☆京都市交響楽団第608回定期演奏会(後半のみ)
指揮:下野竜也
座席:3階LB列5番
(2017年1月21日14時半開演/京都コンサートホール大ホール)
諸々すませて京都コンサートホールまで自転車を飛ばしたが、あと一歩で開演時間に間に合わなかった。
パスカル・ロジェがソロを務めた大好きなモーツァルトのピアノ協奏曲第25番を聴けなかったのは残念だが、これはもう仕方ない。
後半券を利用して、ブルックナーの交響曲第0番ニ短調を聴くことにした。
第0番ってなんだぺ?
と、訝る向きも少なくないだろうが、ブルックナーには番号付きの1番から未完成の第9番に到る9曲の交響曲の他に、番号の付かないヘ短調とニ短調の二曲の交響曲があってこなたニ短調は第0番の通称で知られているのである。
(ちなみに、あなたヘ短調は第00番)
公演プログラムで山本美紀が記しているように作曲年代は特定されていないが、いずれにしても初期の交響曲に違いはない。
後期の充実した筆致に比べれば当然密度の薄さ、書法のこなれなさを感じる部分は多々あるものの、一方でシューベルトやメンデルスゾーンといった初期ロマン派の交響曲に通じる(プレトークで、下野さんはシューベルトの交響曲第4番「悲劇的」との共通性に触れたということだ)清々しい叙情性をためた作品であることも事実だ。
と、ともに第1楽章終盤のゲネラルパウゼや金管の強奏、ザンザンザンザンという弦の刻み、荒れ狂うスケルツォとブルックナーらしさが随所に表われていたりもする。
一つ間違えれば、結構のちぐはぐさが目立つことにもなりかねないが、下野竜也は細分を丹念に詰めながら、強弱緩急のコントロールがよく効いて全体の流れをしっかりと見据えた音楽づくりで非常に聴き応えのある演奏を生み出していた。
特に、ブルックナーのリリシズムが十二分に発揮された第2楽章の美しさが強く印象に残った。
京都市交響楽団は今回も均整がとれて精度の高い演奏を披歴し、好調をキープし続けていた。
(オーケストラは第1ヴァイオリンの隣に第2ヴァイオリンのいわゆる通常配置、コンサートマスターは渡邊穣で、フルートのトップは客演の榎田雅祥が務めていた)
物珍しさに終わらない作品であり演奏で、大いに満足がいった。
後半だけでも聴いて本当に大正解だった。
ああ、面白かった!!
2017年01月21日
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