次によって、「世界のトップ・オーケストラ10」、「世界のメジャー・オーケストラ50」、「日本のオーケストラ31」は、浅里公三、諸石幸生、山田治生の三氏が選定したことがわかる。それじゃあ、「世界の主要オーケストラ210」は誰が選定したんだ?)
 例えば、ザルツブルク・カンマー・フィルやザルツブルク・ユンゲ・フィルが選ばれているにもかかわらず、何ゆえ同じザルツブルクを本拠地にし、世界的にもより著名で活発な活動を行いレコーディング数も少なくないカメラータ・ザルツブルクが選ばれていないのか?
 ストラビンスキー室内管弦楽団やパガニーニ室内管弦楽団が選ばれているにもかかわらず、何ゆえ香港フィルやヘルシングボリ交響楽団、スウェーデン室内管弦楽団、スタヴァンゲル交響楽団、マドリード交響楽団、スコットランド室内管弦楽団が選ばれていないのか?

 ここからは邪推だけれど、上述したような問題が発生した原因の一つは、この『最新 世界のオーケストラ名鑑387』が、音楽之友社の編集部員によって直接編集・制作されたものではなく、木杳舎という別の会社に下請けさせたことにあるのではないかと僕は考える。
(さらに邪推を重ねれば、「世界の主要オーケストラ210」の選定には、前作『世界のオーケストラ123』に掲載されたオーケストラを中心に、残りは、ここ5〜10年間のレコード・イヤーブック巻末の「新しくレコードに登場した主な演奏家」のアンサンブルの項目に含まれた団体の中から、各レコード会社との兼ね合いで選定しておけという安易な発想が働いたのではないだろうか? それなら、パガニーニ室内管やイエヴレ交響楽団が選ばれても不思議ではない)

 いずれにしても、この『最新 世界のオーケストラ名鑑387』のように、読者の幅が限定されるはずのムックや名鑑といった類の書物ほど、痒いところに手が届く気配り、「神は細部に宿る」という真摯な心構えが必要なのである。
 むろん、現在の出版界の状況の厳しさはわからないわけではないが、「損して得とれ」という言葉もあるではないか。
 コストパフォーマンスの削減を優先して、結果として中身の充実を疎かにした、『最新 世界のオーケストラ名鑑387』を、僕は買わずに読んで本当に正解だったと思う。
 この本をお薦めすることは、僕にはできない。
posted by figarok492na at 16:15| Comment(0) | TrackBack(0) | クラシック豆情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月07日

PCで音楽を聴く愉しみ

 パソコンを買い換えてよかったと思うことは数々あって、よかったことばかり数え上げているものだから、前の旧式のマックに申し訳ないなどとも思ったりするのだが、よかったことはよかったことに違いなく、それで、やっぱり買い換えてよかったと痛感しているのだけれど、中でも、CDの試聴やウェブ上のラジオ等々、PCで音楽をまともに聴くことが出来るようになったことは、大の音楽好きの僕にとっては、よかったもよかった、二重丸三重丸源五郎丸、ならぬ、三重よかった出来事である。
 で、昨日の晩、日付的には今日に変わっていたが、パーヴォ・ヤルヴィ指揮フランクフルト放送交響楽団(hr交響楽団)の演奏した、マーラーの交響曲第9番のライヴ録音を聴けたのにも、そうしたパソコン買い換えが大きくものを言っていることは言わずもがなのことだろう。
(もちろん、そうして手軽に音楽が聴けるのも、おかか since 1968 Ver.2.0さんあってのことで、その労作には深く深く感謝する他ない)
 で、冒頭部分を聴き逃したり、途中何度か音が途切れたりしたものの、ほぼ全曲を聴くことができたパーヴォ・ヤルヴィとフランクフルト放送交響楽団のマーラーの交響曲第9番だけれど、基本的にはパーヴォ・ヤルヴィらしいシャープでスタイリッシュ、まとまりのよい音楽になっていたのではないだろうか。
 実際にライヴで接すると、その受け取り方も大きく変わってしまうような気もしないではないが、深夜ヴォリュームを絞って耳にするにはぴったりの演奏だったと思う。
 それにしても、残念なのは、その何時間か前、前々から聴きたい聴きたいと思っていた、パトリシア・プティボンとニコラウス・アーノンクール指揮コンツェントゥス・ムジクス・ウィーンのコンサートのライヴ録音を聴きそびれてしまったことである。
 演奏者も魅力的ならプログラムも魅力的だっただけに、これは本当に悔やんでも悔やみきれない。
 再放送はされないものだろうか。
 まあ、それはそれとして、パソコンで音楽を愉しむ機会は、これからますます増えそうだ。
posted by figarok492na at 12:58| Comment(0) | TrackBack(0) | クラシック豆情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月02日

マンフレディーニの合奏協奏曲(CDレビュー)

 ☆マンフレディーニ:12の合奏協奏曲作品3
  ルトガー・レミー(チェンバロ)指揮レザミ・ド・フィリップ
  <CPO>999 638−2

 昨日、ジュージヤ三条本店で手に入れたCDを聴いた。
(すでに記したように、これは寄せ集めのサンプラーではなく、きちんと市販されている「一枚もの」のCDである)

 マンフレディーニは、イタリアのバロック時代後期の作曲家で、ヴァオリニストとしても活躍した人物だが、この12の合奏協奏曲作品3は、そうした彼の特性がよく表れた作品になっていると思う。
 当時の音楽的語法を充分に手の内におさめた上で、さらにヴァイオリン・ソロの妙技をそこここに挟み込んだその音楽は、流麗かつドラマティックであり、非常に耳馴染みがよく聴き心地がよい。
 その名が示す通り、カール・フィリップ・エマヌエル・バッハの作品の録音で知られるレザミ・ド・フィリップとレミーは、イタリアのピリオド楽器の団体のような「一目(一聴)でわかる」ような派手なパフォーマンスは行ってないものの、音楽のツボを巧みに押さえた演奏を行っているのではないか?
 これで、ただとは、本当に申し訳がない。

 ジュージヤ三条本店3階のクラシックフロア、下りエスカレーター近くのテイクフリーのボックスに、まだこのCDつきCPOレーベルのカタログが残っていたならば、迷わずお持ち帰りのほどを!
(ついでに、何か一枚CDをお買い上げいただければ幸いです)
posted by figarok492na at 13:07| Comment(0) | TrackBack(0) | クラシック豆情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月30日

昔の顔が出てきます!

 大阪センチュリー交響楽団の来シーズン(06/07)の定期演奏会のプログラムを、『ぶらあぼ』2006年1月号で知った。
(詳しくは、リンク先の演奏会スケジュールより、「2006年度のおもな主催演奏会予定」をご参照のほど)
 そして、あまりの顔ぶれにがっくりし、あまりの顔ぶれにうんざりしてしまった。
 なぜなら、登場する指揮者が、シェフの小泉和裕を皮切りに、秋山和慶、外山雄三、若杉弘、ラドミル・エリシュカ、ゲルハルト・ボッセの6人だったからだ。
(小泉和裕は、全10回のうち半分の5回を指揮する予定)
 このうち、お国ものの強みを発揮するだろうエリシュカの『新世界より』と、今やドイツ音楽の権化の如きボッセのウェーバー、ベートーヴェン、メンデルスゾーンには、非常に興味がわくが…。

 もちろん、僕は、小泉和裕や秋山和慶、外山雄三、若杉弘の指揮者としての能力を、決して軽んじている訳ではない。
 それどころか、彼らが日本のオーケストラと(時には、海外のオーケストラとも)培ってきた音楽的成果は、高く評価すべきであろうと思っている。

 だが、である。
 この顔ぶれならば、20年前、いや30年前にもありえたラインナップではないのだろうか?
 若けりゃいいというものではない。
 それに、僕は金聖響の熱狂的なファンではないから、彼の名が定期演奏会の指揮者陣から消えたからといって、それをとやかく言うつもりもない。
 また、楽団の経済的事情や、音楽事務所(K?)との関係もあるだろう。
 けれど、定期演奏会こそが、そのオーケストラの顔なのだ。
 これでは、あまりにも旧過ぎる。
(清新で小気味がいいという、大阪センチュリー交響楽団の持つイメージとも、全くあっていない)

 残念ながら、2007年度の定期演奏会を待つ他ない、と思ってしまった。


 *繰り返すが、個々の指揮者や演奏会について、僕は批判している訳ではない。
 僕は、1シーズン通しての「プログラミング」に唖然としているのだ。
posted by figarok492na at 13:58| Comment(0) | TrackBack(0) | クラシック豆情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月16日

