☆The錦湯 第1回 〜早くもR-1に向けて始動〜
出演:桂三幸さん、桂小留さん、月亭遊真さん
大喜利出演:龍楽さん
(2017年5月8日20時開演/錦湯)
先週の錦湯劇場の最後に支配人の桂三幸さんより発表があった通り、今週から錦湯での落語会・演芸会はその名も「The錦湯」に改まった。
で、そのThe錦湯の栄えある第一回目は、連休明けにもかかわらず常連さん、リピーターさん、ご新規さんがバランスよく集まってまずは何より。
出演も三幸さんと月亭遊真さんに、初登場となる桂小留さん(桂小枝さんのお弟子さんで、ちろると読みます)が加わって新鮮な顔触れとなった。
定刻20時頃、出演者が登場しトークをスタートさせるというスタイルはこれまで通り。
これまでの錦湯さんでの会の精神を受け継ぐという三幸支配人の言葉も伊達ではない。
ただし、そこは三幸さん、小留さん、遊真さん、それぞれの色がよく出たやり取りは「The錦湯」オリジナルである。
GWをどう過ごしたかといった話題で盛り上げた。
(そうそう、遊真さんの副支配人就任が発表されたんだった)
まずは、私服姿のままの小留さんがフリップ・ネタを披露する。
R-1グランプリ用か、フリップ(厚紙か何かの上に、ネタをプリントした紙が貼り付けてある)を利用した身近にいる人のあるあるネタだが、そのきっちり準備されたフリップにも小留さんの人柄が窺えた。
続いては、三幸さんと遊真さんによる漫才。
明日の繁昌亭での三幸さんのひとり会(足を運ぶ予定)の出し物でもあるのだけれど、三幸さんが岐阜でのラジオの収録のためあまり時間がとれず、まだしっかり固まっていないと。
「ドキュメント」としてご覧くださいとは、遊真さんの言。
いくつかスリリングな箇所はあったが、掛け合いがすんなり決まっているところでは二人のよさが巧く出ていたように感じる。
明日の「本番」が愉しみだ。
再び小留さんが登場。
こちらもフリップ(先のものと同じ仕様)を使ったネタで、今度は最近はやっているテレビ番組を意識して、俳句に手を加えていくというもの。
ただしあちらが手を加えることで句がよくなるとすれば、こちらは手を加えることでださくだめになるというところがミソ。
芭蕉や一茶といった有名どころもそうだけれど、けっこうマニアックな句が取り上げられていたところに小留さんの目の付け所のよさを感じた。
さて、ここからは着物姿に着替えたお三方の高座が始まる。
一番手の遊真さんは、漫才に続いてドキュメント噺というか。
身近にあったおもろい出来事やら、あっと驚くほら話やらを汗を流しながら語り切った。
二番手は小留さんが高座へ。
自己紹介を兼ねたマクラのあと、古典の『ん廻し』(田楽喰いの部分)を演じた。
寄り集まった町内の若い衆、豆腐屋から差し入れられた大量の豆腐田楽を肴に酒を飲もうということになったが、ただただ食って飲むだけでは芸がない、せっかくだから「ん」の付く言葉を口にして「ん」の数だけ田楽を食べよう…。
といったおなじみの展開で、バーバル・ギャグというか、言葉遊びが噺の肝となっている。
小留さんはところどころ語尾の伸ばし方にお師匠の小枝さんを想起させたが、口演自体はテンポと歯切れよく進めていった。
特に、終盤の「ん」尽くしが印象に残った。
三番手は遊真さんの二席目。
古典中の古典とでも呼ぶべき『子ほめ』で、確か錦湯さんの初登場の際に遊真さんはかけていたのではなかったか。
やり取りの間合い、掛け合いのテンポはあのときと当然共通しているが、強弱のつけ具合、流れのよさ、細部の練れ具合に、遊真さんのこの間の研鑽を観聴きする想いがした。
こうやって時間を置いて同じ噺に接することができるのは、やはり愉しいな。
トリは、三幸さんの『みかん屋』。
蜜柑を売って家計の足しにしろと言われた男だが、この男、どうにもお人好しで…。
錦湯さんでの『みかん屋』といえば、桂恩狸さんがその体格に相応しい大どかなゆったりした語り口の高座を披露していたが、三幸さんは快速というか、スピーディーに噺を進める。
もちろん、ここぞというところでは強弱をぱっと変化させてしっかり笑いを生んでいた。
最後は、三幸さん仕切りによる大喜利。
お客さんからいただいた、こんな電車は嫌だ、こんな嫁は嫌だといったお題に、遊真さん、小留さん、常連の龍楽さんが挑んだ。
果敢に解答を重ねる遊真さんを抑え、1位(優勝)なしの2位(次点)を獲得したのは小留さん。
最後の、こんな銭湯は嫌だのお題に「正解」を出したのが大きかった。
大喜利連投となる龍楽さんも健闘である。
と、第1回目のThe錦湯も盛りだくさんでした。
毎週月曜20時は、これまで通り錦湯さんにぜひ!
ああ、面白かった!!
(ちなみに、次回は支配人の三幸さんはお休みかもとのこと。これまた副支配人に就任した月亭方気さんが出演の予定です)
2017年05月09日
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