2018年01月09日

第12回座錦湯

☆第12回座錦湯

 出演:月亭方気さん、桂恩狸さん
(2018年1月8日20時開演/錦湯)


 三連休最終日は、あいにくの雨。
 それでも錦湯さんには、常連さん、リピーターさんがなかなかに集まって、新年一回目に相応しい会となった。

 12回目となる座錦湯は、支配人の月亭方気さんとお久しぶりの桂恩狸さんの出演。
 定刻20時を少し過ぎたあたりで登場したお二人だが、方気さんは黒の紋付、一方恩狸さんは白ではないけれどアイボリーというかクリームというか白系統の色合いということで、コントラストがよくきいている。
 で、先代の支配人桂三幸さん時代以降、久しぶりの出演となる恩狸さんは、The錦湯や座錦湯の番組の組み方、つまるところ自分にとって錦湯さん出演へのハードルが非常に高かったと熱弁をふるう。
 その途中、前回出演時に左手を骨折していたことの原因や、例年年末に恩狸さんと方気さんで参加している蟹食べ放題のツアー(恩狸さんが方気さんをごちそうしている由)について、面白く脱線したりもした。

 と、盛り上がったところで、恩狸さんが高座へ。
 この座錦湯が今年の高座初めになるという恩狸さんは、12日の桂文福一門会に備えて自作の新作『喫茶・鉄』をかける。
 昼休みのサラリーマン二人が昼飯でも食べようと足を運んだのは、喫茶・鉄。
 いったい何が売りなのだろうと、店に入ったところ鉄は鉄でも鉄板焼きの鉄ではなく…。
 すでに何度か接したことのあるネタだけれど、細かいくすぐりや展開などについて、どうすればさらに面白くなるかという恩狸さんの意欲が窺える高座だった。
 それとともに、どこから飛び出すかわからない隠し玉というか変化球というか、話の突然の跳躍がいつもながらにおかしかった。

 続いては、方気さんだ。
 ガキ使や紅白歌合戦、そしてゆく年くる年と大晦日のテレビの話題や、このお正月に関する話題をマクラで語った方気さんは、こういう寒い時分は食べ物、それも暖かい食べ物の噺をかけたいと本題の『時うどん』に入る。
 もはや語るまでもない、そして方気さん自身が口にしていた通り、ここ錦湯さんでも初代支配人の月亭太遊さんはじめ数々の落語家さんが取り上げた古典中の古典。
 ただし、方気さんは要所要所をきちんと押さえた高座で(ちなみに、方気さんの『時うどん』は二人連れではなく、いわゆる『時蕎麦』として知られている形)、前半の丁寧な仕込みが、後半部分の「変化」に巧く繋がっていた。
 特に、しゃむない男がことごとく間を外される際の感情の動き、うどん屋への反応の様がとてもおかしかった。

 トリは、二席目となる恩狸さん。
 未だ初夢を見ていないと訝りながら、演じ始めたのはこれまた古典中の古典と呼ぶべき『天狗裁き』である。
 妙な寝顔をしている男に対し、女房がいったいどんな夢を見ていたと訊く。
 夢など見ていないと男は言い張るものの、女房はその言葉を信じようとしない。
 隣家の男、家主、町奉行、はては天狗までが男の夢を聞き出そうとするが…。
 というSFっぽくもあり、不条理演劇っぽくもある展開だ。
 恩狸さんは小細工なしの大柄な口演で、噺の筋がよく伝わってくる。
 それとともに、この噺が人間関係というものの微妙さ、崩壊しやすさを笑って、いや嗤ってみせたものであることを改めて感じた。

 最後は、方気さんと恩狸さんのトークで〆たが、ここで方気さんがお客さんよりお題を募集。
 来週15日の座錦湯で、お題をもとにした新作のネタ下ろしができればと話された。
 今年は創作にも力を入れたいと口にする方気さん、果たしてどのような作品に仕上がるか。
 こうご期待である!

 と、今夜も盛りだくさんの座錦湯でした。
 毎週月曜20時は、皆さん錦湯さんへぜひ!
 ああ、面白かった!!
posted by figarok492na at 01:21| Comment(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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