ジャン・マルティノン指揮シカゴ交響楽団が演奏したニールセンの序曲『ヘリオス』と交響曲第4番<RCA>を聴いた。
LPのオリジナルのカップリングもこの2曲である。
北欧の交響曲の創り手といえば、何はなくともフィンランドのシベリウスということになるだろうが、デンマークのニールセンも忘れてはなるまい。
ただ、シベリウスよりも少し晦渋というのか、「現代音楽」に寄った構造と響きが一層はっきりしているので、いくぶん人気の面では落ちる。
序曲『ヘリオス』は、エーゲ海の日の出をモチーフにした作品とされるが、イタリア滞在中に作曲が開始されたシベリウスの交響曲第2番同様、北欧らしさ(北欧の民謡などと同じ旋律のパターンであるとか)が色濃く表れている。
一方、交響曲第4番「不滅」は1914年から1916年にかけて作曲された4つのパートを持つ単一楽章の交響曲。
第一次世界大戦という直面する未曽有の破滅的危機に対峙した作品でもある。
この曲は、もう40年近く前にヘルベルト・ブロムシュテット指揮サンフランシスコ交響楽団のCDを愛聴していたのだけれど、人に譲って輸入盤の中古を改めて買おうと思ったきりそうできず、今に至るまで手元にCDがない。
この間、FM放送だとかネットラジオで耳にしたことはあるが、ながらでなくしっかりと聴いたのは本当に久しぶりになる。
で、先に晦渋などと書いたが、改めて聴いてみてどこが晦渋なものかとすぐに思ってしまう。
ぐいぐいと進む第1パート、管楽器のソロとピッツィカートの掛け合いが耳になじむ第2パート、真摯で終盤の弦楽器の追い込みが強く印象に残る第3パート、そして無法松もびっくりの2群のティンパニの乱れ打ちが凄まじい最終パート。
聴きどころ満載である。
マルティノンは線のはっきりした明快な解釈で、この交響曲の要所急所をしっかりと表現していく。
そして、ことさら北欧らしさを強調していないにもかかわらず、それが作品のあちらから浮き出されてくる。
シカゴ交響楽団はここでも高い技量を聴かせてくれる。
特にティンパニの迫力!
それにしても、クラウディア・キャシディという評論家は一体何を聴いていたのだろうか?
2024年03月19日
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