2024年02月07日

今日聴いた音楽から@(2024/2/7)

 ノルウェー出身のチェロ奏者で指揮者マルティン・ヴァルベルグ率いる古楽器オーケストラ、オルケルテル・ノルドが演奏したアルバム『1773』<Aparte>を聴いた。
 『1773』は、そのタイトルにもある1773年に作曲されたモーツァルトの交響曲第25番に劇音楽『エジプト王タモス』とグレトリーの組曲『セファールとプロクリス』という興味深いカップリングだ。
 1曲目のモーツァルトの交響曲第25番は、攻めまくりの演奏。
 映画『アマデウス』の冒頭部分で印象的に使われたこともあって、モーツァルトの初期の交響曲では第29番と並んで有名な作品だが、その『アマデウス』のネヴィル・マリナー指揮アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズの演奏が生ぬるく感じられるほどの荒々しい速さで音楽は始まる。
 歯切れがよくてスピーディー、ばかりでなく仕掛けも十分。
 オーボエのソロが装飾を加えたり、オーボエの後ろで通奏低音のフォルテピアノが装飾を加えたり。
 実をいえば、古典派の管弦楽曲にチェンバロやフォルテピアノの通奏低音が入るのはあまり好みではないのだけれど、第3楽章をフォルテピアノの独奏でしめたのには感心した。
 続いては、グレトリーの組曲。
 当時モーツァルトが17歳ならば、グレトリーは31歳。
 大人(たいじん)とまでは言えないかもしれないが、おとなの音楽であることには間違いない。
 激しい刺激はないものの、華々しかったり穏やかだったり軽快だったり、聴きどころに満ちたウェルメイドな音楽になっている。
 とともに、フルート(トラヴェルソ)のどこか朴訥で美しいソロに、思わず「北欧」を感じてしまったりもした。
 最後は、再びモーツァルトで『エジプト王タモス』からの組曲。
 栴檀は双葉より芳し、やっぱりモーツァルトは天才…。
 ちょっと待て、モーツァルトのほうはやけにメリハリが効いているし、グレトリーではなかったフォルテピアノの通奏低音がまたもチャラチャラやってるではないか、これは意図的な印象操作では…。
 というのは、いじわるな見方聴き方かな。
 双方の音楽の違いから導かれた、演奏スタイルの違いなのだろうし。
 いずれにしても、刺激的なアルバムだった。
posted by figarok492na at 16:20| Comment(0) | TrackBack(0) | CDレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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