2017年08月16日

豊中の天使の☆落語会 昼の部

☆「豊中の天使☆落語会」昼の部

 出演:月亭天使さん、桂華紋さん、笑福亭智丸さん
ゲスト:笑福亭たまさん
三味線:岡野鏡さん
(2017年8月16日14時開演/豊中市立文化芸術センター小ホール)


 月亭天使さんが地元豊中に今年オープンしたばかりの豊中市立文化芸術センターで落語会を開催するというので、朝昼二回のうち昼の部に足を運んだ。
 もとの市民会館のスペースにあれこれ入れ込んだためか、ホワイエ・ロビーは若干手狭な感じがするものの、小ホール自体は席の前横の空間が比較的広めに設定してあって当方のような身体が大き目の人間には非常にありがたい。
 また、席と席との間の段差も巧くつけてあるため、前のお客さんの頭でいらいらいりいりする必要もない。
 前から5列目にあたるE-04という客席から見て左サイドの真ん中通路寄りの席に座ったが、演者さんの演技表情をメガネなしでくっきり目にすることが出来た。

 まずは、笑福亭仁智一門の智丸さんが登場。
 かつて病院のカルテの整理のバイトをやっていたとマクラで触れてから、本題の『犬の目』に入る。
 『忍者ハットリくん』の獅子丸っぽい容姿をした智丸さんだが、本題に入れば一転、上方落語の本流とでも呼ぶべきだみ声っぽい声質で達者な口演を行う。
 今日の『犬の目』も、発端の部分をはしょることなく丁寧闊達な高座に仕上げていた。

 続いては、桂文華さんのお弟子さんである華紋さん。
 世の中にはおかしな人がいると実例を示して笑いを誘ってから、おなじみ『粗忽長屋』を演じた。
 恰幅のよい身体つきにちょっと喉を詰めたような高めの声から想像がつくように、実に陽性な高座。
 笑いを重ねながら、にぎやかに噺を進めて行った。
 ただ、だからこそ強く印象に残ったのは、終盤の長い間。
 演じているのは華紋さん一人きりだけれど、音楽でいうところのゲネラルパウゼのような時間になっていた。

 三席目は、天使さんが高座に上がり、地元の豊中でこうして落語会を開催するのが夢でしたと口にする。
 本題は『書割盗人』。
 貧乏極まる男が知り合いの画家に芝居の書割よろしく家財道具一式、おまけに庭の遠景まで描いてもらったが…。
 といった具合のお話で、天使さんは速めの調子、流れのよい掛け合いを心掛けており、耳馴染みがよかった。

 仲入り前は、「ゲスト」の笑福亭たまさん。
 言わずと知れた上方落語界の鬼才、イーゴリ・マルケヴィッチが日本に生まれて落語家になったらこんな感じになるだろう…、というとこれは大げさか。
 桂米朝さんにやしゃご弟子が出来た、どんな女の子や…、といった天使さんの他己紹介をマクラで的確に行って、早速笑いをとる。
 で、予告通り『地獄八景(亡者戯)』を演じたが、芸能ネタ、時事ネタのくすぐりをふんだんに織り込んで大きな笑いを生んでいた。
 同業者へのちょっとした(?)毒もたまさんならではだろう。
 閻魔の庁の場に智丸さん、天使さんを呼び出してやり取りを行ったところで、ほどよくサゲた。

 後半は、お囃子の紹介から。
 大太鼓や締太鼓を華紋さんが、鐘類を智丸さんが演奏し、一番太鼓やら何やらお囃子の類いを紹介説明しようという企画である。
 司会の天使さんの説明がぐだっとなりがちなところ(それがまた天使さんのフラになっているのだけれど)に、たまさんが愛のある(?)容赦ない指摘を入れて笑いに換えていた。
 途中からは『地獄八景』で活躍した三味線の岡野鏡さんも登場、お囃子に合わせてたまさんが『兵庫船』の一場面を演じたりもした。

 トリは天使さんで、時節に合わせた『皿屋敷』。
 錦湯では、同じ月亭一門の方気さんや秀都さん(天使さんの弟弟子)の『皿屋敷』を最近聴いているが、お二人のデフォルメが効いた口演に比較すると、天使さんの高座は若干あっさりというか、あくが控えめだ。
 いや、天使さんもここぞというところではきちんとデフォルメを行ってはいるのだけれど、どこかで抑制が効いているように感じられるのである。
 ときにそれは、天使さんにとってマイナスに働く可能性もあるかもしれないが、一方で、こうした特性・距離感と先述した「フラ」が一層自覚化され巧く結びつくならば彼女の大きな武器になるのではないかと思ったりもする。
 いずれにせよ、プラスの部分としての天使さんの「女性噺家」らしくなさ、「女性芸人」らしくなさ(さらに加えるならば、「噺家」らしくなさ、「芸人」らしくなさ)を改めて感じることができたのは、今日の大きな収穫だった。

 ああ、面白かった!!
posted by figarok492na at 19:44| Comment(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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