CDレビュー

 昨日購入した、ジョヴァンニ・アントニーニ指揮バーゼル室内管弦楽団の演奏によるベートーヴェンの交響曲第1番と第2番のSACD<エームス・レーベル>を聴く。

 アントニーニは、イタリアのピリオド楽器アンサンブル『イル・ジャルディーノ・アルモニコ』のリーダーとして知られているが、この録音でもピリオド奏法が援用されている他、弦楽器にはガット弦と古典的な弓を、管楽器の一部とティンパニにはピリオド楽器を使用するなど、本来モダン楽器のオーケストラであるバーゼル室内管弦楽団の「改造」が大幅にはかられている。
 そしてその成果は、ことに第1番の終楽章や第2番全曲に表れていると思う。
 ただ、作品の持つイタリア的性格云々という言葉は、アントニーニの個性を発揮するための、ある種の能書きのように思えなくもない。
 とはいえ、まるでイル・ジャルディーノ・アルモニコが演奏するヴィヴァルディか何かのように鳴り響くこのSACDのベートーヴェンが、耳に快活に聴こえることは確かな事実であって、しんねりむっつりとしたベートーヴェンなぞごめんこうむる、という方には、ぜひともお薦めしたい一枚ではある。
 演奏同様、録音も非常にクリア。
posted by figarok492na at 14:18| Comment(0) | TrackBack(0) | クラシック豆情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月06日

CDレビュー

 昨日購入した、マリス・ヤンソンス指揮バイエルン放送交響楽団他によるショスタコーヴィチの交響曲第2番「十月革命に捧げる」と第12番「1917年」のCD<EMIレーベル>を聴く。
 マリス・ヤンソンス指揮によるショスタコーヴィチの交響曲全集は佳境を迎え、第3番「メーデー」と第14番「死者の歌」を残すのみとなった。

 このCDに収録されている交響曲第2番と第12番は、ともにロシアの十月革命をテーマにしたものだけれど、1927年と1961年という作曲時期の違いも含めて、大きく雰囲気の異なる作品だ。
 交響曲第2番は単一楽章で、後半にはベズィメンスキイの詩による合唱も加えられているが、単純に言えば、「怪しい状況ではあるものの*、それでも、まだまだ実験的なことをやってます」的なのりの作品である。
(*1927年の11月に、トロツキーらが共産党を除名されている)
 一方、交響曲第12番は4楽章形式で、各楽章には十月革命に関した表題も掲げられているが、どちらかと言えば、「いろいろあって、こういう具合になってしまいました」的な、一筋縄ではいかない、どこかしゃっちょこばった感じさえする作品である。

 マリス・ヤンソンスは、音楽の持つドラマ性を重視した(言い換えると、聴きどころをよくとらえた)音楽づくりを得意としているが、このCDでも、彼のそうした特性が発揮されているのではないだろうか。

 第2番は、比較的ゆったりとしたテンポの、どこかウェットな情感さえ漂うような演奏で、特に合唱の部分が詠嘆調に聴こえた。
(ウラディーミル・アシュケナージ指揮ロイヤル・フィル他による録音<デッカ・レーベル>と比べても、なおそのように感じられた)

 逆に、第12番のほうは、テキストのツボやキモを適確に押さえ、周到に音楽の起伏をつけていった演奏のように僕には思えた。

 バイエルン放送交響楽団の技術的水準は高く、音楽を楽しむ上で全く問題はない。
 いつもの如く、EMIの録音はざらざらじがじがとしてしょっぱい音だけれど、まあ、聴きづらいと難じるほどでもあるまい。
 作品の解釈については評価が分かれるかもしれないが、来年はショスタコーヴィチの生誕100周年ということもあり、機会があればご一聴をお薦めしたい。
(ちなみに、今年は没後30周年だった)
posted by figarok492na at 11:25| Comment(0) | TrackBack(0) | クラシック豆情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月31日

CDレビュー

 昨日購入した、ベートーヴェンの3重協奏曲と7重奏曲のCD<アルテノヴァ・レーベル>を聴く。
 デヴィッド・ジンマン指揮チューリヒ・トーンハレ管弦楽団によるベートーヴェン・シリーズ中の1枚である。
 3重協奏曲は、ピアノのイエフィム・ブロンフマン、ヴァイオリンのギル・シャハム、チェロのトゥルス・モルクが独奏をつとめる、なかなか豪華な演奏。
 バロック時代や古典派初期の複協奏曲(2重や3重、4重といった)が調和を重んじる世界であるとすれば、このベートーヴェンの3重協奏曲は、そうしたこれまでの世界観を打ち破るような性質を含んだ作品であるといえる。
(もちろん、調和をとろうとしていない、という訳ではない。そう心がけていながら、それを突き抜けてしまう「何か」があるということだ)
 ただ、その分、時に雑然と、時に「我が我が」的に聴こえないこともない。
 このCDでは、そうした作品の持つ負の部分、というか癖のようなものを活かしながら、なおかつ均整のとれた音楽づくりが心がけられていたのではないか。
 ブロンフマン、シャハム、モルクは、万全なテクニックで美しいソロを披露していたし、ジンマン指揮チューリヒ・トーンハレ管もクリアで統制のとれた伴奏を行っていたと思う*。
(*いわゆる、ピリオド奏法を援用した)
 一方、7重奏曲は、シャハムとモルクが、チューリヒ・トーンハレ管のメンバーとともに、伸びやかで愉悦感に満ちたアンサンブルを創り上げている。
 作品を識るという意味でも、音楽を楽しむという意味でも、全く支障のない一枚。
 これで税込み680円は安い。
 いや、安すぎる!
posted by figarok492na at 14:25| Comment(0) | TrackBack(0) | クラシック豆情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月25日

CDレビュー

 昨日購入した、クリストファー・ホグウッド指揮バーゼル室内管弦楽団によるコープランドのバレエ音楽『アパラチアの春』他のCD<アルテノヴァ・レーベル>を聴く。
(なお、このCDは、ホグウッドとバーゼル室内管が進めている、『劇場のための音楽』シリーズの第2集目にあたる)
 『アパラチアの春』は、作曲者自身が編み直した組曲のほうが著名だが、ここでは、初演時のバレエ音楽全曲(室内編成版)が演奏されている。
 開拓期のアパラチア山麓を舞台にした作品だけに、抒情的で牧歌的な旋律もふんだんに盛り込まれているが、コープランドらしい、きびきびとして均整のとれたモダンな音楽にも不足していない。
 ホグウッドとバーゼル室内管による俊敏で丁寧な演奏もあって、全曲を清々しい気分で聴き終えることができた。
 続く、バーバーのキャプリコーン協奏曲は、フルート、オーボエ、トランペットを独奏に配した、現代版のコンチェルト・グロッソ(合奏協奏曲)。
 概して、ライトでドライな感触の強い、組み立ての妙を楽しむような作品だが、独奏者を含めて、適確な演奏が行われていると、僕は思う。
 最後の、コープランドの『劇場のための音楽』は、特定の舞台作品のために書かれたものではなく、いわゆる「劇場感覚」の音楽化とでも評することができるだろう。
 ジャズの影響をストレートに感じさせる内容で、非常に軽快な音楽に仕上がっている。
 ここでも、ホグウッドとバーゼル室内管の演奏は、作品を楽しむのに充分な水準に達しているのではないか。
 税込み680円(ジュージヤ三条本店)は、非常にお買得だ。
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2005年10月16日

CDレビュー2

 昨日購入したCDの残りの1枚、リチャード・ストルツマンのクラリネットと東京カルテットによる、ブラームスとウェーバーのクラリネット5重奏曲<RCAレーベル>を聴く。
 これは、かつて国内盤を持っていたことがある録音だ。
(諸般の事情から、友人に譲渡した)
 澄んで軽みのあるストルツマンのクラリネットは、どちらかと言うと、ブラームスの陰性で渋みのかかった音楽とは、少しずれがあるようにも思わないでもないのだが、東京カルテットの繊細で丁寧な演奏とともに、聴き心地のよい音楽世界を創り出している。
 一方、ウェーバーは、ストルツマンの特性がより発揮されて、華麗で軽快、明敏で活発な演奏になっているのではないか。
(特に、両端楽章における、吹魔栗三助状態など)
 東京カルテットは、こちらでも充実した演奏を行っていると思う。
 一言で言えば、安心して楽しめるCD。
 室内楽愛好家の方ばかりでなく、「音楽好き」の方全般にお薦めしたい一枚である。
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CDレビュー1

