昨夜に続いて、小澤征爾がシカゴ交響楽団を指揮したアルバムを聴く。
チャイコフスキーの交響曲第5番とムソルグスキーの交響詩『はげ山の一夜』のカップリング<RCA>で、運命と未完成と同時期に録音されている。
昨夜の運命について記したような、前進性と的確なコントロールが兼ね備わった、実に若々しく、実に輝かしい演奏だ。
作曲者の内面の含みや屈折はほとんどうかがえないが、圧倒的で華やかな終楽章のコーダを聴けば、やはり胸は空く。
とともに、チャイコフスキーの持つ抒情性よく歌い込まれていて、それもこの演奏の魅力になっている。
第2楽章のホルンをはじめ、管楽器のソロが巧みだし、終楽章では金管群が底力を聴かせる。
ほんの少しほころびがないわけではないが、シカゴ交響楽団の高水準なアンサンブルもあり、全く古さを感じさせない。
『はげ山の一夜』は、良い意味でお化け屋敷の舞台裏を見せられたような感じ。
リズムをどのようにとったり、楽器をどのように鳴らしたりすれば、おどろおどろしさが醸し出されるか?
そういった音楽のつくりを教えてくれるクリアでシャープな演奏だった。
2024年02月10日
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