2018年08月07日

第39回座錦湯

☆第39回座錦湯

 出演:桂文五郎さん、柳家かゑるさん
(2018年8月6日19時開演/錦湯)


 猛暑が続く京この頃だが、錦湯さんは冷房もばっちり効いて無問題。
 今夜は、常連さんやリピーターさんもだけど、落語好きと思しきご新規さんが集まっての盛況となった。
 39回目となる座錦湯は、支配人ビリートップ五人衆の一人桂文五郎さんの差配で、ゲストに東京(江戸)の落語家柳家かゑるさんを迎えた。
 かゑるさんといえば、錦湯さんでの会の長い常連さんならよくご存じ。
 会の創始者である月亭太遊さんのネオラクゴ『たまげほう』とネット動画で出会い、自らのネタにする許可を得たことがきっかけとなって、ここ錦湯さんの会にも出演することとなった落語家さんだ。

 定刻19時にお二人が登場。
 斜め向かいの工事の音がギーギーガーガーとけっこううるさいが、そこは根っからの芸人、それもきちんとネタにして笑いを生む。
 当然の如く、錦湯さんでの会などについて話をして盛り上げた。

 で、頃合いのよいところで、文五郎さんが高座へ。
 この間、ずっと京都が好きだと言ってきたがそれは大嘘。
 実は京都は嫌い。
 なぜなら自分は奈良の出身だから…。
 と、マクラで語ったのちに演じたのは、古典の『延陽伯』。
 嫁はどうかと男に甚兵衛はんが紹介したのは、見目麗しい女性。
 ただし、この女性、京都のお公家さんに奉公していたとかで言葉が相当わかりにくい…。
 といった具合の、京都風をちらと皮肉ったおなじみの古典である。
 文五郎さんは、基本はしっかり。
 丹念に演じつつ、ところどころ錦湯さん対応のくすぐり、メタ的志向をはめ込んでいた。

 続いては、かゑるさん。
 メガネをかけたままの高座で、『都々逸親子』をかける。
 息子から小学校で都々逸が流行っていると知らされた父親は、自分もかつては都々逸で鳴らしたんだと親子で都々逸の作り合いを始めるが…。
 もともとは今は亡き三代目の三遊亭圓右さん(つるっとした頭の落語家さん)の新作なんだけど、そこは今風にたっぷりアレンジされている。
 それでも、やはり都々逸が題材だけに、どこか昔懐かしい人情を感じたりもした。
 かゑるさんは高身長で体育会系的がっしりとした体格だけに、せせこましさを感じない口演だった。

 三席目は、再び文五郎さん。
 古典の文五郎さんだけど、今夜は自作の新作、それも来がけの電車の中で作ったほやほやの新作『ネオガンダム』をネタおろしした。
 おなじみ『ガンダム』のあるシーンを下敷きにしつつ、ここ錦湯さんだからこその展開の新作で、抱腹絶倒。
 大いに笑った。
 これ、再演はまずないだろうから、聴けてよかった!

 トリは、かゑるさん。
 紺屋で働く染物職人久蔵が恋焦がれたのは、花魁中の花魁三浦屋の高尾太夫。
 親方の言葉を信じて三年間働き詰めに働いた久蔵は、ようやく高尾太夫に会いに行く…。
 まさしくトリに相応しい、江戸の古典落語を代表する『紺屋高尾』だ。
 細かいくすぐりは入れつつも、かゑるさんは本寸法、しっかりじっくりと演じ上げた。
 特に、久蔵が自らの正体と真情を高尾太夫に明かすあたりの気の入り方が強く印象に残った。
(そういえば、かゑるさん演じる『たまげほう』の肝も、こうした真情の吐露にあるのだった)

 と、東西二人の落語家が古典新作をたっぷり演じた座錦湯でした。
 ああ、面白かった!!

 そして、終演後は本当に久方ぶりの打ち上げ(交流会)も開催されました。
 そうそう、これが錦湯さんでの会の恒例だったんだと懐かしさを覚えた次第。
posted by figarok492na at 01:04| Comment(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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