 昨日購入したCDを聴く。

 まずは、マキシム・ヴェンゲーロフの独奏、ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ指揮ロンドン交響楽団による、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲他<EMIレーベル>から。
 冒頭のティンパニの打音が聴こえた時から、ありゃりゃと思ってしまった。
 ロストロポーヴィチ指揮のオーケストラがあまりにも重くあまりにも遅いのである。
(ある程度、予想はしていたけれど)
 確かに、当方が、ヴェラ・ベスの独奏、ブルーノ・ヴァイル指揮ターフェルムジークというピリオド楽器による速いテンポの演奏<ソニー・クラシカル・レーベル>に馴染んでしまっているということも大きいのだろうが、このCDの「ゆったり感」はどうにも尋常ではない。
(ベス盤が第1楽章を19分56秒で演奏しているのに対し、ヴェンゲーロフ盤は同じ楽章に27分20秒もかけている=CDの表示から)
 もちろん、音をじっくりたっぷりと歌わせるという意図はわからないでもないのだけれど、この遅さは、ソリストであるヴェンゲーロフの感性に起因するものというよりも、ロストロポーヴィチの年齢的身体的状況に原因があるのでは、と疑ってしまったことも事実なのだ。
 第2楽章の甘美で抒情的な表現や、両端楽章のカデンツァなど、ヴェンゲーロフの特質美質が表れた演奏ではあろうが、例えば、指揮者がアントニオ・パッパーノであれば、もっと若々しくて鮮烈な響きのする録音になっていたのではないだろうか。
 併録のロマンス第1番、第2番もゆったりとした演奏だが、こちらは曲調もあってか、それほど遅さを気にせずにすんだ。
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2005年10月09日

CDレビュー

 昨日購入した、バーバラ・ボニーの歌うフランツ・クサーヴァー・モーツァルトの歌曲集のCD<デッカ・レーベル>を聴く。
 フランツ・クサーヴァーは、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの末子で、このCDも、来年のモーツァルト・イヤー(生誕250周年)を当て込んだ一枚と言える。
 物珍しさとボニーの歌唱ということ、さらには、第一購入希望のマキシム・ヴェンゲーロフ独奏によるベートーヴェンのヴァイオリン・コンチェルト<EMIレーベル>がタワー・レコードになかったということで購入したのだけれど、これはかなり当たりのCDだった。
 父の影丸出し、というか、ある意味、意識してそうしてるんじゃないかと思えるほど、父アマデウス風の旋律が並んでいて、聴いていてしばしば切なくなるほどだけれど、そういった思い込みを捨て去れば、耳になじみのよい、リリカルな音楽を楽しむことができるのではないだろうか。
 ボニーの、テキストの読み込みと歌いぶりの確かさは今さら口にする必要もないことだし、録音のかげんもあってか、声の衰えも予想していたより気にならずにすんだ。
 マルコム・マルティノーの伴奏も適確かつチャーミングだし、モーツァルティアンやリート愛好家の方には、進んでお薦めしたい。

 なお、バーバラ・ボニーといえば、テルデック・レーベルに、今は亡きジェフリー・パーソンズの伴奏で、アマデウス・モーツァルトの歌曲集を録音している。
 こちらは、15年ほど前の録音ということもあって、ボニーの歌声もみずみずしく、なおかつ国内盤でも1000円程度で発売されているということもあって、音楽好きの方には、ぜひともお薦めしたい一枚だ。
 大推薦!!!
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2005年09月18日

CDレビュー

 昨日購入した、テノール歌手ファン・ディエゴ・フローレスのオペラ・アリア集のSACD<デッカ・レーベル>を聴く。
 すでにフローレスのCDは、ドニゼッティ、ベッリーニのオペラ・アリア集ロッシーニのオペラ・アリア集を聴いて、それぞれ大いに満足してきたが、今回購入したアリア集も、先の2枚に負けず劣らずの聴き応えある内容になっていた。
 メインの曲目は、やはりお得意のロッシーニとドニゼッティということになるが、他にも、グルックやチマローザといった古典派歌劇や、ヴェルディ(あの「女心の唄」も!)、アレヴィ、プッチーニ(これは、『ジャンニ・スキッキ』のアリアだけれど)のアリアも並べられていて、フローレスの歌唱の幅の広さが示されていると思う。
(と、言うよりも、各々の作品に通底する音楽性が明確になっていた、と表現したほうが、より適切かもしれない)
 フローレスは透明感があってのびのある声と、バランスがとれて柔軟な技巧を駆使して、それこそ美しいアリアの数々を歌い上げている。
 また、伴奏のカルロ・リッツィ指揮ミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ交響楽団や合唱陣も、フローレスの独唱をよく支えているのではないか。
 当方は、セール品ということで、SACDを税込み1000円で手に入れることができたのだけれど、これはフルプライスで購入しても全く損はしない一枚だ。
 オペラ好き、声楽好きには、ぜひともお薦めしたい。
(それにしても、今のうちにデッカ・レーベルは、フローレスの歌う、ロッシーニの『アルジェのイタリア女』や『セビリャの理髪師』、ドニゼッティの『愛の妙薬』などの全曲録音を行っておくべきだろうにな、と強く思ってしまう)
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2005年09月12日

CDレビュー

 昨日購入した、別宮貞雄の交響曲第1番と第2番のCDを聴く。
 ナクソス・レーベルの日本作曲家選輯の一枚で、演奏は、湯浅卓雄指揮アイルランド国立交響楽団による。
 別宮貞雄の交響曲第1番と第2番を聴いたのは、今回が初めてだったが、基本的には耳馴染みのよい、非常に親しみやすい音楽だと思う。
 第1番が、日本風のウェットな旋律をフランス仕込みの技巧でスタイリッシュに仕上げた作品とすれば(第2楽章のアレグロ・ヴィヴァーチェや、第4楽章の激しいマーチがあるとはいえ)、第2番は、よりリズミカルな表情の強い作品と評することができるだろう。
 また、これは別宮貞雄一人に限らないが、現代の交響曲(というより、各種楽曲)が、映像− 映画やテレビ −への伴奏音楽と密接な関係にあることを感じることもできた。
(これは、古典派の交響曲が歌劇や舞台伴奏音楽と密接な関係にあることと、共通するかもしれない)
 録音(会場)のせいもあってか、少しくぐもった感じはしないでもないが、湯浅卓雄の適確な指揮により、アイルランド国立交響楽団はバランスのとれた表現を行っているのではないか。
 片山杜秀の解説は、いつもの如く綿密かつ真摯な内容で、全く隙がない。
 オーケストラ音楽好きの方をはじめ、多くの方々にぜひともお薦めしたいCDである。
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2005年08月28日

ルプーのシューマン(CDレビュー)

 昨日購入したCD、ラドゥ・ルプーの弾くシューマンのピアノ作品集<デッカ・レーベル>を聴く。
 収録されているのは、フモレスケ、子供の情景、クライスレリアーナの3曲だ。
 ルプーといえば、抒情的な音楽性の持ち主として知られているが、このCDでもそうした彼の特性が十二分に発揮されていると思う。
 まず、一つ一つの音が、角がとれて滑らかで、聴いていて疲れることがない。
 また、テンポ設定をはじめとした楽曲解釈の面でも、歌唱的というか、無理から音を弾き散らかすのではなく、曲の構成を大切にしながら、旋律を丁寧に歌わせるような演奏が行われている。
 ただし、ルプーの演奏がただただウェットに傾いているのではないことは、フモレスケやクライスレリアーナにおけるドラマティックな表現*や、逆に子供の情景のトロイメライにおける抑制の効いた表現を聴けば、明らかだろう。
(*それが、濁って聴こえないところがまた、ルプーらしいとも言えるのだけれど)
 いずれにしても、何度でも繰り返して聴きたくなるようなCDであることは、確かだ。
 中古で、税込み880円は安かった。
 フルプライスでもお薦めしたいCDである。
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2005年07月28日

CDレビュー2

 続いて、プラシド・ドミンゴが毎年開いていた、ウィーンのクリスマス・コンサートのライヴ録音から1994年度のCD、『クリスマス・イン・ウィーン−3』<ソニー・クラシカル・レーベル>を聴く。
 夏の暑いさかりにクリスマス音楽なんて聴きやがって、この大バカ野郎!
 でも、これがなかなかいけるのよ、ベリイグウ。
 何せあんた、リレハンメル・オリンピックで一躍有名になったシセル・シルシェブーの透明感あふれる歌声を聴くだけで、とってもひんやりした気分になれるんじゃけ。
(ここまで、殿山泰司風で)
 シャルル・アズナヴールの枯れた歌声も魅力的だし、ドミンゴのゴージャスな歌声ももちろん悪くない。
 大好きな『クリスマスの12日間』をはじめ、俗に過ぎず、かといってしかつめらし過ぎもしないクリスマス・ソングがそろっていて、選曲的にも抜群だ。
 クリスマスはこのCDさえあれば充分、という気になってしまった。
(ちと、早すぎるな)
 これまた、大推薦の一枚だ。
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CDレビュー1

