トリスタンとイゾルデづいてきたわけじゃないけど、ヴァイオリンとヴィオラとチェロが各2人でコントラバスが1人の弦楽7重奏用に編曲されたワーグナーの楽劇『トリスタンとイゾルデ』抜粋<Coviello>を聴いた。
演奏は、若手弦楽器奏者による室内アンサンブル、ゾリステンアンサンブル・ダコール。
57分程度の収録時間だが、これでも全曲の3分の1から4分の1にしかならない。
それだけでも、『トリスタンとイゾルデ』がどれだけの大曲かがわかる。
そして、わかるといえば、あえて弦楽7重奏に絞ることによって、かえって『トリスタンとイゾルデ』の音楽の構造がよくわかる。
一つには、フルトヴェングラーとベルリン・フィルの没入的な演奏と異なり、音楽と演奏者との間に的確で適度な距離感があるからでもあるだろう。
弦楽器の音色自体もべったりべとべとと粘ったものではなく、清澄さやときに歯切れのよさを感じさせるものにもなっている。
CDの新譜紹介に「まるで(シェーンベルク)の浄夜」という言葉があったが、まさしくこの『トリスタンとイゾルデ』の和音構造や音楽の流れがのちの後期ロマン派、さらには新ウィーン楽派に与えた影響を色濃く演奏にもなっていた。
もちろん、愛の死では、それこそロマン派音楽の頂点であることも強く感じたが。
録音も非常にクリアだった。
2024年02月28日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック