2017年11月14日

第338回市民寄席

☆第338回市民寄席

 出演:桂塩鯛さん、桂三風さん、笑福亭たまさん、月亭天使さん
 座席:1階8列16番
(2017年11月14日19時開演/ロームシアター京都サウスホール)


 二日続けて落語の会だが、昨夜の座錦湯がインティメートな空間でのサロン・コンサートだとすれば、今夜の市民寄席は大ホールでのピアノ・リサイタルと喩えることができるのではないか。
 そういえば、来年で京都に住み始めて30年が経つのだけれど、市民寄席に足を運んだのはなんとこれが一回目だ。
 で、諸事情のため、ホールに着いてから座席を知って大いにびっくり!
 1階の通路を挟んだ1列目、それも高座に真っ向から対峙するという良席も良席で、これは目立つな、いつも以上に縮こまっておかねば…。
 と書くと大げさだけど、近過ぎず、遠過ぎず、この規模の小屋で落語に接するには本当にありがたい席だった。

 さて、一番目に登場したのは月亭天使さん。
 天使さんといえば、錦湯さんでの会やちゃいちゃい寄席、そして独演会とこれまで何度も接してきた落語家さんの一人だけれど、こうして比較的大きなホールの高座を聴くのは初めて。
 自己紹介を兼ねたマクラに続いて、おなじみ『鉄砲勇助』を演じる。
 前座、開口一番の代わりということもあってか、強弱メリハリをつけつつテンポよく噺を進めて行った。
 それでも、火事を背負った牛の背中が燃えだすあたりまでしっかり演じていたが、女性にとってあまり適切とはいえない部分を巧く省略していたのは一つの見識だと思う。

 続いては、笑福亭たまさんが登場する。
 京都とは縁が深い、と言ってKBS京都で番組をもっていたことを軽く語ったあと(もっと縁が深い部分についてあえて言及しないのも賢い)、お得意の30秒落語を連発し、大きな笑いをとる。
 本題は、『軽業講釈』。
 旅の部分ははしょって、たまさんは早速講釈の部分から噺を始めた。
 鳴り出すは隣の軽業小屋のお囃子、もちろん講釈師、途中で講釈を辞めて大声を張り上げる…。
 その繰り返し、というか変奏が肝の作品で、たまさんは変奏ごとに巧く調子を変えながら笑いを生んでいった。
 後半の軽業小屋との対比もくっきりとしてわかりやすい。
 実にクレバーな口演だった。

 三席目は、桂三風さん。
 三風さんは当代桂文枝さんの7番目のお弟子さんで、創作落語(新作)の作り手として知られている。
 晴れて京都市民となったことをまず「報告」したのち、時事ネタをひとくさり。
 そして、お師匠の文枝さんの芸能生活50周年を記念した富士山山頂奉納落語に関して詳しく語ったのち、自作の『目指せ!ちょっと岳』に入った。
 つまりは、登山繋がりということだ。
 登山の案内を引き受けたとある大学の山岳部のメンバーだったが、予想に反して、案内すべき女性登山会のメンバーというのは…。
 登山といえば、月亭太遊さんのネオラクゴ『絶対安全ハイキング』や丸山交通公園君の『登山の害について』をすぐさま思い起こすが、あちらが山を登らず過激に跳躍したり、山に登らず諦念低回地に堕ちようとしたりするのに対し、こちら三風さんの作品は、一歩一歩地に足を付けて山を登るといったまさしく地道な作品。
 大阪のおばちゃん連中のあるあるエピソードをしっかり組み込んで、会場をわかせていた。

 トリは、桂塩鯛さんの『小間物屋政談』。
 塩鯛さんの生の高座に接したのは、染屋町寄席が二条駅近くの喫茶店でやっていた頃だから、かれこれ20年も近く前になるのではないか。
 ただ、かつてKBSのラジオで放送されていた『桂塩鯛のサークルタウン』をよく聴いていたことと、同じ立命館大学出身ということもあって親しみのある落語家さんの一人ではある。
 『小間物屋政談』は、もともと江戸の落語を上方に移し替えたもの。
 旅の途中の小間物屋が追剥にあった小間物問屋の大店の主を助けたが、運の悪いことにこの主が死んでしまい…。
 といった展開の江戸から上方へを上方から江戸へ、箱根の山を鈴鹿峠に変えるなど設定の変更もそうだけれど、やはり大きく変わったのは、江戸と上方の人情の機微のあり様の違いだろう。
 ウェットとドライが綯い交ぜになって即物的な上方の人間の滑稽さが、塩鯛さんの大人(おとなではなく、たいじん)風な語り口と独特のフラによく合っており、なんともおかしい。
 一つ間違うと嫌な感じの残りかねない噺だが、すっきりとした気分で聴き終えることができた。

 と、たっぷり四席。
 充実した会でした。
 ああ、面白かった!!
posted by figarok492na at 22:58| Comment(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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