 昨日購入したCDの感想を。

 まず、『グローヴズ卿の音楽箱2』と題されたCD<デンオン・レーベル>から聴く。
 その名の通り、イギリスの指揮者、サー・チャールズ・グローヴズがフィルハーモニア管弦楽団を指揮したCDで、エルガーの『威風堂々』第1番や『愛のあいさつ』、ヴォーン=ウィリアムズの『グリーンスリーヴズによる幻想曲』が収められた同じシリーズの第1集とともに編集された廉価盤は発売されているものの、オリジナルの形では、この初出時のCDでしか出ていないはずである。
 さて、『グローヴズ卿の音楽箱2』は、僕がクラシック音楽を聴き始めた25年ほど前(ということはLP末期)なら、ファミリー名曲集といった体裁でしばしば発売されていたような、いわゆる「通俗名曲小品」が盛り沢山に集められたCDだ。
 中でも、エロルドの『ザンパ』序曲におけるグローヴズのドラマティックな音楽づくりや、ワルトトイフェルのスケーターズ・ワルツとワルツ『女学生』の上品な仕上がり、速いテンポで押し切ったベートーヴェンの『トルコ行進曲』、ロマンティックなオッフェンバックの『ホフマンの舟歌』、黒澤明作品の音楽風なイッポリトフ=イワーノフの『酋長の行列』が印象に残る。
 また、モーツァルトのドイツ舞曲やマリ−の『金婚式』の総奏部分が、まるでヘンデルやパーセルの作品の大管弦楽編曲版のように聴こえてしまったのは、面白かった。
 他にも、アイレンベルクの『森の水車』に、シューベルトの軍隊行進曲、ルロイ・アンダソンの『ラッパ吹きの休日』、『プリンク・プレンク・プランク!』、『ワルツィング・キャット』、『トランペット吹きの子守歌』、ピエルネの『鉛の兵隊の行進曲』、イェッセルの『おもちゃの兵隊の行進曲』(キユーピー3分クッキングのテーマ)、ネッケの『クシコス・ポスト』(運動会でおなじみ)、ハチャトゥリアンの『剣の舞』などが収録されていて、全曲聴き飽きることがない。
 フィルハーモニア管弦楽団には、ほんの少し粗さを感じる箇所がないでもないが、もともと達者なオーケストラだし、それより何より、グローヴズ卿といっしょになって演奏を楽しんでいる様子がうかがわれるのが嬉しい。
 ネームバリューにとらわれない、真っ当な音楽好きには、ぜひともお薦めしたい1枚だ。
(第1集のほうも、何とかして手に入れたいと思う)
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2005年07月03日

CDレビュー

 昨日購入したCDから、まず、イェフィム・ブロンフマンの独奏とデヴィッド・ジンマン指揮チューリヒ・トーンハレ管弦楽団による、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番、第4番のCD<アルテノヴァ・レーベル>を聴く。
 ジンマンとチューリヒ・トーンハレ管弦楽団のコンビは、すでに同じレーベルから、ベートーヴェンの交響曲全集と序曲全集をリリースしていて、ピリオド奏法を援用しつつ、独自の解釈もふんだんに盛り込んだそれらの録音は、国内外を問わず高い評価を受けている。
(ただし、当方は交響曲全集のCDを所有するのみ)
 この協奏曲のシリーズでも、ジンマンはこれまでの作品と同様な音楽解釈をみせていて、非常にクリアで聴きもたれのしない演奏を行っていた。
 一方、ソロのブロンフマンは、どちらかというとテクニックの面に秀でたピアニストという印象があって(実際、かつていずみホールで聴いたリサイタルもそのような感じだった)、今回のCDでも、彼のそうした特質が表れていたのではないだろうか。
 いずれにしても、1枚1000円以下の廉価盤のシリーズで、これだけの演奏を聴くことができるのであれば、全く損はしないと思う。
 新しい録音で、ベートーヴェンのコンチェルト2曲のすっきりとした演奏をお求めの方には、なべてお薦めしたい。
(それにしても、アルテノヴァ・レーベルの、ケースの新しいデザインは、本当にチープだなあ。以前にもアップしたことだけれど)
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2005年06月21日

CDレビュー

 昨日購入した、テノールのファン・ディエゴ・フローレスが歌う、ロッシーニのオペラ・アリア集<デッカ・レーベル>を聴く。
 フローレスについては、すでにドニゼッティとベッリーニのオペラ・アリア集に関し、この日記でもアップしたことがある。
 張りと伸び、そして透明感のある美声と、高度な歌唱テクニックを持った歌手で、このロッシーニのアルバムでも、フローレスはその特性を十二分に発揮している。
 当時の名人上手を意識して作曲された難度の高いアリアが並んでいるが、フローレスの歌は実にスマートでスムーズで、全く無理をしているという感じがしないのがいい。
 リカルド・シャイーの指揮するミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ交響楽団のバックも万全で、フローレスをよく支えている。
 フローレスの歌を一時間近く楽しめて税込み750円とは、いくら中古品とはいえ安すぎる。
 大満足。
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2005年06月02日

山本直純よ永遠なれ

 朝日新聞朝刊によると、「山本直純の業績を集大成したCD選集」『人生即交響楽』が発売されたとのことだ。
 日本音声保存からの発売で、8枚組、1万6800円とある。
 山本直純は、クラシック音楽の作曲家、指揮者として活動した他、映画『男はつらいよ』やNHK大河ドラマ『武田信玄』の音楽、森永エールチョコレートをはじめとしたCMソング、クレイジーキャッツの歌った『学生節』、の作曲などでも知られる、日本のカルチャー、サブカルチャー双方の歴史に大きな足跡を残した人物の一人であった。
 そんなナオズミさんの仕事が、こうした形で残されることは、僕のような日本のオーケストラ史を研究してきた人間にとっても喜ばしいかぎりではあるのだが、いかんせん、8枚組、1万6800円という内容では、ちょっとばかり手が出しにくい。
 ナクソス・レーベルの日本作曲家選輯ではないけれど、1枚のCDに山本直純のエッセンスを集めるということはできないものだろうか?
 多くの人たちが手にしやすい形で、ナオズミさんの業績を伝える作業も、当然必要とされているように、僕には思えてならないのだが。

 ところで、この朝日新聞の記事には、「ベートーヴェン作品を元にした『ピアノ狂騒曲ヘンペラー』といった、大まじめに作った『変曲』の新録音も含まれいる」ともあるが、これには少し解説が必要だろう。
 ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝(エンペラー)」をもじった『ヘンペラー』や、同じくベ−ト−ヴェンの交響曲第5番「運命」をもじった交響曲「宿命」(映画『砂の器』のそれとは、全く別物)といった、一連の「変曲」は、旧日本フィルが1967年から5年間にわたって開催した『ウィット・コンサート』*の中で演奏された作品なのだ。
 確かに大まじめには作っただろうが、山本直純が物好きで得手勝手に作曲した作品ではないということは、やはり付け加えておかねばなるまい。
 なお、こうした「変曲」の数々は、『山本直純フォーエヴァー/歴史的パロディ・コンサート』のタイトルで、日本コロムビアから2枚組のCDとして発売されている。
 各「変曲」とも、なかなか凝った作品になっているので、クラシック音楽通の方たちにも納得いただけるのではないか。
(*『ウィット・コンサート』は、イギリスの冗談音楽祭『ホフナング音楽祭』に影響を受けたとおぼしい)
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2005年03月08日

聴き快々

 昨日購入したCDの感想をアップ!
(唯我独尊状態をひた走る!!)

 まず、ルネ・ヤーコプス指揮フライブルク・バロック管弦楽団による、ハイドンの交響曲第91番と第92番「オックスフォード」他が収録されたCD<ハルモニア・ムンディ・フランス・レーベル>から。
 いやあ、実にドラマティックで歯切れのいい演奏だった。
 旋律の一つ一つが活き活きとしていて、特に両交響曲の両端楽章など、本当にうきうきとしてくる。
 また、緩徐楽章におけるオペラ的な処理も強く印象に残った。
 二つの交響曲の合間に挿入された、ベルナルダ・フィンクの歌う『ベレニーチェよ、どうする』も聴きもの。
 フィンクの伸びのある美声と高度なテクニックが素晴らしく、ヤーコプスの伴奏も柔軟性に富んでいる。
 途中、たびたびヤーコプスの鼻息やうなり声まで聞こえてくるのは、まあご愛嬌だろう。
 実に満足のいく一枚だった。
(なお、交響曲第91番は、これまで近衛秀麿指揮ベルリン・フィルによるSP時代の録音のCD<ドイツ・グラモフォン・レーベル>しか手元になかった。これはこれで、ハイドンの音楽の持つ優美さ、穏やかさを表現した演奏だったと思う)
 あと、ブックレットのすみっこが折れ曲がっていたのには、がっくりきた。
 そりゃ、外からは見えない場所だけど。
 なあんか、やだなあ。
 これだけ換えてくれとも言いにくいしなあ。
(当方、レコード店で働いた経験があるので…)

