グイド・カンテッリ指揮フィルハーモニア管弦楽団が演奏したメンデルスゾーンの交響曲第4番「イタリア」(1955年録音)<WARENER>を聴いた。
メンデルスゾーンといえば、未だに音の風景画家といった捉え方がされていて、事実そうした側面が皆無ではないのだけれど、やはりこの交響曲を聴いてもそれだけにとどまる作曲家ではないと改めて思う。
少なくとも、メンデルスゾーンも他のロマン派の作曲家同様、振幅の激しい感情表現を行っていた。
例えば、それこそイタリアの陽光を感じさせるような第1楽章にも、明らかに感情の翳りを聴くことができるし、サルタレッロ舞曲の執拗な反復が続く終楽章などはことにそうだ。
飛び跳ねるようなリズムの中に、焦燥感が潜んでいる。
カンテッリはそうしたメンデルスゾーンの音楽の持つ感情の動きを的確に再現しているのではないか。
フィルハーモニア管弦楽団も安定したアンサンブルを聴かせる。
以前聴いたシューベルトの未完成交響よくでもそう思ったが、カンテッリの一層の表現の深化を聴くことができなかったことは本当に残念でならない。
2024年02月21日
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