☆笑福亭笑利落語会「独利-HITORI-」
出演:笑福亭笑利さん
(2017年5月30日19時開演/恵文社一乗寺店COTTAGE)
恵文社一乗寺店COTTAGEで開催される京都での笑福亭笑利さんの落語会「独利-HITORI-」も、昨年の8月23日、12月13日と回を重ねて今夜が三回目。
最小限度の宣伝にも関わらず、文具雑貨を営むお店の奥のフリースペースにけっこうな数のお客さんが集まったのは、笑利さんへの大きな期待の表れだろう。
出囃子の調整にお客さんの僅かな手伝いはあったものの、今回は出演ばかりか受付設営作業その他一切を笑利さん一人でやり切って、まさしく「独利」の名に相応しい会となっていた。
定刻の19時頃高座に上がった笑利さんは、開口一番代わりのトークから始める。
お客さんの側から舞台を観てみる必要もあると考えた笑利さんは、最近様々な出し物に足を運んでいるとのことで、中でも衝撃的だったのは知り合いが出演しているコンテンポラリーダンスの公演。
そのダンスのわけわからんちん具合の描写がどうにもおかしくついつい笑ってしまう。
変に馬鹿にするのではなく、笑利さんの困惑と驚きがストレートに伝わってくるのがたまらなく面白かったのだ。
で、会場がわいたところで一席目の落語を演じる。
笑利さんが弟子入りしてすぐの頃に作った新作落語で、とあるカレー屋に弟子入りしたいと学生がやって来るもの。
錦湯さんでだいぶん前に接したことがある作品だが、この間の笑利さんの研鑽がよくわかる語りぶりとなっていた。
とともに、玄人と素人、プロとアマチュアの差についてもふと考えたりした。
そのまま二席目へ。
人は見かけによらぬなどというが、人は見かけによるんじゃないかと、自分が巻き込まれた突拍子もない出来事をマクラで語って笑わせたのち、本題の『竹の水仙』に入る。
酒は飲むわ美味いものは食うわ、それでいてなんとも貧相な格好をした二階の客の男にしびれをきらした妻にせっつかれた宿屋の主人は、男にこれまでの分の宿賃を払って欲しいと口にするが、なんとこの男、一銭たりとも持ってはおらず…。
まさしく人は見かけによらぬといった展開、飛騨の名匠左甚五郎が主人公の古典落語である。
芸とは何かという主題を秘めた噺だけれど、要所急所のデフォルメに加え、登場人物の台詞遣いに笑利さんの時代劇好きの片鱗が窺えたのも嬉しかった。
休憩を挟んだ三席目は、お待ちかね(?)のパペット落語。
師匠の笑福亭鶴笑さんについて語ったのちにやおら本題に突入する。
もともと福井県は池田という土地のために作ったお話だけれど、ここは京都というところで、細かい筋立てなどはささっと省略。
早速見せ場がやって来る。
笑利さん手作りの白い大蛇が暴れ回れば、これまた笑利さん手作りの北条時頼(全国を回ったという伝説あり)の人形が迎え撃つ。
途中、これまた手描きのイラストも挟み込まれるなど、細工は流流仕上げを御覧じろ。
そして、ラストは激しい大立ち回りで必死のぱっち。
笑利さんの鶴笑師匠への強い想いがしっかと伝わってくる高座で、大いに笑った。
と、笑福亭笑利さんという落語家の魅力特性が十分十二分に表された会でした。
ああ、面白かった!!
ちなみに、ここ恵文社一乗寺店COTTAGEでの「独利」はいったん終了し、新たな企画を立ち上げる予定とのこと。
そちらも実に愉しみだ。
2017年05月31日
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