☆笑福亭笑利落語会「水滴々」
(2018年6月26日19時半開演/恵文社一乗寺cottage)
最近自作の歴史落語などで精力的な活動を繰り広げている笑福亭笑利さんが約1年ぶりに恵文社cottageで落語会を開催するというので、迷わず足を運んだ。
昨日の大阪での会と同様、今回の題名は「水滴々」。
高座に上がった笑利さんは、一滴の水も大河や海の水も、同じ水…、なあんて、といった具合にその由来を説明して笑いをとる。
それから、お客さんとの関係や少しずつ進めている四国八十八か所のお遍路について、様々なエピソードなどを交えて笑わせながら語っていく。
笑利さんの会は、本題の落語とともに、このトークの部分もまた愉しみなのだ。
で、前半は昔話を落語に仕立て直した新作の『六助稲荷(いなり)』と、古典中の古典の『寿限無』の二席。
『六助稲荷(いなり)』は丹後峰山の昔話を下敷きにした作品で、徳を積もうと狐の巣を掃除してやった六助だが、狐にとってはそれが大迷惑、しこたま仕返しされるという筋運びだ。
実は、2015年5月10日に出町柳のかぜのねで開催された落語会でこの『六助稲荷(いなり)』には接しているのだけれど、この3年間の笑利さんの研鑽と核になる変わらない部分が同時にわかって、その意味でも非常に面白かった。
一方、『寿限無』は今更言うまでもない噺。
笑利さんは大きく手を加えることはしないものの、掛け合いの強弱やテンポの変化できちんと笑いを生んでいた。
ちょっとした休憩を挟んだ後半は、歴史学者の磯田道史先生との出会いを語るトークから。
そして、本題も磯田先生の『無私の日本人』の中の一篇を原作とした『穀田屋十三郎』。
困窮にあえぐ陸奥国吉岡宿の住人穀田屋十三郎は、茶師菅原屋篤平治の知恵を借りて、仙台藩に金を貸し、その利息でなんとか吉岡宿の財政の立て直しを目論むのだが…。
と、ここまで書けばお察しの方も少なくないかもしれないが、阿部サダヲ主演で映画化された『殿、利息でござる!』の元になったお話だ。
そこは落語だから、くすぐりもふんだんに盛り込まれているものの、やはりこの作品の肝は十三郎たちがどうやって千両(五千貫)もの大金を用立てるかというところにある。
そして、その他の新作やこれまでのトークと通じる、笑利さんの心根というか真情もよく表れていたと思う。
磯田先生とのコンビネーションがどういった歴史落語を生み出していくのか、今後がますます愉しみで仕方ない。
それにしても、やっぱり継続は力なりだなあ!
以上、足を運んで大正解の会でした。
ああ、面白かった!!
2018年06月26日
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