ユージン・オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団が演奏したヘンデルの王宮の花火の音楽と水上の音楽他<SONY>を聴いた。
実は、このアルバムは国内初出盤のLPが手元にある。
京都市役所横にホットラインという中古レコード店があって、その入口辺りに、ご自由にお持ちくださいという貼り紙付きで傷が入ったりジャケットがボロボロになって売り物にならないLPやEPが段ボール箱の中に無造作に置かれてあるのだが、そこから見つけて持ち帰ったものだ。
誰かレコードを聴く装置を持った人に聴かせてもらおうと思ったまま10年近く経ってしまい、結局amazon music unlimitedで先に聴くことになってしまった。
今やバロック音楽や古典派の音楽は、その作品が作曲された当時の楽器や音楽奏法を再現して演奏する、いわゆるピリオド・スタイルが主流となっているけれど、ここでオーマンディが使用しているのは、イギリスの作曲家で指揮者だったハミルトン・ハーティが大編成のオーケストラのために編曲した組曲版(厳密にいうと、水上の音楽のほうはオーマンディがさらに手を加えているらしい)。
よく言えば、堂々とした構えでパワフルさも兼ね備えた演奏。
が、悪く言うと、ちょっとごり押し気味というか、力任せで荒っぽく聴こえる演奏だ。
一つには、よもや板おこし(マスターテープではなく、レコードの音を利用してデジタル化すること)ではあるまいが、しゃりしゃりとした感じがあまりにも強い音質の古さもあると思う。
ただ、同じく音質は古く弦楽器も分厚く聴こえるものの、ヘンデルの2つの曲に挟まれたコレㇽリの弦楽のための組曲はバーバーの弦楽のためのアダージョを思い出させる厳粛なサラバンド、優美なジガ、軽快なバディネリと強引さがなく、愉しんで聴くことができた。
それにしても、もし初めにLPで聴いたらこういった感想になったのだろうか。
そうはならなかったような気がして仕方ない。
2024年01月05日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック