オットー・クレンペラー指揮フィルハーモニア管弦楽団が演奏したウェーバーの歌劇『魔弾の射手』序曲と歌劇『オベロン』序曲<WARENER>を聴く。
いずれも1960年の録音。
『魔弾の射手』はドイツ民話を、『オベロン』はヴィーラントの詩にシェイクスピアの『夏の夜の夢』と『テンペスト』を織り込んだものを題材にしたオペラで、ロマンティックでメルヘンティックな音楽を多分に含んでいる。
そして、その旋律を巧みに繋ぎ合わせて人気が高いのが、この二つの序曲だ。
ただし、一つ間違うと軽々しく安い音楽に聴こえてしまう危険性を秘めていることも残念ながら事実である。
しかし、クレンペラーであればそのような心配は無用だった。
しかも、1960年のクレンペラーはまだまだ若い。
例えば、『オベロン』はその物語からもメンデルスゾーンの『夏の夜の夢』に与えた影響が色濃くうかがえるが、重心は腰から下にあるごとくしっかりとして構えも大きいものながら、弦楽器の歯切れのよさに比較的速いテンポのクレンペラーの音楽づくりだと、ウェーバーの二つの序曲がまるでワーグナーの初期の作品かのように立派に聴こえてくる。
事実、ワーグナーの一家はウェーバーと親交があり、ワーグナー自身、ウェーバーから多大な影響を受けていた。
フィルハーモニア管弦楽団もクレンペラーによくそって間然としない音楽を生み出している。
聴き応え十分だ。
2024年03月25日
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