☆クレール=マリ・ル・ゲ ピアノ・リサイタル
座席:7列29番
(2019年1月9日19時開演/京都コンサートホール アンサンブルホールムラタ)
フランス出身のピアニスト、クレール=マリ・ル・ゲのリサイタルを聴いたが、一言でいえば、知性を感性で抑制するということになるか。
もしくは、情に棹させば流されるが、智に働けば角が立つことも識ったクレバーさというか。
前半はヨハン・セバスティアン・バッハのパルティータ第1番に始まり、ラヴェルの組曲『鏡』から第2曲の「悲しげな鳥たち」と第4曲の「道化師の朝の歌」、そして再びバッハのイタリア協奏曲の3(4)曲。
公演プログラムにある正統、上品、厳格という惹句に首肯するが、例えばパルティータ第1番の第3曲あたりからの表出意欲や道化師の朝の歌のエネルギッシュな表現には、それだけにとどまらないル・ゲの音楽の幅の広さを感じた。
休憩を挟んだ後半のリストのピアノ・ソナタでは、さらにそうしたル・ゲの特性魅力が存分に発揮されていたのではないか。
全体的な構成を見据えつつ、強靭さやデモーニッシュな雰囲気、ロマンティックでときに宗教的ですらある静謐さといった作品の持つ多様な性格が明晰に再現されていた。
大きな拍手に応えてアンコールは、ショパンのノクターン第7番とスクリャービンの左手のための前奏曲の2曲。
抒情性をためた美しい演奏だった。
ピアノを聴く愉しみに満ちたリサイタル。
ああ、面白かった!!!
2019年01月09日
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