2017年01月21日

オール京都『沼楽屋大爆発』

☆オール京都『沼楽屋大爆発』

 脚本・演出:丸山交通公園
(2017年1月20日19時開演/元・立誠小学校音楽室&音楽準備室)


 丸山交通公園率いるオール京都の『沼楽屋大爆発』は、元・立誠小学校の音楽室と音楽準備室の二部屋を使った同時進行のお話。
 どうやら演劇公演の舞台と楽屋という設定で、出演者が二つの部屋を行き来すれば、お客さんも行き来自由。
 というから非常に大胆で意欲的な試み…。

 てな書き方をすると、なんだか演劇的趣向と志向の強い作品のように聴こえるかもしれないけれど、それより何より僕が感じたのは、彼彼女らの稽古場、それも余所行きの公開稽古なんかじゃなくて本息真剣勝負の素の稽古場の姿をじっくり眺めることができたというものだった。
(前に何度か記したことだが、演劇にせよオーケストラにせよ、僕はそうした素の稽古場をほわんと眺めているのがとても好きなのだ)
 もちろん、そこは丸山君を皮きりに石田達拡、小林欣也(久しぶり。稀有な「フラ」の持ち主)、西村花織(これまた久しぶり。「がばい」の片鱗が窺えた)、ピンク地底人2号、山下ダニエル弘之、横山清正という手だれ足だれ病だれのおもろおかしい連中が揃っているから笑いどころは要所要所にたっぷり仕掛けてあるし、逆に静謐さに裏打ちされたタナトスへの憧憬(タナトスそのものでなく、あくまでも憧憬である)や切実さの反映も丸山君ならではのものだ。
 しかしながら、そうだとしても、そうであるからこそ、個々の演者陣がふとした隙に垣間見せる人柄特性本性が強く印象に残る。
 日頃はどうしても物語の筋や作品の結構精度を追いがちになるところを、何歩も距離を置いて接することができたのは、僕にとって大きな収穫だった。

 正直、同時進行ゆえ「笑い場」が重なって一方を観逃してしまったもどかしさを覚えたり、お客さんがうろちょろと動く様子にちょっとうっとうしさを感じたり(そう言いながら、ある場面でずっとお客さんのほうばかり見つめていた自分も相当うっとうしいが)、移動を続けることに疲れをためたりしたことも事実だが、丸山君という劇の造り手や一筋縄ではいかない七人の演者陣に興味関心好感愛情を抱く方々にはやはり一見をお薦めしたい。

 観方は100人100通り、周囲に流されず自分なりの愉しみ方を見つけてもらえれば。
(2500円はちょっとという方は、「応相談」らしいので迷わずご連絡のほど)
posted by figarok492na at 00:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 観劇記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック