クラシック音楽のレコードを買い始めて、今年でちょうど40年になる。
少ない小遣いの中でできるだけたくさんのレコードを聴こうと廉価盤のそれも中古のLPばかり買っていたので、否も応もなくマニアックな演奏家の録音ばかり聴くことになった。
だから、いわゆる巨匠の名録音はたいして持っていなかった。
ヴィルヘルム・フルトヴェングラーのLP、もモノラル録音を電気的に加工した疑似ステレオを2枚持っていただけ。
1枚は有名なバイロイト音楽祭のベートーヴェンの第九で、もう1枚はウィーン・フィルと録音したベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」とリストの交響詩『前奏曲』がカップリングされたものだった。
その前奏曲を、今日30年ぶりぐらいに聴いた。
ただし、今回聴いたのはリマスタリングはされているが、モノラル録音である。
前奏曲は、「人生は死への前奏曲」というラマルティーヌの詩に基づいた、リストの遺した交響詩の中ではもっとも有名な作品。
死との葛藤を経て華々しい凱歌で終わる、至極明快な音楽だ。
なおかつ穏やかで美しい旋律にも不足していない。
フルトヴェングラーは強弱緩急のはっきりした音楽づくりで、作品の持つ劇性を巧く表現していた。
これでもっと録音がよければと思わずにはいられない。
2024年02月22日
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