☆第28回座錦湯
出演:桂小留さん、林家染八さん、月亭秀都さん
(2018年4月30日20時開演/錦湯)
昭和の日の振り替え休日。
世はゴールデンウイーク真っ盛り。
そんな中、錦湯さんには常連さんやリピーターさんが集まって、今夜もなかなかの入りだった。
ビリートップの面々が持ち回りで支配人を務める座錦湯も、今回でもう5回目。
今週はお昼に今出川近辺のスターエッグスで「たまごのらくご」を終えたばかりの桂小留さんの差配で、同じく「たまごのらくご」に出演した月亭秀都さん、そして林家染八さんが顔を揃えた。
実はこの三人、上方落語協会の野球部・モッチャリーズの花形(?)メンバーなのだった。
冒頭のトークもそのモッチャリーズ、ではなく先ごろ笑福亭仁智さんの当選で終わった上方落語協会の会長選挙の話題から。
桂吉弥さんもABCのラジオでちらちら内情を語っていたが、ここは錦湯、さらに踏み込んで…、もちろん隠(画)すべきところはきちんとそうしつつ、大きな笑いを生んでいた。
で、頃合いのよいところでじゃんけんの勝ったものの希望順にそって秀都さんが高座へ。
高校時代野球部に入ってはいたが…、とモッチャリーズ関連のエピソードなどをおかしくマクラで語ったのち、本題の『千早振る』に入る。
百人一首の「ちはやふる神代もきかず竜田川からくれなゐに水くくるとは」という在原業平の歌の意味を尋ねられた町内で物知りと評判の男、知らないなどとは言い出せず、とうとう口から出まかせを…。
といった具合のおなじみの古典で、二人の男のやり取りをしわぶき声というか渋みの入った声でテンポよく語っていく。
肝はもちろん、男が平然と出まかせを言い立てるところ。
その出まかせの自然な語り口が秀都さんの柄にぴったりだった。
続いては、小留さんが登場する。
今日の「たまごのらくご」でネタ下ししたスターエッグス(武者小路町)周辺を題材にした新作を、早速こちらでもかけてみようという趣向。
ただし、この新作、同じく近辺の衣棚通を舞台にした『はてなの茶碗』の後日譚(担ぎの油屋が「十万八千両」の代物と盛って来る、漏れる水壺がどうなるか?)。
なので、小留さんは『はてなの茶碗』を丸ごと演じた上で、そのまま新作に入るという形をとった。
東京の『茶金』に比べ、『はてなの茶碗』にはより人の情がそこはかとなく表われている感じがして、小留さんの高座でもそのことを改めて強く感じる。
(先日の『ちりとてちん』でもそうだったが、この『はてなの茶碗』でも追い詰められた油屋が必死のぱっちで真情を語るあたりに小留さんの特性を観る想いがした)
さて、後日譚のほうは、舞台が京都を離れ長崎へ。
十万八千両の取り引きをするには、何しろ世界が相手でないと…。
と、ここからの詳しいあらすじは今後の口演もあるかもしれないのであえて触れないけれど、長崎出身で京都在住の人間にとっては、一粒で二度嬉しい内容だった。
そして、座錦湯同様、スターエッグスでの「たまごのらくご」も皆さんぜひ!!
トリは、染八さん。
マクラでは、最近の様々な話題を語ってみせる。
さらに、今夜の座錦湯出演の本来の目的にふくみをもたせて大きな笑いをとってから、本題に。
幇間太鼓持ちの茂八が若旦那の求めに応じて鍼を打たせたまではよかったが…、というおなじみの古典『太鼓腹』で、一度錦湯さんでもかけたことがあるネタだ。
お金欲しさ丸出しの茂八が、若旦那の無茶な要求に困惑する様、鍼を打たれて大騒ぎする様、その積み重ね、強弱の変化が面白く、会場がわいた。
最後は、三人でモッチャリーズというチームの実像に迫る(んな、大袈裟な!)トークを繰り広げて休日の夜を〆た。
と、今夜も盛りだくさんな座錦湯でした。
ああ、面白かった!!
そして、毎週月曜は皆さんも座錦湯へぜひ!!
2018年05月01日
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