フランス系カナダ人のギタリスト、パスカル・ヴァロワが録音した『ウィーン1840〜ロマンティックなウィーンの音楽』<ANALEKTA>を聴く。
ヴァロワは古楽器のレプリカ、いわゆるピリオド楽器によって演奏を行っているギタリストだが、このアルバムでも1830年製の楽器のレプリカが用いられている。
収録曲は、エミリア・ジュリアーニ=グリエルの6つの前奏曲Op.46-1と3、ヨハン・カスパール・メルツの吟遊詩人の調べ、メルツ編曲によるシューベルトの『白鳥の歌』からセレナーデ、ジュリオ・レゴンディの夜想曲「夢想」、メルツのハンガリー幻想曲第1番。
いずれも弾き手の技巧を閲するような仕掛けの施された作品だけれど、それより何よりアルバムのタイトル通り、甘やかで夢見るようで、切ない、まさしくロマンティックな旋律が魅力的だ。
中には、あまりの旋律の美しさのせいで、若干それに淫するというのか、とりとめのなさを感じる曲もないではないが。
ヴァロワの当時の演奏方法を意識したであろう節回し、歌い回しも強く印象に残った。
2024年01月21日
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