 で、もう一枚。
 アンドレス・シュタイアーのフォルテピアノの演奏で、モーツァルトのソナタ第10番、第11番「トルコ行進曲つき」、第12番<これまた、ハルモニア・ムンディ・フランス・レーベル>。
 グレン・グールドの演奏した、モーツァルトのピアノ・ソナタを初めて聴いた時は本当に驚いたが、正直言って、シュタイアーの演奏したモーツァルトも、驚きの連続だった。
 あまり詳しいことまでは書かないが(だって、できれば聴いて確かめてもらいたいから)、有名なトルコ行進曲(第11番の第3楽章)*をはじめ、「ちょっとちょっと、あのちょっと」と、ちょっと丼の宣伝のクロード・チアリの如く叫びたくなるような仕掛けが、あちらこちらに多数ほどこされているのだ。
 *即興的な云々かんぬんと口にすることはできるかもしれないけれど、まるでコンチェルトのカデンツァみたい、とだけ記しておくことにする。
 むろん、そうした仕掛けを除いても、シュタイアーのある種攻撃的な楽曲解釈は活きていて、抜き身のモーツァルトを聴いているような趣きだ。
 ピアノ学習初心者の方には全くお薦めできないけれど、ありきたりのモーツァルトに飽きておられる方には、ぜひともお薦めしたい。
 愉しいCDだ。
(シュタイアーの演奏で、第8番や第15番のソナタを聴いてみたい。それと、中断しているコンチェルトの録音も再開されないものか?)
posted by figarok492na at 01:47| Comment(2) | TrackBack(0) | クラシック豆情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年02月07日

フィガロ、『フィガロ』を聴く

 NHKの教育テレビで、ルネ・ヤーコプス指揮コンチェルト・ケルンの演奏による、パリ・シャンゼリゼ劇場における『フィガロの結婚』(モーツァルト作曲)公演を観る。
 時間の関係でハイライトでの放送だったのだけれど、この抜粋の仕方がまずいまずい。
 第1幕でフィガロが歌う「もし、殿様がダンスをするなら」をカットして、バルトロのアリアのほうをとっているのだ。
 何じゃ、そりゃ!
 ここでのフィガロの歌こそ、『フィガロの結婚』の肝の一つであるというのに。
 NHKは、こういうところまで自主規制しているのかね。
 だめだめだよ、全く。
(しかも、バルトロのアリアってのが、まるで海老じょんいるがだらだらしゃべっているのと通じるような、古臭い歌なのだから)
 さらに、伯爵とスザンナの2重唱や伯爵のアリア、伯爵夫人のアリアと手紙の2重唱、おまけに第4幕のフィガロとスザンナのアリアさえカットされている、
 どないなっとねん!
 この『フィガロの結婚』というのは、初演当時の「変更」は置くとして、アリアや重唱、レチタティーヴォ(台詞にあたる部分)にいたるまで、一音たりとも欠かすことのできない魅力的な音楽の宝庫なのである。
 それを、こうもばっしゃばっしゃと切り捨てるとは度し難い!!
 と、のっけから文句をぶーたれてしまったが。
 演奏自体は、とても優れている。
 ピリオド楽器のオーケストラと奏法によって、非常に速いテンポの部分があって*1、例えばカール・ベーム指揮のCDなどでこの曲になじんでいる人にとってはびっくりするような箇所が多々あるのだけれど、指揮者ヤーコプスの解釈に添った歌手が揃っていて(ケルビーノのアンゲリカ・キルヒシュラーガー他)、合唱ともども実に聴き心地がいい。
 コンチェルト・ケルンにニコラウ・デ・フィゲイレドの通奏低音も達者な演奏で、さっそうとモーツァルトの音楽を演奏しきっている。
 ただ、演出はどうだろう。
 確かにテキストは読み込んでいるようだが、時に小細工が過ぎるという感じがしないでもなかった。
 それと、このオペラの持つ「革命性」は、含みは残しつつもほぼ払拭されていたようだ*2。
 とはいえ、この『フィガロの結婚』というオペラは、いわゆる「ウェルメイドプレイ」。
 今風に言えば、三谷幸喜のお芝居のようなものだ。
 誰がどう演じても、それなりに楽しむことのできる作品な訳で、今回の放送も、充分楽しめた。
 ごちそうさま。
(でも、やっぱり全曲聴きたかったなあ)

 *1:今回の演奏が非常に速いテンポをとっていた理由の一つは、当然ピリオド楽器の調律・調音が難しいというところに求めることができるだろうが、自らも歌手を経験してバロック期のオペラのアクロバティックな奏法に詳しいヤーコプスが、モーツァルトの音楽の中にそれとの共通する文脈を見い出し、強調していたのだとも考えられる。
 *2:オペラ『フィガロの結婚』の「革命性」については、林光さんの『日本オペラの夢』<岩波新書>が詳しい。

 ついに299回目。
 次は300回目のアップになります!!

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2005年01月31日

ヴィヴァ・ハイドン!(CDレビュー)

 昨日購入したCDの感想について。

 アンドレアス・シュタイアーのフォルテピアノ・ソロ、ゴットフリート・フォン・デア・ゴルツ指揮フライブルク・バロック管弦楽団(ピリオド・オーケストラ)の伴奏による、ハイドンのクラヴィーア協奏曲集<ハルモニア・ムンディ・フランス・レ−ベル>がそのCD。
 有名なニ長調(第11番)の他、ト長調(第4番)、ヘ長調(第6番)の3曲が収められている。
 いやあ、満足満足。
 シュタイアーのフォルテピアノは、力の入れ方、旋律の歌わせ方が実に適切で、ハイドンの音楽の快活さ、穏やかさ、美しさを存分に表現しきっている。
 ゴルツ指揮(たぶんヴァイオリンを聴きながら)のフライブルク・バロック管弦楽団も、メリハリが効いてしなやかな演奏で、全く問題ない。
 録音もクリアだし、ハイドン好きはもちろんのこと、古典派音楽好きの方にはなべてお薦めできる一枚だ。
posted by figarok492na at 01:33| Comment(0) | TrackBack(0) | クラシック豆情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年01月24日

CDレビューその他

 昨日買ってきたCDのレビューから。
 ヨーヨー・マのチェロ独奏、ロリン・マゼール指揮ピッツバーグ交響楽団の伴奏で、プロコフィエフの交響的協奏曲、チャイコフスキーのロココ風の主題による変奏曲、同じくアンダンテ・カンタービレの3曲が入った1枚<ソニー・クラシカル・レーベル>。
 プロコフィエフの作品は、その名のとおりシンフォニックな趣きの強い協奏曲(って、これじゃあ意味不明か)。
 悪く言えば誇大妄想的に膨れ上がった作品で、チェロ独奏もそうだけれど、オーケストラが縦横無尽に鳴り響くのである。
 ロリン・マゼ−ル指揮のオーケストラは技量の達者さを十二分に活かした演奏で、鳴るわ鳴るわ!
 一方のヨーヨー・マも、負けじとチェロを鳴らすわ鳴らすわ!
 どでかい曲が、エネルギッシュに弾き切られている。
(まあ、クラシックに馴染みのない方には、あまりお薦めできないかも)
 一転して、チャイコフスキーの変奏曲は、チェロの甘美で穏やかな音色が発揮されるべき作品。
 マは、優れたテクニックを駆使しつつ、美しい作品世界をつくり上げていた。
 ジャケットの写真からして腹に何物もありそうなマゼールだが、この曲では、そうした本性(?)をぐっと抑えてマのチェロをよく支えているように思う。
 アンダンテ・カンタービレは、心地のよいアンコール・ピース。
 僕は、中古税込み752円で購入したが、クラシック・ファンの方(つまりは、プロコフィエフと交響的という言葉にぴんとくる方)ならば、1200円程度でもお薦めだろう。

 NHK教育テレビで、ソプラノ歌手バーバラ・ボニーのリサイタルを観聴きする。
 北欧歌曲やマーラーを中心としたプログラム。
 ぼろっちいテレビのせいか、彼女の声の変化も、ほとんど気にならない。
 ボニーは、だいぶん「大人」になったなあ、という感じだが、それでも基本的にはボーイッシュな髪型と雰囲気だ。

 爽、食べました。
 いやあ、美味しかったなあ。

 それでは、皆さんおやすみなさい。
 グーテ・ナハト!
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2005年01月17日

クイケンさんのハイドン(CDレビュー2)

 続いて、シギスヴァルト・クイケンさんがイギリスのピリオド楽器オーケストラ「オーケストラ・オブ・ジ・エイジ・オブ・エンライトゥンメント(長たらしい)」を指揮した*、ハイドンの交響曲第82番「くま」、第83番「めんどり」、第84番の3曲<ヴァ−ジン・レーベル>を聴く。
 *たぶん、ヴァイオリンを弾きながらだと思う。
 昨日の日記でも紹介した如く、いわゆる「パリセット」のうちの3曲である。
 1988年の録音ということや、録音場所(アビーロード・スタジオ)の問題等から、少々くぐもった感じもしないではないが、非常にメリハリの効いた、聴いていて楽しい演奏。
 もっと細部を詰めてもらいたいという気持ちもなくはないが、中古で税込み452円だから、まあ文句も言えない。

