2019年06月09日

努力クラブ第13回公演『どこにも行きたくないしここにもいたくない』

☆努力クラブ第13回公演『どこにも行きたくないしここにもいたくない』

 作・演出:合田団地
(2019年6月9日14時開演の回/人間座スタジオ)


 どこにも行きたくないし
 ここにもいたくない

 名は体を表す。
 題名は作品を表す。
 ああ、面白かった!!!
 と、書けば、それで事足れり。
 なんだけれど、それだけではちょっと説明不足に過ぎるかな。

 短篇小品にラジオドラマ等々、合田団地=努力クラブの作品に長く接してきた人たちにはおなじみのストーリー展開(それは、セックスを含めた合田君の人と人との関係性に対する感じ方考え方の反映でもある)を重要なモティーフにしつつ、作品は形作られている。
 人間の弱さに強さ、無意識の悪意、いーっとなる感じ、ばかばかしさ、しょうもなさ、生き辛さ、憎めなさといった事どもが、登場人物の言動を通して細やかに、根底から排除や否定されることなく描かれるとともに、なおかつそれが笑いやおかかなしさに密接に繋がっていて、ぐっと惹き込まれた。
 感情表現の振幅の激しさや「くすぐり」という意味から考えても、ほぼ全員が中学生(あとは高校生が一人)という設定は、実に効果的だったのではないか。
 途中だれ場もあるし、あえて観る側に「辛抱」を求める部分もありはするが、約110分を飽きることなく愉しむことができた。
 作品世界を象徴する存在である藤枝カスミを演じた斉藤ひかり(眼鏡をかけた感じとか、語尾のおさめ方とか、愉快犯にいた笹井佐保さんをすぐに思い出した。ただし、斉藤さんはより「確信犯」的な演技だが)をはじめ、西マサト国王(必見!)、田崎小春(一瞬の怖さがいい)、重実紗果、佐々木峻一、北川啓太、小野寺未季の演者陣も、各々の特性魅力を十分に発揮していた。
 もちろん、合田君のバランスよい布陣も忘れてはなるまいが。

 そうそう、終演後、合田君に直接聴いたが、ラストは今泉力哉監督の『愛がなんだ』を観る前に出来上がっていたそう。
 そこのところ、お間違えなきように。

 すでに前売りは完売だそうだけれど、明日14時の回も当日券が出るとのことで、お時間おありの方はぜひ!!!
posted by figarok492na at 19:22| Comment(0) | 観劇記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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