2024年01月24日

今日聴いた音楽から@(2024/1/24)

 グイド・カンテッリは1920年生まれのイタリアの指揮者。
 第二次世界大戦に敗戦後、同じイタリア出身の巨匠アルトゥーロ・トスカニーニに見出され、彼の若き後継者と目されていたが、1956年に惜しくも飛行機事故で命を奪われた。
 今回聴いたフィルハーモニア管弦楽団とのシューベルトの交響曲第7番「未完成」<WARENER>は、1955年のステレオ録音だから、カンテッリにとっては最晩年の録音にあたる。
 上述したように、トスカニーニの流れを汲む指揮者だけに、速いテンポで勢いよく前進していくものと思っていたが、予想は大きく外れた。
 どちらかといえば、トスカニーニよりも昨夜聴いたフルトヴェングラーのほうに解釈の近さを感じるほどだ。
 ただし、フルトヴェングラーが深淵と諦念の深淵とより向き合っているとすれば、カンテッリの場合は諦念のほうに一層傾いているが。
 そして、シューベルトの音楽の持つ歌謡性を的確にとらえて、旋律をよく歌わせる。
 もちろん、過剰な感情移入は避けつつ。
 そのような音楽づくりゆえ、第2楽章がことのほか美しい。
 管楽器の受け渡しのあと、急に強い音になる箇所でもカンテッリの演奏は耳を鋭く刺さない。
 これは第1楽章にも共通していることだが、人を傷つけたくないし傷つきたくないといった宥めるような演奏で、まるで宗教曲のようだとまで思った。
 もしカンテッリが早世しなかったなら、彼はどのような演奏を行っていただろう。
 どうしてもそのことを考えてしまう。
posted by figarok492na at 11:41| Comment(0) | TrackBack(0) | CDレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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