ガリー・ベルティーニとシュトゥットガルト放送交響楽団のアルバム<SWR>から、ハイドンの交響曲第53番「帝国」と第95番、ワーグナーの楽劇『トリスタンとイゾルデ』第1幕への前奏曲と愛の死を聴いた。
ハイドンの第53番は1985年1月25日、第95番は1983年2月3日のそれぞれシュトゥットガルト・リーダーハレでのライヴ録音、ワーグナーのほうは1996年11月28日の東京芸術劇場でのライヴ録音と表記されている。
昨夜聴いたモーツァルト同様、ハイドンはインテンポを保ってきっちりと角を押さえたような演奏。
最近のピリオド奏法に慣れた耳からすると若干物足りなさも感じないではないが、作品の構造をよく見据えた的確な解釈ではある。
特に、ロンドンの多数の公衆のために書かれた第95番には、聴き手を飽きさせないための手数の多さや音楽的な構えの大きさがよくわかった。
一方、『トリスタンとイゾルデ』の前奏曲と愛の死は、冒頭から濃密な音楽。
もちろん見通しのよさは失わないが、ハイドンに比して流れが柔軟で、音楽が進むにつれて感情のうねりが増していく。
そして、終結部の静謐な美しさが強く印象に残る。
今から30年近く前、東京でこんなコンサートが行われていたとは。
2024年03月21日
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