☆毎週月曜 錦湯劇場 第1回
出演:桂三幸さん、林家染八さん、桂三実さん
MC:月亭太遊さん
大喜利出演:宇多川どどどさん、ふじいりさん
(2016年10月10日20時開演/錦湯)
通算100回目を迎えた錦湯さんでの企画は、今回から「錦湯劇場」と名前も変わって新たなスタートを切った。
昨夜は三連休最終日ということもあってか、ご新規さんやリピーターさんも多数集まって栄えある第1回に相応しい大盛況となった。
まずは、新シーズンよりMCと大喜利の仕切り、加えて劇場の差配に徹する旨を表明した「支配人」月亭太遊さんが登場。
新生錦湯劇場や、この間の近況、出演者の面々の紹介などで盛り上げる。
で、客席がほどよく暖まったところで桂三実が高座へ。
毎回何かが飛び出す三実さんだけれど、昨夜は突然ギネス(世界的記録)に挑戦しますと宣言し、30秒間アルシンドなっちゃうよと一心不乱に唱え続ける。
その言葉のチョイスも含めて、やはりおかしい。
さらに、ミュージックステーション風に今夜のネタを紹介してから演じたのは新作の『もしも』。
もしもクレオパトラの鼻があと少し低かったら世界の歴史は変わっていただろう。
なんて言葉があるけれど、こちらは仲の良い高校生二人組。
「もしもなになにだったら」とあれこれ仮想することであら不思議、それこそ「面白くなき世を面白くするものは心なりけり」とばかり、つまらぬ授業もおもろ愉しくなっていく…。
端正な語り口から繰り出される変化球的なくすぐりが三実さんらしい。
サゲも含めて、笑いながらもじわじわっとあとを引く作品だった。
続いて、林家染八さんが登場する。
当代の林家小染さんのお弟子さんで、実は息子さんでもある染八さんだが、林家アルシンドですと三実さんを受けてから自己紹介にかかる。
今回が錦湯さんへの初登場ということで、お客さんの雰囲気を十分に窺ってから入った本題は、『狼講釈』という珍しい噺。
文無しで空腹となった旅の男、ようやと見つけた村は寺方と芸人ならば親切にするということで、ここは嘘も方便、講釈師であると自分の身分を偽るが…。
噺の肝は、逃げ出した旅の男が狼に囲まれて講釈を口にする部分。
難波戦記ではじまったものがそこは素人のあさましさ、次から次へと違う演目にずれていってしまう様が面白く、ちょっと筒井康隆風ですらある。
(てか、筒井康隆が講談や落語によく親しんでいたってことか。そういえば、鳶の巣文殊山をもじった鳶の巣文殊菩薩なんてフレーズもあったっけ)
トリを務めたのは、おなじみ桂三幸さん。
100回目は残念ながらお休みだった三幸さんだけれど、こうやって第1回の登場で第二のホームグラウンドへの借りは返した(?)。
桂アルシンドですと前の二人を受けたり、入門前の染八さんとのいきさつをマクラで語ったりしたあと、本題へ。
毎日五升の酒を呑み続ける滞在客にそろそろ宿賃を払ってはもらえまいかと切り出す宿の主人だったが、あいにくこの客は一文無し。
ところがこの客ときたら、裏の竹藪の竹を使って細工物をこしらえるのでそれを売ればよいなどと言い出す始末…。
といった展開の、『竹の水仙』だ。
いわゆる左甚五郎モノで、基本は丹念に語りつつもやり取りの合間、ここぞというところでの感情表現というか、アクセントの付け方に笑わされる。
最後は、恒例の大喜利。
太遊さん仕切りの下、作家の桜井さんが考案したお題に出演者の面々が挑むというスタイルも健在だ。
昨夜は三幸さん、染八さん、三実さんと大喜利猛者の宇多川どどどさんでスタートし、途中いてもたってもいられなくなったのだろう、客席からふじいりさんが参入した。
三幸さん、三実さん、どどどさんのコンスタントな解答に触発されてか、染八さんも俄然闘志を燃やし始めたのも錦湯さんでの大喜利ならでは。
そして、子を持って知る親の恩、ならぬ仕切りして知るプロの労(ネオキャクノセントラル)。
太遊さんの仕切りの妙に改めて感じ入った次第。
と、新装開店に相応しい落語三席に大喜利とバラエティに富んだ内容でした。
今後さらなるパワーアップが予想される錦湯劇場へ、皆さんもぜひ!
ああ、面白かった!!
2016年10月11日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック