マレク・ヤノフスキとドレスデン・フィルが演奏したシューベルトの交響曲第7番「未完成」と第8番「ザ・グレート」<PENTATONE>を聴いた。
ヤノフスキは1939年にポーランドのワルシャワで生まれたが、幼少期からドイツで学んだこともあり、現在ではドイツの指揮者と見なされている。
事実、そのレパートリーの核も古典派からロマン派を経て、現代音楽に至るドイツの作曲家だ。
ヤノフスキの指揮の特徴はオーケストラをバランスよくコントロールし、均整のとれた音楽をつくるところにあるのではないか。
このシューベルトでも、そうした彼の特徴がよく表れている。
速いテンポで粘ることなく、かつ歌唱性にも富んだ見通しのよい音楽だ。
そうした音楽づくりは僕自身の好みにもぴったりあっている。
ただ、そうした音楽づくりだからこそ、物足りなさを感じた点もあった。
それは、ティンパニの音がやけに遠くに聴こえたことである。
もちろん、何がなんでものべつまくなしティンタンティンタンティンパニが響いていればよいというものでもないが、しかし、この録音では他の楽器の分離の良さに比べて、防音マットでも被せているんじゃないかというのは言い過ぎにしてもティンパニの音が目立たない。
ヤノフスキの音楽の好みもあるのだろうが、未完成にしてもザ・グレートにしてもここぞというところでのティンパニの一閃は大きな意味を持っている。
それが今一つしっかり聴こえてこないというのは、もどかしい。
そこがクリアであれば、より魅力的なアルバムになっただろうに。
もしかして自分の耳のせいではと、試しにヤン・ヴィレム・デ・フリーントが京都市交響楽団とハーグ・レジデンティ管弦楽団を指揮したザ・グレートの一部をながら聴きしたが、ピリオド・スタイルということもあってかティンパニがよく鳴っていた。
ううん。
2024年02月23日
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