☆百物語の館
(2018年6月2日15時開演/誓願寺2階講堂)
日本怪談研究と朗読公演の一座「百物語の館」の朗読公演を聴きに、新京極の誓願寺まで足を運んだ。
あいにく(?)の晴天だったが、今回の演目は梅雨時ということで、雨や水にちなんだ作品が並んだ。
まずは、岡本綺堂の同名作品による『河童小僧』(喜多はも台本)。
五月雨の降り続く中、侍はドンドン(溜池からの水が流れる堰)辺りで一人の小僧を見かけるが…。
亀山笑子さんは会の皮きりに相応しく丁寧に読み上げた。
続いては、新御伽婢子による『宗玄火』(仙崎耕助台本)。
壬生寺を舞台にした怪異譚で、高杉詩音さんは透明感のある声質で端正な読みを披露した。
壬生寺は近所なのだけれど、不勉強ゆえこういった逸話があるとは知らなかった。
前半最後は、上田秋成の雨月物語による『吉備津の釜』(大道悠姫台本)。
前妻の恨みつらみが身持ちの悪い女好きの男を破滅に至らしめるという、おなじみの怖ろしい話。
三輪涼さんはここぞというところで表現のデフォルメを効かせ、物語を盛り上げた。
ここで、ちょっとした休憩を挟み、怪談研究者で百物語の館の元締である堤蛇彦先生と美術史家の鈴木堅弘さん『牡丹燈籠』に関するトークを繰り広げる。
こうやっていろいろと学べるところも、この百物語の館の愉しみの一つだ。
後半は、百物語の館オリジナルで鰆屋塩見台本による『紫陽花の君』から。
現代を舞台にした、甘酸っぱく切ないストーリーで、柚木琴音さんの声質や淡々とした読み方にぴったりだと感じた。
最後は、今昔物語による『鬼一口』(藤原有津馬台本)。
在原業平がらみのエピソードで、黒川茜さんのウェットさを含んだ語り口にあっていた。
と、今回も各人各様の朗読を愉しみました。
ああ、面白かった!!
2018年06月02日
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