ロシア出身のピアニスト、アンナ・ヴィニツカヤによるショスタコーヴィチの2つのピアノ協奏曲を中心としたアルバム<α>を聴く。
協奏曲は第1番第2番ともにクレメラータ・バルティカの伴奏。
ただし、第1番ではトランペットのトビアス・ヴィルナーが加わり、第2番ではシュターツカペレ・ドレスデンの管楽器メンバーと指揮者のオメール・メイア・ウェルバーが加わる。
ヴィニツカヤはお行儀よく演奏をまとめようとはしない。
前のめりになることも厭わず音楽を前に進める。
第1番では終楽章の速射砲のような打鍵が強く印象に残る。
対するクレメラータ・バルティカも、同じ楽章では一糸乱れぬアンサンブルでヴィニツカヤに伍する。
ただし、そこはギドン・クレーメルに薫陶を受けた面々だけに技量の精度が高い上に、表現意欲も非常に豊かである。
第2楽章はもちろんのこと、第1楽章や第3楽章でも妖気というのか、音楽の密度の濃さをひしひしと感じた。
そうしたヴィニツカヤとクレメラータ・バルティカの間で、ヴィルナーはいくぶん地味な感じもしないではないが、終楽章をはじめ過不足のないソロを披歴していた。
続く第2番では、おもちゃ箱をひっくり返したような両端楽章よりも、第2楽章の静謐さにより魅かれた。
カップリングは、イヴァン・ルーディンと弾いた2台のピアノのためのコンチェルティーノとタランテッラ。
コンチェルティーノは、協奏曲の世界を2台のピアノに移し替えたような作品。
一方、タランテッラは2分足らずの小品で、快活だ。
2024年03月01日
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