2017年06月29日

マナコルダが指揮したメンデルスゾーンの「スコットランド」と「宗教改革」

☆メンデルスゾーン:交響曲第3番「スコットランド」&第5番「宗教改革」

 指揮:アントネッロ・マナコルダ
管弦楽:カンマーアカデミー・ポツダム
 録音:2016年11月(デジタル/セッション)
<SONY/BMG>88985433222


 シューベルトに続いて、アントネッロ・マナコルダと手兵カンマーアカデミー・ポツダムが進めているメンデルスゾーンの交響曲全集第二段である。
 今回は第3番の「スコットランド」と第5番「宗教改革」が収録されている。
 一連の録音と同様、基本はモダン楽器ながら、一部をピリオド楽器に変えるなど、いわゆるピリオド・スタイルが援用された演奏で、マナコルダの楽曲解釈にカンマーアカデミー・ポツダムのソロ・アンサンブル両面での精度の高さも加わって、間然とするところのない音楽を愉しむことができる。
 「スコットランド」のほうは、ときとして序曲『フィンガルの洞窟』のような情景描写的な音楽として捉えられることもないではないが、例えば第1楽章や第3楽章の細やかな表現からもわかるように、マナコルダはメンデルスゾーン自身の心象風景、内面の動き(と言うより、メンデルスゾーンの音楽から受けた自らの内面の動き)に重点を置いた音楽づくりを行っているかのように感じられる。
 それとともに、音そのものの持つドラマ、劇性が的確に表現されていることもやはり忘れてはなるまい。
 第2楽章や第4楽章の飛び跳ねるかのような軽やかな音の動きは、まさしくメンデルスゾーンの面目躍如である。
(であるからなおのこと、第4楽章のコーダは野暮たく聴こえてしまう)
 一方、「宗教改革」は、音楽の持つ祝祭性に充分配慮がなされた演奏だ。
 むろん、第2楽章のように、ここでもメンデルスゾーンの音楽の持つ軽快さは十全に発揮されているが。
 そして、この交響曲、ばかりではなく、このアルバム全体の肝は、第3楽章から第4楽章に移る場面でのフルートのソロといっても過言ではあるまい。
 清澄で静謐なこのフルートのソロには、本当にはっとさせられた。

 初期ロマン派の音楽を清新な演奏で耳にしたいという方には多いにお薦めしたい一枚だ。
 ああ、面白かった!!
posted by figarok492na at 19:19| Comment(0) | TrackBack(0) | CDレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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