2017年11月11日

第25次笑の内閣『名誉男性鈴子』(娘編)

☆第25次笑の内閣『名誉男性鈴子』(娘編)

 作・演出:高間響
(2017年11月11日17時半開演の回/KAIKA)


 第25次笑の内閣の『名誉男性鈴子』の娘編を観に、KAIKAまで足を運んだ。
 ちなみに、『名誉男性鈴子』の初演は2015年の5月(シアトリカル應典院)。
 それまでの情実を重視するキャスティングから、演者の演技力を優先するキャスティングにシフトするなど、制作の前田瑠佳による「改革路線」が勢いを増しており、それに伴い高間上皇も劇作の研鑽を重ねていた時期の作品である。
(その前田さんが道半ばで去ってしまったことは、笑の内閣にやはり少なからぬ影響を与えた。それを初日のアフタートークゲストを引き合いに出せば、「学芸会」的なのりの中島らものリリパから「演劇」色の強いわかぎゑふのリリパに移行中だったのに、結局ゑふさんが去ってらもさんが残ったようなものと喩えることができる)

 舞台は岡山県の架空の都市、南アンタレス市(南ア!)。
 衆議院補選に出馬する現市長の指名を受けて後継市長候補となった黄川田鈴子だったが…。

 選挙に絡む人間の感情の変化を描いた作品といえば、すぐにジェームス三木の映画『善人の条件』(怪作)を思い出すが、この『名誉男性鈴子』はそれとともに、男性中心の状況で社会的進出を果たそうとする女性が結果として保守的反動的言動を繰り返し、現状肯定主義に陥る様を鋭く描いている。
 当然、フェミニズムの問題や各種格差と差別の問題について言及されていることは言うまでもない。
 と、こう記すと、何やらしんねりむっつりとしたかつての新劇的な内容を思い起こす向きもあるかもしれないが、そこは「笑」の内閣、高間響上皇である。
 時勢を受けたくすぐりをはじめ、再演にあわせた改作が徹底されたこともあり、会場には大きな笑いが巻き起こっていた。

 飄逸とした池川タカキヨ、笑の内閣の骨法をよく知った髭だるマンやしゃくなげ謙治郎、エロ親父ぶり全開の松田裕一郎をはじめ、中谷和代、熊谷みずほ、土肥希理子、諸江翔大朗、延命聡子、横山優花の演者陣も、そうした作品の意図に沿う努力をよく重ねていた。
 高間上皇の作品にとって忘れてはならない小さな集団組織の中で感情があちらこちらへと揺れ動く場面でのシリアスな演技には、その基礎的な力というか説得力を感じた。
 また、おもろおかしい部分、キャラクターが物を言う部分での健闘も讃えたいが、概してソリッドというか、硬さがあるというか、個々の経験や技量がある分なおのこと、与えられた役柄や求められるキャラクターと個々の演者の本質の齟齬、笑いをとるために頑張っていますという内面の負荷や無理が若干垣間見えてしまったことも事実だ。
 これまで何度も記してきた方向性の問題とも関係してくるが、高間上皇の作品的変化と演者陣・キャスティングの変化にどうバランスをつけていくかは、笑の内閣にとって今後の重要な課題ではなかろうか。
 大きな笑いを生んでいた公演だけに、あえて長い視点でそのことを記しておきたい。

 公演は火曜日まで。
 ご都合よろしい方はぜひ!!
 息子編を観ることができないのが本当に残念だ!!!
posted by figarok492na at 22:57| Comment(0) | 観劇記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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