2024年01月07日

今日聴いた音楽から@(2024年1月7日)

 スイス出身のオーボエ奏者ハインツ・ホリガーは、現在指揮者として精力的に活躍している。
 あいにくオーボエのほうでは実演に接したことはないが、指揮者としてのホリガーなら今から30年前のドイツ滞在中にケルンのフィルハーモニーでドイツ・カンマーフィルとのコンサート(1993年10月14日)を耳にした。
 シューマンの序曲『ヘルマンとドロテア』とヴァイオリン協奏曲、バルトークのディヴェルティメント、ヴェレシュの作品が並ぶ、非常にヨーロッパ的な、なおかつホリガーならではのプログラムで、コンチェルトのソロのトーマス・ツェートマイヤーともども切れ味の鋭い演奏を愉しむことができた。
 ちなみに、なぜホリガーならではと付け加えたかというと、彼にとってヴェレシュは作曲の師匠であるからだ。
 そう、ホリガーは作曲家としても知られているのである。
 ヴェレシュのほかに、ホリガーが学んだ作曲家にはピエール・ブーレーズがいるが、今回聴いたシェーンベルクとウェーベルンの作品を録音したアルバムも、そうしたブーレーズとの繋がりを感じさせる。
 なぜならブーレーズは、新ウィーン楽派、中でもウェーベルンに強い影響を受けていたからだ。
 このアルバムでは、シェーンベルクの室内交響曲第1番、ウェーベルンの交響曲(と言っても、10分に満たない作品。ただし、その中にウェーベルンの音楽性が凝縮されていて密度はとても濃い)、ホリガー自身の編曲によるシェーンベルクの6つの小品、ウェーベルンの弦楽合奏のための5つの楽章と、シェーンベルクとウェーベルンが交互に演奏されている。
 その作風からいえば、ウェーベルンや自らが編曲した6つの小品のような点描的な音楽によりシンパシーを感じるのかもしれないけれど、後期ロマン派の残り香が未だ色濃い室内交響曲第1番でも、ホリガーはよく引き締まって間然としない音楽を聴かせる。
 ローザンヌ室内管弦楽団も精度の高いアンサンブルで、全く危うさがない。
 加えて録音が実にクリアだ。
 不協和音、無調の音楽に拒否反応のない方にはぜひご一聴いただきたい。
 昨夜聴いた3つのシンフォニエッタとは、とても対照的な音楽である。
posted by figarok492na at 17:01| Comment(0) | TrackBack(0) | CDレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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