2016年10月25日

錦湯劇場 第3回

☆毎週月曜 錦湯劇場 第3回

 出演:月亭太遊さん、桂恩狸さん
(2016年10月24日20時開演/錦湯)


 スタートから3回目となる錦湯劇場は一転、これまで支配人(MCと仕切り)に徹してきた月亭太遊さんの4作品再演をメインに据えたネオラクゴnight。
 加えて、桂恩狸さんが自作と古典の二席を演じてOnly meぶりを発揮してもいた。

 定刻8時を少し過ぎて、ご新規さん、リピーターさん、常連さんで大盛況となったところで、太遊さんが登場。
 にっぽんばし道楽で先週土曜日の夜に開催された3をはじめ、過去3回の太遊のまつりについて振り返りつつ、今夜の趣向などを語って盛り上げる。

 で、ほどよいところで恩狸さんが高座へ上がり、桂三実さんとの二人でできるもんの第1回でネタおろしを果たした「喫茶鉄」を演じる。
 昼食をとろうと会社の先輩後輩が向かった先は、今話題の喫茶鉄なる店で…。
 といった展開で、いわゆる鉄ちゃん、鉄道ネタの作品だ。
 当然それにちなんだくすぐりもいろいろと盛り込まれているが、それより何よりおかしいのは恩狸さんの筋の運び方というか語り口。
 笑いの世界では牛刀をもって鶏を割くことになんの問題があるものか、と改めて強く感じた。

 続いて、着物に着換えた太遊さんが再登場。
 まず恩狸さんの「喫茶鉄」に触れてから、自らのネオラクゴについて説明を行い、本題の『くぐつぐつ傀儡軒』に入る。
 男が向かった先は、ロボットがラーメンをつくるという傀儡軒なるラーメン店で…。
 前回の錦湯劇場で、桂ちきんさんと笑福亭智丸さんが絶賛していた映画の『スティング』じゃないけど、ツイストツイストツイスト(捻り捻り捻り)が何度も効いた作品であり、すでに何度も接していながらそのツイストに大笑いしてしまった。
 なお、演じ終えたあとに裏読み可能性な作品であることの説明が太遊さんからあった。

 小休止ののち、太遊さんが演じたのは、『再教育テレビ』。
 深夜も深夜、ど深夜にテレビのザッピングを続けていた男が目にしたものは、「再教育テレビ」なる常軌を逸した番組で…。
 ぶっとんだキャラクターと展開が持ち味の、太遊さんならずとも「危険」だと思ってしまう作品である。
 が、その「危険」さがまたネオラクゴの妙味心髄。
 眠れる獅子は「再教育テレビ」を見よう。
 ネオラクゴを聴こう。

 太遊さんに代わって、再び恩狸さんが高座へ。
 所変れば品変わる、海に備えた閑所(便所)板を使って用を足す海辺の村の住人たちが大阪の宿に泊まったはよいが…。
 という、なんとも尾籠な古典の『閑所板』。
 ここにきてこれをかけるというのが、やはり恩狸さんのOnly meたる所以ではなかろうか。
 それにしても、中間の茶漬けを食うあたりは「えげつない」なあ(もちろん、誉め言葉でもある)。

 で、三度太遊さんが登場。
 ぜひ畏まったほかの落語会でも恩狸さんに『閑所板』をやって欲しいと笑わせる。
 さて、ネオラクゴ3作目は、『シガー&ラミー』。
 男の目の前に現われたのは、自称地縛霊のシガー&ラミー。
 てっきり自由を謳歌し尽くした二人だと思って、男は話に耳を傾けるが…。
 自由自由というけれど、あんたの自由はほんまもんの自由なんかいな?
 笑いながらも、そう自問せざるをえない作品である。
 さらば、シガー&ラミー。

 小休止を挟んだ最後は、『蝶よ、花よ』。
 舞台はとある島、蝶よ、花よと育てられた少女はアイドルを目指すが、実はこの少女、誰がどう見たって…。
 これもまたツイストツイストツイストが効いた作品。
 そして、こうやって4作品が並べばネオラクゴに脈々と流れるメッセージもわかろうというもの。
 大いに笑い、大いに身につまされた。

 ラストは太遊さんと恩狸さんのトークで幕となった。
 基本的には支配人に徹するという太遊さんだけれど、できれば今後もこういった機会を設けて欲しい。
 いずれにしても、ますますバラエティに富む錦湯劇場に皆さんもぜひ!
 ああ、面白かった!!
posted by figarok492na at 10:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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