『風の又三郎』(1957年/東映教育映画部)
監督:村山新治
原作:宮沢賢治
脚本:清水信夫
音楽:木下忠司
宮沢賢治原作の『風の又三郎』といえば、1940年の島耕二監督、片山明彦(島監督の子息)主演による作品が有名だが、こちらは村山新治が監督した50分弱の児童劇映画。
風の又三郎こと高田三郎(山内賢=当時久保賢)が岩手の田舎の分教場へと転校して来て、嘉助(松山政路=当時松山省次)たちと親しくなるものの、別れも告げずに去って行く。
といったおなじみの物語が描かれた作品で、自然描写などに朝日映画社(文化映画)時代の経験が窺えるか。
子供たちを、加藤嘉や左卜全、宇佐美淳(当時宇佐美諄)らが支えている。
ほかに、強面になる前の関山耕司も出演。
そうそう、村山監督の自伝と自作への聞き取りを収めた『村山新治、上野発五時三五分』<新宿書房>には、
「又三郎には堀川弘通さんの監督デビュー作『あすなろ物語』に出ていた久保賢がいいと思い交渉に行った。
母親は乗り気だったが、賢君は、嫌だと、なかなか聞かない。
日を改めてまた口説いた。
もしあのとき出演させていなければ、彼は俳優にならなかったと思う。
勉強好きな少年だった」
との記述がある。
なるほど、もしこの作品がなかったら、日活の青春映画や『あばれはっちゃく』の先生役、『ごちそうさま』のさすらいのくいしん坊の山内賢はいなかったかもしれないのか。
2021年03月07日
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