すでにhr(フランクフルト放送)交響楽団と全集を録音しているパーヴォ・ヤルヴィが、チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団とブルックナーの交響曲の録音を開始した。
第7番に続く、リリース第2段、第8番<α>を聴いたが、これは充実した演奏となっていた。
あいにくhr交響楽団との音源は聴いていないが、hrの公式アカウントがアップしているYouTubeのライヴ録画には接したことがある。
ヤルヴィらしい、スピーディーでクリアな演奏だった。
ところが、今回のチューリッヒ・トーンハレ管弦楽団との演奏では印象が大きく変わる。
あちらのライヴ録音に対し、セッション録音ということもあるのかもしれない、表現の密度が非常に濃いものになっているように感じた。
今回の録音はhrとの録音に比べ、約5分ほど演奏時間が長くなっていものの、音楽自体が弛緩したといった印象は全くない。
肌理が細やかというのか、細部まで丹念に考え尽くされている一方で、木を見て森を見ずの状態にも陥らない。
全体が一つの音楽として統一されているのだ。
第1楽章終盤や第4楽章の厳粛な表情や、第2楽章中間部や第3楽章の抒情性、いずれも強く心を魅かれた。
チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団もよくコントロールされており、精度の高いアンサンブルを聴かせている。
なお、いつもと同じ音量だと若干音がごちゃついた感じがしたため、幾分ボリュームを上げたところ、十分鮮明に聴こえた。
もし全集につながるのであれば、非常に愉しみである。
2024年01月03日
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