☆The錦湯 第3回 〜永遠に共に〜
出演:桂三幸さん、桂あおばさん、月亭八織さん
ゲスト:努力クラブ(合田団地君、佐々木峻一君)
大喜利出演:あふろだんぺーさん
(2017年5月22日20時開演/錦湯)
日中の気温は30度を超え、おいおいもう夏かいなと驚くような暑さの京この頃だが、錦湯さんは通常進行。
常連さん、リピーターさん、ご新規さんが集まってけっこうな熱気だったが、今夜は吹き込む風と扇風機でなんとかしのいだ。
The錦湯に名前が変わって3回目となる今回は、支配人の桂三幸さん、お久しぶりの桂あおばさんと月亭八織さんに加え、努力クラブの合田団地君と佐々木峻一君も参戦、ここ錦湯さんらしい番組となった。
定刻20時になって三幸さん、あおばさんと努力の二人が登場。
自己紹介の段階で、「ゴウダ」という名前に三幸さんとあおばさんが大きく反応、まんま(ジャイアン)やないか!
しかも、佐々木君はやせ形でメガネということで早速スネオ認定が行われる。
で、諸々盛り上がったところで、八織さんが高座へ。
ネタおろしとなる『真田小僧(六文銭)』の序の部分を演じる。
ずる賢い子供、小遣い銭をやらぬ父親に向かって母親の秘密を小出しにして語り出す。
続きが聴きたければ五銭をおくれ…。
というおなじみの古典だが、八織さんはスピーディーなテンポで明快に演じ切っていた。
中でも、子供のにくたらかわいさが強く印象に残る。
続いては、あおばさんが登場。
ラジオ番組やお師匠さんのざこばさんのエピソードをマクラで語ってわかせてから本題に入る。
気がつけば夜遅く、家を閉め出された半七とお花が足を運んだのは阿波座にある半七のおじの家で…。
もともと江戸の落語である『宮戸川』の前半部分を月亭方正さんが上方に移し替えたもので、偶然方正さんの口演も生で聴いている。
本来の筋そのものがおかしく、方正さんが移し替えたくすぐりも面白いだけに、当然しっかり笑いが起こっていたのだけれど、一方で、そうしたフォルム(形式・型)を突き抜けてあおばさんの柄が色濃く出ていた点もおかしかった。
特に、あおばさん自身が意識して見せようとする自分の姿、演じ具合とともに、やたけた必死のぱっちで浮かび上がる無意識の部分の両面が窺えたことが興味深かった。
いずれにしても、落語ってパーソナルな芸なんだなあと改めて痛感する。
三組目は努力クラブの二人がコントという名称の二人芝居を演じた。
登場人物は佐々木君演じる男子と合田君演じる女子(奇怪さより、ああ、こんな子いるなあとついつい思ってあまり違和感がない)。
女子は男子に呼び出されたのだろう、どうやらコクるつもりらしいが…。
といった冒頭はよくある、それこそ「ふつうの思春期の恋愛」物だけれど、ここから先の捻り具合ねじれ具合が合田団地らしい。
いや、捻りねじれとはいうものの、実は明け透けなだけで荒唐無稽なものじゃあない。
笑ってはいけないでも笑ってしまう、という感じで笑いが起こっていて、僕自身やるなあと思いつつついつい笑ってしまった。
トリは、三幸さんがお師匠さん文枝さん(三枝時代)の新作『にぎやか寿司』をかけた。
帰宅が遅れた空腹の男、鍵を会社に忘れたか、妻を起こして怒られるのも嫌だからと、その名もにぎやか寿司という寿司店に入店したが…。
努力クラブのオフビートな雰囲気を、岐阜でのゴルフのエピソードなどおなじみ三幸マクラで打ち破ったその調子で、テンポよく軽快明瞭に演じて大きな笑いを生んでいた。
最後は、三幸さん仕切りによる大喜利を決行。
三幸さんの仕切りの特徴は、それこそゴルフの解説の如く大喜利の骨法を巧みに説明する点にあるが、今夜はそれにあおばさんがちゃちゃを入れるというのが一つのルーティン。
笑いになっていた。
もちろん、あおばさんはコンスタントに解答を重ねてもいた。
また、八織さんもこのところ大喜利の経験を積んでいるのか、ここぞというところできっちり解答。
一方、あふろだんぺーさん(メガネでいい人っぽい感じからのび太ならぬ「のびお」と呼ばれる)と合田君は、大喜利猛者ぶりを発揮。
一人出遅れていた佐々木君も、後半見事に答えを出していた。
と、落語に留まらぬごった煮ぶりもThe錦湯の持ち味。
盛りだくさんな一夜でした。
芝居もコントもクラシック音楽も大喜利猛者も、我と思わんお方は月曜20時に錦湯さんにぜひ!
ああ、面白かった!!
2017年05月23日
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