2016年07月29日

フリッツK落語会 第一回

☆フリッツK落語会 第一回

 出演:月亭太遊さん、月亭八織さん
(2016年7月28日19時半開演/揚げピッツァ専門店フリッツK)


 JR二条駅から千本通を北に向かって5分ほど歩いたところ、スーパーのライフやスギ薬局を超えた辺りにある揚げピッツァ専門店フリッツK(Fritz K)さんで落語会が開催されるというので、迷わず足を運んだ。
 出演は、月亭太遊さんと月亭八織さんのお二人。
 もともとお店のオーナーと八織さんが昔の知り合い(落語はもちろん、お芝居を始める前とのこと)で、その縁で始まった落語会という。
 少し小ぶりな店内とはいえ、ぎっしりたくさんのお客さんが集まっての大盛況で、まずは何よりだった。

 最初は、開口一番、前座代わりのトークから。
 錦湯さんでの一連の落語会をはじめ、太遊さんの出演する落語会ではおなじみのスタイルだけれど、ここでお客さんの様子をうかがいつつ(生の落語は初めてという方も少なくなかった)盛り上げる。

 で、頃合いを見計らって、八織さんが高座へ。
 今夜も見目麗しく凛々しい袴姿の八織さんだったが、マクラもそのことから。
 続いて、お師匠の八方さんとのこと、から八方さんのお孫さん(八光さんのお子さん)の名前ときて、本題の『寿限無』に入る。
 末長く幸せに育って欲しいと、自分の子供に「寿限無寿限無…」とありがたい言葉を連ねた長い長い名前をつけたまではよかったが…。
 『寿限無』といえば、落語オブ落語、王道中の王道のネタで、初めて生の落語を聴くという一つ後ろの列に座ったお子さんも学校の授業で習ったみたいで、八織さんにあわせて小さく「寿限無寿限無…」と繰り返していたほど。
 ただし、八織さんの場合は自分のよさがどうすれば引き立つか、言い換えれば、女性の落語家である自分がどう演じればお客さんにより噺の面白さが伝わるかを工夫した八織さんバージョンとなっていて、特に登場人物の掛け合い、演じ分けが見どころ聴きどころの一つだ。
 八織さんの『寿限無』を聴くのはこれが二回目なのだけれど、語り口の流暢さにこの間の積み重ねを感じた。
 それと、向日性というか陽性な八織さんの高座はお客さんに好まれるだろうなと改めて思った。
(終演後、八織さんに芝居噺のことをちらとうかがったこともあり、帰りがけシェイクスピア・イヤーだからシェイクスピアの戯曲を落語の世界に置き換えたらなんてことを思ったりした。そういえば、もう25年近く前になるか、落語好きでお芝居好きの女の子に頼まれて、『ヴェニスの商人』を下敷きにした『堺の商人』というネタをつくったことがあったんだ。筋もくすぐりもほとんど忘れてしまったが、ちょうど大河ドラマの『信長 KING OF ZIPANGU』が放映されていた頃なので、ポルトガルの宣教師ルイス・フロイスを語り手にして、「わーわーいうております」の代わりに「アテブレーベ・オブリガート」で終わらせたような気がする)

 トリは、太遊さん。
 マクラでは、京都住みます芸人としての各地域でのエピソードを交えつつ、かつお客さんの雰囲気を確認しつつ、笑いを誘う。
 二重の意味で、錦湯さん以外での太遊さんの高座ぶりがわかって、その点も面白い。
 「古典か新作、どちらがいいですか」、というアンケートをとったところ、新作派が多かったので、結果『来て!観て!イミテイ村』を太遊さんは演じた。
 しきりと村の風習を誉める滞在中の民俗学の研究者だったが、その風習というのは実は全て…。
 といった、すでにネオラクゴ(太遊さん作の新作落語の総称)の十八番と評しても間違いでない作品。
 もう何度も接したことがあるのだけれど、口演を重ねるごとに語り口が練れているし、なおかつ笑いどころもしっかりしているので、ついつい笑ってしまう。
 もちろん、臨機応変というか、ルーティンに陥ることのない高座であることも忘れてはなるまい。
 太遊さんの落語(ネオラクゴ)を、錦湯さん以外で観聴きするのもやはりいいな。

 1時間と少し、愉しい時間を過ごすことができました。
 ああ、面白かった!

 そうそう、会場のフリッツKさんのことを忘れちゃいけないんだ。
 1500円の入場料の中には、揚げピッツァ(パンツェロッティ)一つとドリンクが含まれていたんだけれど、この揚げピッツァが美味だった。
 ナポリ伝統のピッツァの一つだそうで、こちらがいただいたのは「ラクレット」。
 揚げたてでかりかりもちもちとしたパイ生地の中に、とろっと溶けたラクレットチーズと厚切りのベーコンが入っていて、これは癖になりそう。
 他に、メキシカンやカルボナーラ、さらには甘いもの系統のものとメニューもバラエティに富んでいる。
 また、夜はバールとして営業されており、メニューのうち生ハムをちょっとだけご相伴にあずかったのだが、これぞ生ハムというか、たっぷりとハムの風味がしてお酒のあてにはぴったりだと思う。
(細かく切った揚げたてのピッツァの生地の上にのせても美味しそう)
 千本通沿いのお店なので、移動中にでもお気軽にぜひ。

 いずれにしても、次回の落語会の開催が愉しみだ。
posted by figarok492na at 08:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 落語・ネオ落語記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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