ベートーヴェンの交響曲第1番は、まもなく19世紀が始まろうとするころに作曲された。
ジョヴァンニ・アントニーニとバーゼル室内管弦楽団<SONY>やパーヴォ・ヤルヴィとドイツ・カンマー・フィル<RCA>のCDが手元にあるが、いずれもピリオド・スタイルの歯切れのよい演奏で、まるで今目の前に作品が生まれたような若々しさが魅力的だ。
ところが、ヴィルヘルム・フルトヴェングラーとウィーン・フィルの1952年のセッション録音<WARENER>では大きく印象が変わる。
極端に遅いテンポではないのだけれど、端正なうえに音楽の構えが非常に大きく感じられるのだ。
例えば、第2楽章の堂々とした歩みを聴いていると、この第1番もまた偉大な金字塔であるベートーヴェンの9つの交響曲のうちの1曲であることを思い知らされるような感じがする。
そして、そうした音楽の構えやつくりが大いに説得力を持っているのである。
もちろん、同じフルトヴェングラーでもライヴ録音では違った印象になるのかもしれないが。
今回聴いたのは2021年にリマスタリングされた配信限定の音源だが、モノラル録音にも関わらずクリアな音質となっていた。
2024年02月02日
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