☆THE GO AND MO’S第23回公演『松村の右』
脚本・演出:黒川猛
出演:黒川猛、森本研典
(2016年10月23日14時開演/スペース・イサン)
昨夜の『太遊のまつり』の月亭太遊がプロの座にあぐらをかかない果敢な攻めの姿勢の持ち主だとすれば、かつてベトナムからの笑い声で鳴らし、現在THE GO AND MO’Sでの活動を続ける黒川猛は、あえてアマチュアであることの自負と気概の持ち主と評することができるだろう。
スペース・イサンでは久しぶりの公演となったTHE GO AND MO’S第23回公演『松村の右』でも、そうした黒川さんの本領がいかんなく発揮された約100分となっていた。
そして、今回はもはやGOMO’Sではおなじみ劇団太陽族の森本研典がゲスト出演し、こちらもその芸達者ぶりを十二分に披歴していた。
で、オープニングに続いては、一本目のコント『喜劇王犬養チョップ』の再演。
森本さん演じる昭和の喜劇王犬養チョップの顔芸消耗芸と黒川さん演じる活動弁士の名調子のコントラストが活きた作品だが、初演時の壱坪シアター・スワンの密室的な空間と違い、イサンの広めの間尺では受ける印象がだいぶん変わっていたことも事実だ。
二本目のコントは、『4分間の漫才師』。
よんどころない事情から15年もの間活動を休止せざるをえなくなったわかばとエコーという漫才コンビの復活を、漫才ネタ込みで描いてみせた「大人のためのスケッチ」とでも呼びたくなるような作品である。
黒川さんの漫才愛とともに、森本さんの演技の巧さ、二人のこれまでの積み重ねが如実に示されており、なかなかぐっとくる。
そうそう、コンビ別れの原因が他の作品にも通ずる時事ネタだったこともそうだけど、それより何より、二人が吸っていた煙草がわかばとエコーであるというそのさりげなさがまた嬉しかったなあ。
三本目のコントは、『侍カンフー』。
黒川さんの無茶ぶりに、カンフー役者に扮した森本さんがあてがわれた物を使って応えていくという内容。
森本さんの必死のぱっちがどうにもおかくるしい。
いやあ、大いに笑った。
四本目のコントは、『偽笑点』。
タイトルに偽りなし。
黒川さん演じる仕切りの偽落語家が繰り出すお題に、スクリーンに映し出されたあの「話題の人々」(のイラスト)がそれらしい言葉を答えていくという趣向で、当然の如く、政治芸能分野の時事ネタブラックネタが飛び出していた。
あぶないあぶない。
最後のコントは、再び森本さんが身体をはった『ボロボロのピエロ』。
ぎりぎりのライン、限度を知っているからこそのこの笑いである。
しかも、この五つのコントの間には、あのチャンピオン(今はなんと呼ばれてるんだっけ?)が肉体美を駆使する映像作品『五輪』五本が挿入されるというのだから、これぞまさしく正真正銘の盛りだくさん。
エンディングの『オレオーレ詐欺』を含めて、GOMO’Sの妙味を存分に味わうことができた。
そして、12月17日、18日には東山青少年活動センターの創造活動室で、岡嶋秀昭と筒井加寿子をゲストに迎えた第24回公演『斎藤の咳』が予定されており、こちらも本当に愉しみである。
ああ、面白かった!!
2016年10月23日
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