フランス音楽を続ける。
今度は、シャルル・ミュンシュ指揮ボストン交響楽団が演奏したドビュッシーの牧神の午後への前奏曲、ラヴェルのスペイン狂詩曲、ボレロ、ラ・ヴァルス<RCA>を聴いた。
ラ・ヴァルスのみ1955年12月の録音で、残りの3曲は1956年1月の録音。
ドビュッシーは置くとして、ラヴェルはエネルギッシュでパワフルな演奏、が、裏返せば力任せでとっちらかった演奏ということにもなる。
まずもってテンポが速い。
そして、強い部分ではこれでもかと音が強く鳴らされる。
スペイン狂詩曲では、その歯切れのよさ、強弱のはっきりとした演奏がスペイン風情を思い起こさせもした。
ボレロは、冒頭から太鼓がしっかりと鳴り、予想の通りどんどんボルテージが上がっていく。
途中までは、ぐいぐい進むミュンシュの行き方に引っ張られていたのだが、トランペットがなんとも安っぽい雄叫びを上げるにいたって、いやいやちょっと待ちいなと醒めてしまった。
それでもミュンシュは懲りずにラ・ヴァルスも飛ばす。
そして、案の定、ここでも安っぽい金管の響き。
なんともげんなりしてしまった。
そうそう、今から70年近く前のステレオ録音だが、その分離のよさ、鮮明さには驚いた。
吉田秀和の『世界の指揮者』<ちくま文庫>を読むと、来日時にミュンシュとボストン交響楽団が聴かせたベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」の分離のはっきりした演奏への苛立ちを吉田さんが事あるごとに記しているので、録音に加えてミュンシュの音楽性もあるのかもしれないが。
いずれにしても、この音質でカンテッリとフィルハーモニア管弦楽団の演奏を聴いてみたかった。
2024年03月22日
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