2024年01月11日

今日聴いた音楽から(2024/1/11)

 ハンス・ヴェルナー・ヘンツェといえば、第二次世界大戦後のドイツを代表する作曲家の一人で、左翼思想を色濃く打ち出した作品で知られている。
 今回聴いた『リインヴェンションズ(再創造)』というアルバム<BRILLIANT>は、そんなヘンツェがタイトル通り過去の作曲家たちの作品を新たに仕立て直した作品を集めたもの。
 ヴィターリのシャコンヌによる『イル・ヴィタリーノ・ラドッピアート』、ハープやギターが活躍する(ヘンツェはギター用の作品を数多く残している)モーツァルトの教会ソナタによる『3つのモーツァルトのオルガン・ソナタ』、弦楽4重奏と管弦楽のためのカール・フィリップ・エマヌエル・バッハの鍵盤楽器のための幻想曲による『イ・センティメンティ・ディ・カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ』の3曲で、いずれもヘンツェの「ちょっかい」の出し方が面白くはある。
 旋律が歪に変容脱線する様であるとか、変わった楽器編成による音色のおかしさとか。
 ただ、シェーンベルクによるブラームスのピアノ4重奏曲第1番のオーケストレーションにまで遡らずとも、同時代のイタリアの作曲家ルチアーノ・ベリオの同種の作業、シューベルトに基づくレンダリングだとかボッケリーニの「マドリッドの夜の帰営ラッパ」の4つのオリジナル・ヴァージョンのオーケストレーションに比べて、再創造の部分よりもまずヴィターリであるとかモーツァルトであるとかカール・フィリップ・エマヌエル・バッハであるとかの旋律、音楽のほうにより耳がいってしまったことも事実である。
 聴いてよかったか悪かったかと問われれば、よかったと答えるけれど。
 マルコ・アンジウス指揮パドヴァ・ヴェネト管弦楽団の演奏は充実しているし、録音も非常にクリアだ。
 こういったアルバムをバジェット・プライス・レーベルのBRILLIANTが積極的に行っていることも高く評価したい。
 いや、今や円安でたいしてバジェットでもなくなったが。
posted by figarok492na at 23:29| Comment(0) | TrackBack(0) | CDレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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