ベートーヴェンの交響曲第5番、運命交響曲を聴く。
演奏はレナード・バーンスタインが指揮したニューヨーク・フィル<SONY>で、1961年の録音。
ときたら、もちろん冒頭から一気呵成、飛ばしに飛ばして大興奮。
だって、あの超特急、ウェーバーの舞踏への勧誘を演奏したコンビだもの。
だが、予想は裏切られる。
冒頭の運命の動機以降、遅くはないものの、ゆったりとしたテンポ。
大きな構え、なおかつ細部まで目配りの届いた演奏で、ジャジャジャジャーンの動機が音楽を支配して、遂には華々しい終幕を迎えるというこの作品の構造を見事に明示する。
もちろん、知情意を兼ね備えたバーンスタインだけに、ここぞというところではしっかり熱が入る。
入るが、崩れることはない。
ニューヨーク・フィルもそうしたバーンスタインの意図によくそって、シンフォニックな拡がりとまとまりのよいアンサンブルを聴かせてくれる。
中でも、第2楽章のファゴットのソロが印象に残った。
ところで、バーンスタインがどうしてこのような演奏を行ったのか?
推測するに、自身とニューヨーク・フィルの組み合わせということも含めて、ベートーヴェンの交響曲第5番をよく知る人よりも初めて聴く人のほうがこのアルバムを購入することをバーンスタインは意識したのではなかろうか。
啓蒙の人、バーンスタインならばそれも当然のように思われる。
なおこのアルバムには、バーンスタインによるこの曲の第1楽章の解説が含まれている。
ベートーヴェンがどのように今ある形にこの曲を完成させていったのか、その一端がよくわかる解説だ。
バーンスタインの語りも明晰である。
そして、ウィーン・フィルとの再録音の第1楽章<DG>を途中までながら聴きした。
解釈自体は共通しているけれど、録音のせいもあるのか、なんだか良くも悪くも老成してしまったような感じだな。
なんだかなあという気持ちで、バイエルン放送交響楽団とのライヴ録音<DG>も同じようにながら聴きしたら、おお、こっちは活き活きとしていて聴き応えがあるぞ!
2024年03月10日
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