リヒャルト・シュトラウスが最晩年に作曲した4つの最後の歌を、ソプラノのアスミク・グリゴリアンがオーケストラ伴奏とピアノ伴奏で2回歌ったアルバム<α>を聴いた。
オーケストラはミッコ・フランク指揮フランス放送フィルで、ピアノはマルクス・ヒンターホイザー。
アスミク・グリゴリアンはアルメニア系のリトアニア人。
オペラでの活躍が知られている。
前々から書き続けているけど、声の好みのストライクゾーンが極端に狭い人間なので、案の定というか、彼女の声質自体はちっとも好みじゃない。
もやもわとして重たく感じてしまうのだ。
ただし、中音域の響きの豊かさや表現力の高さは十分にわかる。
このアルバムでは、そうした彼女の特質がよく発揮されていた。
第1曲の「春」では、無理に声を振り絞るものだから、そのあと音が下がる際にほんの少し不安定に聴こえるなど、どうしても高音域に急所があるように感じたことも事実で、初めのうちはあれあれと思いながら聴いていたが、後半の2曲、ことに終曲の「夕映えの中で」の詩にあわせての表現の細やかな変化には大いに感嘆した。
管弦楽、ピアノ、ともにグリゴリアンをよく支えていたが、強く印象に残ったのは「夕映えの中で」の消え入るようなヒンターホイザーのピアノだ。
明度の高いミッコ・フランクとフランス放送フィルととても対照的だった。
2024年03月16日
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