 ところで、僕は以前一度だけ、クイケンさんと立ち話をさせていただいたことがある。
 青山バロックザールで行われた、クイケン・クァルテットのコンサート終了後のロビーパーティーに参加して、彼とお話するチャンスを掴んだのだ。
 その時うかがったのは、クイケンさんがラ・プティット・バンドを指揮して演奏・録音していたモーツァルトのオペラのこと。
 英語・ドイツ語ごっちゃまぜの当方の質問(失礼しました)に、クイケンさんは、「現在のヨーロッパでのオペラ上演は演出過剰」で、「(モーツァルトのオペラの上演において)18世紀当時の様式に添った演出を求める自分とは相容れない」、「(しかし、それは困難なので)演奏会形式の上演を行わざるをえない」といった意見を述べられた。
 演出方法に関しては、個人的に見解の相違もあるのだけれど、クイケンさんご本人からお話を聴くことができたのは幸運だった。

 そうそう、ウラディーミル・アシュケナージは面識があるので、今後ウラディーミル・アシュケナージさんと表記しなければならない。
(あと、アグリーダックリングの樋口さんや池田さんもそうだった=これは「初期」の頃で混乱していたため。その点、ご了承下さい)
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それは変化だ!(CDレビュー1)

 一昨日購入したCDのレビューを。

 まず、先日輸入盤が発売されたばかりの、ピエール・ブーレーズ指揮ウィーン・フィルを指揮した、マーラーの管弦楽伴奏歌曲集<ドイツ・グラモフォン・レーベル>を聴く。
 ブーレーズの生誕80周年を祝うシリーズの劈頭を飾るCDだが、一聴して感じたのは、実に録音がクリアだということ(若干、つくり物っぽくあるものの)。
 独唱者、オーケストラとも、とても明瞭に響いてくるのである。
 まず、「ながら聴き」人間にはそこが嬉しい。
 で、収録されている作品は、『さすらう若人の歌』、『リュッケルトの詩による5つの歌曲』、『亡き児をしのぶ歌』の3曲だが、独唱者は1曲ずつ異なっている(収録順に、バス・バリトンのトーマス・クヴァストホフ、ソプラノのヴィオレッタ・ウルマーナ、メゾ・ソプラノのアンネ・ゾフィー・フォン・オッター)。
 各々、優れた歌唱力の持ち主で、個人的にちょっと違和感を抱いた部分もなくはなかったが(例えば、クヴァストホフの高音部とか)、基本的には納得できた。
 特に、オッタ−の知的で透明感さえある歌唱に魅力を感じた。
 さて、本題のピエール・ブーレーズの指揮だけれど。
 CBS(現ソニー)レーベル時代の彼の演奏を識る者には、ドイツ・グラモフォン・レーベルへの録音は、変節以外の何物でもないだろう。
 が、逆に現在の彼の演奏を評価する者には、それは成熟という名の変容だと映るだろう。
 では、僕自身は如何に考えるか?
 僕自身は、変化という言葉を使いたいと思う。
 確かに、現在のブーレーズは、かつての鋭敏な音楽解釈からは何歩も何十歩も後退しただろうけれど、それはそれで致し方ない部分もあるのではなかろうか。
 肉体の変化や意識・思考の変化、そして何より彼を取りまく状況の変化というものもあるのだから。
 少なくとも、「ながら聴き」では充分に満足できたとだけ記しておきたい。
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2005年01月02日

アマデウス2

 昨日購入した、もう1枚。

 ハーゲン四重奏団の演奏する、モーツァルトの弦楽四重奏曲第20番、第22番、第23番<ドイツ・グラモフォンレーベル>。
 モーツァルトの弦楽四重奏曲といえば、第14番から第19番までの、いわゆるハイドン・セットが有名だけれど、第20番以降の4曲も、魅力的な旋律と緊密な構成など、作曲家の力量が十二分に伺われる優れた作品だと思う。
 僕は、以前アルバン・ベルク四重奏団の演奏したCD<EMIレーベル>を愛聴していたのだが、洗練されたテキストの読み込みや研ぎすまされた音色から、「現代的」なアンサンブルと評されることも多い彼らと比べて、ハ−ゲン四重奏団はさらに切れ味の鋭い超モダンな演奏を展開している。
 もちろん、ピリオド奏法の影響がハ−ゲン四重奏団の演奏を支配していることは否定できまい。
 ヴィヴラートをほとんどかけず、フレーズをべたっとひきずらずに細かく切って演奏するやり方は、まさにピリオド楽器で用いられる演奏方法そのものである。
 だが、彼彼女らの演奏は、それだけに留まるようにも思われない。
 モーツァルトの遺したテキストを冷徹に読み解いた、という感触が、この演奏からはひしひしと伝わってくるのだ。
 はっきり言って、とっつきのよいモーツァルトではない。
 それに、細部には粗さが残っているような気がしないでもない。
 だから、モーツァルトに柔らかさ、優しさを求める方にはあまりお薦めできないが、一面的なモーツァルト演奏に不満の残る方、アンサンブルの在り方に興味をお持ちの方(あと、ヴェーベルンの作品がお好きな方)には、なべてお薦めしたい。
 録音は非常にクリア。
 「ながら聴き」よりも、「集中聴き」。そして、何よりもライヴ向きの演奏だと、僕は思う。
posted by figarok492na at 13:26| Comment(2) | TrackBack(0) | クラシック豆情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

アマデウス1

 昨日手に入れた、モーツァルトのCDの感想を。

 まずは、ジュージヤ三条本店で購入したピアノ四重奏曲第1番、第2番<コルムンス(?)=COLUMNSレーベル>から。
 バート・ファン・オールトのフォルテピアノ(ピアノの原型にあたる古い楽器)を中心に、チェリストのヤープ・テル・リンデンなど、オランダのピリオド楽器奏者たち4人による演奏だ。
 オールトは、同じレーベルからピアノ・ソナタ集も出していて、その奇をてらわない演奏には非常に好感を抱いたのだけれど、この四重奏曲集にも同じことが言えると思う。
 他のピリオド楽器奏者によるもっと刺激の強い演奏にも、強くひかれるものはあるが、ゆったりと「ながら聴き」するには、このオ−ルトらの演奏のほうがしっくりとくる。
 モダン楽器(現在一般的な楽器)のような、音の厚みや響きの深さには欠けるが、その分音色の素朴さや演奏の細やかさに耳が慣れると、これはこれで充分に満足のいく世界なのではないだろうか。
 廉価盤(税込み525円)とはいえ、録音はクリアで、音楽を楽しむためには何の支障もない。
 もしも店頭で見つけたら、ぜひともご購入いただきたい。
(録音プロデューサーや録音場所から察するに、COLUMNSレーベルは、ブリリアント・レーベルの前身レーベル=もしくは同族レーベルにあたるのではないか? ネットで調べると、今のところCOLUMNSレーベルのCDもしっかりラインナップされているようだが)
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2004年12月27日

クラシック二題

 NHK・FMで、バイロイト音楽祭の『タンホイザー』公演のライヴ録音を聴いていたが、途中下車してしまった。
 クリスティアン・ティーレマン(ドイツ・グラモフォン・レーベルの看板指揮者の一人)指揮のオーケストラは、実に恰幅のよい音楽を鳴らしていたのだが、タイトルロール(題名役=タンホイザー)の何たらグールドの歌い口が古臭く聴こえてならなかったからだ。
 まあ、『タンホイザー』のような超ド級ロマン派オペラには、こういう大時代的な歌いっぷりがあっているのかもしれないが。
(例えば、松平健のような妙な軽みを求めるのが酷と言うもの)
 とはいえ、無理をして聴いても精神衛生上よくないだけだから、途中下車してしまった訳。

 今日、購入したCDは、ボリス・ベレゾフスキーが弾く、ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番他<テルデック・レーベル>。
 こちらは巧みなテクニックで、軽やかに全曲を弾き抜いたという感じ。
 もっと濃密なドラマを期待するむきもあるだろうけど、ラフマニノフ自体それほど好みでもない、けれど一応CDぐらいはもっておきたい、という「ながら聴き」専門の人間には、打って付けの一枚だと思う。
 エリアフ・インバル指揮フィルハーモニア管弦楽団は、少々こもり気味の録音とはいえ、実に達者で明解明晰な伴奏。
 おまけの前奏曲からの5曲も無難な仕上がりだから、税込み452円でこれだけ聴くことができれば御の字というもの。
 税込み600円程度までならお薦め。
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2004年12月26日

