2019年05月08日

ほそゆきのパイロット版17

☆ほそゆきのパイロット版17


「でさあ、本題なんだけど」
 佐田がわざとらしく切り出す。
「シナリオのことやろ」
「そうそう」
 と言って、佐田がA4の用紙の束を詠美に突き出す。
「わっちゃあ、もしかしてこれ全部」
「大丈夫大丈夫、一枚二十字×十行だし」
「半ペラか。それでもだいぶん量があるで」
 そう言いながら詠美は、しぶしぶ佐田が書いたシナリオに目を走らせ出す。
「半ペラって」
「知らんなら、自分で検索してみいさ」
 という詠美の言葉に、佐田はすぐにスマホを取り出す。
「そうだそうだ、二百字詰めの原稿用紙のことだ。前、伊地知先生が教えてくれたんだよね」
 ようやく佐田は思い出す。
「しっ、静かに。今読み出すところなんやから」
「ありがとうございます」
 と頭を下げて、佐田は右手を突き出す。
 そして、ゆっくりと手刀を切った。
posted by figarok492na at 17:33| Comment(0) | 創作に関して | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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