☆努力クラブのやりたくなったのでやります公演
『フォーエバーヤング』
作・演出:合田団地
(2017年4月29日19時開演の回/人間座スタジオ)
大声が席捲し、臆面のなさが美徳とされるような状況の中では、含羞の持ち主はつくづく評価がされにくい。
だからと言って、自分自身の在り様を変えるとすれば、それではそれこそ恥も外聞もなさ過ぎる。
やりたくなったのでやります公演と銘打たれた努力クラブの『フォーエバーヤング』は、そのタイトルから幕切れに到るまで合田団地という人のそうした矜持がよく示された作品となっていた。
舞台はとある駅。
どうやら終電を逃してしまったらしい女友だち二人が会話を始めて…。
日曜日も公演が残っていることもあり、あえて詳細については触れないけれど、一聴とりとめのないやりとりの中に、30歳を迎えようとする彼女彼の今がこれ見よがしにではなく、けれどはっきりと描き込まれている。
さらにその上で、喩えるならば表面は凪いでいるのに、その実水中では留まることなく水が動いているかのような行間の豊かさというか、細やかな表現丹念な作劇にも心をぐっと動かされた。
加えて、お客さんを喜ばせる術はむろんのこと、合田団地という劇の作り手の投球配分の計算の高さ、緻密さもやはり忘れてはならないだろう。
あて書きや演出があってのことだが、演者陣も合田君の意図によく応えていたのではないか。
川北唯は台詞づかいばかりでなく一人の無言の場面での佇まいにも強く魅かれたし、楠海緒も再スタートを切るに相応しい演技を行っていた。
また、大石英史も劇全体をよく捉えた演技を心掛けていた。
いずれにしても、脚本・演出・演技の各面で、それぞれの特性美質が十分十二分に発揮された公演であり、ぜひとも多くの方々にご覧いただければと思う。
ああ、面白かった!!!
2017年04月30日
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