アルトゥール・ロジンスキーがニューヨーク・フィルを指揮した録音の中から、エネスコのルーマニア狂詩曲第1番(1946年2月録音)、リストのメフィスト・ワルツ第1番(1945年2月)、ヴォルフ=フェラーリの歌劇『スザンナの秘密』序曲(同)<SONY>を聴く。
いずれもSP原盤で、オリジナルのLPはエネスコとリストの2曲のみ、そこに同時期の録音のヴォルフ=フェラーリを加えて配信されているものだ。
ロジンスキーといえばオーケストラビルダー(オーケストラを鍛える名人)として著名である一方、血の気の多いエネルギッシュな音楽づくりでも知られた指揮者だ。
激しく怒っているが冷静さを失わない、もしくは徹底したコントロールの上に情熱を放射しているといったロジンスキーの特性が、このエネスコ、リスト、ヴォルフ=フェラーリの3曲ではことによく表れている。
伸びやかなメロディーで始まり徐々に加速し熱狂的に終わるエネスコ、激しい動きと良い意味での怪しさを兼ね備えたリスト、そして超快速のヴォルフ=フェラーリ。
いずれもよくコントロールされて乱れず、それでいてこれぞ熱も失わない。
実に聴き応え十分だ。
ニューヨーク・フィルも達者というほかないし、リマスタリングの成果もあって音質も非常にクリアである。
これが太平洋戦争中に録音されていたんだから、そりゃ日本が勝てるわけはない。
2024年02月26日
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