聖なる愚者の物語

 NHK・FMで、バイロイト音楽祭におけるワーグナーの舞台神聖祝典劇(何じゃそりゃ!)『パルジファル』のライヴ録音を、途中下車(入浴その他)しながらも、最後まで聴いた。
 ありていに言えば、聖杯と聖槍にまつわる聖なる愚者の説教じみた物語(指揮はピエール・ブーレーズで、演出はクリストフ・シュビンゲンジーフ)。
 重たいだろうなあ、と心配していたが、それほどでもなかったかな。
 もちろん、時間という物理的な負担は小さくないけれど、ヘッドフォンで集中しながら聴いても、案外するすると聴けてしまったのである。
 まあ一つには、やはりバイロイト祝祭大劇場の如き、ぎゅうぎゅうきちきち詰め込まれた密室で生の舞台を観聴きするのと違って、布団に潜り込んでリラックスして聴けるということが大きいのだろうが。
(まじめなクラシックファンにゃ申し訳ないけど)
 それと、もう一つは、やはりブーレーズの音楽づくりがあるのではないか。
 明晰、クリア、といった言葉がぴたりと当てはまるような、実に流れがよくてスマートな演奏なのだ。
 それこそ、「神聖」な雰囲気を期待するむきには拍子抜けかもしれないが、これほどわかりやすい『パルジファル』を聴いたことは、今まで僕はなかった。
 歌手陣も、ブーレーズの音楽づくりに反しない、聴いていて耳にすっと入ってくるような声質の人が集っていたと思う。
 終演後は、ブーイングとブラボーの嵐。
 ゲストの岡本稔の話によると、シュビンゲンジーフの演出がひどかったらしい。
(この人の説明の中で、「ドイツの歴史を『自虐的』に描いた」云々という言葉がちと気になったが)
 
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2004年12月24日

CDの感想

 記念すべき当ブログ200回目は、CLACLA日記らしく昨日購入したCDの感想について。

 まずは、ショスタコーヴィチのピアノ作品集を集めたCD<シャンドス・レーベル>を聴く。
 『人間喜劇』、『南京虫』、『ハムレット』、『リア王』、『黄金時代』といった、ショスタコーヴィチが劇場のために作曲した作品を、作曲者自身やその他の人たちがピアノ用に編曲したもので、一見(聴)非常に明晰でわかりやすく思えるものの、その実一癖も二癖もあるといった、ショスタコーヴィチらしい音楽が並んでいる。
 ルステム・ハイルディノフのピアノの演奏は、やけに健康的で、何だかとても当たり前な雰囲気に聴こえてしまうところが難点かもしれないが、こうして実際の音楽としてこれらの作品が聴けたことに感謝したい。
 ショスタコーヴィチの創作活動全般に興味のある方には、お薦め。
 中古で、税込み609円は安い。

 もう1枚は、ピリオド楽器のモザイク四重奏団が演奏した、メンデルスゾーンの弦楽4重奏曲第1番と第2番<アストレ・レーベル>。
 ピリオド楽器の音色自体、確かにメンデルスゾーンの憂いを含んだようなメロディーによくあっているような気がしないでもないが、ここはモザイク四重奏団のアンサンブルの妙を楽しみたい。
 個別に演奏される機会も少なくない第1番の第2楽章・カンツォネッタをはじめ、モザイク四重奏団は、テンポの切り換えや音楽の陰影の付け方が非常に巧みで、全く聴き飽きることがない。
 個々の奏者の技量も高く、録音もクリアだ。
 これで、税込み600円は安すぎる。
 大満足。
(モザイク四重奏団の演奏による、ベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲集や、シューベルトの『死と乙女』は録音されないものか? アストレ・レーベルが買収されてしまったこともあってか、相当難しいような気がしないでもないが)

 *モザイク四重奏団は、神戸新聞松方ホールまで来日公演を聴きに行ったことがある。
 得意のモーツァルトなどが演奏されたが、録音でも示されているような綿密なアンサンブルと、ドラマティックな音楽づくりには感嘆させられた。
posted by figarok492na at 01:38| Comment(7) | TrackBack(0) | クラシック豆情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年12月21日

チョー100枚

 ふと数えてみたら、今年買ったCDが、いつの間にか100枚を超えていた。
 安物買いだから、1枚平均500円として、それでも5万円強。
 月平均4500円ほどCD代に使ったということになる。
(実際は、もっと多くかかっているはず)
 世の真っ当な生活を営んでいる方々と違い、ぶらりひょうたん的な生き方をしている人間には、ちょっとばかり「大きな」支出だったような気がしないでもない。
 パソコンを導入したこともそうだし、それより何より、人生なんて一度っきり、いつ死んでしまうかわからないこれからの人生、このCDいったい何度聴き返すんじゃろかい、という思いが強くなってきたおかげで、いわゆる衝動買いのほうはだいぶん治まってきたけれど。
 それでも、まだまだ食指が動いてしまうのだ。
 来年こそは、もっと財布の紐をかたく締め直さなければ!
(って、標語倒れに終わってしまいそうな予感がすでにあり…)
posted by figarok492na at 01:35| Comment(3) | TrackBack(0) | クラシック豆情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年12月19日

CDの感想

 日付けに正確だと、昨日購入したCDを聴いての感想。

 購入したCDは、マリン・オールソップ指揮ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団による、バーバーの管弦楽曲集<ナクソス・レーベル>。
 収録されている作品は、交響曲第1番と第2番の他、序曲「悪口学校」、管弦楽のためのエッセー第1番の計4曲。
 バーバーは、20世紀アメリカを代表する作曲家の一人で、その作品はいわゆる「現代音楽」の範疇に含まれるのだが、基本的にはとても聴きやすい音楽だと、僕は思う。
 もちろん、モーツァルトのような古典派の音楽の聴きやすさとはだいぶん異なっているけど、ドデベカブバババ、キュワンキュワンキョインキョインといった感じは全くしないので、例えばハリウッドの映画音楽(特にサスペンスタッチの作品)に拒否反応がない方あたりまでは、お薦めできるかもしれない。
 オールソップは、作品をスマートでスポーティーにまとめて全く不満がなく、オーケストラも技術的にほとんど問題がなく、録音も非常にクリア。
 新品でも1000円程度で手に入るから、悪い買い物にはならないのでは?
(ちなみに、僕は452円で入手)
 
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2004年12月16日

絶望とは虚妄である?

 ありていに言えば、CDは音の缶詰めだ。
 生のコンサートほどの感動はない。
 だいいち、演奏家の姿を目にすることもできない(映像つきのCDがないこともないが)。
 ただ、CDには、手軽に、そして何度でも繰り返して聴くことができるという利点がある。
 それに、これは無精の極みだけれど、「ながら聴き」するのにももってこいだ。

 自分が気に入った演奏家のCDが欲しいというのは、当然のことながら、クラシック音楽ファンでも同じことだ。
 僕自身、どうしても手に入れたい、だが現実には存在しないCDが何枚もある。

 1:ピアニスト、アナトール・ウゴルスキの弾く、ブラームスのピアノ協奏曲第1番、もしくはドメニコ・スカルラッティのソナタ集。
 これは、ケルン滞在中、彼の実演に接して感動した曲目である。
 ドイツ・グラモフォンとの契約は切れてしまったようだが、どこかのレーベルで録音が実現しないものだろうか?

 2:バーバラ・ボニー、パトリシア・プティボン、アンゲリカ・キルヒシュラーガーによるモーツァルトのオペラ・アリア集、アニク・マシスによるロッシーニのオペラ・アリア集。
 キルヒシュラーガー以外はソプラノ歌手。
 4人とも、声質が大好きな歌い手で、ボニーにはオペラの全曲から寄せ集めたアリア集があるのだけれど、オリジナルな形で録音されたCDは今のところない。
 できればピリオド楽器の伴奏で、早く録音が実現しないものだろうか?
(ボニーは、ノリントンの伴奏でアリア集の録音が計画されていたはずだが=デッカ・レーベルで、どうやら中止になってしまったらしい)

 他にも、まだまだ希望の録音は山ほどあるのだが、現在の経済状況や、クラシック音楽の受容(需要)のされ方を考えれば、「夢のまた夢」という気がしないでもない。
 結局、今あるCDで我慢する他ないのだろうか…。 
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2004年12月12日

CDを聴く

 昨日購入した中古CDを聴く。
 税込み、662円(って、どんどん内税方式に慣らされていってるな)。
 エサ・ペッカ・サロネン指揮フィルハーモニア管弦楽団による、ストラヴィンスキーのバレエ音楽『ペトルーシュカ』と、同じくバレエ音楽『オルフェウス』の入った1枚<ソニークラシカル・レーベル>。
 『ペトルーシュカ』は、いわゆるロシアの土俗的ないかがわしさなど伺えない、非常にスマートな演奏で、この曲に「濃さ」を求める方には物足りないかもしれないが、クリアな録音なので、音そのものとしてこの曲を楽しみたい方にはお薦めできると思う。
 演奏スタイルが演奏スタイルなだけに、作品とサロネンの解釈とがよく合っているのは、『オルフェウス』のほうだと言えるだろう。
 新古典派特有の「構成まずありき」的な音楽を、サロネンは、適確かつ明解にまとめ上げている。
 フィルハ−モニア管弦楽団も、技術的に全く問題がない。
 中古で1000円程度なら購入可か?
(サロネンのストラヴィンスキー・シリーズでは、ロンドン・シンフォニエッタ他による、バレエ音楽『プルチネッラ』が一番お薦め。というか、僕はこの曲が好きで好きでたまらないのだ。たぶん、クラシック音楽に精通している方ならば、僕の「趣味」のありようがはっきりとわかるのでは? 何しろ、『プルチネッラ』にショスタコーヴィチの交響曲第6番なのだから)
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2004年12月05日

カタログがない

 クラシック音楽好き、特にCD好きな人間にとって、ネット世界の効用ははかり知れない。
 検索、クリック、で世界中のあらゆるレーベルのホームページが手にとるようにわかるのだから、業者や販売店、そしてレコード専門誌が提供する限られた情報を頼りにするか、それこそメール(手紙)を送って自ら情報収集に
乗り出す以外方法のなかった時代に比べれば、まさに天と地ほどの違いがある。
 ああ、あありがあたやありがたやあ(ありがたや節の調子で)。
 ただ、そんなネット世界のありがたみを心の底から味わいつつも、ここ数年ちょっとだけさみしいこともないではない。
 それは、業者の発行するCDカタログがめっきり少なくなったということだ。
 もちろん、全てのレーベルがカタログの発行をやめた訳ではないし、販売店用のカタログが発行されていることを知らない訳ではない。
 だが、一昔前のように、CDショップに行けば、ただのお客さんでもいろいろなレーベルのカタログが手に入った時代でないことも、残念ながら事実なのである。
(経済状況の悪化も、当然大きい理由の一つだが)
 カタログを見ながら、欲しいCDを選び出す。
 次はあれにしようか、それともこれにしようか。
 そんな、「手にとる」ような楽しみは、たぶん二度とありえないのだろう。
 だいたい、経済不況のあおりをくらって、各レーベルが発売しているCD自体が少なくなってしまった。
 そう言えば、カタログには掲載されていても、手に入らないCDも少なくないという。
(これは、CDショップ関係の人から聴いた話だ)
 いやいや、それより何より、輸入盤そのものが、この日本という国に入ってこない可能性さえあるではないか。
 昔のカタログを眺めて、一人悦に入っている状況ではないと痛感する今日この頃だ。
posted by figarok492na at 01:40| Comment(3) | TrackBack(0) | クラシック豆情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年10月23日

中古CDを買うばやい・3

*そら殺生だっせ!

 ルーシャとクオレさんからいただいたコメントにもあるように、安物買いの銭失いって言葉、結構的を得てるんですよね。
 ○○○○で買った靴下なんて、すぐに穴があいちまう!
 クラシックのCDも同じこと…。
 でも、そこそこ安くてなかなか聴けるCDも、中にはある訳です。
 まずは、「NAXOS(ナクソス)」レーベル。
 クラシックを扱っている大手のCDショップならきまって手に入る輸入盤のレーベルです。
 日本語のカバーもついて、だいたい1000円以内。
 セール期間なら、500円程度の時も。
 演奏もなかなかの好演ぞろい。
 今なら、詳しいカタログも置いてあるので(無料)、いたれりつくせりです。
 次は、「ARTE NOVA(アルテ・ノヴァ)」レーベル。
 国内盤も発売されているレーベルで、輸入盤なら600円から800円程度で売られています。
 赤い背表紙が目印で、ベートーヴェンの交響曲全集他、単なるお得ではすまない超名演もあるので、ぜひお試しを。
 最後は、「BRILLIANT(ブリリアント)」レーベル。
 輸入盤セールスコーナーに、どかっと置かれている箱入りCDには、ここのレーベルのものが多いはず。
 10枚組に、3000円なんて値段がついているので、心配するむきもあるかもしれませんが、ここのCDならば大丈夫。
 正式に各レーベルから音源を買い取って、破格の値段で勝負しています。
 ショスタコーヴィチやモーツァルトの交響曲全集、ハイドンのピアノ・ソナタ全集など、クラシックファン以外にもお薦めできる内容です。

 が、しかし!
 この3つのレーベルのCDが、中古店では1枚1000円から1200円で売られていることもあるんですよ。
 お店の人が知らないってことも大きい訳ですが。
 やっぱり、それって法外な話。
 そら殺生だっせ、おかみの旦那。

 面倒かもしれませんが、上記のレーベルのCDは新品を買っても損はしないと思います。 
posted by figarok492na at 10:54| Comment(5) | TrackBack(0) | クラシック豆情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

中古CDを買うばやい・2

*危ない危ない本屋のCD

 こんなCD見たことありませんか?
 本屋なんかで売ってある、えっらい安い値段のクラシックCD。
 演奏者の顔ぶれも結構すごくって、例えばカラヤン指揮のベルリン・フィルとか、ピアニストのホロヴィッツとかが、ずらりずらずらと並んでいる。
 「こりゃ、買いだ」と思ったあなた。
 待て待て、あいやしばらく!
 まあ、税込み400円以内なら、新品だろうが中古だろうが、無理してお止めはしませんが、基本的にはこの手のCDは推薦できません。
 なぜなら、このCD。
 版権切れの音源を、LPから勝手にCDに仕立て直した、いわゆる「海賊盤まがい」のCDだから。
 まして、こんなCDが中古店で1000円なんて値段がつけられてる日にゃ…。
 聞いたことのないレーベルのCDには、注意しましょう。
 危ない危ない、本屋のCD!
(最近増えている、「ロイヤル・フィル」シリーズに関しては除きます)
 
posted by figarok492na at 03:03| Comment(3) | TrackBack(0) | クラシック豆情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

中古CDを買うばやい・1

 どんなジャンルの音楽でもそうだけど、クラシック音楽を手軽に聴くためにも、やっぱり中古CDを買うのが一番。
 お店によっては、クラシックのCDが格安で手に入るので、これは見逃せない(いわゆる専門店じゃないほうがいい時もある)。

 ただし、こういう場合は、要注意!!

 *「ブック○フ」で売ってある中古CD。
 古本業界の革命児、ブック○フ。
 中古CDも手広く扱ってるんですけどねえ。
 一律○○○○円というのには、どうしても危険が伴うんですよ。
 例えば、普通のCDショップで新品を買えば、僅か500円ですむものが、ここだと中古なのに1000円もかかってしまう。
 確かに、文庫本とか100円で手に入って嬉しいんだけど、ここでクラシックの中古CDを買う際は、元の値段がはっきりとわかるような商品に限るのが無難だと思います。
 
posted by figarok492na at 02:29| Comment(0) | TrackBack(0) | クラシック豆情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年10月18日

今おすすめの日本の指揮者

 オーケストラのコンサートに行ってみようかなと思うけど、あんまり詳しくはないからなあ、と思っている人たちに、おせっかいながら今おすすめの日本の指揮者たちを紹介します。
 音楽的には一切外れなし。
 コンサートのプログラムにだけ気をつけさえすれば、プロ・アマ・学生問わずに、オーケストラの楽しさを満喫できること請け負いです。

 ☆大野 和士(おおのかずし)
 CLACLA日記本編でもご紹介したことがありますが、NHK交響楽団との「第九」なども素晴らしかったですねえ。現代音楽に一過言ある人なので、少々難しい作品がプログラムに含まれている可能性もありますが、そこさえ気をつければ、全く問題なしです。

 ☆金  聖響(きむせいきょう)
 関西ローカルのクラシック音楽関係の深夜番組もやってました<大阪・ABCテレビ>。学生オケなども積極的に指揮をしていて、案外気軽に演奏会に足を運ぶことができるのでは? エネルギッシュなのに、分析のよく行き届いた演奏が聴けると思います。
(ベートーヴェンの交響曲のCDも発売中です<ワーナー・レーベル>)

 ☆広上 淳一(ひろかみじゅんいち)
 オーケストラの音を変える魔術師。「ああ、これこそクラシック音楽」と、満足できるようなコンサートが楽しめると思います。まずは、だまされたと思って聴いてみて下さい、広上さんの指揮するオーケストラを。

 ☆本多 優之(ほんだまさゆき)
 ケルン滞在中に部屋を貸してもらうなど、お世話になったことがあります。東京混声合唱団の指揮者をやっていたので、合唱好きの方にはおなじみの名前かも? 現代音楽のスペシャリストと考えられがちですが、オールラウンドに優れた指揮者だと僕は思います。新潟室内合奏団の指揮をやっているので、新潟の方には特におすすめです。あと、関東一円の方にも。本多さんを、ぜひぜひ応援下さい。

 皆さん、オーケストラのコンサートもたまにはいいものですよ!
posted by figarok492na at 01:43| Comment(2) | TrackBack(0) | クラシック豆情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする