☆第36回座錦湯
出演:桂三実さん
三味線:岡野鏡さん
(2018年7月1日19時開演/錦湯)
7月に入って夏が本格的に到来した感の強い京都だが、錦湯さんにはいつもの如く常連さんやリピーターさんが集まった。
36回目となる今回は、ビリートップの桂三実さんの差配で、出演者も三実さん一人。
まさしく独演会状態だったが、今夜はそこに三味線の岡野鏡さんという強い味方が加わった。
実は今回から開演時間が19時に変わったのだけれど、その定刻19時あたりに三実さんが高座へ。
今回の企画の趣旨や、開演時間の変更についての説明を兼ねた口上ののち、一席目の『東の旅 発端から煮売り屋まで』に入る。
小拍子と扇子のリズムも軽やかな『東の旅』の発端から煮売り屋といえば、上方落語、それも桂米朝一門の入門篇として知られているが、マクラで触れていたように三実さんも桂吉弥さんにこのネタをつけてもらったとのこと。
(って、しばらく前のABCラジオの『征平吉弥の土曜も全開!!』で、吉弥さん自身が三実さんにこのネタをつけているという話をしていたのだった)
で、岡野さんも来られているということで、せっかくだからハメ物でもある『東の旅』を選んだ由。
発端の中盤以降、三実さんのエンジンがぐんとかかり、煮売り屋あたりでの掛け合いもすとんすとんと進んで行った。
岡野さんも美しい三味の音と歌声を聴かせた。
二席目は、一転、師匠桂文枝さんの新作『お忘れ物承り所』。
文枝一門の入門篇となる作品で、駅の忘れ物承り所で巻き起こる喜々こもごもを描いた内容となっている。
錦湯では、すでに桂三幸さんや桂三河さんが演じてきたが、三実さんはたぶん細かい部分をはしょらないか、自分でアレンジした形で演じていたのではないか。
一つ一つのくすぐりを丁寧に押さえた口演で、しっかり笑いが起こっていたし、作品の出来もよくわかった。
三席目は、再び古典落語の『半分垢』。
旅から帰って来たお相撲さんとその妻、町の人たちの滑稽なやり取りがおかしい。
錦湯では三幸さんがかけたことがあるネタだが、三幸さんの演じる妻が「猟奇的」でファニーだとしたら、三実さんのほうはよりしっとりした感じがあるというか、お相撲さんに自分がどうして突拍子もないほら話をしてしまったかの理由を説明するときのキュートで悪意なさげな雰囲気が一つの肝となっていた。
ここで錦湯さんの会では珍しく中入り。
そりゃ桂三実ワンマンショー状態、小休止も当然だ。
で、四席目に三実さんは、文枝師匠の新作『熱援家族』を選んだ。
ただし、そのまま演じるのではなく三実さんが今向けにアレンジしたもの。
たまの日曜日、家族で愉しく過ごそうとする父親だったが、息子はまゆゆのコンサート、娘は嵐のコンサート…、と父親以外の家族は自分がファンであるアイドルやらスターやらにかまけきりで…。
といった展開の作品である。
まずもって家族がファンになる対象が「的確」で、くすぐりともどもおかしい。
オチも実にらしいオチとなっていた。
そして、トリとなる五席目はいよいよ三実さんの自作『キラキラネーム川柳会』だ。
いわゆるキラキラネームを付けられた子供たちが大人になって、自分自身のこれまでの辛い身上をお互い語り合い、はては川柳にして交感し合うという会合を舞台にしたお話。
キラキラネームのチョイスと、それにまつわるエピソードに三実さんらしい捻りがきいている。
『熱援家族』との並びという意味でもぴったりな内容ではなかったろうか。
と、三実さん大大大大大活躍の一夜でした!
上述したハメ物のほか、バラエティに富んだ出囃子の岡野さんにも大きな拍手を!
ああ、面白かった!!!
(そうそう、具体的な言及はなかったものの、今日亡くなられた桂歌丸さんへの哀悼の意がほのかに感じられる会でした)
ちなみに、来週は錦湯さんで別のイベントが開催されるため、座錦湯の開催に関してはtwitterの公式アカウントなどをご確認くださいませ。
いずれにしても、毎週月曜夜は皆さんも錦湯さんに皆さんぜひ!!
2018年07月03日
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