チリ出身のピアニスト、クラウディオ・アラウとアルチェオ・ガリエラ指揮フィルハーモニア管弦楽団が演奏したウェーバーのピアノと管弦楽のためのコンツェルトシュテュック(小協奏曲)<WARENER>を聴いた。
1960年のステレオ録音。
ウェーバーというと、歌劇『魔弾の射手』をはじめ、耳なじみがよい旋律の快活で鳴りの良い音楽の書き手だが、それが時に行きすぎて、例えば2つの交響曲だとかクラリネット協奏曲をはじめとした協奏曲となるとやけに騒々しいというか、演奏次第では極端にいえばジンタ調の安っぽい音楽になってしまう危険が伴っている。
コンツェルトシュテュックでも、テンポ・ディ・マルチャの部分など特にそう。
まさしく軍楽隊の行進曲風で、やり様によっては聴いちゃいられない。
まあ、ウェーバー自身、十字軍がどうのこうのというこの曲にまつわる物語を語ってみせたらしいから、軍楽隊の行進曲風で間違いはないんだけどね。
オーケストラ中心のパートだけれど、この録音ではアラウに感化されたかガリエラとフィルハーモニア管弦楽団の面々も勇壮堂々として、なおかつ抑制の効いた演奏を行っている。
もちろん、アラウのソロは見事というほかない。
華麗なテクニックの持ち主ではあるが、そこに情感と気品が兼ね備わっていて、全篇弛緩するところがない。
抒情性の表現も十分で、大いに満足がいった。
そして、その抒情的な部分はメンデルスゾーンやシューマン、ブラームスに繋がり、勇壮堂々とした部分はリストやワーグナーに繋がったのだということを改めて感じた。
リマスタリングの効果で、非常にクリアな音質。
もしかしたら、指揮者とフィルハーモニア管弦楽団のほうはその分下駄を履いているかもしれない。
2024年02月09日
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